( ^ω^)ブーンが現実から逃げ切るようです

3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 06:29:46.15 ID:A28oRadp0
  
ξ゚听)ξ「馬鹿みたいだけど、とりあえずこんなところね」


中二病?小六病?高二、大二なんていうのまであった気がする。
ふと、客観的に考える。自分はそれらに当てはまるだろうか?
ああ、そんな事を考えている時点で十分痛い。馬鹿らしいから考えるのを中止。本当に今更だ。

これは、昨日今日の計画じゃない。準備は万端。だから、今は行動が大事。


持ち出した複数のキャッシュカード。ATMを回って、それぞれから豪快に、抜けるだけ抜いた。
300万を超えてる。家は特別裕福・・・というほどでもないと思っていたが、十分裕福だったようだ。
明細を思い出す。これが痛い金額なのは間違いないが、だからと言って生活に困ることはないだろう。

余計な感情は、明細と一緒に排除。これからやろうとしてるのは、そういうのから逃げる事。
だから、親族相盗例だったかな?今はそっちが大切。おまけにこっちは未成年。大丈夫だ、きっと。


家に戻り、あらかじめ用意していた荷物をまとめる。
未開の地に挑戦するわけでも、バカンス旅行にしゃれ込むわけでもない。持っていくのは必要最低限。
携帯電話もここでさよなら。思えば、便利さ1割、ウザさ9割くらい?まあ、今までご苦労様でした。



7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/25(木) 06:31:52.86 ID:A28oRadp0
  
用意していた、出て行く旨を書き記した手紙。机の奥で結構待たせたけど・・・ようやく出番だ。
内面に抱えてるドロドロしたものを、全部伝えても病院送りがいいところ。

だから、手紙の内容は案外当たり障りがない感じ。金を貰っていくことは書いてある。
願わくば、これで愛想を尽かせてくれればいいのだけれど。・・・それは、さすがに甘いか。

まあ、誘拐?そういう扱いをされることはないだろう。
身内はもちろんだが、気持ち悪い仮面をかぶって、学校の友達?とやらとも、今まで適当に付き合ってきた。
保険の意味をかねて、連中にもさっきの手紙と似たような内容は伝えておく。

ああ、携帯電話か。さっきのは訂正。携帯さん最後にもうひと仕事です。


(*゚ー゚)【・・・え?ツン?ちょっと!それで・・・今から本当に家出するの?】

ξ゚听)ξ「ええ。そのうち状況とか、ちょっと聞かせて貰うかもしれないけど、よろしくね」

(*゚ー゚)【え、ええ、それはいいけど、ちょっと待って。家出ってどこに・・・】

ξ゚听)ξ「ごめん、今ちょっと時間がないの。じゃあ」


まだ慌てるような時間じゃないけど、わけの分からない感傷に付き合うのはごめんだ。
余計な感情は、携帯と一緒に排除。これからやろうとしてるのは、そういうのから逃げる事。



8:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:33:07.68 ID:A28oRadp0
  
振り返ることなく家を出てまっすぐ駅に。迷うことなく切符を買う。
これは、昨日今日の計画じゃない。とりあえずの目的地くらいとっくに決めてある。

VIP市。
家から電車を乗り継いで、半日以上ってところだろうか。
実際に行った事はないが、半端に大きい都市だ。金ならある。何とでもなる。


ξ゚听)ξ「・・・大丈夫」


周囲に人がいないのを確認した後、思わずつぶやいてしまった。我ながら恥ずかしい。
今更、不安にでもなっているのだろうか。まあ、それならそれでいいかもしれない。
考えなしの馬鹿よりは、ずっといいと思う。


揺れる車内、窓の外に広がる景色に興味はない。眠気もないし色々整理してみよう。



9:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:33:48.92 ID:A28oRadp0
  
この違和感のようなものは、いつから抱えていたんだろう?
物心ついた頃には・・・という気がする。

そうしたら原因はなんだろう?
両親の不仲?確かに、お互いの陰口なんかを、私の耳に入れたりとか・・・褒められたことじゃない。
でも、世間にあふれてる、ろくでもない親の話に比べたら、普通以上に立派な両親だろう。


やはり、原因はあくまで自分にある。何度も考えたが結論はそこに行く。
そもそも私の違和感は、すべてに付いて回っている。
家庭、学校、友人・・・特に感情面。絵に描いたように立派な愛情や友情にも、気持ち悪さしか感じない。

幸い、それを表に出すと、檻の中で余計息苦しくなるだけ・・・と、早いうちに気がついた。
以来、ディスプレイ越しに、コントローラーで自分を動かしているように・・・だろうか?
当たり障りなく、付きすぎず離れすぎず、思えば我ながら良くやって来たものだ。

成人するまでそれを続けて、後は自分1人で生きていく・・・そういう予定だった。
今に至っても、それがベストだとは思う。

きっかけはない。蓄積してきたものが、限界になっただけ。そう、限界。


だから、予定を繰り上げて逃げる。それだけの話。



10:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:34:20.47 ID:A28oRadp0
  
同じような思考を、気持ち悪くなるくらいループ。
気がつけばVIP市に着いた。

一応、逃亡者の礼儀?服装は、学生に見えないように気を使っている。
いきなり補導されて終わり。そんなのは馬鹿らしい。

身分証抜きで、食事にシャワーに寝泊りと出来る場所、値段も安く調べ物にも便利。
そういうのも一応押さえてある。


ξ゚听)ξ「・・・一応ね」


バスで、駅前からだいぶ離れた漫画喫茶に移動。
ここは色々設備がそろっている割には、身分証の必要もないと、ネットでひっそり話題になっていた。
しばらくの間、昼間はどこか外で時間を潰し、夜はここで過ごす・・・一応のところ問題ないだろう。


ξ゚听)ξ「・・・本当に一応ね」


ああ、もう。認めよう。何のあてもなし、あるのは金だけ。
これは、昨日今日の計画じゃない?それは本当。だけど、追い詰められて逃げ出しただけ。それも本当。



11:◆Brsj/lcRyc :2006/05/25(木) 06:34:58.37 ID:A28oRadp0
  
ξ゚听)ξ「結局ギリギリで半端な計画だったって事ね」


だけど状況は、最悪ってわけじゃない。
指名手配された知能犯の逃亡・・・とまではいかないが、子供が突発的に起こす家出とはスケールが違う。
そんなことを考えながら中に入ることにした。


( ^ω^)「マスターに教わったところに早速来たお!」

ξ゚听)ξ「?」


誰だろう・・・。何だかへらへらと能天気そうな顔をした奴だ。


( ^ω^)「いきなりnyが規制されるとは思わなかったお。新しい回線工事終わるまではここで・・・」


まいった。自分でも気がつかないうちに、神経過敏になっていたのだろうか。
コイツ、ただ携帯で誰かと会話しているだけじゃないか。
この調子で、この先やっていけるか、少し不安になる。

・・・いや、やる。とことん逃げ切ってやる。


第2部 プロローグ 完



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