( ^ω^)ブーンが脱ヒキするようです
- 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/23(火) 21:26:35.99 ID:XZsPgnW9O
- 春
木々は綺麗なピンク色に染まり、校門にその花びらを散らしている。
ここはVIP高校。様々な生徒が通う、いたって普通の学校。
今日は入学式。今日からブーンは高校三年生になるのだ。…なるはずだったのだ。
ガラッ…
('A`)「おいす」
(´・ω・`)「やあドクオ。さすがに入学式は遅刻回避かい?」
('A`)「まあ一応な…」
ドクオが眠そうな顔で教室を見回す。もちろんいつもと変わらない顔が見える。
だが、その変わらない様子にドクオは溜め息をつくのだった。
('A`)「ブーンはやっぱり…」
(´・ω・`)「…ああ」
二人は落胆気味に顔をそらし、窓の外を見た
- 6:>>2-3 びっくりさせんなwww :2006/05/23(火) 21:28:42.84 ID:XZsPgnW9O
- その頃
( ^ω^)「………ん…」
静かな部屋、布団が擦れる音がやけに大きく響く。
うずくまっていた布団から顔を出し、壁の時計に目をやるブーン。
( ^ω^)「10時………か。」
やる気のなさそうな顔で起き上がり、パンツ一丁で布団から出てくるブーン。
その足は自室の部屋の扉を越え、まっすぐとリビングへ向かっていた。
- 10: 1 :2006/05/23(火) 21:30:00.78 ID:XZsPgnW9O
( ^ω^)「……」
分かってはいたが既にカーチャンは仕事へ向かっているので広いリビングは静かだ。
そしてこれも分かってはいたがテーブルの上には置き手紙と朝飯が置いてあった。
ブーンへ
カーチャン仕事行ってくるから、チンして食べてね。
毎度の事だが、胸が痛んだ。
- 12: 1 :2006/05/23(火) 21:31:17.74 ID:XZsPgnW9O
- ( ;ω;)「うっ…」
そして、自然と涙が溢れるのだった。
この一連の流れを飽きるほど経験した。というかほぼ毎日だ。
僕は入学式に何で自分の部屋にいるんだろう。
( ;ω;)「ううぅ……ごめんなさいカーチャン…僕は親不幸な奴だお…」
そう呟くだけで、また布団に入ってしまうのだった。
何の行動も起こさず、起こせず。
- 15: 1 :2006/05/23(火) 21:33:18.33 ID:XZsPgnW9O
- ( ´∀`)「〜であるからして、メソポタミア文明はホリエモンなわけだ。ここテストに出るぞー」
今日もつまらない、下らない授業が続く。
面倒でもノートをとる者と机を枕に寝てしまう者。
ドクオは完全に後者だった。
('A`)(はあ〜…勉強マンドクセっていうか人生マンドクセ…)
退屈過ぎて考えることがない中、やはり考えてしまうのはブーンの事だった。
去年の冬休み頃から学校に来なくなってしまった自分の親友。
('A`)「………。」
小学生から一緒だったドクオには他人事には思えないのだ。
いつもいるはずの人間がそこにいないだけで、ここまで違うものとは。
ドクオが難しい顔をすると、隣のショボンが話しかけてきた。
- 17: 1 :2006/05/23(火) 21:35:33.79 ID:XZsPgnW9O
- (´・ω・`)「ブーンのことかい」
ショボンは黒板を見つめノートをとりながら、小声で喋りかけてきた。
('A`)「…はは、考えんのやめようとしても…どうしてもな」
(´・ω・`)「ああ…今日行ってみるか?何もしないで考えてるだけじゃ始まらないし…」
ショボンの言葉に少し考えた後、ドクオは賛成した。
少し考えたのは、前にもブーンの家に呼びかけに行った事があるからだ。
その時、インターホンを鳴らしても家の中から誰も出てこなかったのだ。
母親はきっと仕事へ行っていたのだろうが、ブーンは家にいたはずなのに。
ブーンはいつまでたっても出てこなかったのだ。
('A`)「…一応ツンも誘うか」
- 23: 1 :2006/05/23(火) 21:43:28.79 ID:XZsPgnW9O
- ξ゚听)ξ「へぇ、で?」
一通りの説明をした後、彼女はそれだけ吐き捨てるように言った。
ブーンが学校に来ないから俺らで話をしにいこう。何でブーンと親しい彼女が、この説明に冷たく当たっているのだろう。
('A`)「いや…で?って言われても…」
ξ゚听)ξ「それが私に何か関係あるの?行きたいなら勝手に行けば?」
教科書を鞄に詰め込み、彼女は早々と教室を出てしまった。
取り残された二人の間には空しい空気だけが流れる。
('A`)「………」
(´・ω・`)「……とりあえず僕らだけでも行こうか…」
('A`)「…ああ」
空しい空気から離れるように二人も教室から出ていった。
- 27: 1 :2006/05/23(火) 21:50:14.18 ID:XZsPgnW9O
- ( ^ω^)「……。」
ブーンはまだ自室の布団にくるまっていた。
何か考えることもせず、ただただ目をつぶっていた。
ガバッ
(;^ω^)「寝れねぇお…」
朝に起きて、すぐに布団に潜り込んだ後から今まで、ブーンはずっと寝ようと奮闘していた。
しかし眠気は完全になくなっていたので、目を開いて布団に潜る事しかできないでいた。
ピンポーン
( ^ω^)「ビクッ…」
誰だろう…今は昼の3時…カーチャンはまだ帰ってこない。
ブーンはその音にビクビクしながら窓から家の前を覗いた。
- 29: 1 :2006/05/23(火) 21:57:36.26 ID:XZsPgnW9O
- ('A`)「もしもーし。誰かいませんかー?」
(;^ω^)「! ドクオ……とショボンかお」
来客を確認するなり、ブーンは再び布団に潜り込む。
本当にいつからこんなヒキコモリみたいな奴になってしまったんだ。
ブーンは自分が情けなくなった…
(´・ω・`)「…外に出てる可能性は?」
('A`)「今までの事を考えりゃ……0、だろうな…」
二人はその場を離れず、ブーンの部屋がある窓に目をやった。
水色のカーテンは完全に閉まり、顔を合わせるのを拒絶しているようだった。
('A`)「………」
(´・ω・`)「………」
('A`)「…帰るか」
(´・ω・`)「…ああ」
二人が静かにその場を離れる
それを窓から確認すると、ブーンは安心して息を漏らした
- 32:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/23(火) 22:04:47.47 ID:XZsPgnW9O
- (;^ω^)「…はあ」
ため息。
今や自然と出るようになってしまった。
情けない。親友の二人とさえ合うのを拒絶してしまうのだらかそれは情けない。
( ^ω^)「僕は…何をやってんだお…」
外が、人が怖いなんて昔の自分は少しでも思っただろうか。
なんとも自然なその人並みが、今は恐怖の渦に見える。
皆はこんな自分を見てどう思うんだろう。
…ツンはどう思うんだろう…
- 39:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/23(火) 22:36:01.21 ID:XZsPgnW9O
- (*゚ー゚)「じゃあねツンちゃーん。また明日ねー」
ξ゚听)ξ「うん…ばいばい…」
遠くで手を振る友人、それに力なく応え虚ろな目で見ているツン。
ξ゚听)ξ「…はあ」
笑っていても、心のどっかでずーっと付いてくる他の思考。
このモヤモヤの正体にツンはとっくに気づいていた。
ただ、気づいてないふりをしていた。
全部分かっているのだ、心では
ξ゚听)ξ(…私だって…心配じゃないわけないじゃない…)
ツンの目に少し溜った涙を、街の夕焼けが照らした。
ξ゚听)ξ「ブーン…」
そっと呟き、自宅への道を一人歩き出した
- 40:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/23(火) 22:37:07.45 ID:XZsPgnW9O
- 一方
( ^ω^)「今日は良い番組やってないお…」
時計は既に夜の7時を回っていた。
テレビは面白くないしカーチャンも何故か帰ってこないので
夕飯も食べることができず、ただつまらないニュースに目を向けていた。
プチッ
( ^ω^)「…カーチャン遅いお…また寝るしかないのかお…」
何もすることがない時、睡眠に逃げるのはもはや癖のようになっていた。
外の景色ももう長いこと見ていない。
ブーンがまた布団に潜ろうとした時だった。
プルルルルッ…
- 41:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/23(火) 22:38:37.92 ID:XZsPgnW9O
- 電話が鳴る。
それだけで鼓動は大きくドクンッと打ってしまうのだ。
重症だ。もう普通の人間じゃない。心底自分に呆れた。
プルルルルッ…プルルルルッ……
(;^ω^)「……」
また自分は鳴り終わるまで待つのだろうか。
ほんのちょっと、ほんのちょっとの勇気なのに…頑張れ僕!
( ^ω^)「」
プチッ……ツー、ツー、ツー…
( ^ω^)「あ…」
震えた手が受話器に触れる直前、電話は切れてしまった。
(;^ω^)「……はあ…」
情けない。安心してしまった自分が、さらに情けなく思えた。
- 42:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/23(火) 22:40:43.67 ID:XZsPgnW9O
- ピーッ
(;^ω^)「!?」
電話が切れたと思ったら、留守電にメッセージが入れられたらしい。
これだけなら安心して聞けるので、ブーンはメッセージが再生されるまで待った。
『ピーッ……VIP病院の者です。お宅の母親様が交通事故により運ばれたので、
至急病院までお越しください。待ってます』
サーッ、と
血の気が引いていくのが分かった
- 43:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/23(火) 22:42:01.11 ID:XZsPgnW9O
- (;^ω^)「……あ……うあう…」
手足が微かに震える。
カーチャンが?交通事故?VIP病院?
(;^ω^)「あ…あああああうああ!?」
頭の中は混乱しつつも、何故か行動は早かった。
だらしない格好のままで、光の速さで靴を履き家を飛び出した。
とにかく、とにかく走った
(;^ω^)「ハアッ…ハアッ……カーチャン…カーチャン」
駆ける足音が夜の道に大きく響いた。
人目も気にせず、無我夢中で。
病院へ、走った
- 50:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/23(火) 23:17:43.97 ID:XZsPgnW9O
- タッタッタ…
ドンッ!
ξ゚听)ξ「きゃっ!?」
肩と肩がぶつかり、突然の衝撃にツンが倒れこむ。と、共にツンの抱えていた買い物袋から商品が落ちていく。
しかしぶつかってきた人影は謝ろうともせずにそのまま駆けていってしまった。
ξ゚听)ξ「いったあ〜い……何なのよあの…」
ツンが起き上がり、振り向く。そしてハッとする。
駆けて行った後ろ姿は見覚えがあるような気がする。
ここ最近目にしなかったけど、今までずっと見てきたその姿。
ξ゚听)ξ「ブー…ン?」
確認する間もなく、その人影は早々と視界から消えてしまった。
ξ゚听)ξ「……」
商品を拾うことも忘れてツンはその場に立ち尽くした
- 51:1 ◆uqMngwBgZo :2006/05/23(火) 23:19:02.67 ID:XZsPgnW9O
- ( ^ω^)「はっ……ハアッ…ハアッ…」
目の前に白い建物が見えた。
ブーンは脳内の地図が間違ってない事に安心し、しかし緊張しながら自動ドアに駆け寄った。
ガーッ
(;^ω^)「ハアッ…えーと……カーチャンはどこに…」
(=゚ω゚)ノ「?…君はもしかして…内藤君かい?」
慌てて入ってきたブーンを見ていた若い男性が、ブーンに声をかけた。
(;^ω^)「そそ、そうですお!カーチャンは…!」
若い男性は、その焦りようにクスリと笑みを見せてから、落ち着いた表情で言った。
(=゚ω゚)ノ「まあまあ、落ち着いて。ついてきなさい」
(;^ω^)「は、はい…」
ブーンはやっと自分の慌てようと周りの視線に気づき、顔を赤くして黙った
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