( 'A`)がポストペットになったようです

  
65: ◆eF5r2PWbOc :08/07(月) 23:47 Ij/Zn13/O
  

それから更に一週間が過ぎました。

ドクオの体調はすっかり良くなり、今では前と変わらない早さでメールを配達出来るようになりました。
ショボンはあれ以来『あかねちゃん』とメールのやりとりを始め、前より笑顔でいる時間が増えました。

ジョルジュ・ブーンは相も変わらずのテンションで、常にドクオを困らせていました。
しかし前と違うのは、『うざい』『キモい』と思わなくなった事です。

あの日以来、四人の結束はより強いものになりました。


そんなある日…





( 'A`)「なあ…なんか……変わったモノは無いのかよ…?」



(´・ω・`)「…変わった…モノ…?」



( 'A`)「ああ…何か最近マンネリっつーか、何かこう…『うほっ』っとなる事は無いのかね…?」



(´・ω・`)「…コスプレとか……目隠しとか…」



(;'A`)「おま…そういう事じゃないんだって……いつも同じように配達してるだけじゃつまんねぇんだよ……わかるか?」



(´・ω・`)「あ〜、確かにわかるかも……三日も同じパンツ履いてたら飽きてくるもんね…」



(;'A`)「……なッ!?」



(´・ω・`)「…嘘だよ……そんなにひかなくても…」




二人は他愛ない会話を続けていましたが、ショボンがある物を発見しました。
それは禁断の『TOOL』だったのでした。




(´・ω・`)「…なんだろ?『あなたのポストペットが素晴らしく進化する…使わなきゃ損しますよ…!!』……」


( 'A`)「胡散臭いな…信用できるのかよ…?」



(´・ω・`)「じゃ…止めておく…?」



( 'A`)「…やる」




ドクオは好奇心に打ち勝つ事が出来ませんでした。
しかしそれが、ショボンとドクオが成長するキッカケになったのです。



  
67: ◆eF5r2PWbOc :08/08(火) 00:05 VkvFUajGO
  

そのTOOLは四角い箱の形をしており、ドクオが楽に入れるくらいの大きさでした。

ドクオは早速、中に入ってみました。すると…




(;'A`)「あ、あああ…うわ…あばばば…あぁあ…」




(;´・ω・`)「ちょ…大丈夫なの、ドクオ…ドクオ…!!」



(*'A`)「あ…あふん…あはぁ……あッ…うんぅ……ら、らめぇ……」



(´・ω・`)「………」



箱の中で何が起きているのかわからないショボンは、ただ冷たい視線を送る事しかできませんでした。
そして一分後、変わり果てたドクオが姿を現したのです。




(;´・ω・`)「こ…これは、まさか…!!?」



(;'A`)「まさかな…この俺が…こんな、こんな姿になるなんて…ッ!!」




出てきたドクオの姿は、まさに『赤い彗星』の称号にふさわしいいでたちでした。
頭には角を生やし、服や髪の色も赤く染まり、手にはなぜかマシンガンの様な物まで握っていました。



(´・ω・`)「た、大佐…!!」



(;'A`)「何なんだ…この身体中に広がるパワーは……!?だ、駄目だ…抑えきれないいぃぃぃぃぃぃ…!!」




そう叫ぶとドクオは書きかけのメールを握り締め、全速力で走り抜けていきました。
ショボンはそれをちゃんと見る事が出来ず、ドクオの残像の後を目でなぞっていました。



(;´・ω・`)「す、すごい…いつもの三倍は速いよ…ッ!!」




ショボンの拾ってきたTOOLの正体は『なりきりシャア専用ポストペットVer.1.0』でした。



  
71: ◆eF5r2PWbOc :08/11(金) 18:31 pM1ZXQ+LO
  

(´・ω・`)「大佐…」



( 'A`)「ほあぁッ!!」



(;´・ω・`)「ちょ…速い、速すぎるよ…マチルダさん!!」




ドクオがパソコンを離れていた時間はわずか三秒。
驚異的な速さであった。



( 'A`)「こりゃすげえ…久しぶりの感覚だ…そう、あれはルウム戦役の時に…」



(´・ω・`)「いや、そういう話は今度でいいから…」



( 'A`)「アッソ…」




赤い鎧を身に纏ったドクオは何をするにも速かった。
トイレ、ご飯、風呂、擬似セクロス…全てにおいて他のポストペットの比ではなかった。




( 'A`)「やはり…今の俺は…凄すぎる…、なんて敏感な機体だ…!!」



(´・ω・`)「確かに…良い拾い物だったかもね?ちょっと赤色ってのが難点だけど…」




( 'A`)「ふん…漢のパーソナルカラーを馬鹿にするなんて…坊やだからさ……さ…」



(´・ω・`)「…?」




( 'A`)「さ……さ……さ…さ…さ…さ…さささささささささささささ(ry




(;´・ω・`)「ちょ…ドクオ!?大丈夫なの?…ドクオ!!!」



(;'A`)「ぼぼぼぼぼぼうぅやややややだだだだだだかかだだだかかかかららららららさささささささささささささ…」




ショボンは焦って『TOOL』をダウンロードした西都を開きました。

するとTOPには


『バグが発生するかもしれません。もし発生した場合はこちらの…』




(;´・ω・`)「これ…もしかしてバグのせいなの!?」



(゚A゚)「ぴーぷーぴーぷー…ガリガリ…ウィィィン…ぴーぷーぴーぷー…」



  
72: ◆eF5r2PWbOc :08/11(金) 18:55 pM1ZXQ+LO
  

(;゚∀゚)「ばっかだな…そんな得体の知れないモン使うなよ…」



(´・ω・`)「ご、ごめ…それより今はドクオが…!!!」



(゚A゚)「さぁてテメエラ、覚悟しやがれ…このこのこのベベベベベ…」



(;゚∀゚)「これはこれで面白いがな…それにしても白眼怖いな…」



ジョルジュは一目見ただけでそれがバグのせいだとわかりました。
そしてその対処法も心得ていました。




( ゚∀゚)「これだ…対ポストペットの最終兵器…『収束タラコ砲』だ…」



(´・ω・`)「こ、これが噂に聞く…あの『収束タラコ砲』…ッ!!!」



( ゚∀゚)「ああ…そうだ…メールボムの最終形態と言われ、数々のユーザーを恐怖のどん底に陥れた…まさに『禁断の兵器』さ…」




ジョルジュはパソコンを起動し、『収束タラコ砲』をインストールした。
目的地を設定し、時間、経由先を決めた。
いよいよ発射の時である。



(;゚∀゚)「い…いくぞ…」


(´・ω・`)「うん…!!」



( ゚∀゚)「イグニッション!!」




ジョルジュの指が決定ボタンを押した瞬間、ショボンのパソコンの中にいるドクオに変化が起こった。



( 'A`)「痛ッ…何だよ一体痛い……ッ!!!」



正気に戻ったドクオが見たのは、自分目がけて飛んでくる大量のメールだった。
よけれる数ではない。



(;'A`)「痛たたたたたたたた…ちょ、ちょっと待て!!俺はもう正気に…痛い痛い痛いッ!!!!!」




(´・ω・`)「ドクオ…」



(;゚∀゚)「まだ正気に戻らないか……ならば倍率ドンッッ!!!!」




(;'A`)「痛たたたたたたたたたたた…ちょ…メメタァ!!!!!」



  
78: ◆eF5r2PWbOc :08/23(水) 07:21 gWEo+A+hO
  

それは、いつもと変わらない日の出来事でした。

ショボンとドクオは信頼しあい、もはや親友と呼べるまでの仲になっていました。




(´・ω・`)「んしょっ…それじゃ、いってきます。」



('A`)「おう、しっかり勉強してこい。」




それはやはり、いつもと変わらない日常の始まりでした。




('A`)「……ダルいな…」



ドクオは最近、今までは感じなかった倦怠感に悩まされる事が多くなりました。

ショボンには話していません。
また変に心配するからです。



('A`)「そうだ…ブーンに相談すれば良いんだ…」




力なく呟いた後、ドクオはすぐにブーンの居る、ジョルジュのパソコンへと向かいました。

ブーンの部屋はいつもと変わらず乱雑としており、そこら中に整頓していないメールが転がっていました。




('A`)「んだよ…居ないのか…?」



ドクオはいつもと違う雰囲気に気付きました。

ブーンが居ない。

あの騒がしい、ウザイくらいに元気なブーンの姿は、そこにはありませんでした。



('A`)「…なんだよ…居ないなら、初めから言えよ…」



帰ろうとした、その時です。




( ^ω^)「…お?…誰だお…そこにいるのは…」



('A`)「ブーン!!お前…居るなら居るで、ちゃんと返事くらいしろよwww」




いつもと変わらないドクオの言葉…

だけど、ブーンの口から出たのは、別人のような台詞でした。




(;^ω^)「ちょ…君は誰だお…?勝手に入っちゃ駄目だお、どこのユーザーの人ですかお…?」



('A`)「……え?」



  
80: ◆eF5r2PWbOc :08/23(水) 07:50 gWEo+A+hO
  

自分のパソコンに戻ったドクオは、現状を把握しきれないでいた。

ブーンの態度が急変した理由、それが分からなかったのです。




('A`)「…一体どうしたんだ…アイツ……何だよ、あのそっけない態度は…?」




いくら考えても、ドクオが結論に至る事はありませんでした。
しかし…




ξ゚听)ξ「うわ…相変わらず汚いわね…ドクオ、あんた掃除くらいちゃんとしなさいよッ!!」



('A`)「…ツン…!?」




ドクオはツンに話をしました。
ブーンの態度の急変、ドクオの体調不良、その全てを細かく説明しながら。




ξ゚听)ξ「…そう…そうだったの…」



('A`)「そうなんだよ…ブーンの奴、俺に向かって『どなたですか…?』って言ったんだよ……俺、なんか悪い事でもしたのか…?」




ξ゚听)ξ「……」




('A`)「……ツン?」




ξ゚听)ξ「ドクオ、今から話す事で、絶対に取り乱しちゃ駄目だからね…?」



('A`)「あ?一体何を…」



ξ゚听)ξ「いいから…わかったわねッ!?」



('A`)「お、おう……」




ツンは少し間をおき、話し始めた。

その内容は、衝撃的なものでした。




ξ゚听)ξ「あなたとブーンは…共通した症状を抱えていたわ……ブーンも『だるい』…『倦怠感がすごいお』って言ってたわ…」



('A`)「アイツもか……でも、それで人が変わるとは思えないけどな…」




ξ゚听)ξ「でも変わったわ……文字通り『別人』に…今までのブーンとは違う、別のブーンに…」



('A`)「…別の…ブーン?」




ξ゚听)ξ「正直に言うわ…あなたとブーンに共通する事……それは…」




ξ゚听)ξ「…『寿命』よ…」



  
82: ◆eF5r2PWbOc :08/28(月) 20:30 rRkAjgz8O
  

('A`)「……」



ドクオは布団で横になっていた。この布団はショボンが配置してくれたオプションで、他の何よりも居心地のよい『居場所』になっていました。
ドクオは小さな溜め息をつくと、考え込んだ。
思い出していたのだ…ツンが話してくれた『ポストペットの寿命』について。





('A`)「寿…命?」



ξ゚听)ξ「ええ、私達ポストペットには、あらかじめ『寿命』がプログラムされているの……決められた時間を与えられているだけなのよ…私達は…」



('A`)「じゃあ…なんでツンは、そんな事を知っているんだ…?」




ξ゚听)ξ「それは……私も『寿命』を経験した事があるからよ…」




('A`)「つまり解決策はあるんだろ?じゃあ心配する必要は無いじゃないかwww」




ξ゚听)ξ「…違うの、私は『過去の記憶』をバックアップ……いえ、保存して…新しく生まれた私に植え付けただけなの…」




('A`)「なら俺もその…バックアップを取っていれば…」




ξ゚听)ξ「…簡単な事じゃないのよ……バックアップを取るためにはある『ツール』を使用しなければならない……でも、その『ツール』は…今は何処にも無いのよ…」




('A`)「…えッ?」




ξ゚听)ξ「この『ツール』は強いプロテクトがかけられていて…メールや他の方法では、違うパソコンへのインストールは不可能なのよ…」




('A`)「…じ、じゃあ…俺は一体…どうなっちまうんだよッ!?」




ξ゚听)ξ「さっき聞いた症状だと……もって『三日』…かしらね…」






('A`)「…三日…かよ…」



ドクオは布団の側にある冷蔵庫から、冷えたミネラルウォーターを取り出した。
一口だけ口に含むと、ペットボトルを元の位置へと戻した。


気分が晴れないまま、最後の三日間が幕を開けた。



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