( ^ω^)ブーンが任務失敗したようです
- 140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 01:37:59.47 ID:C0xUXuWB0
- ('A`)「もうここまで来ると雨にもなんも感じねーなァ」
沢沿いに歩いて登る
昼間に釣りをしたあの沢だ
('A`)「あの丸太が流されてなきゃいいんだけどな・・・」
そう呟きながら丸太まで急ぐ
雨が酷く川は大分増水している。地盤も大分緩くなっているようで足場が固まらない
('A`)「やっと着いたぜ」
丸太はあった。増水も丸太までは達してないようだ
('A`)「おっ、良かった!ちゃっちゃっと渡っちまうか」
そう言うとドクオは雨で滑る丸太を気にもせず走り抜けた
('A`)「こっからは森の中・・・か。迷わねーようにしなきゃな」
雨の匂いと泥の音、そして真っ暗な森の中にドクオは一人消えて行った
- 152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 01:56:10.87 ID:C0xUXuWB0
- ブーンとドクオ、ショボンは実は似た者同士だったのかもしれない
明るいドクオ、几帳面なショボン、優しいブーン
別の出会い方があればきっと親友になってただろう
バンド組んでみたり冒険してみたり謎を解き明かしたり
生まれの不幸は誰にだってある。ただ生まれの不幸より親友と出会えない不幸の方が本当は寂しいのかもな
そんな事を考えながらドクオは森の中を歩いていた
衣服が雨を吸って重い。足も張ってる。足場なんて最悪だ
('A`)「キッツいな。ブーンはあんだけの怪我でこんな所歩いてったのか・・?」
愚痴りながらも黙々と山を登る
この森に入ってからドクオは何とも言えない違和感を感じていた
何かが変だ
ただその何かが分からない。一体なんだ?考えながら辺りを見回した
('A`)「普通の木の生え方じゃ・・ない・・か?」
そう、なにかこの森は人工的な感じがするのである。ショボンじゃないから理論的に言えないがおかしいのだ
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 20:14:13.79 ID:C0xUXuWB0
- 普通の木はまばらに生え苔や虫、キノコなど成長していく過程で色々な生物が共生する
これだけの広大な森の中、それも木々の背はかなり高く、昼間でもそうそう陽の光が届かない場所も多い
だけどこの森の木々には苔やキノコは全くと言っていいほどいない
それ所か虫や鳥、動物の気配も無いのだ
('A`)「薄気味わりぃな。これもこの上の施設が関わってんのか?」
さっきより雨はやや小雨になってきたようですこし足場も定まってきた
('A`)「お・・なんか明かりが見えて来た。そろそろか」
ドクオの前方にやや拓けた平地が見え、自動車らしきヘッドライトが見えた
('A`)「待ってろよブーン。今助けに行くからな」
右手に持った夜釣り用の大型ライトの明かりを消した
覚悟を決めたようにドクオが一気に飛び出す
そこには一台のトラックが止まっていた。トラックのエンジンはかかったままでライトもついているが人の気配は無い
辺りには微かにガソリンらしき匂いと火薬の匂い、それと生臭い匂いが漂っている
('A`;)「こりゃ・・・普通じゃねぇな。」
そう呟いて手に持ったライトの明かりをつけて辺りを散策する
- 4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 20:15:36.09 ID:C0xUXuWB0
- トラックの裏側を覗くと人影らしき物が見えた
思わずドクオは身を隠す
('A`;)「(・・・誰かいんのか・・・)」
首筋にひやりとした血液が流れるのが分かる
恐る恐る覗き込んだドクオが見たのは二人の若い男の死体だった
('A`;)「うわぁぁッ!死・・しんでんんのあおkそあsj?」
ドクオは思わず後ろに飛びのいた
そこには警備員のような服装をした死体が二つ転がっていた
('A`)「これも・・・ブーンがやったってのか」
ドクオは事の重大さに少し後悔した。これはもう警察に任すべきだったのかもしれない
普通の高校生であるドクオにはどうする事も出来ない可能性のほうが高いだろう
少なくとも人生で初めて見る死体がここに二つ転がっているのだから・・・
- 5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 20:17:14.69 ID:C0xUXuWB0
- ドクオは思わずへたり込んだ。足が痛い。雨に濡れて体も冷えてさっきから寒気が止まらない
雨が辛い
('A`)「・・・」
('A`)「・・・・」
('A`)「ブーン・・お前はただの殺人犯なのかよ・・・」
ドクオがそう呟いた瞬間突然後ろからぬかるみを踏みしめる音がした
('A`;)「だ・・・誰かいんのか!?ブーンか??」
ドクオがそう叫ぶと一旦足音は止んだ
('A`;)「誰か知んねーけど出て来いよ!俺はただのガキだぜ。なにビビってんだ?」
ドクオは精一杯の勇気で声を振り絞った
一瞬置いて足音の主が木の陰から出てきた
( ,'3 )「子供・・・か。なんでこんな所にいるんだ?ここは危ないからさっさと山を降りなさい」
足音の主は中嶋だった
- 6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 20:18:45.65 ID:C0xUXuWB0
- ('A`)「・・・あんたあの施設の職員かなんかかい?」
ドクオは睨みつけるようにキツイ口調で中嶋に言い放った
( ,'3 )「いや。ただの運転手だ。このトラックのね。それも今日までだが」
中嶋はそう言うとトラックの周りをぐるっと回る。守衛の死体を見つけると大きな溜息を吐き出した
( ,'3 )「守衛は二人とも殺されてるか・・って事はあの子供は生きてるんだな・・・」
どうやら中嶋はブーンが心配で戻ってきたようだった。
('A`#)「あの子供・・?おい!おっさん!あの子供ってまさかブーンの事か!?」
ドクオ思わず詰め寄る
( ,'3 )「ブーン、それは・・彼の名前か?見るところ君と同じ位の歳だったが。」
ブーンがここを通った、そして生きている
('A`)「生きてた・・・生きてたんだな・・・。アイツ。ここで何があったんだ。教えてくれよ」
中嶋を見るドクオの顔から険が取れた
- 9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 20:24:56.30 ID:C0xUXuWB0
- ( ,'3 )「私が見たのは傭兵みたいな格好をした・・君くらいの歳の少年だったよ。そして私を・・・・救ってくれた。」
「救った」この表現が正しいのか中嶋には分からなかった
元々ブーンは中嶋を殺すつもりだったのだろう、それは運転席で運転していた本人にはひしひしと伝わっていた
だけど殺さなかった
家族の話を聞いた辺りから彼の顔は少年の顔に戻っていた気がする
ただの殺人者ではない、その証拠に自分を救ってくれた
だから救ったという表現をした、自分を殺す気だった殺人犯を。
( ,'3 )「内容は知らないがこの施設は色々やばいモン扱ってる。それを壊しに来たんだろう」
( ,'3 )「守衛の言葉によると前の爆破も彼の仕業みたいだしね」
そう言うと中嶋は一息ついたようにトラックに寄りかかった
('A`)「そっか。良くわかんねーけどブーンは・・・命を助けたんだな・・」
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 20:27:53.68 ID:C0xUXuWB0
- ドクオの中で俄然ヤル気が出てきた
人を殺す事は絶対にしてはいけない。ブーンはその一線を越えている
だけど人を救う事もしている、なら信じてやらなきゃならないだろ?
('A`)「おっさん、ありがとうな。俺そろそろ行くわ」
ドクオはそう言うとムクリと立ち上がった
さっきまで辛かった雨が大分止んできているように思った
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 20:29:47.73 ID:C0xUXuWB0
- (´・ω・`)「これでいいのかな。」
ショボンはその頃ブーンの残していった機械を弄くり回していた
(´・ω・`)「あのサイトの管理人はこれで動くって言ってたけど・・・」
そう言いながらショボンは機械の裏にある小さな溝にマイナスドライバーをあてがった
ξ('A`)ξ「これで回すのよね?えいっ」
その瞬間黒いボディが跳ね上がり小さなパソコンの様な画面とキーボードが顔を出した
ξ('A`)ξ「すっごい!すっごい!何コレ!?」
ドクミは眠い目を擦りながら機械をマジマジと見つめる
(´・ω・`)「無線機みたいだね。それも衛星を使った位広範囲の」
ショボンは画面を指差しながらそう言った
画面には英語やアルファベットが並ぶ。どうやらこの右下のNGk・Hrz 1×12000
これは長岡県ホライゾン市を表すようだ。地図の等高線のような物が映っている
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 20:30:35.16 ID:C0xUXuWB0
- (´・ω・`)「この点はもしかして僕らが居る場所なのかな?でもブツブツ・・・・だけど・・・・」
独り言のように呟きながらショボンが弄くり回していると
ξ('A`)ξ「じゃ開いた事だしそろそろ私寝るね。もう2時前じゃない。おやすみー」
ドクミはそう言うとドクオの部屋を出て自分の部屋に帰って行った
(´・ω・`)「おやすみ。ありがとう」
ショボンはこの機械の使い方が分かればブーンに何か伝えられるかも・・・と期待していた
やはりショボンもブーンが心配なようだ
(´・ω・`)「無線か・・・」
ショボンが改めて時計を見るともうすぐ2時を回る所だった
- 16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 20:32:35.87 ID:C0xUXuWB0
- 暗闇に二つの影が揺れる
( ω )「ごめんだお」
ブーンはそう言うと守衛の首に極めている右手を勢い良く捻った
ゴキン
(゚听)「ふはかか・・・がッ・・」
守衛は辛うじて呼吸をしているようだが首の骨を折ったのだ、もう長くないだろう
ブーンは守衛二人をトラックの陰に隠して施設へと急いだ
左手の出血は上腕をきつく縛った事でなんとか止まった
( ^ω^)「もう2時半か。夜が明けるまでに片付けるお」
施設はもう目の前だ。ブーンは再確認するように呟いた
( ^ω^)「施設の破壊、研究内容の破棄。施設責任者の拘束、もしくは殺害」
目の前にそびえる白く巨大な建物。そこに侵入し、任務を果たす
ブーンは力強く地面を蹴りだし裏口に向かって行った
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 20:36:56.94 ID:C0xUXuWB0
- 建物の内部は到ってシンプルだった。不必要な物は一切排除したような構造、
だが単純だけに侵入経路は敵にも予測しやすいのだろう
( ^ω^)「まず三階のスパコンの破壊、CD-Rの内容をデリート。」
ブーンは足音を殺しながら階段を一歩、また一歩と上っていく
侵入がバレた割にはやけに警備が少ない。それどころか人の気配も無い
( ^ω^)「どうする・・罠か?」
・・・・・・・
( ^ω^)「どうするも何もないか。行くしかない。昨日の今日でコンピューターごと移動は出来ないはずだお」
その瞬間後ろの階段から人の気配がした
ブーンは銃を右手で構え死角に滑り込む
相手はかなり訓練された兵士のようだ。もしかしたらブーン以上の。全くと言って言い程隙が無い
(;^ω^)「待つか・・・行くか・・・」
ブーンが悩んでいると気配の先から声がした
- 20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 20:37:48.84 ID:C0xUXuWB0
- 川 ゚ -゚)「遅いぞブーン」
( ^ω^)「ク、クー・・訓練官?」
ブーンは身を隠したまま返事を返す
川 ゚ -゚)「あぁそうだ。貴様が遅いから粗方私が片付けてしまったぞ」
川 ゚ -゚)「あとはスパコンの破壊と責任者の確保だ」
クーと呼ばれた女性がそう言うとようやくブーンが壁から身を出した
( ^ω^)「な・・何故ですお?任務には一人のはずじゃ・・・」
ブーンは動揺を隠せないようだ。
それもそのはず、今目の前にいる女性は
ブーンが物心つく前から戦闘のイロハを教えてくれた上官なのだから。
そもそもブーンの組織では一つの任務に一人なのである、ブーンが慌てるのも無理は無い
川 ゚ -゚)「この任務は一人ではクリア出来ないとの上の判断だ。それともなんだ、私じゃ不服か?」
クーは少し皮肉を言い笑う。ブーンに戦闘を教え込んだ割には若く見える。20代半ばくらいだろうか
( ^ω^)「そ・・そんなことh」
川 ゚ -゚)「無駄口はいい。いくぞ。時間も押している」
そう言うとクーは3階への階段を駆け上がる
( ^ω^)「相変わらずマイペースな人だお。でも左手が使えない今、心強いですお」
ブーンはそう言うと勢い良く階段を駆け上がって言った
- 22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 20:42:35.35 ID:C0xUXuWB0
- 3階に着くとそこは異様な雰囲気だった
ブルーの蛍光灯に照らされた白い壁が一層不気味さを増す
( ^ω^)「僕が先に行きますお」
ブーンはそう言うと摺り足で少しずつ前へ出る
スパコンのある部屋は突き当たりを左に曲がった所のはず
ブーンは壁を背に通路を覗き込んだ
( ^ω^)「ここまでは大丈夫ですお」
ブーンがそう合図するとクーが静かに駆け寄る
川 ゚ -゚)「施設の職員は私が殆んど片付けたからな。だが施設の責任者、ジョルジュは居なかった」
川 ゚ -゚)「まだ見ていないのはあの研究室だけだ」
( ^ω^)「・・・ならあの部屋に居る可能性が高いですお。」
川 ゚ -゚)「そうだな。だが気を付けろよ。職員とはいえ銃の携帯は確実だ」
( ^ω^)「了解。1・2・3で突入しますお」
そう言うとブーンが銃を構え静かに数える
「1」
「2」
「3」
クーとブーンが部屋のドアを勢い良く蹴り上げる
- 24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 20:48:19.02 ID:C0xUXuWB0
- ( ^ω^)「抵抗しなければ殺さない。大人しくするんだお!」
川 ゚ -゚)「スパコンは何処だ!」
クーはそう叫ぶと部屋中を引っ掻き回す
川 ゚ -゚)「あった。これだな。破壊するぞ」
そう言うとクーは機械に向かって5発発砲した
(;^ω^)「クーさん。それより敵がいるかもしれないのに危ないですお。」
( ^ω^)「コンピューターの破壊なんていつでも出来るじゃないですか」
ブーンはそう言いながらスパコンを眺める。バチバチと音を鳴らしながら画面が切れる所だった
・・・???
川 ゚ -゚) 「どうした」
( ^ω^)「何もないですお。それより任務を遂行しましょう」
部屋の中に人の気配は無い。ただコンピューターだけが動いているだけだ
川 ゚ -゚)「あぁ・・すまないな。人の気配が無い事にすぐ気が付いたんで破壊を優先した」
( ^ω^)「あの一瞬で・・・流石クーさんだお」
ブーンはそう言って部屋を散策する
川 ゚ -゚)「何をしている?」
クーがブーンを怪訝そうな顔で見つめる
- 26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 20:51:11.21 ID:C0xUXuWB0
- ( ^ω^)「何って・・・スパコンの破壊とCD−Rのデリート、それと責任者の確保が任務じゃないですかお」
ブーンがそう言うと
川 ゚ -゚)「・・そうだったな。しかし研究者がいない今、CD−Rだけでも持ち運んだ可能性も高いぞ」
クーもそう言うと研究内容が詰まったCD−Rを探す
クーの言うとおりCD−Rは見つからなかった
行方不明の研究者が持ち逃げしたんだろうか?
多分そうだろう。研究者や責任者が居ない以上その可能性が極めて高い
川 ゚ -゚)「とりあえずここにCD−Rが無い以上居てもしょうがないな。二人で手分けして責任者を探すぞ」
クーはそう言って部屋を出て行った
( ^ω^)「どこに逃げたお」
ブーンもそう呟くと研究室を後にした
建物内部は探すほどの部屋数でも無い。規模はデカイが前にも言ったように無駄がない分探す範囲もおのずと狭くなる
( ^ω^)「中は・・居ないな。外も見てみるかお」
ブーンは窓の外を見ながら裏口へ向かった
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