新ジャンル:FPSのBOT

231: :2007/06/03(日) 08:33:38.31 ID:RVRbdAeL0

やっぱりこんな奴を残しておいちゃいけない。
外見が幼女だからってやってる事はどっかのキチガイだ。どうかしてる。

( ^ω^)「恨みはないけど…」

僕はスナイパーライフルの銃身を持ち上げる。
NULLは少しだけ非難するかのような顔をしていたけれど、すぐに目を伏せてしまった。
……何だと言うんだろう。

(*・∀・*)『何で!?大体、NULLは正式なAIじゃないのに……!』
(; ^ω^)「えっ?」
(リ_゚ ワ゚ノリ『……4番機、だが、それはお前が脱落しない理由にはならない』
(*・∀・*)『未完成品が何を……』

瞬間、幼女の身体に無数の風穴が空いた。



232: :2007/06/03(日) 08:34:50.39 ID:RVRbdAeL0

(´・ω・`)「NULL、つまり0番。プロトタイプって奴かな?」

撃ったのはいつのまにか来ていたSyobonだった。
軽機関銃を構えたまま、淡々とそんな事を言う。

(リ_゚ ワ゚ノリ『……正確ではないが、大体そうだ』
(´・ω・`)「うん、殺人を前提にしたAIにしては思考がおかしいと思ったんだ」
(リ_゚ ワ゚ノリ『私はAI部分を軍事目的の開発以前のバージョンが占めている。不自然なのはそのせいだろう』
(´・ω・`)「はあ、なるほど。まあ、だから僕は君を勝たせたいと思ったんだね」

起爆スイッチを取り出す幼女に、不気味なほど的確な射撃を浴びせながら、Syobonは言う。

(´・ω・`)「こんなのが戦争をするようになっちゃおしまいだ」
( ^ω^)「…いつから」
(´・ω・`)「最初から。でなきゃとっくに僕がNULLをキルしてる」
( ^ω^)「…」

致死ダメージを食らった幼女の姿がブレて消えた。
戦意を失った敵軍は沈黙し、何とも言えない空気が戦場を支配する。

やがて鯖が止まる。
僕はモニターの前で何とも言えない苦い気分でマウンテンデューを開け、飲み干した。



234: :2007/06/03(日) 08:37:38.08 ID:RVRbdAeL0

僕は正しかったのだろうか。
それとも間違っていたのだろうか。

NULLを番外なのだとして、残るAIは一機だ。
彼女だけが別格なのだと仮定すると、恐らく、最後のAIも今までキルしてきたAIと同じような奴なんだろう。
……NULLを勝たせて良かったのだろうか。

(リ_゚ ワ゚ノリ『私が投入されたのはあくまでトライアルとして新AIと旧バージョンの私を比較する為だ』

正式なAIではないと言うNULL。
だったら、全然違う結果が本来の結果で、僕達がそれを歪めてしまったのではないか。
とんでもない事をしてしまったんじゃないか。
それが、ひどく重い事の様に思えて。

僕はFPSをやめる事にした。


悪い癖だと自分でも思う。
悪い癖なんだ。本当に。



244: :2007/06/03(日) 09:06:27.04 ID:RVRbdAeL0
夢を見た。


(リ_゚ ワ゚ノリ『Boon、何故狙撃しかしない』
(; ^ω^)「う」
(リ_゚ ワ゚ノリ『君の腕ならもう少し前へ出て戦った方が戦果を挙げられるしチームに貢献できる』
( ^ω^)「……そんなことないお」
(リ_゚ ワ゚ノリ『私と最初会った時のように立ち回ればいいのではないか』
( ^ω^)「そういうのはDokuoとかSyobonみたいな奴に任せれば良いお」
(リ_゚ ワ゚ノリ『納得がいかん。出来る者が出来る事をする。それが最低限の理ではないのか』
( ^ω^)「npnp!」(何でこんなに食い下がるんだ…?)

その後はグダグダな口論が続いた。
NULLは前に出ろと僕を急かし続け、僕は逃げ回る。そんなくだらない光景が続いた。


そんな頃の夢を見た。
何かの予感だったのかも知れない。



245: :2007/06/03(日) 09:07:58.18 ID:RVRbdAeL0
かったるいだけの学校から帰ってPCを立ち上げると、メールが届いていた。
差出人は空白で、新手のスパムかと思った。
けれど。

『Boon、すまない。最近姿が見えないのでこのような形で連絡をする事を許せ。
 今日最後のAIと戦闘を行う。
 勝てるかどうかは分からない。だが、君達と共にした日々の記録を消すのは、その、何となく良くない。
 故に勝ちたいと私は結論付けた。
 たとえ私が勝ってもトライアルは終了し、もはや今度こそ君に会うことは二度とあるまい。
 だから、最後に君に会えて良かったと伝えたかったのだ。
 すまない。
 ではな』

最後まで目を通した。何度も読み返した。
なんてこった。
馬鹿じゃないのかと、すぐにそのメールはをゴミ箱に叩き込んだ。
死亡フラグじゃないか。どう見ても。NULLは戦闘以外ではちょっとアホだと思ったが、想像以上だ。
どうかしてる。


僕は狂ったように「バトルストライク2007」のショートカットをクリックしまくった。
どうかしてるのは、僕か。



246: :2007/06/03(日) 09:09:30.30 ID:RVRbdAeL0
(´・ω・`)「Boon来ないね」
('A`)「ま、いいんじゃねえか?さっさと行こうぜ」
(リ_゚ ワ゚ノリ『……了解した』

NULL達の名前を見つけて急いで鯖に飛び込む。
間に合ったと安堵し、ついでに僕は敵の姿を見ておこうとカメラを走らせる。
見ればDokuoとSyobonはウォーカーを手に入れていた。メインにDokuo、ガンナーにSyobonというガチな組み合わせだ。

僕が来なくてもこれなら普通に勝てるんじゃ、と楽観的な思いが過ぎる。

('A`)「……ああ、Syobon」
(´・ω・`)「なんだい」
('A`)「ちょっと機体にソナー貼り付けてくれ。この間みたいなのが潜んでるかも知れないからな」
(´・ω・`)「おk」

Syobonがウォーカーから降りる。
その時、僕は目を疑う羽目になる。

('A`)「悪いな」
(´・ω・`)「ん?」

降りたSyobon目掛け、Dokuoのウォーカーがガトリング砲を放ったのだ。



249: :2007/06/03(日) 09:11:15.19 ID:RVRbdAeL0
舞い上がった煙の中でSyobonが紙切れのように舞う。
僕が、そしてNULLもが状況を理解出来ずに思考を止める。その隙に、DokuoのウォーカーはNULLの方へ向き直る。

('A`)「くたばれ、機械野郎」
(リ_゚ ワ゚ノリ『軍曹!?』

NULLが降り注ぐ砲弾の中に消える。不味い。非常に不味い。
僕は迷わず、すぐ傍の拠点に沸いた。

( ^ω^)「Dokuo!てめぇ!」
('A`)「はん!遅かったなBoon!」
(´・ω・`)「何故裏切ったんだい、Dokuo」

NULLは……まだ生きていた。建物を盾にしてDokuoの射程圏内から離れたのだろう。
相変わらずの動きの冴えだが、ダメージは浅くない。
Syobonもリスポンしたは良いけど遠い。

('A`)「お前ら良く考えてみろ。機械が人様に取って代わって戦争だぁ?反吐が出る」
( ^ω^)「それは……」
(´・ω・`)「NULLは他のAIとは違う」
('A`)「それでも他よりマシってレベルでしかねぇよ。無理だ。俺には許容できねぇ」
(´・ω・`)「…」

Dokuoは-----多分、正しい。
僕だって少なからずそう思う。完全に戦場がAIに支配される日も来るかもしれないと思うとぞっとする。
でも。



250: :2007/06/03(日) 09:13:34.86 ID:RVRbdAeL0

( ^ω^)「……NULLをキルしたら最後のAIは誰が倒すんだお!」
('A`)「このラウンド中に探し出してぶっ殺せば良いんだろ?出来るさ」
(´・ω・`)「それは慢心だよDokuo」
('A`)「NULLと相打ちになれば理想なんだがな。最悪二人まとめて吹き飛ばす」

僕はDokuoのウォーカーの背後に回り込み、爆薬を持つ。
やるなら、今しかない。

(リ_゚ ワ゚ノリ『軍曹、無理だ』
('A`)「機械野郎は黙ってろ」
(リ_゚ ワ゚ノリ『いや軍曹、聞いてくれ。最後のAIは人間では絶対に勝てないのだ』
('A`)「お前らが兵器に弱いのはよく知ってるぜ。コイツさえあれば……」

言いかけたDokuoのウォーカーの前に、何かが、線のようなものが現れ始める。

(リ_゚ ワ゚ノリ『試験段階の転送システムを運用し、拠点制圧を単体で行う最強の戦闘システム』
(; ^ω^)「て、転送システム?」
(リ_゚ ワ゚ノリ『構想に過ぎない。だがこれはヴァーチャルだ。実用段階前のそれさえ再現し、トライアルに参加させた』
(´・ω・`)「テレポートだって?なめとんのか」

現れたのは戦車だった。Dokuoのウォーカーに砲身をこすりつけるようにして取り付き、主砲をぶっ放す。
ウォーカーは火花と黒煙を上げながら姿勢を崩す。が、Dokuoも黙っては居ない。



252: :2007/06/03(日) 09:17:02.92 ID:RVRbdAeL0

('A`)「ファッカー!」

ほぼ零距離でランチャーを連射し、戦車を破壊する。
しかし、更に彼の後方に戦車が現れ装甲の薄いウォーカーの背部に砲弾を撃ち込んだ。
そこでもう、僕はDokuoの末路を見届けるのを諦めた。
あれが最後のAIの能力だとすれば、勝敗は見えている。
全滅だ。

(; ^ω^)「NULL、逃げるお!」
(リ_゚ ワ゚ノリ『無理だ。私も補足されたらしい』
(; ^ω^)「お前なら振り切れるお!」

レーダー上のNULLの光点の周りに無数の反応が現れている。
FAVだ。機動力に優れた移動用の軽車両だが、備え付けの機関銃で殺傷力もある。それが四台ほどNULLを囲むように配置されている。
僕は全速力でNULLの元へ駆けていた。
毎度毎度、危ない所は切り抜けてきたんだ。今度も何とかなるし、何とかする。

( ^ω^)「諦めるんじゃねーお!今僕が……」
(´・ω・`)「いや、Boon、そこでストップ」
( ^ω^)「何でだお!」
(´・ω・`)「今から敵の目を潰す。多分、そうすれば敵AIはNULLを肉眼で確認せざるを得なくなる」
(リ_゚ ワ゚ノリ『衛星施設を破壊する気か、Syobon』
(´・ω・`)「うん。向こうはスキャンが使えなくなる。Boon、君が現れたAIを狙撃するんだ」



253: :2007/06/03(日) 09:18:56.55 ID:RVRbdAeL0
NULLは持つのか。Syobonは確実に施設を破壊出来るのか。そして僕は、AIを倒せるのか。
綱渡り過ぎる、完全に賭けと言っていい作戦だった。

(リ_゚ ワ゚ノリ『やれやれ、勝っても負けてもお別れなのだが』
( ^ω^)「……惜しいのかお?」
(リ_゚ ワ゚ノリ『当然だ』

聞き慣れてしまった合成音声に僕の口元が緩む。
出来るさ。
僕達なら出来る。そんな気がする。

(´・ω・`)「おk、それじゃ派手に暴れよう」

ξ゚听)ξ『私は面倒が嫌いなのに』

敵施設が一斉に爆発した。いや、それよりも僕はSyobonの傍に沸いたウォーカーに驚いていた。

(; ^ω^)「な、何で……!?」
(リ_゚ ワ゚ノリ『馬鹿な。二番機は機能を停止した筈だ』
(´・ω・`)「こんな事もあろうかとコピーしておいた。名前はBOTの女の子だからボッ子。実は奥の手だったんだけどね」
ξ゚听)ξ『ちょっと!喋ってる暇があったら乗ってよ!』
(´・ω・`)「……ごめん」



255: :2007/06/03(日) 09:20:19.30 ID:RVRbdAeL0
Syobonがガンナー席に乗り込み、ウォーカーが起動する。
迸る動力。駆動音。そして頭上に現れる「フルアーマーボッ子」の文字。

(´・ω・`)「略してフルボッ……」
ξ゚听)ξ『ちょっ、敵来てるわよ!』

不吉な名前だ。しかもどうでもいい。とにかく時間を稼いでくれてありがとうSyobon。
僕は一目散に基地の一画の建物を駆け上がり、屋上を目指す。

(; ^ω^)「NULL、生きてるかお」
(リ_゚ ワ゚ノリ『np』
(; ^ω^)「奴の外見は分かるかお」
(リ_゚ ワ゚ノリ『分からない。他のAIと似通っているかも知れんし、全く別の形状かも知れん』

それじゃどうしようもないじゃないか。
悪態をつきそうになるのを堪え、ひたすらに屋上を目指す。
あと少し。

視界が明るみ、開けた場所に出る。
そこには変わらない彼女の姿があって、長い髪をなびかせながら僕を振り返る。

僕は。

1.NULLを撃った。

2.NULLを助けに走った。

257: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 09:22:40.91 ID:3jTsT8Ze0
これは・・・1

258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 09:24:11.67 ID:Em+oZ77M0
ここで俺が1か2か言うと後悔することになるだろう

259: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 09:26:38.02 ID:3jTsT8Ze0
やっぱ2か?
これ究極過ぎるだろ

262: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 09:29:48.40 ID:k022z5Ny0
2で・・・

263: :2007/06/03(日) 09:32:31.77 ID:RVRbdAeL0
2把握
ちょっと時間をくれ



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