( 'A`)がポストペットになったようです

  
1: ◆eF5r2PWbOc :07/24(月) 19:51 LWwfkoI4O
  

ここはあるパソコンの中…

あ人の少年が友人に奨められ、あるソフトを起動させようとしていました。


ポストペット


パソコンの中にペットを飼い、相手とメールのやりとりをするソフトです。

少し前までは栄えていましたが、今では使用している人は少なく、ブームは既に過ぎ去っていました。


しかしその裏で、ポストペットは更なる進化を遂げ、新しいキャラクターも登場していました。



( 'A`)「…」



少年がソフトを起動させると、ブラウザの中に一人の男の子が三角座りで寝ていました。



( 'A`)「…おーん?」




(´・ω・`)「…何こいつ…?」



( 'A`)「何だよ…寝起きだってのに、いきなり失礼な事サラッと言いやがって…」



(´・ω・`)「……何これ…はずれ?」



(#'A`)「…さっきから失礼な奴だな…お前が目をつぶって選んだんだろうが…
はずれも当たりもあるかよ…」




(´・ω・`)「……」



( 'A`)「……」




二人は一晩中睨み合っていました。

少年もポストペットも何か言いたげにしていましたが、お互いに何も言わずに時間が過ぎていきました。



(´・ω・`)「なんか…納得いかないけど…選んじゃったんだから仕方ないか…」



( 'A`)「…こっちの台詞だ…マンドクセ…」



(´・ω・`)「これから…よろしくお願いします…」



( 'A`)「…おう…」



こうして二人の新しい日々が始まったのです。



  
3: ◆eF5r2PWbOc :07/24(月) 20:32 LWwfkoI4O
  

(´・ω・`)「……」



朝の六時。

少年は夏休み真っ只中の普通の高校生だった。

ただ、人より少し気が弱く、何事にも臆病になってしまいがちでした。

ポストペットを始めたのも友人の輪をひろげるため、そんな少年でした。



(´・ω・`)「…やっぱり居る…夢じゃ…無かった…」



(*'A`)「むにゃ…むにゃ……へへっ…す〜またんテラモエス……むにゃ……」



(´・ω・`)「………」



少年はまじまじとブラウザの中を覗きこんだ。

寝言を言うポストペット…友人の話には全く無かった展開に、少年は戸惑っていた。



(´・ω・`)「…気持ち悪…」



( 'A`)「むにゃ……ハッ!!」



(´・ω・`)「……ッ!?」



( 'A`)「…よう、おはようさん!!!」



(´・ω・`)「…おはよ…」



少年は改めて思った。


「こいつ…絶対ペットじゃないよ…おかしいよ…」


だがポストペットがどんなものか詳しく知らない少年には、本当にこれが異常なのかは判断できなかった。




( 'A`)「で、今日はどうするんだよ?」



(´・ω・`)「…え?」



( 'A`)「『…え?』じゃねえよ…俺はポストペットだぞ?仕事させないとニートになっちまうぞ…?」



(´・ω・`)「そ、そうなの…!?」



( 'A`)「…知らん」



(´・ω・`)「………」



少年は胸の奥のモヤモヤを解消できないまま、メールをうち始めた。

宛先は少年にポストペットを奨めた『ジョルジュ』と言う名の同級生だった。



  
7: ◆eF5r2PWbOc :07/24(月) 22:17 LWwfkoI4O
  

(´・ω・`)「え…と、『ポストペット始めました』っと…『可愛がって』…」



( 'A`)「…おい」



(´・ω・`)「ん…?」



( 'A`)「お前…『ポストペット始めました』って、俺は『冷やし中華』じゃないぞ…?」



(´・ω・`)「ご、ゴメソ…」



ダメ出しをするポストペット…少年は聞いた事が無かった。
ダメ出しされながらもメールの文をうち、後は送信ボタンを押すだけだった。



( 'A`)「いっち、にい、さん、しい…にい、にい、さん、しい…」



(´・ω・`)「…何…してるの?」



( 'A`)「…ん?準備運動だよ…体が資本だからな…」



(´・ω・`)「ああ…そうなんだ…」



少年は準備運動の事など知らぬそぶりで、淡々と送信しようとしていた。



( 'A`)「お…そうだ…まだ名前を聞いていなかったな…」



(´・ω・`)「そういえば…そうだね…」



( 'A`)「俺の名前は『ドクオ』って言うんだ。
お前はなんて名前だ?」



(´・ω・`)「…ショボンだよ」



( 'A`)「おk…じゃ、手紙をくれ。
Bダッシュで届けてくるわ!!」




ドクオはショボンからメールを受け取ると、爽やかな笑顔でブラウザから去っていった。



(´・ω・`)「ドクオ…」



ショボンは改めて実感した。



(´・ω・`)「笑顔…きめぇ……」



  
9: ◆eF5r2PWbOc :07/24(月) 23:16 LWwfkoI4O
  

( 'A`)「横丁はパリのシャンゼリゼ〜、富士の白雪ゃフェニックス〜…
しっかし…光通信は早いねぇ…もう到着か…」



ドクオは平な板、サーフボードの様な物に乗り、物凄い早さでケーブルの中を駆け抜けていた。



( 'A`)「あれが目的地か…」



ドクオの目の前に大きな門が立ち塞がった。

扉についている認証システムを通して、ようやくドクオは中に入る事が出来た。



( 'A`)「セキュリティーは万全だな…ショボンにも見習ってもらいたいもんだな…」



門をくぐると、そこには綺麗に片付けられた部屋が現れた。

その部屋の壁には、このパソコンの持ち主である『ジョルジュ』と思われる青年の顔が、こちらを覗きこんでいた。



( ゚∀゚)「おお…ッ!!ショボンからメールがきたか…!!
あいつ…『ドクオ』にしたのかwwwwwww」



( 'A`)「ほらよ、ショボンからのメールだぞ。受け取ってくれ。」



( ゚∀゚)「おう、ご苦労さん!!
まあ、ゆっくりしていけよ…お茶くらいなら出すぜ?」



( 'A`)「すまないな…なら少し休憩させてもらうとするか…!!」



ドクオの目の前にあるテーブルに、突然お茶が現れた。
湯気が立っており、ついでに煎餅まで出てきた。



( 'A`)「よいしょ…ふう、仕事の後は熱いお茶に限るよ…カテキン万歳だな…」



ドクオがお茶をすすっていると、部屋の扉の向こうから騒がしい笑い声が聞こえてきた。

どうやらこの部屋の住人らしい。



「うはwww今日も絶好のブーン日和だおwwwwwwwwっうぇwwwwっうぇwwwwwwwwww」



  
10: ◆eF5r2PWbOc :07/25(火) 00:32 aE4pbZu0O
  

( 'A`)「なんか…賑やかなのが…こっちに向かって来てる…?」



( ^ω^)「バーロwwwwwwーハイスピーディーブーンwwwwwwwwwwwww」



(;'A`)「…ッ何、このすごくウザそうな奴は…!!」



ドクオは少しひいてしまいました。

部屋に入ってきたテンションの高い男は、ドクオを発見するなり両手を広げて、彼を歓迎したのでした。



(* ^ω^)「うはwww初めて見る顔が居るおwwwww珍しいおwwwwww」



(;'A`)「テンション高ッ……うぜぇ……」



( ゚∀゚)「おいブーン、あんまり調子に乗るなよ…
この前話した『ショボン』のポストペットだよ。仲良くしろよな…?」



(;'A`)「よ、よろしく…」



( ^ω^)「こちらこそ夜露死苦だおwwwwっうぇwwwwwwwww」



(;'A`)「………」



ドクオは思った。
「ショボンがこいつに会ったら…絶対にウザがるだろうな……塚、…うぜぇ…」

テンションの高いブーンを尻目にドクオはお茶を飲み干し、帰る準備にかかっていた。



(;'A`)「お、お邪魔しました…機会があれば…また…来ます…」



( ゚∀゚)「ああ、またいつでもk

( ^ω^)「うはwwwおkwwwww今度来たときは一緒に光る風を追い越しに行くおwwwwwwww」


(# ゚∀゚)「ブーン、うるせぇよッ!!!」



(;'A`)「ジョルジュ…大変だな……こんな奴と一緒とは……」



ドクオは呟きながら自分のサーフボードに乗り、光の波へと飛び込んだ。

出来れば行きたくない場所に『ブーンの部屋』が加わった、記念すべき日だった。



  
15: ◆eF5r2PWbOc :07/25(火) 19:56 aE4pbZu0O
  

(;'A`)「…ただいま…」



(´・ω・`)「…?おかえり…」



ショボンは疲労しきっているドクオを迎えいれた。
なぜ疲れているのか知らないショボンは、ドクオから詳細を聞き出そうとしました。



(´・ω・`)「どうだった…上手く届ける事…出来た?」



( 'A`)「…俺を誰だと思ってるんだよ…ちゃんと届けたさ…」



(´・ω・`)「良かった…届いたんだ…!!
ジョルジュにも会ったの?」



( 'A`)「おう、格好いい奴だったよ…俺には負けるかもしれないがな…」



(´・ω・`)「向こうにもポストペットって居たの?」




(;'A`)「……居た……確かに居た…よ……」



(´・ω・`)「本当に!?どんなペットだった?
熊?ペンギン?それとも…犬とかぬこかなぁ…!?」



(;'A`)「………」




ドクオは沈黙しました。
喋らない…と言うよりは『喋りたくない』…そんな表情でした。



(´・ω・`)「どうしたの?」



(;'A`)「い、いや…何でも無い…何でも……」



ショボンはドクオの様子を気にしながら、そばに置いていた缶ジュースを飲んだ。

すると目の前のブラウザの中からドクオとは違う、賑やかな声が聞こえてきました。



「うはwwwもうすぐ到着だおwwwww楽しみだおwwwwwwww」




(;'A`)「…ひぃぃッ!!!」



(´・ω・`)「何この音…故障かな…?」



(;'A`)「ま、待て…電源を切るな…切らないでくれぇッ!!」



(´・ω・`)「……?」



(;'A`)「嫌だ…あいつと二人っきりは嫌だぁぁぁぁ…」




(* ^ω^)「ここここんぬつはwwwwwwwwwwwww」



(;'A`)「うぎゃあぁぁぁぁあぁぁぁ、き、来やがったあぁぁぁあぁぁッ!!!!」



ドクオにとって、悪夢の時間が始まった。



  
17: ◆eF5r2PWbOc :07/25(火) 20:24 aE4pbZu0O
  

(;´・ω・`)「………」


(;'A`)「………」


(;´・ω・`)「………」


(;'A`)「…な?……俺が話したくない理由…分かっただろ……?」



(;´・ω・`)「…うぜぇ……どれだけケーブル切ってやろうかと思ったよ……」



(;'A`)「…切らなくて良かったよ…切ってたらアイツはずっと…ここに居座ってただろうしな…」



(;´・ω・`)「…なるほ…」



ブーンが帰ってからすでに一時間が過ぎようとしていました。
ショボンとドクオはブーンのテンションに飲まれ、何もする事が出来ませんでした。

あまりにも酷い状況だったので、ドクオとショボンは思い出す事さえも拒否してしまいました。



(;´・ω・`)「僕は…」



(;'A`)「……ん?」



(;´・ω・`)「僕のポストペットがドクオで良かったよ…本当に…良かった……」



(;'A`)「…あれに比べたらな……俺の方が何倍もマシだろうな……」



(;´・ω・`)「お茶…飲む?」



(;'A`)「ああ…くれ…」




( ^ω^)「忘れ物しちゃたおwwwwwドジッ子ブーンだおwwwwwwww」



(;'A`)「……ッ!!?」

(;´・ω・`)「…ッ!!!?」



(* ^ω^)「うほっ、すでにお茶が用意されているおwwwここは良いインターネットですおwwwwwwww」



(;'A`)「…頼むから…帰ってくれよ……」




(* ^ω^)「うめぇwwwwお茶うめぇwwwwww」



(;´・ω・`)「もう…駄目かもわからんね……」



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