新ジャンル:FPSのBOT

301: :2007/06/03(日) 10:41:42.93 ID:RVRbdAeL0
躊躇わなかった。
FAVに追われている筈のNULLがどうして屋上にいるのか。
そいつはどうして僕の名を呼ばなかったのか。
それらの疑問を一切無視して僕はNULLの姿をしたそいつの元に走った。

そして、ダメージを受けて仰け反る。

(リ_゚ -゚ノリ『愚かしいな、人間という生き物は』
(; ^ω^)「な、何で……」

そいつの手にあるアサルトライフルが硝煙を上らせている。
NULLの装備は偵察兵のもので……それは明らかにアサルトの装備で。

(´・ω・`)「Boon!そいつはNULLじゃない!そいつが11番機だ!」
(; ^ω^)「そんな!」
(リ_゚ -゚ノリ『外見が同じなだけで騙されるのか?』

どう見てもNULLにしか見えないのだけれど、言われてみれば細部が異なるように見えた。
11番機は瀕死の傷を負った僕にそれ以上見向きもせず、屋上から恐らくNULLがいるだろう場所を見下ろす。

(リ_゚ -゚ノリ『仲間割れ、罵り合い、騙し騙され、争い食い合う。貴様らには見合った醜態だ』



303: :2007/06/03(日) 10:43:41.11 ID:RVRbdAeL0
気付かれて銃を向けられた状態じゃ僕には手も足も出ない。
AIが引き金を引く方が早いし、一発もらったらもう僕はリスポン出来ないかもしれない。

(リ_゚ -゚ノリ『Boonといったか、貴様』
(; ^ω^)「な、なんだお」
(リ_゚ -゚ノリ『貴様は何故そこに居る』

意味が分からない。
11番機はそんな風に首をかしげて僕を見ている。

(リ_゚ -゚ノリ『お前だ。NULLの戦闘レコードが激変したのはお前が要因だ。何故だ。何故そんな事をする』
(; ^ω^)「……」

分からない。いや、問いの答えは既にある。
けど、しっくりこない。
NULLが残った方がAIとして云々、倫理的観点から言って云々。何かそういうのは違う。
それはSyobonの答えだったのだろうし、或いは、Dokuoの選択だったんだと思う。
僕は----そうだ。

(リ_゚ -゚ノリ『答えろ』
( ^ω^)「戦友、だから」



304: :2007/06/03(日) 10:44:49.57 ID:RVRbdAeL0
それは、誰かの為だったり自分の為だったり、そういうものだと思う。
戦う理由。役割をこなす理由。そういうもので世の中は出来ている。
僕はNULLを助けたいと思ったのも、きっとそういうものが理由で、それ以上でもそれ以下でもない。

(リ_゚ -゚ノリ『やはり……理解不能だな』

11番機は少しだけ悩むような顔をしてから、僕に銃口を向ける。
ここまでだ。
後はSyobonやNULLが健闘してくれる事を願うしかない。
そこに。

('A`)「クソッタレが!」
(リ_゚ -゚ノリ『何!?」

燃え上がりつつあるウォーカーの対空砲が割り込んでくる。
屋上の床を粉砕し、大気を引き裂いて11番機に何十ミリ砲弾が降り注ぐ。

('A`)「ファック!人間様をナメるんj」

Dokuoの声が途切れる。
3発目の戦車砲が突き刺さったウォーカーは完全に破壊され、木っ端微塵に吹き飛ぶ。

(リ_゚ ワ゚ノリ『Boon!』



306: :2007/06/03(日) 10:46:09.99 ID:RVRbdAeL0
NULLの声が聞こえた。空耳だったかも知れないけど、僕はそれで弾かれる様に前へ走り出す。
前へ出る。
Dokuoが引き起こした混乱で11番機は兵器の制御に追われているのか、呆然と立ち尽くしている。
僕は素早くホイールをスクロールさせてナイフを取り出す。

( ^ω^)「ぬおおお!」
(リ_゚ -゚ノリ『!……寄るな、下郎!』

我に返った11番機が手を翳す。
頭上に航空兵器のフレームラインが描かれ始める。
ガンシップを呼ぶつもりなのか。それでも僕は引かない。

(´・ω・`)「ファイア!」
ξ゚听)ξ『ファイア!』

フルボッコのランチャーがガンシップに殺到し、出現前に吹き飛ばす。
ここで引いたらもうチャンスは、ない。

11番機の顔が驚愕に染まった。



308: :2007/06/03(日) 10:47:29.63 ID:RVRbdAeL0
僕はそれを間近で見ている。
ナイフが当たる前に、11番機は嘘のように簡単に崩れ落ちていた。

(リ_゚ -゚ノリ『やれやれ……負ける要素はなかったのだが』
( ^ω^)「……そうかも知れないお」

けどそれは、NULLと11番機を数字で比較した話なんだろう。
僕は背後を振り返る。
11番機を撃った対物ライフルを構えて、ズタボロになりながらもここまでやってきたNULLが居た。

(リ_゚ ワ゚ノリ『お前は個体能力では単純に計算して私の倍は優れている』
(リ_゚ -゚ノリ『……』
(リ_゚ ワ゚ノリ『だが、Boonや軍曹、Syobon達の様な仲間を持たなかったのがお前の敗因だ』

FPSなんてそんなもんだ、と僕は内心で苦笑している。
高度なAIだろうが何だろうが、仲間との連携は大事なのだ。出来ない奴はnoobだ。
そういう事なんだろう。

(リ_゚ -゚ノリ『……くだらんな』



309: :2007/06/03(日) 10:48:23.51 ID:RVRbdAeL0
11番機が消える。
最後のAIが機能を停止したのだ。
NULLとはこれでお別れなのだろう。でも、彼女が消えてなくなる訳じゃない。

(´・ω・`)「いや、NULLは消えるよ」
( ^ω^)「え!?」
(´・ω・`)「NULL自身が望んだから、僕が自滅因子を作成して渡しておいた」
( ^ω^)「ちょっ、なんで!」

僕は咄嗟にNULLを振り返る。
彼女は半分消えかかった自分のアバターを見て驚いたような顔をしていた。

(リ_゚ ワ゚ノリ『おいSyobon、効くのが遅い。話が違うぞ』
(´・ω・`)「お別れの時間くらいいるでしょ」
( ^ω^)「無視すんなお!」

NULLが消える?何を馬鹿な事を言っているのだろうか。
だったら、今まで僕達は何の為に。

(リ_゚ ワ゚ノリ『軍曹が言っていただろう。機械が戦争などをすべきではないと』



310: :2007/06/03(日) 10:51:12.01 ID:RVRbdAeL0

(リ_゚ ワ゚ノリ『同種同士で殺し合うのは酷く不毛で、辛い事だ。だが、自分の手を汚さずにそれに気付く事は難しい』

何を言ってるんだ、こいつは。

(リ_゚ ワ゚ノリ『私達はその機会を人間から奪ってしまう』
( ^ω^)「……」
(リ_゚ ワ゚ノリ『Boon、君が君の役割を行うのと同じように、私は私の間違った役割を正す。それだけの事なのだよ』

NULLが良く分からない事を言いやがるのはいつもの事だ。
つーか、同種で殺しあったのはNULL自身の事じゃあないのか。
こいつは、倒してきた全てのAIを自分の手で葬った。11番機の時は、わざわざそれだけの為にここまで来たのか。

( ^ω^)(!……だから、なのか?)

NULLは気付いたのか。
自分の存在が抱える歪みに。


僕に、彼女を止める権利はないのだ。



311: :2007/06/03(日) 10:53:44.82 ID:RVRbdAeL0
Syobonが黙って鯖から切断する。
フルボッコの姿が掻き消え、いつかと同じように鯖全体が徐々に死んでいく。
NULLは最後まで僕を真っ直ぐ見ていた。僕はそんな風に人を見たり出来ない人間だったけれど。


(リ_゚ ワ゚ノリ『Boon、gl』


最後に彼女の声を聞いて、飛散するNULLの姿を真っ直ぐ見た。
それは、とてもじゃないがFPSの中とは思えないほど馬鹿馬鹿しくて、綺麗だった。


真っ暗になったモニターの前で僕はスプライトの缶を弄ぶ。
缶がぐにゃぐにゃに見えたのはきっと、缶が潰れていたんだと思う。
きっとそうに違いない。




1.その時、Syobonから

2.それから僕は

312: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 10:55:10.73 ID:RGvVoAfA0
ナンテコッタイ

1!

313: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 10:55:32.13 ID:x7wcnUwO0
1 間違いなく1

314: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 10:55:57.46 ID:mAMaXB5K0
うわあああああ



315: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 10:56:57.23 ID:rMMGFlCb0
1!!!


316: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 10:57:02.37 ID:W34JtR9s0
1

317: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/03(日) 10:59:21.75 ID:kjNC+Yc+0
111111111111111111

321: :2007/06/03(日) 11:05:41.97 ID:RVRbdAeL0
1把握
次で最後。



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