( ^ω^)は綺麗な街に住んでいるようです

5: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 18:52:30.86 ID:tL5L5aJ70
第5話

唐突だが、僕らの尾行作戦は、いきなり失敗に終わっていた。



あの老人達の姿が見当たらない。
ドクオの誕生日から翌日の、2日と3日使って探したが、
それでもやはり、見当たらなかった。

(´・ω・`)「自分から探すってのは難しいね。相手からの接触を待つか」


そして、もう8月4日。夏祭りの日となってしまった。

実はあの出校日のとき、ショボンが文化祭準備のメンバー全員で
夏祭りに行かないか、と誘っていた。


それだけでなく、この日は、僕にとってはある意味重大な日だった



6: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 18:54:05.97 ID:tL5L5aJ70
それは、  ドクオの誕生会の帰り……。

ツンの、

ξ ゚听)ξ「ちゃんとした誕生日プレゼントを渡したいわ」

この一言がキッカケだった。

今日、8月4日の、夏休みの開催時間までに
ドクオの誕生日プレゼントをちゃんと買おう、ということだ

それで、2人でデパートにでも行こう、という話になった。

事情はどうあれ、これは僕にとっては初デートのようなものだ!

僕はかなり早起きをして、意気揚々としながら、
僕は着ていく服を選ぼうとすると、
部屋の中、ケータイの着信音が鳴り響く。

from ツン
sub ごめん!!

急に用事が出来て、今日は買い物行けなくなっちゃった!
祭りには行けるんだけどね……
買い物は明日にしよ! ホントにごめんね!!



7: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 18:56:02.90 ID:tL5L5aJ70
正直凄く、凄く……ショックだった。

うん。だけど、「ごめん」を連呼するツンが見れたので良しとした。


ショボンも、今日はお祭りだし、地下関連は休もうと言っていたし、
僕は9月1日に提出する残りの宿題に取り掛かった。

当然適当に答えを写して終える。
その後はゲーム三昧で昼まで過ごし、昼食を待った。

笑っていいかも、を見ながら昼食の即席ラーメンを食べているとき、
ふと気になることがあったので同席の母ちゃんに尋ねてみた。

( ^ω^)「母ちゃん、町長ってどんな人なんだお?」

J( 'ー`)し「あら? どうしたのブーン? 急に町長さんのことなんか聞いて」

( ^ω^)「えっと……何か、ちょっと気になっちゃったんだお」

J( 'ー`)し「そう。お母さんも詳しくは知らないんだけどねぇ………
      凄い大きな会社の前の社長さんだったのよ、町長さんは」

( ^ω^)「ひぐらしって会社の前社長だったんだおね? どんな会社なんだお?」

J( 'ー`)し「ええっと……製薬会社だったと思うけど………」

( ^ω^)「製薬会社…………」



9: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 18:57:51.84 ID:tL5L5aJ70

J( 'ー`)し「後は、芸術が好きらしい、てことくらいかな」

( ^ω^)「あ! じゃあ、町長のフルネームを教えてくれお!!」

J( 'ー`)し「モララー・シティーポリスマンさんよ。
      ほらブーン、さっさと食べないとラーメンが伸びちゃうわよ」


僕は昼食を食べた後は、豚になる勢いで猛烈に昼寝を開始した。
今日の……祭りに…備えな、、、いt……Zzz   Zzz………



僕が起きたのは午後の5時45分。
ちなみに起きた理由はドクオの
「今日の祭りんときFF8貸して」というメールが来たからだ。

祭りの開催時間はええと確か、6時からだ、やばい!!

僕は急いで鞄を持ち、祭りの券と、ドクオの言うゲームを持って
急いで女神像公園へ向かう。
あそこの、いつものベンチで集合となっていた。

⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーーン

このいわゆるマッハの速度で進んでも、軽く10分は遅刻するだろう。

ドクオの祭りの開始時間ギリギリに"ゲーム貸して"
なんて言うドクオらしい馬鹿馬鹿しさに何となく僕は笑ってしまった。



11: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 18:59:51.35 ID:tL5L5aJ70
案の定10分遅刻してやっと僕は着いた。皆はもう既に全員集合していた。

(´・ω・`)「遅いよ。ブーン?」

(;^ω^)「ご、ゴメンだお、みんな! ……何でショボンは制服なんだお?」

(´・ω・`)「……別にどうだって良いだろう? いや、ファッションの自由さ」

从'ー'从「へぇ〜」

渡辺さんが何でか知らないけど、感心している。
もしかして、ショボンが私服を着なかった理由は……

ξ#゚听)ξ「ブーン!! あんた、レディー待たすのが趣味なの!?」

('A`)「それよりゲーム持ってきた?」

ドクオはお祭りのことなど関係ないってくらい、いつも通りの服装をしていた。
ツンと渡辺さんは浴衣だった。
この夏祭りの雰囲気にちょうど良い、涼しげな可愛さの浴衣だった。


( ^ω^)「ドクオ、あんなギリギリにメールすんなおwwww」

ξ#゚听)ξ「シカトすんなああああああああああああああ!!!!」



15: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:02:38.55 ID:tL5L5aJ70
女神像公園からグランドまでは歩いて5分も掛からない。
僕らは直ぐに祭りの会場に辿り着いた。


地下にゴミの集積所が存在するであろうこのグラウンドも、
そんなモノは全然関係ないよ、と言わんばかりに今日は熱気に包まれている。

('A`)「すげー人だかりだな。地下に確か、空間があるんだろ? 陥没すんじゃね?」

( ^ω^)「渡辺さんが居るんだから、その話は止めるおドクオ」

渡辺さんはツンと喋り込んでいるから、そう聞かれることも
まあ無いとは思うけど、やはりドクオはどこか抜けている。


从'ー'从「まずは、ジュース貰おうか!」

(´・ω・`)「そうだね! ジュース会場まで急ごうか!」

何か知らない間に、ジュースを買うことが決定してた。
僕にとって、夏祭りの代名詞の飲み物はQOO。
あの気持ちの良い喉越しを思い出し、僕はその意見に頷きまくる。

ジュース会場は行列が出来ていた。
このままだと、夏祭りに欠かせないQOOが買えないじゃないか……。



17: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:03:36.45 ID:tL5L5aJ70

この夏祭りは、どちらかと言うと小さな街のヴィップらしく、
交換券で食べ物を貰ったり、あとはちょっとゲームするだけの小規模なものだった。
露店も、無いワケではないが、やはり一般のと比べると相当少ない。

ξ ゚听)ξ「今日、行けなくってゴメンね」

並んでいる途中、唐突にツンが今日のことを謝りだした。

( ^ω^)「いいお、明日行けるんだし」

ξ ゚听)ξ「そ……そうね、ありがと」


(´・ω・`)「お、やっと僕らの番だ」

从'ー'从「何にしようかな〜。あ、QOOがあと一個! 取っちゃえ!」

( ゚ω゚)「 ! 」

(´・ω・`)「良かったね! あれ、ドクオは?」

ξ ゚听)ξ「ビールの方に向かったわよ」

( ゚ω゚)



19: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:05:10.02 ID:tL5L5aJ70
僕は、どちらかと言うと伝統を大切にする方かもしれない。
例えばお婆ちゃんの家に行ったときは、
僕は必ず紅白饅頭を食べる。
昔、お婆ちゃんが僕にくれてからの、慣習だった。

( ゚ω゚)

だから僕は、夏祭りにはQOOを飲むという伝統が壊され、放心していた。
いや、でも、伝統って……そうだ、過去に縛られるなブーンよ!!
そういう慣習なんかあるから……いつまでも童貞、いやこれは関係ないか

ああQOOが飲みたいよおおお!

ξ#゚听)ξ「ちょっとブーン! 早く選びなさいよ!」

( ゚ω゚)「ハッ!」

あ、気がついたら僕の番になっていた。
急いで係りの人に、交換券を渡し、氷水の中のペットボトル群に目を向ける。

何にも考えず、おーい!お茶を選んだ。



24: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:07:24.73 ID:tL5L5aJ70
(´・ω・`)「ふう……ジュース買うだけで時間潰れちゃった気がするよ」

( ゚ω゚)「いやー。ドクオが見当たらないお」

ξ ゚听)ξ「アイツはビールの方に向かったわよ……あ、来た」

(*'A`)「よぉー! 遅れてスマンねぇ! ヒック!」

(´・ω・`)「登場早々、出来上がっちゃってるよコイツ」

从'ー'从「えぇ? ドクオくんビール飲んでるの〜?」

(*'A`)「中一の頃から飲んでまっせ〜!!」

从'ー'从「悪い子だね〜  あれ、ブーン君どうしたの?」

( ゚ω゚)「え、僕がどうかしたかお?」

(´・ω・`)「顔が絶望しきってるぞ」

ξ ゚听)ξ「何かあったの?」

(*'A`)「あ、こいつ夏祭りなのにQOO飲んでねえ!!」

从'ー'从「え?」



26: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:08:25.41 ID:tL5L5aJ70

(´・ω・`)「……そういえば……でも、それはしょうがないさ……」

从'ー'从「……あの、ブーン君。もう飲んじゃったけど、要る??」

( ^ω^)(;´・ω・`)「 ! 」

( ^ω^)「い、いいのかお?!」

从'ー'从「あ! でも、そのお茶欲しいから、交換みたいなんだけど、いいかな〜?」

( ^ω^)「勿論だお! これ、まだ飲んでないから安心してだお!」

(*'A`)「良か良か。これぞ青春。若さの切符って奴よ!」

ねんがんの QOOをてにいれたぞ!

(´・ω・`)「ころしt (*'A`)「次は射的行こうーぜ!!!」



29: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:09:41.18 ID:tL5L5aJ70

射的場も混んでいるかと思ったけど、
そんなことは無く意外と空いていた。

( ^^ω)「3発で500円ホマ!」

ξ ゚听)ξ「オーケー。ここは任せといて」

ツンは僕達にウィンクすると、拳銃を構えた。

片目を瞑り、真剣に、ガムのボトルを狙い、撃つ!
しかし、それは惜しくも外れてしまった。

( ^ω^)「あと1センチだお、ツン!」

ξ ゚听)ξ「分かってるわ……」

再び、構え、ツンは再びガムのボトルに向け撃つ。

(´・ω・`)「お見事」

ツンは目的の獲物を狩れたようだった。
続けてツンは銃を横にずらし、今度は素早く撃った。
ジッポっぽいライターを撃ち落した。

( ^^ω)「凄いホマ! お嬢さん500円分軽く取り返したホマ!」

ξ*゚听)ξ「えっへっへ〜。ありがとうございます!」



30: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:10:57.65 ID:tL5L5aJ70

(´・ω・`)「じゃ、次は僕だね」

ショボンはツンの狙い撃ちと比べると、かなりの速さで3発連射した。
しかしそれはヤケクソというものでなく、いわゆる早撃ちみたいなものらしかった。

どこでも将棋セット、コンビニサイズのヘアワックス、微妙なものばかり撃ち落していた。
渡辺さんにプレゼントするという発想が無かったのだろうか?

(´゚ω゚`)「……!」

今気付いたようだった。

僕と渡辺さんは、あまりお金を持ってないのでやらなかった。(祭りは交換券で事足りるから)


(*'A`)


最後に撃つのは、この出来上がったドクオだ。



32: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:11:50.22 ID:tL5L5aJ70

(*'A`)y=ー ターン    

(*'A`)y=ー ターン 

(*'A`)y=ー ターン !!


ドクオが3発全部使って狙ったのは、一番上の台に設置してあったエアガンだった。
恐ろしいことにドクオは、出来上がっているのにも関わらずそれを撃ち落したのだ。


( ^^ω)「おめでとうホマ! 何と、これは一番の目玉みたいなものホマ!!」


(*'A`)「おやっさん……目玉はもうちょっと、ガードを堅くしねぇとな。色っぽくよぉ」


从'ー'从「ドクオ君、かっこいい〜」

(´・ω・`)「よかったね」

( ^ω^)「凄ぇおドクオ!!」

ξ ゚听)ξ「ホントホント。……あ、ビンゴ大会が始まるわ!」



33: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:12:38.89 ID:tL5L5aJ70

入場の際、配られたビンゴのカードを見る。
4と9の数字が沢山並んでいた。何てこった、とてつもない不吉な予感。

司会「それでは〜次の数字は……18!!」

从'ー'从「あ、やった〜」

司会「デロデロデロデ〜ン。次はぁ………23!!」

(´・ω・`)「お、来た来た」

ξ ゚听)ξ「アタシも来たわ」

司会「次は〜35!!」

从'ー'从「きゃ〜、まただ〜♪」

( ^ω^)「……」


・・・・・・・・・・・

从'ー'从「やった〜ビンゴォ!! いっち番だ〜♪」

ξ ゚听)ξ(´・ω・`)「おお、おめでとう!」

( ^ω^)「おめでとうだお」



35: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:14:06.39 ID:tL5L5aJ70
終盤に差し掛かったビンゴゲームで、真ん中以外何一つ開いていないこのカードは、
凄まじく珍しいかもしれないが、
凄まじく価値の無いものでもあることは間違いない。

その通り、僕は何一つ数字が当たっていない。

( ^ω^)「僕は逆に凄いんだお」

ξ ゚听)ξ「ん? どれどれ……何、アンタのそのカード………」

ツンが本気で引いていた。無理も無いかもしれない。
その内、渡辺さんが商品を抱えて持ってきた。
一等賞はI Pod nanoのようだった。 本気で羨ましい。
僕のこのカードだって、《青眼の白龍》並にレアカードなハズだ……
何か商品が欲しいよ。

('A`)「お前らそんな遊びにいつまで興じてるんだぜ?」

ドクオがフラリと何処からか帰ってきた。
どうやら酔いは醒めているようだった。

(´・ω・`)「一等はI Pod 。二等はバーローの全巻セット。
       三等はセイウチの置物だからね。皆必死なんだよ」

('A`)「委員会はどんなセンスしてんだ?」

( ^ω^)「ドクオ、お前の使ってないカード見せてお」



38: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:16:00.20 ID:tL5L5aJ70
僕はドクオの新品のカードと、スクリーンに表示されてる当選番号を見比べた。

( ^ω^)「…………」

( ^ω^)

( ^ω^)「…………当たってるお、多分渡辺さんより早くビンゴしてると思うお」

('A`)「え?マジ? じゃあ、今渡せばバーローの全巻セット貰えるワケか!!」

( ^ω^)「落ち着けおドクオ、バーローセットにどんな価値を見出しているんだお?」

(´・ω・`)「君達さっきから何やってんの?」

('A`)「お前こそセイウチの置物に何の価値を見出しているんだ?」

ξ ゚听)ξ「もしかして、いきなりビンゴとかじゃないわよね?」

从'ー'从「あれれ〜、もしかして私、実は2番目だったの〜?」

('A`)「一等はI Pod nanoか、惜しいことしちまったな……」

( ^ω^)「とにかく、今狙うのは3等だお。バーローはだめだお」



39: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:17:51.95 ID:tL5L5aJ70
2位の人が交換した後のタイミングを合わせ、僕はセイウチの置物と交換した。
手に入れた瞬間、何故こんな、くだらない置物に自分が固執していたのか
分からなくなってしまった。自分自身にゲシュタルト崩壊を起こしそうだ。
ただ、バーローは家に全巻揃っているってだけでこんなモノを………

('A`)「ウィキペディアのセイウチの画像って怖くね?」

ξ ゚听)ξ「本当に、何でアンタそんなの欲しがってたの?」

何かよく分からない、グダグダに煮込まれたような雰囲気の中、ビンゴ大会は終了した。


(´・ω・`)「……非常に言いにくいことがある。 僕らは時間配分に失敗した」

ξ ゚听)ξ「え? どういうこと?」

(´・ω・`)「ビンゴ大会が終わると、後は打ち上げ花火を見て終わりなんだよね」

从'ー'从「ふぇぇ〜?? もうそんな時間なの〜?」

( ^ω^)「ビンゴ大会、相当時間掛かったからだお」

('A`)「祭り帰りのあの雰囲気が俺、好きなんだよ」

( ^ω^)「何か分かるような気がするお」

ξ ゚听)ξ「もう! 終わった後の話していでよ! せっかくのお祭りなのに!!」



40: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:19:53.11 ID:tL5L5aJ70
ショボンが僕らに叫ぶ。

(´・ω・`)「ねえ、もう打ちあがったよ!」

え、と振り向いた瞬間、弾けてそれは綺麗に空中で爆発した。

もう打ちあがっていたんだ。
花火の打ち上がる瞬間を見なかったためか、
空中の火の花は本当に新鮮に見えて、
本当に―――感動した。

光がちらちらと粒となって消えていくのを眺めた瞬間、
突然胸の中で、心地よい倦怠感が生まれだした。

心臓がドキドキと鳴って、胸の辺りがもやもやとし始め、
立ち続けることすら、辛いような感覚。

息が少し荒くなる。
僕は、隣のツンを見て、この倦怠感の発生理由を確信した。




僕は、ツンに告白したがっている。



42: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:21:43.85 ID:tL5L5aJ70
それに気付いた瞬間、心臓が飛び跳ねるように暴れ回り、
倦怠感が更に体を支配していく。

更に理性が「止めろ止めろ、バカなことをするな」と警告している。
ツンの顔を見ることが出来ないほどの、警告。

僕の体の中ではパニックが起こっていた。

でも、僕はそんな警告を無視して、ツンの顔を見ようとした。

理性の警告を捻じ曲げ、行動する時に生じる、あの甘い感覚が僕を襲った。

その苦行と快感を乗り越え、ツンの横顔を僕は見た。
花火に照らされたその顔は、いつもより可愛らしかった。

ξ ゚听)ξ「…………何?」

見惚れていたようで、僕の視線をツンは感じたようだった。



45: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:23:24.70 ID:tL5L5aJ70

ξ ゚听)ξ「花火……見なくていいの?」

その瞬間、周りが歓声が沸き起こす。どうやら巨大なものが打ち上げられたようだ。

( ^ω^)「えと……その……いいんだお」

ξ ゚听)ξ「あ、そうなの……」

ツンは下を向く。僕はそんな様子をずっと見ていた。
またも、歓声が沸き上がる。多分渡辺さんははしゃいでいるのだろう。

ξ ゚听)ξ「………何で、いいの……?」

ツンは顔を上げ、僕の顔を真剣な眼差しで見つめた。
僕は、返答をしようとするも、またもあの"理性の警告"が強く発される。
だけど、僕はまたもそれを押し曲げる。
立っているのが苦しいほどの、甘い感覚が更にどんどん僕を支配する。

声は震えていたかもしれない。とても小さな声だったかもしれない。
でも、僕は、勇気を振り絞り、
理性を押し退け、確かにこの言葉を発した。


( ^ω^)「ツンが、好きだからだお」



46: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:24:44.23 ID:tL5L5aJ70

でも、悲しいかな、それは花火の音に掻き消され、

ツンの耳には届かなかった。

ξ ゚听)ξ「え………?」

(;^ω^)「あ、いや! その………」

2度目を言う勇気は、もう僕には無かった。


ξ;゚听)ξ「あ! あの………アタシも、話があるの…!!」

( ^ω^)「え?」

ξ;゚听)ξ「えと………その……ええっと……」

ツンが急にモジモジとし、もう一度下を向く。
何だか、ツンがこの先……何を言うつもりなのか、分かったような気がした……。

( ^ω^)「…………」

ξ///)ξ「あのね!………えっとね!………その………」

更に歓声は沸き起こり、僕とツンはこの喧騒の中2人きりということを思い出す。
ツンが急に顔を上げ、僕はビックリした表情のまま、目を合わせる。



48: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:25:57.44 ID:tL5L5aJ70

      ξ///)ξ (^ω^;)

    ξ///)ξ 「…………」 (^ω^;)



ξ゚ー゚)ξ 「ふふ……ふ……ははは……はははは」 (^ω^ )

何故だか、お互いに笑ってしまった。
大笑いなどではなく、まるで軽いジョークについ、笑ってしまったみたいに。

緊張が弛緩され、僕は倦怠感から解放されたが、
同時に何だか物凄く重要なものを失った気がした。


ξ゚ー゚)ξ 「えっとね、明日の買い物……張り切ろうねって」

( ^ω^)「うん! ドクオのプレゼントしっかり選ぶお!!」

ξ゚ー゚)ξ 「そうね……」

最後の花火が打ち上げられたようだ。



49: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:27:17.46 ID:tL5L5aJ70

从'ー'从「凄い花火だったね〜。ほんと、綺麗だったよ!」

(´・ω・`)「ワンダフルだったよね!」

('A`)「時間は今、9時。ま、そんなトコか」

( ^ω^)「でも、これで終わっちゃったのかお………」

(´・ω・`)「また来年もあるさ」

正直、残念だった。でも、ショボンの言うとおり来年がある。
僕は前向きに考えた。

時間は沢山あるんだ。
まだ遊べるし、まだ……ツンに告白するチャンスは沢山ある。

とりあえず今日は帰ろう。女の子2人を夜遅くまで外に留まらせちゃダメだ。

その時だった。



50: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:28:40.61 ID:tL5L5aJ70
/ ,' 3 「おお、君達! そう、そこの3人だよ!! 祭りの後片付けを手伝ってくれ!!」

突然、老人に声を掛けられた。

( ^ω^)「え、僕達ですかお?」

/ ,' 3 「君達以外誰が居るんだね!? ささ、まずはこの本部のテントをね……」

('A`)「あ、あの! 僕らこの娘達を……」

ξ ゚听)ξ「あたし達も手伝いましょうか?」

/ ,' 3 「いやいや、帰りが遅いと危険だから、君達2人は帰りなさい。
     ほら、そこの若いの! ここのポールを持ちなさい!!

(;'A`)「あ、ははい!!」

/ ,' 3 「ほら、そこの君はロープを縛って!!」

(´・ω・`)「……どうやら送ってける雰囲気ではないみたいだね、ごめん」

ξ゚ー゚)ξ 「大丈夫よ、どうせ家近いしね」

从'ー'从「うん………平気だよ」

(´・ω・`)「そう? じゃあ、本当にゴメンね。それじゃあね」



54: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:31:02.82 ID:tL5L5aJ70
/ ,' 3 「じゃ、次はこの旗を……」

・・・・・・・・・・・・・・・

後片付けはかなり遅くまで続いた。夜の11時頃にやっと終わった。
ボランティアの割には相当酷使された………。

(;'A`)「あー、疲れた……。ちくしょう、帰り道に誰も居ねえじゃん!
     あの祭りの帰りの喧騒が楽しみだったってのによ………」

( ^ω^)「確かにだお。それに報酬もくれないなんて理不尽だお!」

(´・ω・`)「あの老人、どっかで見たような………」

それぞれ3人が、別々の事を喋りながら帰り道を歩く。
だだっ広いこの並木通りを越えれば、ハルヒルズはすぐだ。

('A`)「ま、このガンが手に入っただけでも価値はあったぜ」

射的で手に入れたエアガンを、ドクオは相当気に入っているようだった。
既にガンを箱から開放し、その黒いボディをこんな夜に煌めかせている。

明日から、 僕らはまた  尾行をやるのかな? 何か退屈だな……

そう考えていたときに、何かが目の前に見えた。



56: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:32:41.93 ID:tL5L5aJ70

(´・ω・`)「……?」

ショボンが目の前を見据え、不審がる。
僕もショボンに習って道の先を見る。

居る。…………男だ。
スーツを着た一人の男が、まるで僕らを立ち塞ぐように
道の中央に堂々と立っていた。

('A`)「……変な奴だな」

ドクオが小声で喋る、
確かに、不審だ。こんな時間に、まるで僕らを待っていたかのように立っているこの男は。


(  )「……後片付け中に話しかけても良かったのだが……」

唐突にその男が喋りだす。僕らはビックリして体を硬直させた。
男が少し、僕らに近寄る。男の顔がおぼろげながらも、僕の眼に映った。

( ´_ゝ`)「ここでの方が、都合が良いのでね」



58: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:35:46.42 ID:tL5L5aJ70
('A`)「……誰、アンタ?」

ドクオがエアガンを握り締め、謎の男にぶっきらぼうに問いかける。

( ´_ゝ`)「これは失敬。私は、"流石"という者だ。君らに用がある」

(´・ω・`)「……用、ですか?」


( ´_ゝ`)「そうだ、"地下"について……な」

(;^ω^)「 !!!!  」

ま、まさか……この男は……。

地 下 の 人 間 ?!


( ´_ゝ`)「その反応。まさしく。私の予想通りというわけだな」

(;'A`)「………」

( ´_ゝ`)「ならば、話は早い。単刀直入に言おう」


( ´_ゝ`)「君達には、ある場所に着いていって貰おう」



62: ◆tOPTGOuTpU :2007/06/11(月) 19:37:39.45 ID:tL5L5aJ70

(´<_` )「そろそろ……兄者は……」

私は壁に立てかけた時計を見る。11時過ぎを指していた。

(´<_` )「例の子供達を狙っている頃か」

ふう、と溜息をつく。
もしその子供達がSpecialならば、何が何でも我々は、連行せねばならない。
それこそ……どんなに手荒なマネをしてでも……。

(´<_` )「ふむ……。それにしても、今日は中々駆除が出来たな。
       やはり祭りの開放感というのは絶大なものだ。
       彼らは帰り道、何を思ったのだろうな……?」

だが、彼らの不幸は、幸せのためなら全ては、しょうがないのだ。
犠牲があるからこそ、幸せはいつまでも輝き続ける。(第5話終)



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