( ^ω^)ブーンが爆弾魔になったようです

375: ◆7YW6txupJQ :2006/04/29(土) 12:51:20.22 ID:2J3uK97EO
  
今年の花火大会は中止です

町内会で回ってきた回覧板にそんな文が書かれていた

ブーンもかーちゃんもギコおじさんもショックだった

実際こんな田舎で打ち上げを行う職人はおじさん達の他にはいなかった


つまり一年経った今でも信用してもらえないという事だ



377: ◆7YW6txupJQ :2006/04/29(土) 12:53:53.76 ID:2J3uK97EO
  
ブーンの学校にも火傷をおった同級生や先生などが数多くいた


しかし、これと言った大きな火傷を負った人はいなかった


ブーンが一番辛いのはみんなが分かっていたし慰めてもくれた

だが、みんなの心の中には父が最後に上げたあの花火が焼き付いてしまっていた



378: ◆7YW6txupJQ :2006/04/29(土) 12:55:14.70 ID:2J3uK97EO
  
今年の花火大会が出来ないなら自分だけで花火大会をしよう


かーちゃんやギコおじさんに内緒でブーンは花火を作ろうと考えた

一発だけでもいい

夜空に美しい華を

父の花火を上げたかった


ブーンは父やギコおじさんから教わった技術と独学で3ヵ月かかって花火を完成させた



379: ◆7YW6txupJQ :2006/04/29(土) 12:57:07.61 ID:2J3uK97EO
  
8月某日


今でも覚えてる

僕の上げた花火はひょろひょろと上がりパーンと空中ではじけた

僕は嬉しかった

ただ、後からすごく後悔した

なんで場所を選ばなかったのかと



380: ◆7YW6txupJQ :2006/04/29(土) 12:58:16.90 ID:2J3uK97EO
  
ブーンの花火は打ち上がった後辺りを火の海にした

火薬の量が多すぎたのだ

幸いブーンは軽傷ですんだ
だがブーンの上げた花火はもちろんそれだけでは済まされなかった

建物など辺りを焼いてしまったのだ

子供の悪戯で済まされるものではなかった



382: ◆7YW6txupJQ :2006/04/29(土) 12:59:23.48 ID:2J3uK97EO
  
その日初めてギコおじさんは僕を殴った

涙を流して

なんで相談もせずに花火を上げたのかとなんで周りを見なかったのかと

言いたい事は山ほどあっただろう

かーちゃんも泣いてた

とても・・・・辛そうだった

僕は花火職人失格だ

僕を一番大切にしてくれた人達を僕の花火で泣かせてしまったのだから



383: ◆7YW6txupJQ :2006/04/29(土) 13:01:19.59 ID:2J3uK97EO
  
工場は潰れた

僕の16歳の秋の事だ

涙混じりで工場に鍵をかけたギコおじさんは新しい職を探すため僕らの前から姿を消した

かーちゃんはパートをしながら僕を高校にまで行かせてくれた

あんなに幸せだったのに

あんなに夢があったのに

気付けばボロボロ崩れていった



384: ◆7YW6txupJQ :2006/04/29(土) 13:02:30.68 ID:2J3uK97EO
  
石を積み上げても積み上げても壊してく

地獄にそんな化け物がいた気がする


多分そいつは現実にもいるんだ

幸せを積み重ねても一瞬で壊してしまうんだ

時間をかけて時間を進めた分だけそいつに怯えなきゃいけない

ならばそいつが来る前に時間を止めよう

幸せの中で



386: ◆7YW6txupJQ :2006/04/29(土) 13:20:10.15 ID:2J3uK97EO
  
(〃゚ー゚)「ママー、なんかね荷物が届いてるよ」



∬´_ゝ`)「何かしら?」

あれから私達は新しい一歩を踏み出した


あの人のためにも娘のためにも頑張らないと私は再び職についた

ティの花嫁姿をあの人に見せないといけないから



387: ◆7YW6txupJQ :2006/04/29(土) 13:21:23.59 ID:2J3uK97EO
  
(〃゚ー゚)「ママーほらパパの水筒だよ!」


例のチューリップの貼ってある水筒だ


∬´_ゝ`)「まさかあの人・・・・?」


(〃゚ー゚)「ティ明日からこの水筒で幼稚園いくよ♪」
ティが水筒のコップをクルリと捻る


次の瞬間大きな炸裂音がして二人は一瞬で息絶えた



389: ◆7YW6txupJQ :2006/04/29(土) 13:25:11.47 ID:2J3uK97EO
  
ブーンは考えた


あの二人が新しい一歩をしるして先へ進むには多分大きな障害が立ち塞がるだろうと


だから悩む前に苦しむ前に
天国のパパの元へと二人を送り届けようと思った

苦しまないように一瞬で息の音を止めれるくらい精巧な奴をブーンは二人に送った


二人のマンションから爆発音がしたときにブーンの頬に熱いものが流れた



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