( ^ω^)ブーンと('A`)は走りに生きるようです
- 44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:31:36.39 ID:FA48EW8HO
第六話
ブーン
6月12日。
〇〇県立スタジアム。
サワサワサワ……
そよ風が辺りの草木を揺らし、音を立てる。
その風が僕の長めの髪をなびかせ、またどこかへと消えていく。
ゴオォォォォォォ…
空には一台のジェット機。
後ろに飛行機雲を作りながら、遥か上空を駆け抜けていく。
僕は飛行機を見るといつも思う。
あの空を飛行機のように、どこまでも走りぬけてみたい。
〜Second Stage〜
- 45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:33:18.72 ID:FA48EW8HO
- ( ^ω^)「おっおっおっおっ」
僕は今アップをしている。今日2回目のアップ。
1500Mの予選は余裕だった。
北関東大会といっても4分を切れば決勝にいける。
僕はあまり力を使いたくなかったので、ギリギリのラインでゴールした。
対するドクオはというと、予選からぶっ飛ばして3分56秒のセカンドベスト。
当然、全体で一位のタイムだった。
- 46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:34:56.07 ID:FA48EW8HO
ドクオとはあれ以来会ってない。
予選も違う組だったのでしゃべる機会がなかった。
あの日、ドクオの家に行ったのがそもそも間違いだったのだろうか。
やっぱり僕から謝るべきかな。
そう思いながら体操をしていた時、後ろから誰かに声を掛けられる。
「調子はどうだ?」
- 47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:35:52.70 ID:FA48EW8HO
- 僕はその声に反応し、後ろを振り向く。
('A`)「よ、よう……」
そこに立っていたのはドクオだった。
そうだ、謝るなら今しかない。
そう思って僕は口を開く。
(;^ω^)「あっ、あのー」
(;^ω^)('A`;)「こっ、この前はごめん(だお)!!」
- 48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:37:20.82 ID:FA48EW8HO
(;^ω^)「えっとー……」
まずいかぶった。すごくやりずらい。
(;'A`)「すまん、この前はせっかくお前が謝りに来てくれたのに、あんなこと言っちまって……俺、ちょうどその前にいやなことがあって、内藤にあたったんちまったんだ」
そうだったのか。いや、しかし僕も謝らなければ…………
(;^ω^)「悪いのはブーンの方だお!そんな悪いタイミングにドクオの家に行っちゃって……第一、チュッパチャップスとかいう手土産もふざけてたお」
- 49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:38:53.41 ID:FA48EW8HO
- ('A`)「いや、いいんだ。もう」
( ^ω^)「僕の方こそ。ドクオ………」
('A`)「内藤………」
そして、僕達は近づいていく。
(^( )チュッ
僕らは仲直りの証に熱いキスをした。
- 50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:39:43.15 ID:FA48EW8HO
- ('A`)「じゃあ、また決勝で」
( ^ω^)「わかったお!じゃあまた後で」
ドクオ、今日はさっきのキスのように熱いレースをさせてもらうよ。
- 51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:40:55.23 ID:FA48EW8HO
- ドクオ
「じゃあ男子1500M決勝の召集をしまーす。1レーン…」
今、俺は100Mのスタート地点で召集を受けている。
レースまではあと15分ちょい。
「6レーン、801番、欝田君」
('A`)「はい」
俺はゆっくりとジャージのジップを明け、ナンバーを見せる。
「はい、いいですよ」
- 53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:41:57.23 ID:FA48EW8HO
- ('A`)「っし」
俺は荷物をまとめ、移動し始めた。
今日は予選からかなり飛ばしちまった。
北関東まで来ると結構レベルが高い。
予選を3分56秒でぶっ飛ばしたのに、後ろに二人ぐらいついてきた。
まぁかなり苦しそうだったけどな。
俺もそのせいで疲れている。
- 54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:45:31.24 ID:FA48EW8HO
だけど、負けられない。
クーが見ているんだ。
俺はここ一週間毎日クーと一緒に帰った。今ではなんのわだかまりもなく話せる。
俺はこのレースが終わったらクーに告白する。だからそのクーのためにも、負けられねぇんだ。
俺のライバルの内藤はと言うと、予選はかなり控えめのレースだった。
タイムも4分切ったか切らないくらい。
- 55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:47:16.77 ID:FA48EW8HO
まぁそれはいいんだが、どうにもあいつの唇の感触が残ってて、集中できない。
さっきは感傷的になってついキスをしてしまった。
きもちわりぃ……
( ^ω^)「ドクオ、一緒にスタート地点まで行くお!」
そう思ってるとやっぱり来た。内藤だ。
さっき優しく接しすぎたから、こいつは変な感情を抱いてるかもしれない。
これ以上あまり近づきたくない。
- 56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:48:40.04 ID:FA48EW8HO
('A`)「いや、レース前は集中したいんだ。だから俺、一人で行くわ」
( ^ω^)「そうかお……じゃあブーンも一人で行くお」
('A`)「すまねぇな」
俺はそう言って内藤から距離を置いて移動する。
実際、俺は本当に集中したかったのもある。
まぁこれは妥当だろ。
俺が1500のスタート地点に移動したころには、レースまであと8分となってた。
時間を見て、俺はあわてて何本か流し(少し速いくらいのスピードでのダッシュ)を入れ、靴を兄貴からもらったアシックスのスパイクに履き替える。
- 58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:49:44.55 ID:FA48EW8HO
スパイクを履きおわると、俺は少し離れたところにいる内藤の方を見た。
ああは言ったものの、やっぱりライバルの動きは見とかなきゃな。
やつはペットボトルに入った茶色いドリンクを飲みながら開脚している。
なかなか体が柔らかいようで、180度くらい開いてるみてえだ。
- 59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:50:58.69 ID:FA48EW8HO
あれ?茶色?
おい、なんだよ茶色って。
あいつ何飲んでやがる!?
あのにごり具合…まさか、
(;'A`)「味噌汁、だと?」
ふざけんじゃねぇ!
レース前に味噌汁とか頭いかれてんじゃねえのか?
(;'A`)「おい、内藤。お前、なんだよその飲み物………?」
( ^ω^)「あっ、これかお?これはかみそしると言って、ブーンの高校の先輩がくれた秘伝の味噌汁なんだお!」
- 60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:52:01.24 ID:FA48EW8HO
(;'A`)「ひ、秘伝の味噌汁!?」
あれ?ってかなんかこの場面見たことあるぜ?
俺じゃない誰かが見たことあるって言ってる。
これなんてデジャヴ?
(;'A`)(いやいや、これは俺を集中させないための作戦だ。惑わされちゃいけねえ。集中だ!)
俺は余計な雑念を捨て、明鏡止水の境地に至った。
- 61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:53:02.53 ID:FA48EW8HO
「はい、じゃあ1レーンから順にコースに並んでください」
('A`)(……よしっ)
俺は5レーンのやつの後ろについて、トラックに入る。
タラララッタッタ〜タラララッタッタ〜♪
「つづいての競技は男子1500Mの決勝です。本大会ランキング1位の6レーン欝田君、ランキング2位の10レーン内藤君を筆頭とします、16名の出場です」
- 63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/05(火) 21:55:20.93 ID:FA48EW8HO
大会ファンファーレの後にアナウンスが流れる。
('A`)(ランキング一位……いい響きだぜ……)
「位置について」
「お願いします!!」
選手たちが叫ぶ。
レース前お決まりの言葉みてえなもんだ。
若干カーブしたラインに選手が足を添える。
静寂
パンッ
('A`)「ウラアァァッ!」
スタートの合図と共に、俺は横のやつを押して先頭へ出た。
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