( ゚∀゚)は一度ふられているようです
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 22:23:55.64 ID:Uwk/Ynzg0
- 俺はバイクを降りてツンの側に走り寄った。
( ゚∀゚)「お前こんな時間にこんな所で何してんだ?」
ξ;゚听)ξ「ジョルジュ…ちょっと薬局に行こうかと…」
( ゚∀゚)「薬局?」
よく見ると、ツンは酷くふらついていた。
( ゚∀゚)「調子悪いのか?」
ξ;゚听)ξ「うん…ちょっと風邪ひいたみたい…だから風邪薬買って来ようと思って」
ツンはふらふらしながら答えた。恐らく相当酷いのだろう。
俺は、このまま行かせるわけには行かないなと思った。
( ゚∀゚)「…俺が薬買って来るから、お前はすぐ家に帰れ」
ξ;゚听)ξ「え、でも…」
( ゚∀゚)「いいから帰れ」
ξ;゚听)ξ「…わかったわ」
- 9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 22:26:42.71 ID:Uwk/Ynzg0
- * * *
あそこでジョルジュに会ったのは本当に良かったと思った。
自分でも、かなり危ないのが解っていた。
ξ;゚听)ξ「はぁ…やっと着いたわ…」
私は家の鍵を開る。
リビングに入るとすぐに、ソファーに倒れこんだ。
ξ;゚听)ξ「ふぅ…」
まだ両親は家に帰ってきていない。2人とも帰ってくるのは11時頃だろうか。
頭が痛い…熱もあるわね……
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 22:30:03.73 ID:Uwk/Ynzg0
- * * *
俺とツンは幼馴染だ。
ツンの両親は仕事が忙しいので、昔はしょっちゅう俺の家に両親が帰ってくるまで居た。
夕飯を一緒に食べたことも多い。
俺の親もツンのことは我が子のように可愛がっていた。
それに、俺とツンは高校まで同じ所に行った。
( ゚∀゚)「うーん、しかし本人じゃないと何とも……」
棚にずらっと並ぶ多数の風邪薬。
詳しい病状を聞いていなかった俺は、その中から1つを決めることが出来ないでいた。
仕方が無いので携帯の電話帳からツンの携帯の番号を探す。
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 22:32:43.09 ID:Uwk/Ynzg0
- プルルルル プルルルル ガチッ
ξ;゚听)ξ《もしもし?》
( ゚∀゚)「おうツン、薬どれがいいか解らないから病状をkwsk」
ξ;゚听)ξ《うーん…頭痛が酷いのと、あと熱があるわ》
( ゚∀゚)「解った。あと、飯はもう食ったのか?」
ξ;゚听)ξ《まだだわ》
( ゚∀゚)「じゃあ後で作ってやるから大人しくしてろな」
ξ;゚听)ξ「え、そんn」
( ゚∀゚)「じゃあ後で」
カチッ パタン
俺は風邪薬の中から一つを取って、レジに向かった。
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 22:35:50.62 ID:Uwk/Ynzg0
- * * *
ジョルジュは強引だ。だけど優しい。
私はそんなジョルジュが昔から好きだ。
ジョルジュも私が好きだった。
あれは中2の秋だった。
( ゚∀゚)『ツン、俺お前のことが好きだ、付き合ってくれッ!!』
学校からの帰り道、ジョルジュが唐突に私に告白してきた。
私は嬉しかった。
「本当なの?」と聞き返そうとした。
ξ;゚听)ξ『え……じょ、冗談ならやめてよねッ!』
( ゚∀゚)『マジだ、大マジだ』
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 22:38:42.68 ID:Uwk/Ynzg0
- 私は「うれしい、私もよ」と、言おうとした。
ξ;゚听)ξ『じょ、冗談じゃないわよッ! 誰がアンタなんかと…』
(;゚∀゚)『そ、そうか……ゴメン、忘れてくれ』
ξ;゚听)ξ『あ、待っ……て……』
( ∀ )『……』
ジョルジュは走って行ってしまった。
次の日、ジョルジュとどう接しようか悩んでいたが、彼はいつも通り接してくれた。
そして、私は告白の答えを訂正する機会を失ってしまった。
ξ;゚听)ξ「はぁ……」
ピーンポーン
- 20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 22:41:43.23 ID:Uwk/Ynzg0
- * * *
ピーンポーン
( ゚∀゚)「入るぞー」
ツンを動かせるのは良くないと思い、玄関の前でそう叫ぶと勝手に入っていった。
( ゚∀゚)「ほらよ、風邪薬」
ソファーでぐったりしているツンに風邪薬を手渡す。
ξ;゚听)ξ「あ、お礼なんて言わないんだからねッ!」
(;゚∀゚)「礼ぐらい言えよ……あと、ポカリとひえピタも買ってきたからな」
ξ;゚听)ξ「……ありがとう」
( ゚∀゚)「じゃあちょっとお粥でも作るから、台所借りるぜ?」
ξ;゚听)ξ「うん」
- 22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 22:44:43.23 ID:Uwk/Ynzg0
- 〜〜
( ゚∀゚)「ジョルジュの3分クッキング〜」
( ゚∀゚)「漢の料理に必要なのは気合と気合、あとは気合だ!」
( ゚∀゚)「まず、適当に材料を準備だ! 勘を働かせろ!」
( ゚∀゚)「したら、適当に鍋にぶっ込め! 勢いが大切だ!」
( ゚∀゚)「グツグツ〜グツグツ〜 火力は『適当』だ!」
( ゚∀゚)「で、適当に味付けして完成だ! 簡単だね!」
〜〜
- 27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 22:48:42.81 ID:Uwk/Ynzg0
- * * *
ジョルジュが何やらお粥を作っているみたいだが、何とも不安だった。
アイツが料理してるところなんて見たことが無い…
しかしジョルジュはその心配をよそに、湯気の出ている小さなお鍋を持ちながら、
意気揚々とリビングに戻ってきた。
( ゚∀゚)「出来たぞ〜」
ジョルジュはテーブルの上に鍋敷きを敷き、そのお鍋を上に置いた。
( ゚∀゚)「さて、食え」
ξ;゚听)ξ「う、うん」
私は起き上がってスプーンを取り、恐る恐る一口食べた。
ξ;゚听)ξ「…おいしい……」
( ゚∀゚)「だろ? これが男の料理ってやつだよ」
見た目は若干アレだったけれど、味はとても美味しかった。
- 28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 22:51:43.09 ID:Uwk/Ynzg0
- * * *
( ゚∀゚)「ふぃ〜、じゃあ俺帰るな」
食器を洗い終え、俺はソファーに横になっているツンに言った。
ξ;゚听)ξ「あ、うん……ありがとうね」
( ゚∀゚)「良いってことよ。じゃあ何かあったら電話してくれな。じゃ」
外は星が綺麗だった。
( ゚∀゚)「さて、遅くなっちまったな。とっとと帰ろ」
愛車のキックを蹴りエンジンをかける。
少しエンジンが冷えていたが、構うことなくクラッチを繋ぎ、家まで夜道を急いだ。
ババババァァ――――――
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 22:54:43.50 ID:Uwk/Ynzg0
- * * *
現国の授業で教わったことだが、現代の『優しさ』と戦前までの『優しさ』というものは違うらしい。
現代では『他者にあまり立ち入らないこと』が優しいらしい。
それに対し、戦前までは『自己犠牲』が優しさとされていた。
誰かのために何かをしてあげようという優しさ。
まあ、ジョルジュが帰ったしまった後の家は何だか寂しかった。
ξ;゚听)ξ「はぁ……」
弱っているときにそのジョルジュの古風な優しさに触れてしまった。
その優しさは私の心を惹きつけて、そして過去の失敗を思い出させた。
今でも私はジョルジュが好きだ。
ξ;゚听)ξ「……どうにかしたいわ」
- 31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 22:57:43.52 ID:Uwk/Ynzg0
- * * *
キーンコーンカーンコーン
川 ゚ -゚)「あれ、今日はツンが居ないぞ。どうしたんだ?」
授業が始まったというのに、ツンの姿が無い。
どうしたのだろう。風邪でも引いたのだろうか。
川 ゚ -゚)「ふ〜む、ジョルジュ君にでも聞いてみるか」
私はツンの幼馴染みであるジョルジュ君なら理由を知っているかもしれないと思い、
授業が終わったら聞きに行くことにした。
- 33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:00:42.87 ID:Uwk/Ynzg0
- キーンコーンカーンコーン
川 ゚ -゚)「やあジョルジュ君、今日ツンが休んだ理由を知らないか?」
( ゚∀゚)「あ、クーさん。ツンなら風邪で休んでますよ」
川 ゚ -゚)「そうか、解った。ありがとう」
風邪か。後で見舞いにでも行くとしよう。
- 35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:03:52.34 ID:Uwk/Ynzg0
- * * *
('A`)「ようジョルジュ、お前とクーさんが話してるなんて珍しいな」
( ゚∀゚)「ドクオ。ん〜、そうだな」
('A`)「で、今日おまえ放課後暇か? 暇なら峠行こうぜ」
( ゚∀゚)「いや、心配だからツンのところ行ってくるわ」
('A`)「そうか…じゃあまたにするさ」
( ゚∀゚)「あぁ、すまねぇな」
- 37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:06:43.08 ID:Uwk/Ynzg0
- * * *
ξう听)ξ「ぅ〜ん……」
朝10時、目が覚めたら自分の部屋のベットにいた。
昨日、ソファーで横になったときから記憶が無い。
きっと寝てしまって、両親が部屋まで運んでくれたのだろう。
とりあえず起き上がって着替える。
体調は、一晩ゆっくり寝たら完全に回復していた。
ξ゚听)ξ「……はぁ」
体調は回復したが、どうにも気持ちが沈んでいる。
何でだかは解っている。原因はジョルジュのことだ。
しばらくボーっとしていたら、11時半になっていたので昼食の用意をすることにした。
- 39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:09:43.62 ID:Uwk/Ynzg0
- ジュー
体調は戻っていたので、冷蔵庫にあった適当な材料で簡単な野菜炒めを作ることにした。
どうにも料理は苦手で、本当に簡単なものしか作れない。
ジョルジュは何であんなに料理が出来たんだろう…
ξ゚听)ξ「はぁ……」
ジョルジュのことを考えたらまた溜息が出た。
これだけ溜息をついてしまったんだから、
私にはもう幸せが残ってないかもしれないわね…
ピンポーン ピンポーン
ξ゚听)ξ「? 宅急便かな?」
ガチャ
川 ゚ -゚)「やあツン、調子はどうだい?」
- 40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:12:42.60 ID:Uwk/Ynzg0
- ξ;゚听)ξ「ク、クー!? アンタ学校はどうしたの!?」
川 ゚ -゚)「つまらないからフけてきた」
ξ;゚听)ξ「フけて来たって……」
川 ゚ -゚)「お、いい匂いがするな。これから昼食かい?」
ξ゚听)ξ「うん」
川 ゚ -゚)「丁度良かった。実は昼飯も食べないで来たのでな。ご馳走させてもらうぞ」
ξ゚听)ξ「わかったわ」
私に続いてクーが家に上がる。
ξ゚听)ξ「あと少しで出来るから、ちょっと待っててね」
川 ゚ -゚)「あぁ、すまないな」
- 43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:15:48.21 ID:Uwk/Ynzg0
- 野菜炒めをお皿に盛り付け、2人分の食器を取り出す。
ξ゚听)ξ「あ、クー、運ぶの手伝って」
川 ゚ -゚)「把握した」
リビングのテーブルに料理と食器を置き、ご飯をお茶碗に盛る。
川 ゚ -゚)「お、うまそうじゃないか」
ξ゚听)ξ「そう? じゃあいただきます」
川 ゚ -゚)「いただきます」
ξ゚听)ξ「……どう?」
川 ゚ -゚)「うん、美味しいぞ」
ξ゚听)ξ「本当に? 良かった」
- 47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:19:32.87 ID:Uwk/Ynzg0
- クーは食事中に喋ることを嫌うので、その後は黙々と食べていた。
川 ゚ -゚)「ふぅ〜、ご馳走様」
ξ゚听)ξ「お粗末様。じゃあ食器片して来るね?」
川 ゚ -゚)「いや、いい。私がやるよ」
ξ゚听)ξ「いいよいいよ、すぐ終わるから。ちょっと待っててね」
川 ゚ -゚)「そうか、すまないな」
私は食器を持って、キッチンに行った。
川 ゚ -゚)「ときにツン」
洗い物をし始めた私の背中にクーが話しかける。
川 ゚ -゚)「妙に元気が無いのは風邪のせいなのかい?」
ξ゚听)ξ「……クーには敵わないわね……あのね――――
- 49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:21:44.49 ID:Uwk/Ynzg0
- ――――
川 ゚ -゚)「なるほどね。そんなことがあったのか」
ξ゚听)ξ「私は今でもジョルジュのことが好きなのよ…でも、一度断っちゃってるのよね」
洗い物を終え、私はリビングに戻りソファーのクーの横に座る。
ξ゚听)ξ「ジョルジュは今でも私のことが好きかどうかはわからないし……」
川 ゚ -゚)「なら、直接ジョルジュに聞いてみればいいじゃないか」
ξ゚听)ξ「そ、そんなこと出来ないよ」
川 ゚ -゚)「そうか? というか私ならそんなことする前にすぐ告白するがな」
ξ゚听)ξ「無理だよ……恥ずかしくなって、また変なこと言っちゃうよ」
川 ゚ -゚)「そうか……まあ、その素直になれないところがツンの可愛いところなんだよな」
- 51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:24:43.30 ID:Uwk/Ynzg0
- そう言うと、急にクーが真剣な顔をして私の顔を見つめた。
川 ゚ -゚)「しかしツン、それじゃあ何時まで経っても解決しないぞ?」
ξ゚听)ξ「うん……」
川 ゚ -゚)「好きなら、その気持ちをぶつける以外道は無いと私は思う」
ξ゚听)ξ「……わかったよ、クー。私がんばってみるわ!」
川 ゚ -゚)「それは良かった。応援しているよ」
- 52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/02(土) 23:26:42.93 ID:Uwk/Ynzg0
- 川 ゚ -゚)「じゃあ、そろそろ私は帰るよ。明日は学校に来れるかい?」
ξ゚听)ξ「うん、もう体調は万全だもの」
川 ゚ -゚)「そうか、じゃあまた明日な」
そう言って、クーが玄関のドアノブに手を掛けた、その時だった。
ピーンポーン
ξ゚听)ξ「? 誰だろう?」
川 ゚ -゚)「開けるぞ?」
ガチャ
( ゚∀゚)「ようツン…あれ、クーさん? 何でこんな時間にクーさんが?」
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