( ^ω^)ブーンがGANTZに選ばれたようです

137:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 00:24:52.12 ID:bG5qxK5h0
  
(;^ω^)「結局丸一日爆睡こいてたお」
基本的に授業中はいつも寝ているブーンだが、今日ばかりは流石に寝過ぎた。
( ^ω^)「ま、しゃあないお。カップ麺でも買って帰るお」
一人暮らしのブーンは、基本的に料理をしない。食事と言えば
菓子パン、カップ麺、コンビニ弁当と相場が決まっていた。
献立は、その日の経済状況により決まる。
( ^ω^)「ハムッ、ハフハフッ、ハフッ!」
一心不乱にカップ麺をすするブーンの姿はどこからどう見ても
きめぇwwwwwwwの一言だった。
( ^ω^)「それにしても……クーさんも美人だったけど、ツンって子も可愛かったお」
空腹を満たしたブーンは、今朝の出来事を振り返っていた。
ツンは、口こそ凶悪そのものだが、顔だけ見れば随分美人だった。
(*^ω^)「……今晩はオカズに困りそうもないお!」
ブーンは早速、性欲の処理に取りかかった。



138:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 00:25:31.15 ID:bG5qxK5h0
  
(´・ω・`)「それで、君はどうして……死んでしまったんだい?」
食卓には、ショボンと幼い少女がついていた。
J*'-')「……パパとママがね、ぃっしょにしのぅってぃったの」
J*'-')「それでね、みんなでぉててつなぃで、でんしゃにぁたっくしたの」
(´・ω・`)「……ごめんね、嫌な事聞いちゃって」
J*^-^)「だぃじょぅぶだょ、ぉじちゃん!」
ショボンは今朝見たニュースを思い出した。夫婦が駅のホームから飛び込み自殺をしたニュース。
少女は気丈に振舞っていたが、内心とても悲しいのだろう。
こらえきれぬほど、寂しいのだろう。
(´;ω;`)「うぅ……」
J*'-')「ぉじちゃん、どぅしてなぃてるの?」
(´;ω;`)「ごめん……ね。スパゲティにタバスコかけすぎちゃったみたいでね……グスッ、ヒッグ」
この子だけは、命に代えても守りたい。ショボンは素直にそう思った。
そして、その矢先である。ショボンの背筋に、悪寒が走った。
(´・ω・`)「……ッ!」
その直後、少女の方から転送が始まった。
(´・ω・`)「2日連続か……随分ハードだね」
そう愚痴をこぼしたショボンの身体も、頭の先から消えていった。



139:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 00:26:03.03 ID:bG5qxK5h0
  
(*^ω^)「はぁはぁ……はぁはぁ……」
ブーンはいきり立った息子を、右手でゴシゴシとしごいていた。
(*^ω^)「ツンたん……ツンたん……ツンたぁあああん!!」
快感が絶頂に達した瞬間には、ブーンの転送は完了していた。
ドピュッ
黒い球体に、白い精子がぶっかけられた。
ξ#゚听)ξ「何してくれてんのよぉおおお!!」
ツンが振り上げた足は、ブーンのゴールデンボールを正確に叩き潰した。
(; ω )  ゜ ゜「ひゃうッ!!」
どうしてツンがここにいるのだろう?そう思う間も無く
ブーンは激痛の海に沈んでいった。



140:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 00:26:41.17 ID:bG5qxK5h0
  
ブーンは、ガンツから流れるVIP STARで目を覚ました。
(;^ω^)「うッ……川の向こう岸で死んだばあちゃんが手を振ってたお……」
('A`) 「大丈夫か、ブーン?」
ドクオが心配そうに、ブーンの顔を覗き込んでいた。
(;^ω^)「な、なんとか回復したお」
ブーンはよろよろと立ち上がる。どうやら、クラッシュはしてないようだった。
すでにメンツは揃っていた。前回生存した面々に、若い男女が一組。
そして、ツンである。
ξ゚听)ξ「……いまいち、要領を得ないわね」
ツン等『新入り』3人は、ジョルジュからこれから起こる事の説明を受けていた。
( ゚∀゚)「まぁ、最初はそんなものさ。悪いけど、身体で覚えてくれよ」
(,゚Д゚)「つまり、宇宙人をヌッ殺せばそれでオッケーなんだな?」
(*゚ー゚)「ギコ君……私、怖い……」
(,゚Д゚)「しぃには指一本触れさせ無ぇよ!ギコハハハハハ!!」
(;゚∀゚)(うぜぇ……カップルうぜぇ……ごめんなさい、うらやましいです)
川゚−゚)レ「……やけに、帰りが遅いと思っていたんだ。そしたら、このザマだ」
おそらく、廊下でずっと泣いていたのだろう。目を真っ赤にしたクーがブーンに話しかけた。
( ^ω^)「一体、何だっていうんだお……」
('A`) 「……悲しい話だよな」
(´・ω・`)「けれど、なってしまった事は仕方ない」
( ^ω^)「……絶対、みんなで100点取って自由になるお!」



142:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 00:38:04.19 ID:bG5qxK5h0
  
( ^ω^)「そういえば、今回のターゲットはどんな奴だお?」
金的攻撃によるダメージを回復していた最中に発表されたであろうターゲットを確認するため
ブーンは黒い球に浮かぶヴィジョンを覗き込んだ。

てめえ達は今から この方をヤッつけに行ってくだちい

( ゚∋゚)
クックル星人
特徴:つよい はやい なおるよ
好きなもの:ムリーロ・ブスタマンチ
口癖:なし

( ^ω^)「……ニワトリかお?」
ヴィジョンに浮かぶ標的は、ニワトリのような顔をした星人だった。
('A`) 「俺も好きなんだよ、ムリーロ・ブスタマンチ」
格闘技ヲタのドクオは、嬉しそうに言った。
( ゚∀゚)「おいドクオ、転送はじまってるぞ」
('A`) 「お、本当だ」
( ゚∀゚)「みんなが着くまで、星人と、ブスタマンチについて熱く語っててくれや」
('A`) 「ハハッ、熱いトークになりそうだな」
ドクオを皮切りに、どんどん転送がはじまっていった。
今回はラッキーな事に、全員がスーツを着込んでいた。
( ^ω^)「これなら、きっと楽勝だお!」

最後にブーンが転送され、部屋には黒い球だけが残った。



143:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 00:38:46.16 ID:bG5qxK5h0
  
2nd stage クックル星人

Staring...
( ^ω^) ブーン
ξ゚听)ξ ツン
('A`)  ドクオ
(´・ω・`) ショボン
川゚−゚)レ クー
( ゚∀゚) ジョルジュ
(,゚Д゚) ギコ
(*゚ー゚) しぃ
J*'-') ょぅι゛ょ

Ready Go.



147:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 01:15:24.28 ID:bG5qxK5h0
  
転送された先は、夜の森だった。
('A`) 「ブーン……ここ、リンゴの森だよな?」
( ^ω^)「そうみたいだお!」
リンゴの森は、ブーンとドクオにとっては思い出の詰まった森だった。
小学生の頃は、日が暮れるまでこの森で遊んだものだ。
( ^ω^)「懐かしいお……あの頃から何も変わってないお!」
(,゚Д゚)「しかし、随分綺麗だな」
森は月明かりに青く照らされていた。
思えば、昨日も綺麗な月の夜だった。
(*゚ー゚)「本当……素敵だね」
(,゚Д゚)「しぃ、お前の方がずっと素敵さ」
(*゚ー゚)「もう、ギコ君ったら♪」
(#゚∀゚)(Uzeeeeeeeeeeeee!!でも、うらやましいな……)
(´・ω・`)「……イチャついている場合じゃないみたいだよ」
ショボンはそういうと、腕のレーダーを指差した。
赤い点が、ゆっくりとこちらへ近付いている。



148:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 01:15:53.11 ID:bG5qxK5h0
  
標的は、一歩一歩ブーン達に近付いて来ていた。
( ゚∀゚)「……一気に片付けるぞ!!」
ジョルジュの怒号をきっかけに、ブーン、ドクオ、ショボン、クーも銃を構えた。
( ^ω^)「だおぉおおおおおおおお!!」
一心不乱に、標的目掛けてトリガーを引きまくる。
しかし、標的は突如姿を消した。
周囲の木々だけが、爆音と共に砕けちった。
(´・ω・`)「何処にいった!?」
ショボンが、レーダーで赤い点が自分たちのグループの真ん中にあるのを確認したのと
全員の耳にドズッという鈍い音が聞こえたのは同時だった。
J;'-')「ぉ……ぉじちゃ……ん……」
少女の身体を、クックル星人の左腕が貫いていた。



149:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 01:16:31.18 ID:bG5qxK5h0
  
( ゚∋゚)「…………」
クックル星人が左腕をブンッと振ると、少女の身体はまるでボールでも投げたかのように
遠くへと吹っ飛んでいった。
(;゚∀゚)「う、うわぁあああああ!!」
ジョルジュは突如現れたクックル星人へ闇雲にトリガーを引いた。
しかし、銃から光が放たれるより早く、クックル星人はジョルジュの背後をとっていた。
('A`) 「うおおおおおおッ!!」
ドクオは、すかさずクックル星人にタックルをかました。
クックル星人は、数メートル吹っ飛んだが、何事も無かったかのように立ち上がった。
(;゚∀゚)「さ、サンキュー」
('A`) 「みんな、一旦離れろ!!」
ドクオの指示で、全員がクックル星人から離れる。
ただ一人、ショボンを除いて。



155:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 01:45:12.10 ID:bG5qxK5h0
  
(;`・ω・)「うおおおおおおおおおお!!」
ショボンは、鬼の様な形相でクックル星人へと突っ込んでいった。
('A`) 「ショボン!!」
クックル星人もまた、ショボンへと突進していった。
ショボンの拳が伸びたのと、クックル星人の貫き手が放たれたのはほぼ同時だった。
ドゴォッッ
しかし、届いたのはショボンの拳の方だった。
クックル星人は、大きくバランスを崩した。
(;`・ω・)「よくも!よくもよくもよくもよくも!!!!」
無防備になったクックル星人に、ショボンの憎悪の塊のような拳が何度もぶつけられる。
(;`・ω・)「お前は、お前だけは絶対ぶち殺す!!」
クックル星人は、左腕で手刀を振り下ろした。
ショボンはそれを最小限の動作で交わし、右手でクックル星人の腕をがっちりと握る。
(;`・ω・)「食らえッ!!」
ショボンは左手に持った銃で、クックル星人の肩口を撃った。
クックル星人の左腕は、肩から吹き飛んだ。



156:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 01:45:50.69 ID:bG5qxK5h0
  
( ^ω^)「ショボン、めっちゃ強いお!!」
( ゚∀゚)「……あんなに怒ったショボン見たの、初めてだ」
(,゚Д゚)「アイツ、このまま勝っちゃうんじゃないか?」
様子を見ていたブーン達は、ショボンの強さに驚嘆していた。
しかし、すぐさま形勢は逆転する。
ボッ
空気が弾け飛ぶような音と共に繰り出されたクックル星人の蹴りが
今度はショボンの左肩から先を切り落とした。
(;´・ω・)「うぐッ!!」
(;^ω^)「ショボン!!!」
ブーンはすぐさまショボンの元へ駆け出そうとした。
ビュンッ
しかし、それよりも早くクックル星人の左脚がショボンの首を切り落とした。



157:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 01:47:34.74 ID:bG5qxK5h0
  
(*゚ー゚)「きゃああああああ!!!」
吹き出す血飛沫に、首の無い身体に、地面に転がる生首に。
あまりに現実離れした惨劇に、しぃは悲鳴を上げた。
(;^ω^)「嘘だお……こんなの、嘘だお!!!」
しかし、ショボンは死んでしまった。
両目がそれぞれ別々の方を見ている生首が、ブーン達の方へと転がった。
(;゚∀゚)「ショボン!ショボーーーーン!!」
取り乱す一同。しかし、すぐに、さらに恐ろしい光景が繰り広げられた。
クックル星人は切り落としたショボンの左腕を、自分の左肩にあてがった。
ボコッ、ボコッと傷口の周囲の肉が盛り上がったと思うと、そのまま
クックル星人の胴体とショボンの左腕は繋がった。
左手の動きを確かめるように、指を開いては閉じ、開いては閉じた。
ショボンの左腕は、見事にクックルの左腕と相成った。
(,゚Д゚)「ウッ……ゲボッ!」
ギコは、辛抱できずに嘔吐した。
クックル星人は、再び、ゆっくりとブーン達へと近付いた。
残り時間は56分。ミッションが開始から、まだたったの4分だった。



158:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 01:49:31.75 ID:bG5qxK5h0
  
Remaining...
( ^ω^) ブーン
ξ゚听)ξ ツン
('A`)  ドクオ
川゚−゚)レ クー
( ゚∀゚) ジョルジュ
(,゚Д゚) ギコ
(*゚ー゚) しぃ

to be continue.



266:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:27:01.11 ID:C8shT8xx0
  
ξ;゚听)ξ「何、これ?何コレ?何なの!?何なのよ!!!」
ツンは、目の前で起きた事を理解しきれていなかった。
女の子が身体を貫かれて、しょぼくれた顔の男がブチ切れて、ニワトリ男をぶん殴って
そしたら今度はニワトリ男がその男を殺して、男の腕を自分の腕にして?
意味が、わからない。
ξ;゚听)ξ「いやぁああああああああ!!」
ツンの慟哭と、クックルが次の標的を定めたのは同時だった。
(;゚∀゚)「ギコ!逃げろ!!」
(;゚Д゚)「うわ、わ、うわぁあああああああ!!」
ギコは背中を向けて、一目散に逃げ出した。
しかし、すぐに追いつかれる。
クックルは、ギコの首根っこを掴むと無造作に地面へ叩きつけた。
そして、そのままギコの身体に馬乗りになる。
ギョーン
クックル星人が音の主に振り返る。銃を撃ったのは、しぃだった。
そして、クックル星人の腹部が爆発した。



267:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:27:40.20 ID:C8shT8xx0
  
(;゚ー゚)「ギコ君は死なせない……ギコ君は死なせない!!」
身体はブルブルと震えていたが、それでもしぃは勇気を振り絞った。
腹を撃ちぬかれたクックル星人は、まだ地面に倒れている。
(;゚Д゚)「し、しぃ……」
(;゚ー゚)「ごめんね……怖かったよね……」
(;゚ー゚)「ギコ君は、私が守るから……」
川゚−゚)レ「2人とも、星人から離れろ!!」
2人は一斉にクックル星人から離れる。
川゚−゚)レ「今だ、撃ちまくれ!!」
みんな、我武者羅にトリガーを引いて引いて引きまくった。
遭遇してすぐとは場合が違う。今度は動かない的だ。
けたたましく鳴り響くギョーンという発射音、爆音。
クックル星人のいた場所は、まるで昨日の商店街のように
大きなクレーターが出来ていた。
激しく舞った土埃で、クックル星人の姿は確認出来なかった。



268:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:28:07.92 ID:C8shT8xx0
  
川;゚−゚)レ「……冗談だろう?」
クーの腕のレーダーには、先程と全く変わらぬ位置に赤い点が表示されていた。
突如、赤い点は瞬間移動する。
(;゚ー゚)「きゃッ……」
しぃが悲鳴を上げきる前に、その身体はクックル星人の手刀で縦に両断された。
白い皮膚は殆ど弾け、筋肉標本のような姿だ。おまけに腹には大きな穴が開いている。
しかし、それでもクックル星人は生きていた。
(;゚Д゚)「しぃいいいいいいいいッ!!」
クックル星人は、しぃの右半身を抱えると木の上へと跳躍した。
('A`) 「逃がすか!!」
ドクオはすぐさま木の上へと銃を乱射する。木々の枝だけが、バラバラと落ちてきた。
ザワザワ、ザワザワと、風も無いのにたなびく木々の枝。
クックル星人は、もの凄い速さで駆け回っているようだった。
ざわめく木々の上から、血がしたたり落ちる。まるで、血の涙のようだった。
そして、最後にはドサッという音とともに、無惨に喰い散らかされたしぃが落ちてきた。
川゚−゚)レ「なッ……」
そして、クックル星人が木の上から降りてきた。
その皮膚はまだ薄いが、既に完治しつつある。
腹の穴には、しぃの肉片が無造作に押し込められ、ボコッ、ボコッとせわしなく隆起している。
(;゚Д゚)「あ……あ……」
ギコは、そのまま卒倒してしまった。



269:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:28:48.66 ID:C8shT8xx0
  
(;^ω^)「……ちょっと、落ち着いたかお?」
ξ゚听)ξ「…………」
ブーンは、パニック状態に陥ったツンを見かねて、フィールドぎりぎりの位置まで避難していた。
ツンは、ずっと泣きじゃくっていた。
無理も無い。あんな光景を目の前で見せられて、平気でいられる方が本当はおかしい。
実際、平気でいられた者なんてあの場には誰一人いなかった。
ξ゚听)ξ「……ねぇ、ブーン」
ようやくツンは、ブーンの事を名前で呼んだ。
( ^ω^)「ん?」
ξ゚听)ξ「アンタは……お姉ちゃんは、ずっとあんな化け物と戦ってたの?」
( ^ω^)「僕は昨日がはじめてだったけど……クーさんは半年前位から戦ってるみたいだお」
ξ゚听)ξ「……そうなんだ」
2人の間に、沈黙が流れる。
ξ゚听)ξ「ブーン、私も戦う」
( ^ω^)「平気かお?」
ξ゚听)ξ「……お姉ちゃんが死ぬなんて、絶対に嫌!」
ξ゚听)ξ「だから、私もお姉ちゃんと一緒に戦う!!」
( ^ω^)「わかったお。それじゃ、みんなの所に戻るお!」
ξ゚听)ξ「うん!」
−−===三三三⊂二二( ^ω^)二⊃ブーーーーン!
ξ゚听)ξ「ちょwwwwwwテラハヤスwwwwwwww」



271:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:29:32.87 ID:C8shT8xx0
  
ブーンは全速力で戦場へ駆けた。
ショボンが、あのショボンが簡単に殺されてしまった。
次は、誰が殺されるかわからない。
ツンをなだめたいとも思ったが、それ以上に一刻も早く
みんなの元へと戻りたかった。戻らなくてはならなかった。
(;^ω^)「……!!」
ブーンの見た光景は、あまりに惨たらしいものだった。



ドクオも、ジョルジュも、クーもクックル星人を撃つ事は出来なかった。
(;゚∀゚)「ちッ……駄目だ、使い物にならねぇ!!」
そう吐き捨てると、ジョルジュは銃をホルダーへ戻し、腰の方へと手をやった。
( ゚∀゚)「おっかねぇから、あんま使いたくないんだけどな」
ジョルジュが取り出したのは、真っ黒い柄だけの剣だった。
構えをとると、柄から刃が伸びた。柄と同じく、真っ黒な刃だ。
川゚−゚)レ「接近戦を挑むつもりか!?」
( ゚∀゚)「当たらねぇ銃よりマシだろ!」
川゚−゚)レ「……それも、そうだな!」
クーも同じく、黒い柄を取り出した。
こちらは、柄が大きく伸びた後、刃が飛び出した。
槍のような形状の武器だった。
川゚−゚)レ「ドクオ、ギコを遠くへ連れていってくれ!」
('A`) 「わ、わかった!」
ドクオはギコを担ぎ、遠くへ駆け出した。



272:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:30:11.56 ID:C8shT8xx0
  
銃声を発したのは、クックル星人が握る銃だった。
しぃを捕食した際に、くすねていたようだった。
ドクオのスーツが、キューンというシャットダウン音と共に役立たずになる。
(;'A`)「くッ……嘘だろ!?」
背負ったギコの重みが、一気に伝わる。
しかし、構わずドクオは走り続けた。
ギョーン
またも響く銃声。今度は、ドクオの右膝から下が木端微塵に吹き飛んだ。
(;゚A゚)「うわぁああああああ!!」
あまりの激痛に、ドクオは倒れ、転げまわった。
クックル星人は、まるで「銃ではつまらん」とでも言うかのように
銃を後ろへと放り投げた。
その隙を、ジョルジュは見逃さなかった。
(#゚∀゚)「だぁりゃああああ!!」
渾身の力でもって振り下ろされた刃は、クックル星人を真っ二つとはいかなかったが
クックル星人の右胸から左腰に掛けて、浅くは無い傷を負わせた。
思わずよろめくクックル星人に、ジョルジュは追撃を試みる。
(#゚∀゚)「じゃあッ!!」
今度は、脳天目掛けた唐竹割り。先程の斬撃よりも、さらに力を込めた。
しかし、それは紙一重でかわされる。
そして、クックル星人はカウンター気味に右の拳をジョルジュの顔面に叩きこんだ。



274:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:31:01.93 ID:C8shT8xx0
  
ブーンが戦場の光景を確認したのと、ジョルジュの身体が吹っ飛んだのはほぼ同時だった。
少し離れた所では、無惨に食い散らかされた死体……あれは、しぃという女だろうか?
そして、もっと離れた所では、右脚を半分失ったドクオがのた打ち回っている。
ギコという男も、ここからではよく分からないが倒れている。
(;^ω^)「ジョルジュ!!」
(;゚∀゚)「ッ……まだだ、まだ大丈夫だ!」
ギリギリの所で、剣での防御が間に合った。
(;゚∀゚)「ブーン、ドクオの止血をしてやってくれ!」
( ^ω^)「わ、わかったお!」
クックル星人がブーンの後を追おうとする。
川゚−゚)レ「行かせるかッ!!」
しかし、クーに塞がれそれは叶わなかった。
(;^ω^)「ドクオ!!大丈夫かお!?」
(;'A`)「あ……あんま大丈夫じゃない……」
相当の量の血を失ったのだろう。ドクオの顔はまさに蒼白だった。
弾けとんだ右膝の回りのスーツの生地を無理やりひっぱり、太腿に巻き付ける。
随分乱暴なやり方だったが、一応止血は出来たようだ。
(;'A`)「ありがとう、ブーン……」
( ^ω^)「なるべく早くやっつけるから、それまでくたばるなお!」
ブーンはドクオに握った拳を突き出した。
ドクオも、力無くではあるが拳を握り、ブーンの拳と合わせた。



275:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:31:31.52 ID:C8shT8xx0
  
ξ;゚听)ξ「あー、もう!アイツなんて速さなの!?」
弾丸のような速度で飛び出していったブーンに追いつこうと
ツンも必死に夜の森を駆け抜ける。
ペースは随分速いはずなのに、不思議と息が上がらない。
ξ゚听)ξ(これも、このスーツの効果なのかしら?)
そして、遠くにぼんやりと人影が見え始めた。
クーとジョルジュが、クックル星人と戦っていた。
2人とも、黒い球の部屋では持っていなかった武器を手にしている。
しかし、押されていたのはクー達の方だった。
(;゚∀゚)「くっそ!!有り得ねぇッ!!」
武器を持ったジョルジュとクーが、星人とは言え素手の相手に押されている。
川゚−゚)レ「下がれ、ジョルジュ!」
ジョルジュより少し離れた間合いから槍での刺突を繰り出していたクーは
ジョルジュと入れ替わり、クックル星人との接近戦に挑んだ。
川゚−゚)レ「なんとか隙を作る、上手く仕留めてくれ!」
( ゚∀゚)「あ、ああ!」
クーは槍を器用に振り回し、クックル星人の打撃を捌いていった。
川゚−゚)レ「はぁあッ!!」
気合と共に、石突をクックル星人のまだ再生しきっていない腹部にブチ込む。
ズブリという感触と共に、石突はしぃの肉片だったものに突き刺さった。
川゚−゚)レ「ジョルジュ、今だ!!」
ジョルジュは、すぐ側の大木の、最も高い枝に登っていた。
(#゚∀゚)「ふんッ!」
飛び降りた刹那、下から枝を蹴り上げ、落下速度を更に加速させる。
切っ先はまっすぐクックル星人の首筋を狙っていた。



277:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:32:43.91 ID:C8shT8xx0
  
ガキィッ
刃は、クックル星人にがっちりと掴まれた。
(;゚∀゚)「う、嘘だろ!?」
ジョルジュの顔面に、再びクックル星人の拳が迫る。
しかし、その刹那。
ξ#゚听)ξ「死にさらせッ!!」
ツンの跳び蹴りが、クックル星人の後頭部に突き刺さった。
(;゚∀゚)「い、今だ!!」
ジョルジュは全力で刀を振り切り、クックル星人の指ごと刀を取り返した。
川゚−゚)レ「ツン!危険だ、下がっていろ!!」
ξ゚听)ξ「やだ!!私だって戦える!!」
すぐに体勢を整えたクックル星人は、ツンへと突っ込んだ。
ξ;゚听)ξ「ひッ……!」
その余りの速度に、思わず身動ぎする。
(#^ω^)「だおぉおおおお!!」
ブーンのラリアットを喰らい、クックル星人は一回転して地面に倒れた。
続けざまにブーンは、クックル星人の両脚めがけて銃を撃った。
ギョーン、ギョーン
クックル星人が立ち上がった瞬間に、その腰から下が爆発した。
ξ゚听)ξ「ブーン!!」
( ^ω^)「怪我は無いかお?」
ξ゚听)ξ「こ、こんな奴相手に怪我なんてするわけないでしょ!」
川゚−゚)レ「ドクオとギコはどうだった?」
( ^ω^)「ギコさんは平気そうだったお。でも、ドクオは早くしないと……」
川゚−゚)レ「そうか、ならさっさととどめを……」
(;゚∀゚)「おいおい、どういう事だよッ!?」
クックル星人の上半身が、姿を消していた。



278:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:34:53.86 ID:C8shT8xx0
  
ふたたび、風も無いのに激しくざわめく木々。
クックル星人の血の跡は、倒れた地点から木の樹皮まで、ベットリとこびりついていた。
(;゚∀゚)「腕力だけで跳び回ってるのかよ!」
川゚−゚)レ「つくづく、化け物だな……」
クックル星人は、木の上から4人の頭上を狙っていた。
( ^ω^)「だぉおおおお!!」
ブーンは銃を乱射するが、弾け飛ぶのは木々の小枝と葉だけだった。
そして、ジョルジュは奇妙な事に気がついた。
( ゚∀゚)「アイツ、遠ざかってるぞ?」
( ^ω^)「まさか……ギコさんの脚を!!」
クックル星人の狙いは、樹上からの奇襲攻撃などでは無かった。
遠くで倒れているギコを殺し、脚を奪う事だった。
ブーン達は、急いで2人の元へ駆け寄る。
クックル星人が気絶しているギコの上へ現れたのと
ビュンッという風を切る音が聞こえたのは同時だった。



288:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:54:25.22 ID:C8shT8xx0
  
ドズンッ
クーの放り投げた槍は、見事にクックル星人の頭をブチ抜き、砕け散らせた。
ギコの身体のすぐ横に、クックル星人の両腕と胴体だけになった身体が落ちた。
川゚−゚)レ「はぁ……はぁ……」
( ^ω^)「なんとか、勝ったお……」
( ゚∀゚)「クーの槍が外れていたら、終わりだったかもな……」
ξ゚听)ξ「…………」
ツンは、クーが半年前から夜中に突然居なくなることを不審がっていた。
といっても、心配していたというわけではなく、男でも出来て
通いつめているだけなのだろうと考えていた。
しかし、実際は違っていた。
クーは、こんな過酷な夜を何度も往き抜いてきたのだ。
( ^ω^)「……残り時間、どれくらいだお?」
( ゚∀゚)「40分ってとこかな」
(;^ω^)「そんな……!それじゃ、ドクオが死んじゃうお!」
( ゚∀゚)「なぁに、星人がおっ死ねばすぐに転送がはじまる」
(;゚∀゚)「……今日は、コイツ一匹だけだよな?」
不安になり、ジョルジュはクーに尋ねた。
もしあんなのがもう一体いれば、勝てる確率は極めて低い。
川゚−゚)レ「流石に大丈夫だとは思うが……ッ!?」
クーはレーダーを見て、自分の目を疑った。
赤い点は、未だ自分達のすぐ側にあった。



289:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/25(火) 23:55:01.39 ID:C8shT8xx0
  
川;゚−゚)レ「何で……どういう事だッ!?」
樹上からギコの上へと転落したものは
身体の中心を無理やり押し込み繋がれて、その上で両脚を奪われたしぃの残骸だった。
(;゚Д゚)「んん……え、うわぁあああ!!!」
目覚めたギコは、隣で倒れていた恋人の無惨な姿を目の当たりにした。
その身体はあちこち食い荒らされて、頭と両脚が消失していた。
(;^ω^)「一体どうなって……」
ブーンの背後に異形の影が降り立つ。
それは、継ぎ接ぎだらけで、それでも表情ひとつ変えない
クックル星人だった。
(;゚ω゚)「うああああああああ!!」
クックル星人はブーンの脳天目掛けて、スレッジハンマーを振り下ろした。
モーションの大きさが幸いし、ブーンはかろうじてそれを避けた。
それは、殆どラッキーといっても良い事だった。
それほど、振り下ろされた両の拳の速度は凄まじいものだった。
(;゚∀゚)「おおおおおおおおおッ!!」
ジョルジュが、クックル星人の左胸目掛けて刺突を繰り出す。
それをあっさり回避したクックル星人は、柄を握るジョルジュの両手首を
手刀の一撃で、両断した。
噴き出す鮮血。ジョルジュは、声にならない絶叫を上げた。
間髪いれず、クックル星人はジョルジュを蹴り飛ばした。
まだ両脚が身体になじんでいない所為か、ショボンを殺した時ほどの威力は無いようだった。
それでも、ジョルジュのスーツは機能を停止し、ジョルジュ自身も
意識を失った。また一人、戦力が失われた。



299:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 00:13:47.96 ID:kUzGaoXQ0
  
(;^ω^)「ジョルジューーー!!」
川;゚−゚)レ「そんな……クソッ!!」
クーは再び銃を手にし、クックル星人を警戒しながら槍の回収に向かった。
ξ;゚听)ξ「いやぁああああああ!!」
ツンは、クックル星人に狙いを定めるでもなく、無闇矢鱈に銃を連射した。
抉れる地面、樹木。ブーンは、誤射されない事をひたすら祈った。
そして、クックル星人はツンに狙いを定めた。
( ゚∋゚)「……今度こそ、お前だ」
クックル星人は、たどたどしいものではあったが、確かにそう言った。
(;^ω^)「だぉおおおおお!!!」
ブーンがツンとクックル星人の間に割って入ろうとする。
クックル星人は貫き手で、ツンの喉元を狙っている。
ザシュッ
真っ赤な鮮血が舞った。



303:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 00:28:53.89 ID:kUzGaoXQ0
  
ギコは、今日この瞬間ほど自分を恨んだ事は無かった。
守ると約束した、この世の誰より、どんなものよりも大切だった、しぃ。
その彼女が無惨に真っ二つにされ、挙句の果てには喰い散らかされた。
どうして、あんなに優しいしぃが。どうして、あんなに可愛いしぃが。
どうして、あんなに愛していたしぃが、惨殺されなければならないのか。
憎い。あのクックル星人とかいうニワトリ野郎が、心底憎い。
憎い。憎い。憎い。何度殺しても足りない程、心底憎い。
しかし、身体は動かない。足は竦み、腰も抜けてしまっている。
怖い。怖い。怖い。目の前で殺戮を繰り返す化け物が、心底怖い。
(;゚Д゚)「クソ……クソッ、クソッ!!」
ギコは何度も地面へ拳を打ちつける。
その手を止めたのは、槍を手にしたクーだった。
川゚−゚)レ「……恐れる事は、恥では無い」
川゚−゚)レ「自分を責めるなとは言わん。しかし、絶対生き残れ」
クーは常用する銃とは別の、ブーン達が使う小型の銃をギコに手渡した。
川゚−゚)レ「震えが止まって、立てるようになった時にまだ戦闘が続いていたら、力を貸してくれ」
槍を手にしたクーは、再び戦場へと走り出す。
その後ろ姿は、神話に出てくる戦乙女のようだった。



307:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 00:44:52.68 ID:kUzGaoXQ0
  
血を噴き出したのは、クックルの伸ばした左腕……元・ショボンの左腕だった。
手首に筋と平行に、ジョルジュの物であった刀が貫いていた。
ブーンは、咄嗟の判断でジョルジュの手首を外し、刀を手に取っていたのだ。
(#^ω^)「ふんんんんッ!!」
そのまま、乱暴に刀を真横に薙いだ。
クックル星人の腕は、ズタズタに切り裂かれた。
(#^ω^)「だぁあああああッ!!」
返す刀で、ブーンはクックル星人の腹部を切り裂く。
刀は、肋骨か何かに引っかかり動かなくなった。
すぐさま柄を手放して、今度は素手でクックル星人を殴る、殴る、殴る。
いくらショボンやしぃの身体を繋ぎ合わせていても、ダメージは大きい様だった。
(#^ω^)「うりゃあッ!!」
再び刀の柄を握り、そのままクックル星人の胴を蹴り飛ばした。
刀身はおびただしい量の血液と、微量の肉片を纏い真っ赤になっていた。
倒れ込んだクックル星人の上に、ブーンが馬乗りになる。
そして、顔面へ何度も何度も拳を振り下ろした。
ガツッ、ガツンッ、ガシュッ、ゴチュッ
顔を殴る音はどんどん湿り気を増している。クックル星人の顔はすでにめちゃくちゃだった。
(#^ω^)「喰らえお!!」
握った拳をクックル星人の顔へ、思い切り振り下ろす。
その腕を、クックル星人はガシリと掴んだ。
そして、凄まじい握力で以って、ブーンの右腕を握り潰した。



309:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 00:56:29.45 ID:kUzGaoXQ0
  
(;゚ω゚)「ぐぁああああああ!!」
ブーンはひしゃげた右腕を押さえ、絶叫した。
そのままクックル星人はスクリと立ち上がり、ブーンの顔へ
ヒザ蹴りを叩きこんだ。
(;゚ω゚)「ゴブッ!!」
ブーンはそのまま仰向けに倒れこんだ。
その一撃で、ブーンの意識は完全に途絶えた。
ξ;゚听)ξ「ブーーーン!!」
ツンは悲鳴を上げた。しかし、次の獲物は自分であると確信していた。
予感は的中、クックルは悠々とした感じで、ツンの方へと向き直った。
ξ;゚听)ξ「いや……来ないで!!」
ギョーン
銃声が響いた。それは、随分と離れた位置から聞こえた。
完全に油断していたクックル星人の、顔の右半分が爆発した。
(;゚Д゚)「い、今だ!行けぇええええ!!」
ギコの銃撃と叫びと共に、槍を構えたクーが凄まじい勢いで樹上から襲い掛かった。
先程ジョルジュと共に繰り出した連携攻撃と同じだが、今回は敵も相当弱っている。
川#゚−゚)レ「おおおおおおおおおッ!!!」
ドズンッ
クーの槍は、クックル星人の後頭部から下腹部までを貫通した。
クックル星人は、そのまま力無く崩れ落ちた。



324:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 01:16:56.66 ID:kUzGaoXQ0
  
(;゚Д゚)「や、やったのか!?」
クーはレーダーを確認する。赤い点は、消えていた。
川゚−゚)レ「ああ……今度こそ、終わりだ」
ξ゚听)ξ「私達、帰れるの?」
川゚−゚)レ「ああ、もちろんだ」
ξ;凵G)ξ「良かった……怖かったよぉ……」
ツンは、その場で泣き崩れた。
川゚−゚)レ「……」
クーは、無言でツンを抱きしめた。
それは、母親が赤ん坊をあやす姿のようだった。
(,゚Д゚)「お……」
ギコの転送がはじまった。程無くしてツンの転送もはじまる。
川゚−゚)レ「先に部屋で待っててくれ」
ξ゚听)ξ「うん……わかった」
ツンの額の部分までの転送が終わった時の事だった。
クックル星人が、槍に貫かれたままユラリと立ち上がった。



325:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 01:17:29.98 ID:kUzGaoXQ0
  
ξ;゚听)ξ「お姉ちゃん、逃げてぇえええ!!」
クーはバッと振り返る。そして、その光景に驚愕した。
頭から腹まで、縦に貫かれているクックル星人が立ち上がっているのだ。
クーは目の前の光景を信じきる事が出来ず、腕のレーダーを確認した。
レーダーの反応はもう無い。しかし、クックル星人は立ち上がっている。
川;゚−゚)レ「……ッ!!」
クーは銃を構える。クーやギコのものよりも、ずっと大型のショットガン。
クックル星人の眼に、鋭い光が宿る。一歩目は、ゆっくりと踏み出す。
二歩目は、それより早く足を踏み出す。三歩目は、もっと早く。
クーは震えを堪え、右腕一本で銃を構え、クックル星人に照準を合わす。。
最大の威力で敵を迎撃する為、最大限に接近した所を撃つ心積もりだ。
クックル星人が、突如駆けだす。
クーは一歩たりともその場を動かない。
そして、そこでツンの視界は夜の森から黒い球の部屋へと切り替わった。



332:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 01:33:07.07 ID:kUzGaoXQ0
  
部屋には、ギコだけはなくブーンも、ドクオも、ジョルジュも戻ってきていた。
( ^ω^)「あ、ツン!!お帰りだお!」
('A`) 「ギコさんから聞いたよ。クーが、アイツをやっつけたんだってね!」
ξ;゚听)ξ「違うの、それが……!!」
ツンは、転送される直前の光景をみんなに告げた。
(;゚∀゚)「おいおい……冗談だろ?」
ξ;゚听)ξ「冗談なわけないじゃない!馬鹿!!」
(;゚∀゚)「う……と、とにかくだ!すぐにクーも転送されるはずだろう!」
ツン達は、その場で待機する事になった。
しかし、3分経ってもクーは戻って来なかった。
ξ;゚听)ξ「嘘よ……ねぇ、絶対帰ってくるよね?」
ジョルジュとドクオは、何も言えなかった。
今までのミッションで、ここまで転送の間が空く事は無かったからだ。
ξ;゚听)ξ「なんで、なんでよ!!」
( ^ω^)「……ツン。ツンが信じなかったら、誰がクーさんを信じるんだお?」
ξ゚听)ξ「……!!」
川゚−゚)レ「そうだぞ、ツン」
Σξ;゚听)ξ「!?」
(;^ω^)「ちょwwwwwwwいつの間にwwwwwwwwww」
川゚−゚)レ「いや、ブーンがツンを励ますちょっと前から」
ξ;凵G)ξ「うッ……ふぇ……うわぁ〜〜ん!!」
ツンは、再びクーに抱きつき、泣きじゃくった。
川゚ー゚)レ「……お前は、いくつになっても泣き虫だな」
そういうクーの目からも、涙がこぼれていた。



333:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 01:35:19.07 ID:kUzGaoXQ0
  
Returned...
( ^ω^) ブーン
ξ゚听)ξ ツン
('A`)  ドクオ
川゚−゚)レ クー
( ゚∀゚) ジョルジュ
(,゚Д゚) ギコ

mission completed.

第二話 クックル星人編 完



423:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 20:43:38.27 ID:aYbV/3KU0
  
2日間の連戦の後は、しばらく平穏な日々が続いた。
(◎3◎)「内藤、ずいぶんグッタリしてるけど何かあったのか?」
( ´ω`)「なんもねぇお」
(・θ・)「女にでも振られたか?wwwwww」
( ´ω`)「ちげぇお」
激戦による寝不足からは逃れられたが、今度は
どうにもならない倦怠感と無気力に襲われた。
( ´ω`)「たりぃお……」
この気だるさを吹き飛ばす方法を、ブーンは知っている。
しかし、それを認めることはしたくなかった。
越えてはいけない壁を、越える気がしたからだ。
(◎3◎)「そんな時はアレだ」
( ´ω`)「お?」
(◎3◎)「Let's Go To とらのあn
( ´ω`)「一人で行けお」
(◎3◎)「むぅ……」
(・θ・)「こりゃあ重症だな」
しかし、以外な形でカンフル剤が投与された。
モスカウ♪モスカウ♪ナンタラランタ ラッタッタッ♪ 
ブーンの携帯が、メールの着信を告げた。
送信者は……誰だろう、知らないアドレスだ。

件名: ドクオです。登録よろしく。
本文: 今週日曜、リンゴの森で会おう

(;^ω^)「どっから僕のメアドがバレたんだおwwwww」
とりあえず、適当に返事を返し、集合時刻と場所を決めた。
戦友となら、この気だるさも紛らわせるかもしれない。
そんな、些細な期待を抱いた。



431:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 20:56:35.10 ID:aYbV/3KU0
  
日曜日

(;゚∀゚)「ちっくしょお……マズイぞ、大変マズイ」
ジョルジュの財布の中身の9割方が、パチンコ台へと飲まれて消えた。
( ゚∀゚)「あーあ、今週も負け越しか」
ジョルジュが勝負をあきらめて帰ろうとした間際
ずいぶん派手な勝ち方をしている男の姿を目に留めた。
( ゚∀゚)「あ」
(,゚Д゚)「あ」
ギコだった。

( ゚∀゚)「いや〜、悪いね!昼飯ごちそうになっちゃって!」
(,゚Д゚)「ああ、気にしないでくださいよ……」
(;゚∀゚)「……お前、キャラ変わった?」
(,゚Д゚)「おかしなもんですよね。こんなに悲しいのに、ツキだけは回ってきて……」
ギコは、未だにしぃの死を引き摺っているようだった。
(,゚Д゚)「よく怒られてたんですよ。パチンコなんて、お金の無駄遣いだ!ってね」
( ゚∀゚)「……まぁ、引き摺るな。だなんて言わないけどよ」
( ゚∀゚)「まぁ、その……元気だせや」
ギコは目つきを変え、ジョルジュの胸倉をつかんだ。
(#゚Д゚)「アンタに何がわかるってんだよ!!」
( ゚∀゚)「わかってるさ。悲しいくらいな」
ジョルジュはギコの手をほどき、携帯電話の裏を見せた。
そこには随分と色褪せた、しかし随分と幸せそうな
ジョルジュと女が写ったプリクラが貼り付けてあった。



434:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 21:06:42.65 ID:aYbV/3KU0
  
( ゚∀゚)「俺より先に、あの部屋に来ていた娘だった」
( ゚∀゚)「はじめはあーだこーだと喧嘩ばっかしてたけどよ」
( ゚∀゚)「まぁ、その……結果的に惚れちまったんだ、お互い」
( ゚∀゚)「で、付き合いはじめた。誰にも内緒でな」
あ、これ誰にも言うなよ!と、ジョルジュはおどけて付け足した。
( ゚∀゚)「すごく、幸せな日々だったよ」
( ゚∀゚)「けど、夏のド真ん中に、アイツは死んじまった」
( ゚∀゚)「海に行く約束も、夏祭りに行く約束もほったらかしてな」
ジョルジュは煙草に火をつける。
( ゚∀゚)「そりゃあ、引き摺ってるよ。ズルズルズルズル。アホかって位な」
( ゚∀゚)「けど……カラ元気でも、元気を出すことにした」
( ゚∀゚)「元気がなけりゃ、死に向きあう事も乗り越える事も出来ないからな」
(,TДT)「ジョルジュさん……俺、俺……」
( ゚∀゚)「まぁ、泣け泣け!今はとりあえず、死ぬ程泣いとけ」
ギコは、声を出して、人目もはばからず泣いた。



437:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 21:21:14.09 ID:aYbV/3KU0
  
同日 クーとツンの家

ξ#゚听)ξ「もう!片付けなよ、って何回言ったと思ってるの!?」
川゚−゚)レ「すまんすまん」
ξ#゚听)ξ「謝り方ってのがあるでしょ!?」
川゚−゚)レ「大変申し訳ございません」
ξ#゚听)ξ「ムッカーーーー!!」
ツンがバタバタとクーの部屋の片付けをする傍ら、当の本人はコミック誌を読みふけっていた。
ξ#゚听)ξ「マンガばっか読んでないで、手伝ってよ!!」
川゚−゚)レ「お願いします、は?」
ξ###゚听)ξ「お姉ちゃんの部屋でしょうが!!」
クーは、今のこの状況が幸せで、嬉しくて仕方が無かった。
あの日、新宿で死んで、ガンツに選ばれて、戦士になった。
戦いの夜が続いてからは、ツンはどこか余所余所しい雰囲気を醸し出していた。
ブーンを連れて帰った夜だって、ツンは必要以上にブーンにきつく当たった。
あの娘なりに心配や、不安に思ったりしてくれていたのだろう。
それが、姉妹の距離を遠くした気がした。
しかし、あの夜。ツンと共に戦ったあの夜からは、少しずつ距離が縮まっていった。
そして、現在に至る。今まで通りの、騒がしくて、とても素敵な生活。
ξ#゚听)ξ「もうッ!ニヤニヤしてないで手伝ってってば!!」
川゚ー゚)レ「お願いします、は?」
ξ###゚听)ξ「コノヤローーーー!!」
こんな日が、ずうっと続くようにとクーは祈った。



446:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 21:40:41.08 ID:aYbV/3KU0
  
同日 リンゴの森にて

('A`)「しっかし、ブーンがあの部屋に来たときは本気でビックリしたぜ?」
(;^ω^)「僕は、ドクオの変身っぷりにビックリしたお」
('A`) 「まぁ、小学4年生の頃からだから……7年振りだもんな」
ブーンとドクオは、同じこの街で生まれ育った。
しかし、小学4年生の夏に、ブーンは遠くの町へと引っ越してしまったのだ。
( ^ω^)「この街が好きだから、高校もこっちにしたんだお!」
('A`) 「高校、か」
ブーンとドクオは、他愛無い話をしながら秋の森を歩いて行った。
あの時は、月明かりで青く見えた森も、太陽の下では赤や黄色、茶色と
色とりどりに姿を変えていた。
( ^ω^)「やっぱり、最近の子どもは森なんかじゃ遊ばないみたいだお」
たまにすれ違うのは、犬の散歩をしている老人だけだった。
( ^ω^)「そういえばドクオ、妹と弟は元気にしてるかお?」
('A`)「あ、ああ!当然だろ?」
ドクオには、2つ下の妹と、年の離れた双子の弟達がいる。
ブーンが最後に見た弟達は、立つこともままならない赤ん坊だった。
2人が思い出話に花を咲かせていると、見覚えのある場所にたどり着いた。
その辺りの木は、葉が落ちきってしまっていて、枝や幹もボロボロだった。
( ^ω^)「……ここで、ショボン達は死んじゃったんだおね……」
鮮明に蘇る、恐怖と興奮の夜の記憶。不意に訪れる沈黙。
沈黙を破ったのは、ドクオだった。
('A`) 「……頼みが、あるんだ」



451:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 21:57:41.89 ID:aYbV/3KU0
  
('A`) 「100点を取ったら、ここから出られるっていうのは説明したよな?」
ブーンは、黙って頷く。
('A`) 「……100点の報酬は、それだけじゃないんだ」
( ^ω^)「……どういう事だお?」
('A`) 「選択肢は、3つ。一つ目は、お前も知ってる報酬……『自由』だ」
('A`) 「二つ目は、今よりももっと強い『武器』」
('A`) 「そして、三つ目……死んだ仲間の『復活』」
( ^ω^)「…………」
('A`) 「頼みっていうのはな、ブーン……」
('A`) 「もし、俺が死んでしまって、お前が100点を取ったら……」
('A`) 「俺を、生き返らせて欲しいんだ」
わずかな沈黙の後、ブーンはドクオを殴り倒した。
(#^ω^)「みんな、命を賭けて戦ってるお!!お前だけ、何甘ったれた事言ってるんだお!!」
('A`) 「命が惜しいわけじゃない!!」
予想外の反論に、ブーンは押し黙る。
('A`) 「家族の……為なんだ」
('A`) 「お前が引っ越した年の冬……親父は俺達を捨てた」
('A`) 「中学3年生の夏……働き詰めだった母さんは病気で倒れた」
ブーンには、想像がつかなかった。
あんなに優しかったドクオの父親の、あんなに元気そうだったドクオの母親のそんな姿が。
('A`) 「お前が高校に通ってる間、俺は隣町の工場で働いてるんだ」
('A`) 「俺が死んだら、母さんも、妹も、弟も喰わせてやれない……」
ドクオの目には、うっすらと涙が浮かんでいた。



460:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 22:08:58.90 ID:aYbV/3KU0
  
('A`) 「……この前の点数、覚えているだろ?」
ブーンは、クックル星人を倒した夜の得点を思い出した。
確か、クーが40点。他のメンバーはそれぞれ5点。ドクオの点数は……0点。
('A`) 「クーは、あと3点で自由になれる。ジョルジュだってあと少しだ」
('A`) 「俺だけ、ずっとずっと、100点が遠いんだ」
('A`) 「それに……俺は、弱いんだ」
('A`) 「クーよりも、ジョルジュよりも、ショボンよりも……ブーン、お前よりも」
ブーンは、うっすらとではあるが、それを感じとっていた。
同じ数の死線を潜り抜けたはずなのに、何故か生じている決定的な戦力差。
('A`) 「自分勝手な理由さ。信じてくれなくたって構わない」
('A`) 「けど、俺、死ねないんだよ!!絶対、絶対死ねないんだよ!!!」
( ^ω^)「……なら、死ななきゃいいお」
ブーンは、あっさりと言ってのけた。
( ^ω^)「死ねない死ねないって、そんなの誰だって同じだお」
( ^ω^)「だからこそ、みんな死ぬ気で戦ってるんだお」
( ^ω^)「ドクオだって……そうなんだお?」
ドクオは、何も言わずブーンの顔を見ている。
( ^ω^)「それに、いつかみんなで約束したお」
( ^ω^)「全員で、必ずここから出るって」
( ^ω^)「……だから、ドクオも頑張って、100点目指すお!」
('A`)「けど、けどよ……」
( ^ω^)「なら、お互いに約束するお」
( ^ω^)「僕は死ぬ気でドクオを助ける。ドクオは死ぬ気で100点目指す」
( ^ω^)「これで、文句ないだお?」
それは、あまりにも強引で、あまりにも乱暴な約束だった。
( ^ω^)「……よし、お腹減ったからさっさと帰るお!」
ブーンは両手を広げて走り去った。ドクオには、ブーンの耳が真っ赤になってるのが見えた。
('A`) 「……絶対守るさ、約束」
ドクオは、声を押し殺して泣いた。



470:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 22:20:52.52 ID:aYbV/3KU0
  
平穏な日々は、ゆっくりと崩れていく。

从'ー'从「あれれぇ〜?私の自転車が無いよぉ〜?」
(*゚ス゚)「まさか、また盗まれたの!?」
彼女の名は渡辺さん。現役女子高生。どこのクラスにもいる、おっちょこちょいキャラだ。
ただひとつ違うのは、規格外のおっちょこちょいという事だけだ。
(*゚ス゚)「ちゃんと鍵閉めなきゃ駄目だって、言ってるでしょ!?」
从'ー'从「うん、わかった〜」
(*゚ス゚)「はぁ……駄目だこりゃ。っと、バイトの時間ヤバいから、先行くね!」
从'ー'从「バイバ〜イ!!」
渡辺さんは、やたらと元気良く、友人の姿が見えなくなるまで手を振った。
从'ー'从「仕方ない、歩いて帰ろ〜っと」
自転車に轢かれそうになりつつも、渡辺さんはトコトコと歩きだした。
そして、家まであと数分で、ようやく異変に気付く。
从'ー'从「あれれぇ〜?カバンが無〜い」
トコトコと、着た道を引き返す。
(;´_ゝ`)「うわぁああああああ止まらん!!」
(´く_`;)「無茶なドリフトかますからだ!!」
タンデムライドのバイクが、渡辺さんを巻き込み大転倒する。
3人は、即死だった。



482:1 ◆DcS0KIr23w:2006/04/26(水) 22:31:51.57 ID:aYbV/3KU0
  
男は、13段の階段を登りきり、首吊り縄を首に通す。

1人目を殺したのは、ほんの小さなアクシデントがきっかけだった。
2人目を殺した時、震える程の快感を感じた。
14人目を殺して、ついに足が着いてしまった。
19人目を殺す前、とうとう檻へとブチ込まれた。
死刑は既に、確定していた。

精神異常者の振りをするでもなく、模倣囚になるわけでもなく
淡々と取り調べに答え、判決を受けた。

それからの日々は、空虚だった。
しかし、随分と色んな物が輝いて見えた。
世界は、こんなにも輝かしいものだと、彼は感じた。

もし、次に生まれ変わる事が出来るとしたら
そんな事が、本当に可能ならば

( ・∀・)「次も、人間に生まれたいな」
床の感触が消え失せ、首に凄まじい重力がかかる。

そして、かつてこの国を震え上がらせたシリアルキラー
モララーの生涯は潰えた。

Intermission is End.

Continue to 3nd stage.



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