( ^ω^)ブーンは傭兵部隊で戦っていたようです

  
4:タリバン(広島県) :2007/04/29(日) 17:54:20.78 ID:8VqY2dRw0
  
川 ゚ -゚)「聞こえるか、二人とも。」

クーからの通信が入った。今回の任務はオクセーマ地方で規模を拡大しつつあるテロリストの壊滅だ。
密告者からの情報では近々大規模な政治テロを行うとの事。それを未然に防ぐため政府からの依頼が届いた、らしい。
ブリーフィングのときの艦長の機嫌からすると結構な報酬金だったのだろう。もしかすると今回の作戦後にはボーナスが待っているかもしれない。
操縦桿を握る手にも俄然力が入ってくる。

( ^ω^)「少佐、通信良好ですお。」
('A`)「こっちも問題ないです。クーさん」

川 ゚ -゚)「了解した。潜伏モードを維持しつつ進むぞ」



  
5:タリバン(広島県) :2007/04/29(日) 17:55:56.21 ID:8VqY2dRw0
  
(;^ω^)「了解だお。しかし、この辺は暗くなるとめちゃくちゃ寒いお…」

この地方では年々雨が降らなくなっているらしい。しかもこの辺りは特に雨が降らない。
その事から砂漠化が進み、舞う砂が視界を阻む。さらにゴツゴツとした岩場が多く隠れる場所には事欠かない。
もしここに住むほどの気力、財力があるのなら、格好の隠れ場所と言えるだろう。

30分程前の情報では、今いる地点から十数キロ進んだ先にVS-2が20機確認されていた。

通称VSと呼ばれる汎用人型兵器ValiableStriker、基本は陸上での活動。装備を変えることで海中での戦闘も可能となる。
ただ、空中で戦う事は今の技術では燃費の問題とその必要性があまり無い事から考えられていない。
だが、空中での戦闘行動は地上の敵に対して有効なのではないだろうか?

メカニックのショボンはこういった質問を投げかけられると決まってこう答える。

(´・ω・`)「VSで空を飛ぶときはイクときか逝く時だけにするんだ。それはそうと や ら な い か?」



  
6:タリバン(広島県) :2007/04/29(日) 17:56:57.68 ID:8VqY2dRw0
  
ブリーフィングのときに見た衛星写真からすると、
相手の装備はVS用アサルトライフルと腰に付けられた強化チタニウムナイフが二つ。
基本の装備とも言えるが、武装も機体も全く持って改造されている様子はなかった。


('A`)「クーさん、あっちは第二世代、こっちは第三世代のVSです。こんなに気張らなくても…」


ドクオのVSがやれやれと首を振っている。
第二世代と第三世代。機体性能の差はもちろんだが、広く出回っているVS-2と傭兵部隊VIPの使うVS-3の違いはあの動きにある。
より高度に精密に、まるで人のような動きを実現させるため、第三世代のVSにはショボンの発明したイマジンコンバータが搭載されていた。


それは、搭乗者のイメージをVSに伝え、電気信号へと変換する事によってVSを動かそうと言うシステムだ。
VSは搭乗者の目となり、手足となる。まさに人機一体と言えるだろう。
フィードバックの度合いを変える事で従来の操縦にサポートする形でも動かせるようになった。



(´・ω・`)「いや、ホントはね。VS同士で(省略されました、続きを読むにはウホッと書き込んでください)」



  
8:タリバン(広島県) :2007/04/29(日) 17:58:17.06 ID:8VqY2dRw0
  
川 ゚ -゚)「だが、油断は禁物だ。もう少し進んだところで分かれるぞ。手順は分かっているな」

( ^ω^)「大丈夫ですお。クーさんと、ドクオが一点突破。ブーンは目標地点の西側から一機ずつ狙撃、ですお?」

ブーン達の所属する傭兵部隊VIPでは基本的に三人で一つのチームを組んで活動している。

クー達のチームでは、格闘、射撃のどちらにも優れ、冷静なリーダーとしてのクー。
接近戦に優れたドクオ。射撃の才能に恵まれたブーンとバランスの取れたチーム編成になっていた。

各機体も個人の適正に合わせて改造が施されている。


('A`)「あぁ、だけど、もしものことがあったらすぐ突っ込んできてくれよ。KSKドライバの使用許可も一応下りてんだから」


KSKドライバ。KSK粒子をその機体に纏う事で装甲や機動性の強化、武器に纏わせれば威力の強化と、
性能の限界を大幅に上回らせる事が出来るシステムだ。
だが、それを扱うにはイマジンコンバータを使うとき以上の集中力とKSK粒子に対する適正が求められる。
その二つでブーンは最優秀適合者として認められ、KSKドライバ搭載型VSの試作機に乗ることになった。

ブーンの乗るVSに与えられた名はVSK-01 ヘリオス。
KSKドライバの事も考慮して他のVSと比べ、より軽量化をほどこしスリムなフォルムをしている。
基本装備のライフルとナイフに加え、AVON-SPR 74mmスナイパーライフルを担いでいた。



(´・ω・`)「ドクオ君もなかなかよかったんだがね。そうそう、実は彼もなかなかいいカラd(省略されました、続きを読むにh」



  
9:タリバン(広島県) :2007/04/29(日) 17:59:37.30 ID:8VqY2dRw0
  
( ^ω^)「ドクオ、自身持つお。ドクオにナイフを使わせたら敵う奴なんかいないお」

('∀`)「ブーン…照れるぜ」

川 ゚ -゚)「お喋りはそこまでだ。ここで分かれるぞ。ブーンは私の合図で狙撃を始めてくれ」

クーのVSが歩みを止め、ブーンの向かうべき岩山を指差していた。
テロリストの潜伏地点からおよそ5km、ブーンに狙撃可能なギリギリの射程距離だ。

( ^ω^)「了解ですお」



  
10:タリバン(広島県) :2007/04/29(日) 18:00:38.59 ID:8VqY2dRw0
  
(`・ω・´)「ツン大佐、各機持ち場に着いたようです」

ブーン達のいる地点からはるかに離れた洋上。巨大な鋼鉄の戦艦の中に彼らはいた。

ξ゚听)ξ「了解したわ。各機に通達。敵VSのレーダーは改造が施されてなければ潜伏モードで3kmまで近づけるはずよ。
  そこからはあなた達の好きなようにしなさい。ただ、一番奥にある建物だけは壊さないで。」

('A`)『物騒なものでも隠してるのか?』

(`・ω・´)「見方によってはそうとも取れますねドクオ軍曹。ですが、お小遣いとして見るのが正解でしょう」

川 ゚ -゚)『弾薬か?』

ξ゚听)ξ「そうよ。依頼者の要求はテロリストの壊滅のみ。彼らの所持品については言及していないわ。
  だからあたし達が弾薬をどうしようとも関係なし。なら有効活用させてもらうわ」


(`・ω・´)「と、言う事です。任務遂行後、回収部隊を向かわせますので終わった後も気を抜かないように」

( ^ω^)('A`)川 ゚ -゚)『了解(だお)!』



  
12:タリバン(広島県) :2007/04/29(日) 18:01:39.32 ID:8VqY2dRw0
  
通信が切断され、聞こえるのは艦内にはかすかなモーター音と何かをかき混ぜる音だけになった。

(`・ω・´)「…ところで大佐」
ξ゚听)ξ「何よ?」
(`・ω・´)「大佐が戦艦型イマジンコンバータの優秀な適合者である事は私もよく知っています」
ξ゚听)ξ「それで?」

(;`・ω・´)「何かあっても対応は出来ると思います。ですが今は作戦中でもありますし…」
ξ#゚听)ξ「はっきり言いなさいよ中佐!」
(;`・ω・´)「プリンを作るのは後にしていただけませんか…?」

ツンとシャキンの前に映ったディスプレイには、普段であれば作戦地域の地図や各VSの位置、
通信状況などがリアルタイムで表示されるようになっている。
ただ、今はそれは画面の隅に追いやられ大きく『おうちで簡単!牛乳プリンの作り方』と手順や絵が大きく表示されていた。


ξ゚听)ξ「混ぜ終わったらあとは冷やすだけなのよ、少しは待ちなさいよ」
(`・ω・´)「ブーン軍曹達への差し入れですか?」
ξ////)ξ「ち、違うわよ!で、でもちょっと作りすぎたからあげてもいいかなとは思ってるわよ!」

(`;ω;´)(でも、私のは無いんだろうなぁ…)



  
15:タリバン(広島県) [すみません、速度落とします] :2007/04/29(日) 18:04:13.88 ID:8VqY2dRw0
  
( ^ω^)「ここからならよく見えるお…」

一際大きい岩の上、狙撃ポイントに到着した。目に見える範囲では、岩、岩、岩、砂、砂、岩、砂、砂…。
よく見れば広範囲にわたって岩が削られている場所がある。大規模な戦闘でもあったのだろうか。
代わり映えの無い景色だ。地図も無しにここへやってくれば、よほど土地感が無い限り間違いなく迷ってしまうだろう。

( ^ω^)「テロリストの位置はあの辺りかお?」

視界の先にわずかな明かりが灯っている。暗視モードに切り替えなくとも多分あれがテロリストのキャンプという事は分かる。
キャンプはすり鉢のように周りを岩で囲まれ入り口は一つのみ。
正面以外から来ようものなら、岩壁を登る音で気づかれてしまうだろう。
入り口の大きさから見てもVSが一度に通れるのは1機のみ。いい場所だ。だが…

( ^ω^)「ここから狙えばそんなの関係ないお…」

肩からAVON-SPR 74mmスナイパーライフルを降ろし、VSの体性を低くして構える。
VSとスナイパーライフルが接続され、ディスプレイに狙撃モードの表示がされた。
後は狙いを定めて引き金を引くだけ。それだけで相手の命を奪う事が出来る。

狙撃は気づかれずに行うものだ。相手からすれば卑怯なことこの上ないだろう。

いつの間にか撃たれていた。いつの間にか死んでいた。理不尽なのは分かる。
だが、戦いを有利に進めるためには、仲間の犠牲を少なくするためには必要な事で、ブーンにはそうする事が可能なだけの技能があった。
技能は使わなければ意味が無い。活かすことで意味が生まれるのだ。



  
17:タリバン(広島県) :2007/04/29(日) 18:06:41.06 ID:8VqY2dRw0
  
ドクオ達もそろそろ持ち場に着いただろうか。


( ^ω^)「こちらブーン。狙撃の準備完了だお。砂のせいで誤差も少しあるかもしれないけど、当ててみせるお」

川 ゚ -゚)『了解した。ブーン、念のために確認だ。弾薬庫と思われる建物の特徴と、敵VSの配置は?』


コックピットのディスプレイにライフルのスコープから見た映像が映った。

( ^ω^)「建物は内壁に沿うように3棟配置されてて、最奥の弾薬庫にだけシャッターが降りてるお。
   VSの配置は入ってすぐの場所に横並びに4機。中央に2機。あとはすり鉢の内壁に沿って配置されてるお。」

搭乗者がいるにしろいないにしろ、起動を示すアイランプが点灯している事から
全てのVSが稼動状態にあることは確かだ。

こちらの情報がもれている事はまず無いだろうから、これから取引でもあるのか。
それとも警備には気を使っているのか。

取引の場合は邪魔が入る前に終わらせなければ不味い事になる。


('A`)『シャッターが下りてるって事はすぐには使えないって事か、尚更楽そうですね』

川 ゚ -゚)『こちらにしてみれば好都合だ。では…行くぞ!各機潜伏モード解除、戦闘モードに移行せよ』


任務、開始だ。



  
20:タリバン(広島県) :2007/04/29(日) 18:08:51.53 ID:8VqY2dRw0
  
('A`)「潜伏モード解除。戦闘モードへ移行。イマジンコンバータフィードバック100%で起動。」
ドクオAI『AI起動。戦闘モードへ移行します...完了。イマジンコンバータ接続します...完了。現在フィードバック100%で稼動中。
     対砂漠戦用サポートプログラム起動、機体の順応化...完了』

待ちくたびれたとばかりにサポートAIが起動する。各情報を示すディスプレイが次々と点灯していく。
動力炉が活性化し、タービンが心地良い音を立てて全力回転を始める。


全身にエネルギーが伝わり、寝ぼけていた鋼鉄の体が目を覚ます。


視覚変換が行われディスプレイごしではなく、VSのカメラアイが直で捉えた景色に移り変わる。
聴覚変換が行われ風の吹く音がより明瞭になる。
感覚変換が行われ、舞う砂が機械の腕をなでるのを肌に感じた。

まるで自分自身が巨人に代わったかのような感覚だ。
だが、あくまでそれが機械の体であると理解できるのは、前方の敵VSのいる辺りにロックオンカーソルがちらついているからだろう。


('A`)「行くぜぇえええっ!」

ドクオは両腰からナイフを取り出し走り出した。
クーがアサルトライフルを構え、ドクオに追従するように走る。

レーダーの情報が頭に流れ込んでくる。まだ、敵VSに動きは無い。――いや、入り口近くの奴が動き始めた。



川 ゚ -゚)「ブーン、撃て!」



  
21:タリバン(広島県) :2007/04/29(日) 18:10:45.81 ID:8VqY2dRw0
  
川 ゚ -゚)『ブーン、撃て!』

( ^ω^)「あいお!」


一番最初に動いた奴に狙いを定める。容赦はしない。
引き金と共に飛び出す銃弾。それはまっすぐに、まるで糸でも繋がっていたかのように正確にコックピットを貫いた。

一瞬の後の爆発。
可哀想。そうかもしれない。

だが、テロリストだろうと傭兵だろうと武器を抜けば容赦はしない。
少なくとも今は殺すか殺されるかでしかない。手を抜けばこちらが殺されるだろう。


( ^ω^)「まず一機!」

今の一撃でスナイパーがいる事に気づいただろう。だが、正確な場所までは分からないはずだ。
その隙にドクオが切り込んだ。入り口の2機を撃破。クーのアサルトライフルでまた1機。

動きがバラバラだ。まるで統制が取れていない。
ドクオに避けられた後、ノロノロと弾を吐き出すアサルトライフル。
そのノロノロとした弾はノロノロとした味方をも巻き込んだ。


(;^ω^)「VIPの新兵の方がまだ強いお…」
ヘリオスAI『残りターゲット8機。うち1機が弾薬庫に接近中。味方機の位置を考慮した結果、狙撃を提案します』

(;^ω^)「確かにあんな所で自爆でもされたら厄介だお」



  
22:タリバン(広島県) :2007/04/29(日) 18:12:24.09 ID:8VqY2dRw0
  
<ヽ`∀´>「あいつら、何なんだニダ…強すぎるニダ」

何が起きた?奴か?
いきなり狙撃されたと思ったら、見たことの無いVS2機にあっという間に仲間がやられていった。

機体の差だけではない、搭乗者の腕も異常だ。
ただの人間がスーパーマンと戦って勝てるか。完全否定、勝てるわけが無い。


また1機やられた。
このままでは自分がやられるのも時間の問題だとニダーは確信した。


勝てないのなら、せめて一泡吹かせてから死にたい。
弾薬庫で自爆すればいくら性能差があろうとも関係ない。あのVSも倒せるはずだ。



<ヽ`∀´>「カーチャンのキムチ。また食べたかt

ニダーの意識はここで途切れた。



  
23:タリバン(広島県) :2007/04/29(日) 18:14:50.31 ID:8VqY2dRw0
  
クーAI『機体損傷は無し。残存敵機は0。弾薬庫も無事なようです。』
川 ゚ -゚)「了解した。良い仕事をしたな」


全てが終わり、静かな夜がやってきた。
VS-2の残骸を端っこにまとめ、後は回収部隊を待つばかりだ。


('A`)「しかし、弱かったですね。VSの扱いになれていない様子でしたが」
川 ゚ -゚)「あぁ、もしかしたらVSは彼らのものではなく、他の組織に受け渡すものだったのかもしれないな」


( ^ω^)『それはどうかお?』


('A`)「ブーンか。最初の狙撃は完璧だったぜ。あれは芸術物だな。のんびりしてないで早くこっちに来いよ」
(*^ω^)『ありがとうだお。今のんびり歩いて向かってるお。でも、ドクオのナイフ裁きも美しかったお!』



  
25:タリバン(広島県) :2007/04/29(日) 18:16:58.68 ID:8VqY2dRw0
  
川 ゚ -゚)「ブーン。何か意見があるようだが、どういうことだ」

( ^ω^)『受け渡しなら全て稼動させておく必要は無いお。どちらかと言えば何かを警戒してたと思うお』


落ち着いて考えてみれば、キャンプの近くにあった戦闘跡。大規模な抗争でもあったのだろう。

自らの組織を守るためVSを買ったのでは?
テロリストは何か別の組織を警戒していたのではないだろうか。


川 ゚ -゚)「確かにそうだな。稼動テストだけなら周りを囲む必要は無いし、我々の情報が漏れているとも思えない」

('A`)「でも、この辺りでは他に大きい組織があるとは聞きませんが」
川 ゚ -゚)「それもそうなのだが…なんだ!!」



いきなり大地が揺れた。



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