( 'A`)がポストペットになったようです

  
19: ◆eF5r2PWbOc :07/26(水) 00:59 bNbMZwWwO
  

ドクオがショボンの家に来て、すでに一週間が過ぎようとしていました。

二人の関係は相変わらずで、たまに遊びに来るブーンにイライラする日々を送っていました。

そんなある日の事です。



( 'A`)「私の体の中の…良からぬ物が…」


( 'A`)「ジョジョ〜ビジョバ〜」



(´・ω・`)「…なんかご機嫌だね…何か良い事でもあったの?」



( 'A`)「ん?いや…特に何も無いけど…強いて言えば『バイオリズム』がなんか…こう…そんな感じなんだよ…」



(´・ω・`)「…どんな感じなのさ…」




二人は他愛もない事を話しながら、メールチェックをしていた。
するといきなり知らない宛先から一件のメールが届いた。

しかもポストペット付きである。



ξ゚听)ξ「まったく…警備も何もあったもんじゃないわね…
こんなに簡単に入り込めるなんて…」



(*'A`)「お、女…の子…だ…」



(´・ω・`)「うわぁ…可愛いなぁ…」



ξ*゚听)ξ「ちょ…ほ、誉めたって何も出ないんだから…う、嬉しくともなんとも無いわよッ!!」



(*'A`)「………」



突如現れたポストペットは恥ずかしそうに受け答えしながら、ショボンにメールを手渡した。

そこにはとても懐かしい名前が書かれていた。



  
28: ◆eF5r2PWbOc :07/29(土) 18:27 BJvASuXnO
  

(´・ω・`)「…あかねちゃん……?」



( 'A`)「あかね…?」



ツンが運んできたメールの差出人はショボンの初恋の人「あかねちゃん」でした。

彼女とショボンは小学校の同級生で、よく虫取りや公園へ遊びに行きました。

しかし、あかねちゃんの家の都合で引っ越す事になり、ショボンは淡い恋心を伝えられないでいました。




(*'A`)「おいおい誰だよ「あかねちゃん」ってのはよ…もしかして…ショボンのひでぶ」



ξ#゚听)ξ「あんたうるさいわよ!!あんたに届けた訳じゃ無いんだから…黙りなさいッ!!」



(;'A`)「ちょ…待て、話をひでぶ」



(´・ω・`)「…あかねちゃん…元気そうだ…」



ξ ゚听)ξ「…ジョルジュに感謝しなさいよ?あんたのアドレス…あかねに教えてあげたんだから…」



(´・ω・`)「……うん」




ツンが帰った後、ショボンはそのメールを何度も読み返しました。
その顔は笑顔だったが、何故か酷く悲しそうでした。



(´・ω・`)「ジョルジュから…教えてもらった……ジョルジュは前から知っていたんだ…あかねちゃんのアドレス…」



( 'A`)「…あんまり考えんなよ…俺もお前も…馬鹿なんだから…」



(´・ω・`)「うん…」



ショボンは返事を返そうか悩みましたが、気が進まず、結局返しませんでした。

この歳の子なら一度は悩む壁に、ショボンは道を塞がれてしまったのです。

経験の浅いドクオは、ただ見ている事しかできませんでした。



  
30: ◆eF5r2PWbOc :07/29(土) 18:50 BJvASuXnO
  

( 'A`)「…まだ悩んでんのかよ…」



(´・ω・`)「そういうんじゃ…ないんだけど…」



(#'A`)「ああもう、ウジウジ悩むなよ!!
…よし、ショボン!ジョルジュにメールをうてッ!!」



(´・ω・`)「え…でも、ジョルジュは今の時間はバイト…」



( 'A`)「だからだよ!!早くしろよッ!!」




言われるがままに、ショボンはジョルジュへとメールを送信した。
ドクオはそのメールを届ける為に、再びジョルジュのパソコンへと急いだ。



( 'A`)「…本当にバイト中か…これなら都合が良い…」



ドクオは着くなりジョルジュのパソコンのメール受信フォルダをあさっていた。
ドクオは危険な目にあってでも、ショボンを安心させたかったのである。



( 'A`)「どれだ…どれなんだ…?」



( ^ω^)「……」




(;'A`)「ちょ…い、いつから居たんだ…!?」



( ^ω^)「…始めから居たお…ドクオ、君は自分が何をしているのか…わかっているのかお?」



(;'A`)「頼む…この事は…黙っていてくれ…お願いだ…!!」



( ^ω^)「…黙っていてもいいけど…ジョルジュはメールの並び方が変わっただけでも気付く奴だお…どっちにしろバレるのは目に見えているお…」



ドクオは歯を食い縛って座り込み、なんと土下座をし始めました。



( 'A`)「お願いします…ショボンの…あいつが落ち込んでるのを……見ていたく無いんだッ!!」



( ^ω^)「ドクオ…」



( 'A`)「…お願いします……」




( ^ω^)「…とりあえず、話くらいは聞かせてほしいお……後はそれからだお…」



  
36: ◆eF5r2PWbOc :08/01(火) 00:16 mIwqdhtiO
  

( 'A`)「実は…」



ドクオは全てをブーンに打ち明けました。
ブーンは驚くほど冷静で、ドクオの話に耳を傾けました。



( ^ω^)「…その気持ちは痛い程わかるお…でも、それは僕達の干渉する問題じゃないお…」



( 'A`)「でも…ショボンの顔を見てるとなんだが…力になってやりたいって…」



ブーンの出してくれたお茶を飲みながら、ドクオは続けて話した。



( 'A`)「わかってるんだ…俺は所詮『ポストペット』…逆立したって…人間になれるはずなんて無い…」



( ^ω^)「……」



( 'A`)「でも…そんな俺でも…『友達』の為に出来ることがあるんじゃないか…て考えちまったんだ…」



( ^ω^)「ドクオ…」



( 'A`)「ったく…俺らしくもない…何なんだろうな…?」




ドクオは静かにお茶を飲みました。
その顔は妙にすっきりした、言いたい事を言い尽したような顔でした。



( ^ω^)「…親戚だお」



( 'A`)「え…?」



( ^ω^)「あかねちゃんとジョルジュは…単なる親戚だお…ジョルジュにもあかねちゃんにも恋愛感情はないお…」



( 'A`)「ほ…本当か?本当なんだな…ッ!?」



( ^ω^)「ドクオは心配しすぎだお…むしろあかねちゃんの好きな相手は…ショボンだお…!!」



( 'A`)「ブーン…お前…」



( ^ω^)「ただし、この事はショボンには言っちゃ駄目だお?
自分の意志で…行動させるんだお…」



( 'A`)「ああ…」



( ^ω^)「それが本当の…『友達』だお…!!」



  
38: ◆eF5r2PWbOc :08/01(火) 00:34 mIwqdhtiO
  

ドクオはショボンのパソコンへと帰りました。
しかしショボンの姿はなく、どこかへ出掛けている様子でした。



( 'A`)「友達…か…」



ドクオは今までの考えを改めました。
優しくするだけ、助けてあげるだけが友達ではない…ドクオはブーンから、それを教わりました。



( 'A`)「あいつ…いつもはふざけてるのに、たまに良い事を言うよな……ッ!?」



突然の目眩に襲われたドクオは、その場に座り込んでしまいました。



( 'A`)「熱いな…パソコンつけっ放しじゃないかよ…」


パソコンからの熱気のせいだろう…ドクオはそう思っていました。

しかし事態は、そんな生温いものではありませんでした。



( 'A`)「なん…だ?さっきから変な音が…」



カリカリと何かをかじる音、這いずりまわる足音、異様な空気…その全てにドクオは違和感を感じ始めていました。



( 'A`)「もしかして…まさかッ!!」



ドクオはパソコンの内部を見る窓から顔を出しました。
するとドクオと同じ位の大きさの虫が、知らない間に大量発生していました。



(;'A`)「これは…やばいッ!!『ウィルス』か…!?」



ショボンのパソコンはろくなセキュリティーも付けていなかった。
恐らくドクオがブーン宅から戻ってくる最中に付いて来たのだろう。

簡単に『ウィルス』の侵入を許してしまったのです。


(;'A`)「畜生…迂濶だった…!!ショボン…早く、早く帰って来いッ!!」



  
50: ◆eF5r2PWbOc :08/01(火) 19:50 mIwqdhtiO
  

(´・ω・`)「……」



ショボンはハンバーガーショップでゲームに夢中になっていた。
今話題のモンスターを狩るゲームだった。



( ゚∀゚)「よ、お待たせwwwwwww」



(´・ω・`)「あ…ジョルジュ、こっちだよ!!」



ショボンはジョルジュと遊ぶ約束をしていました。
しかし本当は、『あかねちゃん』との関係を聞き出すつもりでした。



( ゚∀゚)「で、何だよ?改まって話って…」



(´・ω・`)「いや…その…」



しかしその話題をしようとしてもショボンの口は簡単には開きません。
まだ心の中で「怖い」と思っているのでしょう。

そんな時、ジョルジュの携帯電話が騒がしくなり始めました。



( ゚∀゚)「お、ブーンの奴…また俺のメールフォルダに突撃したのか…」



(´・ω・`)「なんでわかるの?」



( ゚∀゚)「ポストペット始める時に携帯のアドレス登録しただろ?
登録しておけば親しくなったペットと、こうしてメールのやりとりが出来るって機能だよ。」



(´・ω・`)「すごいな…僕はまだドクオから何も送られて来ないよ…」



( ゚∀゚)「そのうちメールが届くよ……おッ、噂をすればじゃね?」



普段はあまり鳴らないショボンの携帯電話が鳴り、メールが届いた事を告げました。



(´・ω・`)「ドクオからだ…!……えっと…」





(;´・ω・`)「えっ…う、『ウィルス』が…!!」



( ゚∀゚)「ん…どうしたんだ一体…」



(;´・ω・`)「僕のパソコンに…ウィルスが入り込んでるって…」



(;゚∀゚)「なッ…ガチでか!?データが破壊されちまうぞ!!
それに…ドクオだってウィルスにとっちゃ破壊対象だぞ…!!」



(;´・ω・`)「そんな…帰らなきゃ!!
ジョルジュは詳しいんだよね?ついて来て…!!」



(;゚∀゚)「当たり前だろ!?ほら、急ぐぞッ!!!」



  
51: ◆eF5r2PWbOc :08/01(火) 20:10 mIwqdhtiO
  

(;´・ω・`)「はぁ…はぁ…んくっ…はあ…」



ショボンとジョルジュは全速力で家に帰りました。
勿論ショボンの家です。

家に上がるなり土足で二階へ掛け登り、部屋のドアを蹴り開けた。



(;´・ω・`)「ど、ドクオ━━━━━━ッ!!」



二人が目にしたもの…それはウィルスによって心身ともに衰弱しきったドクオの弱々しい姿だったのです。



(;'A`)「お…遅え…よ……うんこーでも…してたのか…?」



(;´・ω・`)「ドクオ…ドクオ…!!」



(;゚∀゚)「こりゃ…今話題の『たらこウィルス』だな…ワクチンが効くかどうか…」



(;´・ω・`)「ああ…あ…ど、ドクオ……あ…」



( ゚∀゚)「落ち着くんだショボンっ!!!!」



(;´・ω・`)「はひぃ…!!」



ジョルジュの怒鳴り声が部屋に響きわたりました。

ショボンは自分を取り戻し、ジョルジュの言葉に耳を傾けました。



( ゚∀゚)「まずはワクチンをインストールする…お前も手伝え!!」



(;´・ω・`)「で、でも…僕はそんな知識なんて…」



(# ゚∀゚)「gdgd言うなッ!!ドクオを助けたいんだろうがッ!?」



(;´・ω・`)「う、うん…」



( ゚∀゚)「『たらこウィルス』は強力だ…ワクチンが効き始めるまでの間、俺がウィルスの進行を止める。
お前はこのCDをパソコンにインストールさせるんだ!!」



(´・ω・`)「…わかった!」




そして二人は共同でドクオの救出に乗り出しました。
友達である『ドクオ』を救うために。



  
58: ◆eF5r2PWbOc :08/02(水) 20:03 oj9ONR+tO
  

(;´・ω・`)「……」



(;゚∀゚)「………よし、終わったぞ!!
ウィルス完全除去、成功だ!!」



(´・ω・`)「やった…良かったドクオ…」



( ゚∀゚)「けど安心するのは早いぜ?たらこウィルスは強力だ…ドクオの受けたダメージはどれほどか…」



(´・ω・`)「うん…」



( ゚∀゚)「…本当はやっちゃ駄目なんだが…俺がドクオを再構築してやるよ!!」



(´・ω・`)「そんな事出来るの?」



( ゚∀゚)「俺を誰だと思ってるんだよwwwwww
ま…怪我を治すくらいなら何も無いだろうしな。」




ジョルジュは自前のノートパソコンをショボンのパソコンに繋ぎ、すごい速さで次々とドクオの怪我を治していく。
ショボンはジョルジュのこんなにも真剣な顔を初めて見た気がしました。



( ゚∀゚)「…よし…いける…!!」



(´・ω・`)「ドクオ…頑張れ…頑張ってッ!!」



ショボンの叫びがこだまする中、ドクオは必死に戦っていました。
ショボンの事、ジョルジュの事、ブーンの事…大切なモノを胸に抱き、戦っていました。



(;'A`)「こんな所で…ウィルスなんかに負けて…たまるか……
まだ出会ったばっかなんだ…まだお互い何も知らないんだ……まだ…これからだ…!!」



ドクオの心の声は細く、しかし決意に満ち溢れていました。


その数時間後、ドクオは意識を取り戻しました。

ショボンとジョルジュの寝静まった、夜中の事です。



  
64: ◆eF5r2PWbOc :08/07(月) 23:29 Ij/Zn13/O
  

( 'A`)「……あれ?」




( 'A`)「どう…なってたんだ…俺は…?たっぷりたらこが居たってのは覚えてるんだが……?」



ドクオは目を醒ました。
辺りの状況を掴もうとキョロキョロしていると、ジョルジュとショボンがぐっすりと寝ている姿が見えました。
ショボンは床で布団も着ずに、ジョルジュはキーボードに顔を押し付けながら熟睡していました。




( 'A`)「…そうだ…ウィルスがこのパソコンに入り込んで……退治しようとしたら……やられたんだった…」



ドクオは未だにハッキリしない頭をフル回転させ、現在の状況を把握しようとしました。
そしてドクオはある結論にたどり着きました。



( 'A`)「ショボン…ジョルジュ……こいつら…俺を助けてくれた…のか…?」




ドクオの居るパソコンの周りにはCD-Rやセキュリティー関係の本が乱雑に置かれていた。
あれだけ破壊されたドクオの部屋も綺麗に片付いていた。



( 'A`)「…馬鹿な奴だな…こんな俺の為に、こんなになって………ん?」




ドクオは自分の部屋の郵便入れが光っている事に気付いた。
あの光り方は見覚えがある…直感でしかなかったが、ドクオはそう確信していた。



( 'A`)「これは…『あかねちゃん』からの……」



あかねちゃんからのメールには、彼女がショボンをどう思っているのかが書かれていた。

それを見たドクオは、思わず満面の笑みを浮かべた。
笑い声を押し殺し、寝ているショボンを見ながら呟いた。




( 'A`)「…人生ってのは本当、何があるかわからないな…ww」





( 'A`)「助けてくれてありがとう…それと……おめでとう……!!」



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