三丁目の('A`)ドクオ達のようです
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:12:18.23 ID:UqhUpDOsO
- 耳鳴りは酷くなっていた。
- 遠く、どこまでも遠くから届いていたはずの音は、気付けば間近に迫っていた。
- 「耳を塞ぐんじゃない」
- 耳鳴りは幻聴と共に、明確に形作られていく。
- ガチリと鈍い音が響く。
- 銃が擦れる音だったようにも思えたし、自分の奥歯が軋む音のような気もした。
- 「聞こえているな。そうだよ、お前は狂ってはいない。至って正常だ」
- 「むしろ、正常なままでいてもらわないと困る……」
- 声は笑みの気配を含み、かすかに震える。
- 確かに聞こえる。しかし、信じてはならない声だった。受け入れれば全てが終わる。
- 何なのか、何故なのかは分からないが、とにかく終わってしまうのだ。
- 恐らくは自分の全てが。
- 「近いぞ。ああ、もう目の前だ──」
- 耳鳴りは終わらない。
- 振り向けば、必ずそこに居るのだ。
- 最終話 六月十九日・正午(後)
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:14:32.39 ID:UqhUpDOsO
- ※ ※ ※
- ( ><)「…………」
- 何か妙だ。
- 頭の中で、その言葉ばかりが渦巻いている。
- 奴の姿を視界に捉えた。こちらに背を向けている。その姿自体は、今までと何ら変わりない。
- 手にしている凶悪な武器も、見覚えがある。しかし。
- ( `ー´)「妙ですね」
- ネーノも小声で同じことを囁く。
- 彼と合流した後、彼を逃がそうとしたのだが、ネーノはこちらも男の姿を確認しない事には動けないと主張した。
- 正直そういう返答が来るとは思っていなかったのだが、やはり僕らに借りを作りたくなかったのだろうか。
- ( ⊆⊇)『ぜぇ、はぁ』
- 男の様子がおかしかった。
- 今までも十分おかしかったが、方向性が違う。
- 上体をやや折り曲げ、足元はふらつき、銃はだらりと脇にだらしなく下げている。
- ( ><)「酔っている?」
- ( `ー´)「あれの今までの行いを鑑みれば、薬物中毒とやらだと言われても驚きはしませんが」
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:16:34.60 ID:UqhUpDOsO
- ネーノはあくまで冷淡に、男の姿を睨み付けている。
- ( `ー´)「何にせよ、我々をまともに狙える状態ではなさそうだ。僥倖と言えますね」
- 髭をひくひくと揺らして、こちらを見やる。
- ( `ー´)「私も避難させて貰いますよ。仲間をプギャー君が先導するというのは、あまり良い気がしませんので」
- ( ><)「ええ、そうして下さい。僕は僕の役目を果たします」
- ( `ー´)「それは良いですが。言っときますけど、ここは私の縄張りですからね」
- ( ><)「分かってます」
- ( `ー´)「……」
- ネーノはじろりと僕の目を見据え、これ見よがしにため息をついて見せた。
- ( `ー´)「頼みますよ、本当に」
- ( ><)「…………」
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:18:59.74 ID:UqhUpDOsO
- 通りの向こうへと消えていくネーノの姿を見やり、また男へと視線を戻す。
- 言われずとも、そんな事は承知の上だ。
- ( ⊆⊇)『ちっ』
- 男の足取りはやはり重い。
- 今までの飄々とした態度とは似ても似つかない。
- ( ><)(片方が捕まってしまっては、さすがにそんな余裕も無い……か?)
- それもあるだろう。
- しかしもっとはっきりとした──言ってしまえば体調が悪いといった類の──異変が起きているようでもある。
- 色々考えてみたが、結論は出ない。
- ( ><)(何にせよ、騒がしくないのは助かる)
- 25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:20:39.75 ID:UqhUpDOsO
- 距離を置きながら慎重に観察を続ける。
- 奴はこの辺りの猫達が避難している事にも気付いていないようだ。ゆっくりだが、確実に神社に向かいつつある。
- 自ら誘導させるまでも無い、このまま見ているだけで良い。
- ( ⊆⊇)『……』
- ( ><)「……」
- しばらく無言の時間が続く。
- 男は周囲を警戒している様子すら無い。
- 塀から塀へと移り、間隔を狭めてみる。
- やはり男に変化は見られない。
- ( ><)「…………」
- だらしなく揺らぐ、男の背中を睨みつける。
- 今まで散々苦しめられてきた、ゴーグルの男。
- 数多の猫達を殺し、縄張りを荒らし、西区を壊滅させた男。
- ショボンとミルナを殺した男。
- ( ><)
- 憎しみを抱いているつもりはなかったが。
- 胸の奥で、何かが湧き上がるのを感じていた。
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:22:40.96 ID:UqhUpDOsO
- ( ><)(ひょっとして……今ここで、やれるんじゃないか?)
- 苦い唾を飲む。
- 危険な感情に傾いている自覚はあった。
- しかし、おそらくこれは絶好機と言っても良い。
- 数々の犠牲を払っても生み出せなかったチャンスが、今目の前に転がっている。
- ( ><)(……)
- 作戦通りなら、神社にはドクオ及び戦える近場の野営組が待機する手筈だ。
- ヒッキーはギコの廃工場で猫達を守っている。この距離ではとても間に合わない。
- プギャーはしばらくすれば合流するかもしれないし、避難組の護衛に専念するかもしれない。ネーノが彼を自由にさせてくれる保障も無い。
- ( ><)(ドクオさん)
- リーダーの顔を思い浮かべる。正直言って冴えない顔だ。
- だが、自分とは違う。やれる事を確実にやる。
- 34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:24:44.55 ID:UqhUpDOsO
- ( ><)(本当に……来てくれてるんですか?)
- 確信は無い。ギコを助けに西区に潜ったきり、音沙汰が無いのだから。
- 当然、同行したブーンも。
- ( ><)(もし彼らが帰って来ていないなら、みすみす奴を神社まで送り届ける事になる)
- そう考えれば、このまま見ているだけというのも相当に危険だ。
- こうしている間にも好機は逃げ、危険は迫っているに等しい。
- どうする。
- どうする。
- ギリ、と歯を噛み締めた。
- 判断出来ない。踏み込めない。
- (;><)(分からない。君なら……どうするんだ)
- お前が決めろ、生きているのはお前だ。
- ぶっきらぼうな彼の声が聞こえたような気がした。
- そうだ、ミルナは死んだ。自分を救って。
- 有能な彼が、無能な自分のために犠牲になった。
- 36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:26:15.44 ID:UqhUpDOsO
- 彼に応えなければならない。
- ここで奴を食い止める、それが恐らく最善の策だろう。
- 自分に出来るだろうか? それは分からない。
- しかし賭けてみるだけの価値はある気がした。
- (#^Д^)「バッッッカヤローーーッ!! 何してんだ!!」
- ( ><)「!」
- 罵声が聞こえた。
- ハッと、意識を引き戻す。注意が散漫になっていた。
- ( ⊆⊇)
- 男がこちらを見ている。振り向いてはいない。
- だらりと上半身を曲げ、脇の下辺りから上下逆さまに覗き込んできている。
- 迂闊だった。携えた銃が、鈍く輝いている。
- 38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:27:35.81 ID:UqhUpDOsO
- (;><)(しまった──!)
- 慌てて退避する。
- 気づかぬ内にかなり塀の影からはみ出していた。焦燥に毛が逆立つ。
- ( ⊆⊇)「あ゛あ、ったく」
- 何故か鬱陶しげに、男は銃を構えた。
- 投げやりに銃弾を撃ち込んでくる。
- (;><)「うわあああああああっ!!」
- 雑だろうが何だろうが、撃たれた弾に加減があるはずもない。
- 視界を貫き、地面を立て続けにえぐる。
- 自分の体よりはるかに硬い塀のブロックが、容易く砕け散っていく。
- 弾は当たらなかった。
- しかし、安堵する余裕もなかった。息つく暇もなく、頭上にブロックの塊が降り注いでくる。
- 39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:29:28.25 ID:UqhUpDOsO
- 思わず目をつむる。
- 衝撃を受け、次に襲いくるであろう激痛に備える。
- 数秒ほどそうしていただろうか。
- (;><)「……あれ」
- いつまでたっても痛みは来なかった。体も満足に動かせる。
- ( ^Д^)「ったく、しょうがねぇ奴だなーもー!」
- いつの間にか、プギャーの腕の中にいた。すぐ後ろに砕けたブロックが散らばっている。
- プギャーは僕をくわえ上げたまま塀の裏に隠れ、様子をうかがう。
- ( ⊆⊇)『……あ゛あ』
- 驚いた事に、男は深追いして来なかった。まるで後ろに引き返したくないかのようだ。
- 再び神社へと進んでいく。銃を使ったからだろう、やや早足になっていた。昼間だった事が幸いしていたのかもしれない。
- 41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:31:25.46 ID:UqhUpDOsO
- ( ><)「くっ」
- 地面に下ろされて、一声うなる。
- 失敗した。またとないチャンスを逃した。
- 苦々しい顔だったのだろう、プギャーが呆れたような顔を見せている。
- 見慣れた顔だった。彼のケンカ指南の時、失敗ばかりしている僕には。
- ( ^Д^)「分かってなかったみたいだから言っとくが、死んだ奴の為に死んだらアホだぞ。今度やったら殴るぞマジで」
- ( ><)「……ごめんなさい」
- ( ^Д^)「心配すんな。大丈夫だよ、あいつなら。多分」
- 頭をぺしんと叩いてくる。
- その声色はいつものように優しい。
- 男の背中は、もう見えなくなっていた。
- 43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:34:56.43 ID:UqhUpDOsO
- ※ ※ ※
- 右手は使い慣れた腕だった。利き手と言ってもいい。
- 聞いた話では、雄の右利きは珍しいとか。まあ、だからといって特別な意味は無いだろう。
- ともあれ、何をするにも右手だった。
- 餌を取る時、顔を洗う時、誰かの頬をえぐる時。
- いつも先に出るのは右手だったような気がする。
- ('A`)(……だからこそ、罠にかかるのも右手だった訳だけど)
- 茂みの中で息をひそめる。
- 眼前いっぱいに葉が生い茂り、梅雨の湿気をはらんだ緑の香りが漂ってくる。
- 右腕に視線を落とす。半ばで途切れた右の前足。
- 今でも右手の痛みを感じる事があった。
- 失われたはずの、肘から先の部分が痛むのだ。妙な話だが。
- ('A`)(片手を無くして、命を拾った。無くした腕はもう戻っちゃこない)
- 44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:36:41.47 ID:UqhUpDOsO
- 利き手を失っては、生きていけないと思った。
- しかし、意外と何とかなった。すこぶる運が良かったというのも一因だけども。
- 失った代わりに得たものは沢山ある。命だけではない。
- 右手の痛みもその一つだ。
- ('A`)(無くす前と、別にどっかしらが変わったってんじゃない……が)
- 死の恐怖、絶望、恍惚、安堵。
- 教わったもの。見てきたもの。
- 連なるそれら全てが、今でも右手に絡まっている。
- そこには何も無い。
- それでも、今の自分が自分でいられるのは、それがあると信じているからだ。
- 今以上に臆病で、馬鹿だった自分の証。
- ('A`)「死にかけてようやく分かったんだ、ただの馬鹿だよな。んで、あんたは分からないまま、運悪く本当に死んじまった」
- 46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:38:11.18 ID:UqhUpDOsO
- 小さく呟く。
- モララーの死に顔は、穏やかだった。笑ってすらいたように思う。
- 車に潰され、胴がほぼ真っ二つになっていたにも関わらず、随分と顔は綺麗なものだった。
- それこそ、いきなり目を開いて皮肉を吐きそうなほど。
- モナーはそれを見て、激怒した。
- 当時のあいつの本気で怒った顔を見たのは、後にも先にもあの時だけだった。
- 悲しむのではなく、怒った。
- あまりの怒りように当時は真意をはかりかねた。
- ('A`)(俺はあいつに自分を重ねて、怖がってただけだったけど……モナーは分かってたんだ)
- モララーは俺達を笑っていたのだ。
- 死ねる喜びに触れ、窮屈な世界で生き長らえる俺達を悠然と笑い飛ばした。
- ('A`)(大したもんだよ。それでも、モナーは最後まで西区を守り続けた。俺達に殺されるまで)
- 48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:40:25.92 ID:UqhUpDOsO
- そのモナーも、もういない。彼の死に顔を見る事も出来ないのだろう。
- 西区屑鉄広場、そこにいたメンバーもあとわずかだ。
- そんなグループがあった事を覚えている者も、既にほとんどいないだろう。
- 寂しいといえば寂しい。
- モナーも、モララーも、自分も。忘れられていく。
- それは果たして本当に虚しいのか? 夢で彼が説いたように。
- どうだろう、自分達はただの猫だ。
- 誰もが厄介者で、人間無しには生きられない、惨めで小さな動物だ。そうでない猫はいない。
- ('A`)(でも……だから、何とかなる。変われるんだ)
- 誰もが未熟だったからこそ、誰もが学ぶ事が出来る。
- 誰が欠けようとも、補い合う事が出来る。受け継いでいく事が出来る。
- 真に特別な者がいたなら、とっくの昔に俺達はいなかっただろう。
- あるいは、特別になりかけて、死んでしまった者達の犠牲と共にあるのか。
- 50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:41:55.16 ID:UqhUpDOsO
- 三丁目。
- 俺達の住まう地。
- ぶっちゃけ田舎だ、ろくな建物も無い。
- 夏は暑いし冬は寒いし、梅雨は糞鬱陶しい。
- 車はひっきりなしに通るし、野良猫はやたら多い。
- それでも俺達はここで生きる。餌を探し、子を生み、育てる。
- 誰からも忘れられた、そんな猫達の残り香を背負って。誰もが等しくここに立っている。
- 今までも、そしてこれからも。
- ('A`)「うし」
- 目を開く。いつの間にか瞳を閉じていた。
- 気配はずっと感じていた。徐々に近付いている。
- そろそろなのだろう。
- この地で生きる俺の、恐らくは最後の仕事。
- 54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:44:45.51 ID:UqhUpDOsO
- 足音が聞こえる。
- ずるずると引きずるような耳障りな音と共に、階段を上がってくる。
- やがて、足音の主が見えた。
- 男だ。
- 今更特筆する事も無い、ゴーグルの男。
- 男はゴーグルを着けた頭をゆらりと傾げながら、階段の、最後の一段を踏みしめた。
- ( ⊆⊇)『チッ……』
- 息があがっているように見えた。
- 階段を上がるのが辛かった、という訳でもないはずだが。
- ▼・ェ・▼「よう、来たか」
- 神社を守るように、ビーグルは奴の正面に鎮座していた。
- 気楽そうなセリフとは裏腹に、凶悪な犬歯を見せている。
- ▼・ェ・▼「最後だ。ここで、終わらせてもらうぞ」
- 呟きと共に、ビーグルは男に向かって走り出す。
- 男は心なしか震えた腕を動かし、ためらいなく銃を彼へと向ける。
- 同時に俺も、意を決した。
- (#'A`)「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
- 男の真横、神社を囲む茂みから。
- 叫びと共に飛び出す。
- 58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:47:40.83 ID:UqhUpDOsO
- ( ⊆⊇)『糞ッ』
- 男の動きは素早かった。
- ビーグルに向けていた銃をすぐさまこちらに切り替える。
- 暗い銃口を睨み付ける。
- 今なら分かるような気がした。
- 空気のよどみ、風の流れ、奴の呼吸、一挙手一投足。
- 銃口がどこを指し、弾がどこへ向かうのか。
- 距離は数メートル。
- 射撃回数は恐らく五発。
- 覚悟を決め、呼吸を止めた。
- ('A`)(全部しのぐ──やるしかない!)
- 今まで生きてきた全ての経験を賭して、この数秒に挑む。
- 60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:49:08.81 ID:UqhUpDOsO
- 銃口が跳ねた。
- まず一発。
- これは集中するまでもなかった。
- まともに狙っていない弾は明後日の方向に飛んでいく。
- 二発目。
- やはり照準の甘い弾丸は、斜め前ではじける。
- 砕けた石の欠片が額で跳ねた。
- 三発目。
- 胸元に届いたであろう弾は、左に体重を掛けて回避する。
- 四発目。
- 額を撃ち抜く軌道の弾は、思い切り頭部を下げてやり過ごす。
- それは頭上を貫き、背と、尻尾の毛を一部削り取っていった。
- 64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:51:33.67 ID:UqhUpDOsO
- そして五発目。
- これは致命的だった。
- 首の真下、胸部の中央。
- 体が硬直する一瞬、前足が着地した瞬間に弾丸が到達する。
- 適当に放っているであろう本人は気付くはずもないが、会心の出来だ。
- これを普通に避けるなら、大きくバランスを崩してしまう。
- 下手に左右に動けば、次の射撃に撃ち抜かれるだろう。それ以前に、集中が保たない。
- ('A`)(当たる)
- 意識が更に狭まり、一瞬が極限まで引き延ばされる。
- 男の指の動きが見えた。
- 引き金が緩やかに引き絞られていく。
- 銃口の先に、死が見える。
- うんざりするほど感じてきた悪寒。
- 抗うのが馬鹿らしくなる、強固で絶対的な何か。
- 67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:53:14.58 ID:UqhUpDOsO
- しかし。
- ('A`)(それでも、俺達はここまで来た。終わりにはさせない──)
- 何かに祈りたくなった。
- 何に? 神にだろうか。
- 猫と人間を天秤にかけて、果たして神は猫を選ぶのか。
- 仲間。人間。悪運。色んなものに助けられてきた。
- ここで自分を助けてくれるもの。
- まだ、そんなものが俺にあるのか?
- ある。
- あるはずだ。
- ('A`)(そうだろう、ドクオ!!)
- 迷わず、ちぎれた右腕を地面に突き立てる。
- 短い腕により沈んだ身体。傾いだ頭部。
- 眼球をえぐり取らんと直進してくる凶弾を、ほんの少しだけ、頭を逸らして切り抜ける。
- 死神の鎌は鼻先を切り裂き、わずかな血を空へと散らした。
- 70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:56:23.37 ID:UqhUpDOsO
- 全て防いだ。
- 奴は既に目前だった。
- もはや、銃が使える間合いではない。
- (#'A`)「『うおらあああああああああああああああ!!!!」』(⊆⊇#)
- 男が俺めがけ、足を振り抜いた。
- 猛烈な速度で飛来するつま先を見据え、強く息を吐く。
- ('A`)「はぁッ!!」
- タイミングを合わせ、真上に飛び上がる。
- ちょうど良い具合に飛んできた足を踏み場にし、勢いをそのまま乗せて、男の顔面へと飛びかかる。
- (;⊆⊇)『んなっ……ッぷ、っが、糞!!』
- ゴーグルにしがみついた俺に気圧され、男はよろめく。
- 引き剥がそうと俺の身体を掴んだ時には──
- 十分過ぎる助走を終えたビーグルが、懐に飛び込んでいた。
- ▼#・ェ・▼「くぅぅぅたぁあああばぁあああああれェエエエエエエ!!!!」
- 73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 22:59:27.68 ID:UqhUpDOsO
- ( ⊆⊇)『ごふッ!?』
- ビーグル犬の突進をみぞおちに受け、男の体はあっけなく後ろに吹き飛ぶ。
- 眼下には、不必要なまでに急な階段。
- 俺と男、そしてビーグルは仲良く空中へと投げ出された。
- ( ⊆⊇)『し まっ……──』
- 天地が逆転する。
- 奴の落下に巻き込まれぬよう、手は離していた。
- 猫は高い所には強い。
- しかし、こんな状態でも無事で済むかは分からない。
- ここからは本当の運任せだ。
- ('A`)(運を、天に任せて……大丈夫かなぁ?)
- 馬鹿な事を言う、神は人間の創造物だ。猫の味方をするはずがないだろう──
- モララーは昔、そう皮肉った。
- 脳裏に浮かんだ奴の顔にうっせバーカと吐き捨てつつ、目を見開く。
- 回転する視界の中に、空が映り込んだ。
- 相変わらずの曇り空だった。
- 79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:04:35.42 ID:UqhUpDOsO
- ※ ※ ※
- 気がついた時、地面に突っ伏していた。
- 口の中でも切ったのか、血の味がする。
- 「ッ、いってェ……くっそ、痛ェ」
- 唾を吐き捨てる。
- 腕と背中がズキズキと痛んだ。
- 痛みに苛立ちつつ、額を押さえる。
- 手のひらを見やると血がついていた。頭を打っているらしい。
- 「糞ッ、糞」
- 格好悪いにも程があった。何でこんな目に遭わなければならないのか。
- よろめきながらも、立ち上がろうとする。
- 地面に手を突き、膝を立てた所で──
- ( A )
- ふと気付いた。
- 眼前に、猫が転がっている。あの憎らしい黒猫だ。
- 死んでいるようだった。地面にゴミのように死んでいる。
- 死んだのなら何でもゴミに等しいが。
- 「へっ」
- 何とも間抜けな死に様だ。いい気味だ、と言ってもいい。
- 膝は震えていたが、ようやく立ち上がれた。
- ぐらつく視界に舌打ちしつつも、猫を見下ろす。
- 83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:06:37.23 ID:UqhUpDOsO
- 「この程度じゃ気が済まねえけど、まぁいいわ」
- 足に力を込める。
- 振り上げて、振り下ろす。仕返しはそれだけでもう良い。
- 足は覚束なく震えていたが、それくらいは出来るだろう。
- ('A`)
- と、いきなり、黒猫が目を開いた。
- いや、目は最初から開いていた。たった今気付いたので、今開いたように錯覚したのだ。
- 猫はこちらをずっと見続けていた。恐らく最初から、ずっと。
- 死んでいない。生きている。
- 「何だよ」
- 馬鹿らしいと思いながらも、呟いていた。
- 無意識に銃を探す。
- 周りには見当たらない。階段に目を向けたが、やはり見つからない。
- 階段の中腹辺りには、犬が転がっていた。
- 「ちっ」
- 視線を戻すと、やはり黒猫は俺を見ていた。
- か細い呼吸が聞こえてきそうなやせ細った身体。ギョロついた目玉だけが、爛々と輝いていた。
- こんなに目立つのに、何故先ほどは気付かなかったのか。
- 85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:09:31.17 ID:UqhUpDOsO
- 「んだよ……何だよ!」
- 背中に冷たいものを感じた。
- 率直に言ってしまえば、キモい。
- こいつはまるで俺達を狙っているかのように、何回も現れた。邪魔をしてきた。
- ただの猫が、そんな真似を出来るのか?
- そんな不気味なこの猫へと、言葉を叩きつける。
- 「何なんだよ、テメェは。文句があんなら言ってみろ! 言えねえだろ!? そりゃあそうだ、猫だからな!!」
- 当たり前だ、そんな事は。言うまでもなく。
- 「それならそれらしく、死んでろっての──」
- ('A`)「殺せばいいだろう」
- 背筋が凍りついた。
- 猫の口が開いている。
- 俺を見ている。
- ('A`)「そう思うなら、さっさと殺せばいいだろ。まさか銃がねぇから殺せないって訳でもあるまいに」
- 「っ、あ……あ?」
- 90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:11:49.22 ID:UqhUpDOsO
- ('A`)「……何だ? どうした? やれよ。今更遠慮すんなって。思いっきり踏み潰して、脳味噌をぶちまけてやれ」
- 「っな、なん……」
- 舌がもつれて、上手く話せない。
- カタカタと音が鳴る。顎が震えていた。
- 「おかしな事を言うんだねー。不思議でも何でもない」
- 唐突に、全く別の声が割り込んできた。女の声だ。
- 目を動かすと、階段の頂点に例の巫女が立っていた。
- 女は目を見開いて、同じく俺を見ている。
- 「良かったねえ。これで、これからは仲良くやれるんじゃないかな?」
- にんまりと。
- 唇を大きく歪めて、女は笑みを見せる。
- 瞳は開いたままだ。
- まばたきすらせず、まるで人形みたいに、女は見ている。俺を。
- 二つの視線に射抜かれて、足は地面に縫い付けられたように微動だにしない。
- 96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:13:41.97 ID:UqhUpDOsO
- ('A`)「お前が今までやってきた事だろ。やり遂げれば良い、一匹残らず殺してやれ。そいつはむしろ救いだよ、俺達には」
- 「っ、あ」
- ('A`)「なあ、怖がるなよ。だってお前、今まで殺してきた奴らも痛がって、泣き叫んで……それでもお前は殺せたろ? 楽しかったんだろ?」
- 猫は凄まじい形相だった。
- むしろこちらを視線で殺してしまいそうな程に。
- 猫はじりじりとこちらに這い寄りながら、叫んだ。
- 絶叫した。
- (#'A`)「区切りがつくならやってみろ、満足するならやってみせろ!! こんな事が、お前に、本当に、必要ならよ!!」
- 「あ、あ、ああ」
- (#'A`)「俺を!! 殺してみろよ!!」
- 「う……う、うわああああああああああああああ!!」
- 100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:15:35.42 ID:UqhUpDOsO
- 叫んだ拍子に、地面に尻餅をつく。
- その衝撃で足が動くようになった。這いつくばって、一目散にその場を逃げ出す。
- 「はあ、はあ」
- 後ろは見なかった。
- 振り返ったら、全てが終わってしまう気がした。
- 何なのか、何故なのかは分からないが、とにかく終わってしまうのだ。
- 恐らくは自分の全てが。
- 「糞っ、糞、糞……」
- めまいがした。吐き気もだ。
- 耳鳴りもする。
- 耳鳴り。猫の鳴き声のような、唸り声のような。
- 「猫」
- はたと気付く。気付いてしまった。
- ずっと聞こえていた。呼んでいたのだ。俺を。
- 突然、腿に痛みが走る。押さえた手のひらを見ると、血で真っ赤に染まっていた。
- そんな怪我をした覚えは無い。
- 階段を落ちた傷? いや違う、まるで獣に噛まれたような……
- 105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:18:10.50 ID:UqhUpDOsO
- 動悸が激しくなっていた。息苦しさにあえぎながら、膝を着く。
- 町中のはずだが、貧血のせいか視界が悪い。辺りが暗い。
- 手を地面につき、胸を押さえる。
- ゴーグルに包まれた視界。その隅に、足が映り込む。
- 猫の前足だ。びくりと震え、思わず顔を上げてしまった。
- ( д゚ )
- その猫は、顔面をぐちゃぐちゃに破壊されていた。顔だけではなく、体も。
- 潰れた目玉がこぼれてだらりと垂れ下がっている。鼻は歪み、体は斜めに折れている。
- 腹は赤黒く汚れ、血がとめどなく溢れていた。
- ( д゚ )「来たか」
- ニヤリと、笑う。
- 猫の頭蓋が歪んで震える。
- ( д゚ )「危ないところだったな。もう一歩踏み込んでいれば、俺はお前を丹念に殺し続けてやっていたのだが」
- ( д゚ )「まあ、最初くらいは良いだろうさ。長い付き合いになるんだ、これから」
- 笑い出したくなった。
- 夢なのか、現実なのか。もうそれすら分からない。
- 振り向いてしまった。遅かったのだ、全て。
- 目の前が暗くなっていく。猫の遺骸が積み上げられ、地面を埋めていく。
- やはり猫は笑っていた。じっと、俺を見つめていた。
- 106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:19:25.80 ID:UqhUpDOsO
- ( д゚ )「全く。猫の恨みは恐ろしいと、最初に言ったはずなんだがな」
- 112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:21:25.47 ID:UqhUpDOsO
- ※ ※ ※
- ▼・ェ・▼「逃げたのか……追うか?」
- ビーグルがふらつきながらも、近くに歩み寄ってくる。
- 男が逃げていったであろう道の向こうに厳しい視線を送っていた。
- この犬は本気でやれば、奴を追ってとどめを刺せるのだろう。
- それを踏まえた上で俺に尋ねてきているのだ。
- ('A`)「良いです。っつか、シューが追っかけていったし。階段落ちながら」
- ▼・ェ・▼「本当に、良いのか」
- ('A`)「はい。あんなのでも、人間だ。犬や猫じゃない。そんでもって……俺は飼い猫だ」
- 奴らが俺達を殺して回った事に、理由はあっても意味は無かったろう。
- だが、俺が奴を殺さなかった事には理由もあるし、きっと意味もある。
- ('A`)「人間に、野良はいない。少なくともこの街には。奴には人間から受けるべき罰も残っている」
- 114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:23:36.36 ID:UqhUpDOsO
- ▼・ェ・▼「野良猫程度を殺した罪にどんだけの罰があるのか知らんが──
- その罰だかを受けたとして、もう繰り返さないとは限らんだろ。女はもう捕まっちまったけどよ」
- 呆れ顔のビーグルの当然の疑問に、しかし俺は首を緩く振って否定した。
- ('A`)「もう奴らは、殺せませんよ」
- ▼・ェ・▼「何故だ?」
- ('A`)「……」
- その問いには答えなかった。
- 口の端から、空気が抜け落ちていく。
- 身体の芯にみなぎっていた力は、すっかり出払っていた。
- 立ち上がりたかったが無理だった。
- 気を張り過ぎたのか、腕に力が入らない。
- 湿気を含んだ風が地面を撫でる。
- 舞い上がり、やがて消えていく砂埃を眺める。
- こんな地べたにも風は等しく吹き抜けていく。
- 不意に、俺は全く関係ない事を呟いていた。
- 117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:25:50.81 ID:UqhUpDOsO
- ('A`)「クロ助」
- ▼・ェ・▼「あ?」
- ('A`)「俺の名前。クロ助……皆今でもドクオドクオって呼ぶけど、本当はもう違うんだ」
- ▼・ェ・▼「安直な名前だな」
- ('A`)「あんたに言われたくないっすよ、それ」
- ビーグルは唐突な話題の変化にも、文句を言わず付き合ってくれた。
- 彼は思っていたよりずっと優しい雄なのかもしれない。
- ('A`)「ドクオももちろん、大事な名前だ……多分、親から貰った名前だから。
- でも、ドクオのままだったら、とっくの昔に死んでいた。死んだんだ、ドクオは」
- ▼・ェ・▼「あァそうかい。覚えとくよ、お前の名前」
- ('A`)「はは……、ありがとう」
- 乾いた舌が震える。
- 心から礼を言ったつもりだが、果たしてきちんと伝わっただろうか。
- ▼・ェ・▼「……」
- ▼ーェー▼
- ▼・ェ・▼「飼い猫は、飼い主に死に様を見せねェ。そんな話もある。俺はそれで良いんじゃねェかと思うよ」
- 今度はあちらが話題を変えてきた。
- 俺の返事を待つことなく、ビーグルは言葉を続ける。
- 120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:29:53.26 ID:UqhUpDOsO
- ▼・ェ・▼「あいつらは勝手だ。俺達を勝手に飼う。飼いはするが、死ぬ姿は見たくねェんだよ。
- こっちの寿命はずっと短いと知っていながら、だ」
- ▼・ェ・▼「連中はよ。難しい事なんか考えず、思うさま、愛せる相手が欲しいのさ。
- そして同じく、ただひたすら、その愛に応えてくれる相手を求めてる。いつか、死なねェペットみたいなのも作られる時が来るのかもな。
- あのゴーグル共は真性のクズだったが、根っこの部分は結局同じなんだろう。少なくとも……勝手って意味じゃあな」
- ビーグルの声は穏やかだった。彼の口からこんな話が出て来る事にも驚いたが、その声音の優しさに、むしろ恐怖を感じた。
- 彼は悼んでいるのだ。
- 死にゆく者に贈る言葉を紡いでいる。
- ▼・ェ・▼「全くおかしな話だよな。鎖に繋がれた犬や、部屋の隅で寝るくれーしかする事のなくなった猫よりもずっと、不自由そうな顔をしてんだよ。奴らは」
- ('A`)「……人間は俺達が思うほど自由ではないし……
- 俺達は、人間が、思うほど……素晴らしいペットでもない」
- 震える顎をどうにか動かし、答える。
- 123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:31:55.09 ID:UqhUpDOsO
- モララーは人間が、猫を心から憎む大敵である事を願った。
- ギコは自由を奪った最大の敵であると信じた。
- ツンは野良と、空を飛ぶ鳥を羨んだ。自由に生を謳歌しているのだと信じていた。
- 全てが偽りではないが、望んでいたほどでもなかった。
- 俺が願う俺達の行く末も、期待したほどではないのだろう。
- これからも数多くの犬猫が捨てられ、生まれ、殺されていく。
- ▼・ェ・▼「そうだろうな。だが、それでも俺達の祖先は選んだんだ。そんな馬鹿同士で生きる道を。
- うまくいかねェと知りながらも、そばに寄り添い生きていく事を決めた」
- ('A`)「…………」
- ▼・ェ・▼「──オヤジがな、俺に言ったんだよ。お前は生きろって。鎖を外しながら、面倒見切れなくてすまねェなって謝ったんだ」
- ビーグルは饒舌だった。
- 彼の中でも整理がついていないのか、口を突いて出る言葉に任せてしゃべっているように見える。
- ▼・ェ・▼「馬鹿な奴だよ。自分が心中しようとしてるのに、犬は離してテメェは生きろ、だぜ?
- それも結局単なる自分のワガママだと自覚していながら、やりやがったんだ。本当に馬鹿だよ」
- ('A`)「……」
- 124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:33:58.03 ID:UqhUpDOsO
- ▼・ェ・▼「だけど、本当の本当に馬鹿なのは」
- ▼・ェ・▼「そんな飼い主を止められなかった、阿呆で糞ったれな犬畜生だ」
- ('A`)「……」
- ビーグル。名前を捨てた、ただの犬。
- 何故名前を捨てたのか。
- 自分は勘違いしていたのかもしれない。
- ('A`)「……ッ、か……」
- 舌を動かそうとした。
- しかし、動かなかった。
- 髭が震える。喉を鳴らす事すら出来ない。
- 呼吸が浅くなっていた。身体が冷たくなっていく。
- ▼・ェ・▼「言葉の魔力、っつうのかな。そんなモンは信じちゃいねぇけど、それでもちょっと考えるよ。何故か、俺は生き長らえてきた」
- ▼・ェ・▼「今回は、今回こそは、ようやく死ねると思った。どっかのクソアマでもクソガキでも、何でも助けて死んじまえると思ってたんだ」
- ▼・ェ・▼「なァ、俺はこんな事考えてたんだぜ? ……そんな阿呆の目の前で、お前も死んじまうのか?」
- やはり返事は出来なかった。
- 暗い。何も見えない。
- 128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:36:42.09 ID:UqhUpDOsO
- ▼・ェ・▼「……」
- ▼・ェ・▼「…………」
- ▼・ェ・▼「………………」
- ▼・ェ・▼「言い残す事は無いのか」
- 最後の言葉。遺言。
- そういえば、考えた事がなかった。
- あまりに死が目の前過ぎて、他の事で手一杯だった。
- 遺言。いざ考えると浮かんでこない。
- 気掛かりな事はたくさんあるが、どれもそれなりに手は打ってきたつもりだ。
- 野営組の奴らは、今更俺が死んだからといってどうにかなったりもしないだろう。
- ツンとクーの約束を守れなかった事は心残りだが、割と精一杯頑張った。
- もともとそういう甲斐性無しだからと許してもらえるよう祈るしかない。
- 考えるが、はっきり言葉に出来る事は無い。まとまる前に、するするとこぼれ落ちていく。
- ああ、そもそも口が動かないのだからどうしようもないのだ。
- 口が動かない事にはしゃべれない。
- 力が入らないから、もうビーグルの顔を見る事も出来ない。
- 寒いから身体が動かない。
- 失ったはずの右腕が痛む。
- 雨に打たれた体が冷える……
- 133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:39:42.47 ID:UqhUpDOsO
- ▼・ェ・▼「お前の事は、ほんの少ししか見てねぇけど。大したもんだと思うよ、正直」
- 梅雨が晴れない。
- 雨が止まない。
- 空が見えない。
- 空が晴れない。
- 腕が痛い。
- 苦しい。
- 眠い。
- 寒い──
- ▼・ェ・▼「クロ助。じゃあな」
- 140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:41:45.31 ID:UqhUpDOsO
- ※ ※ ※
- ξ゚听)ξ「静かになった」
- (*゚∀゚)「終わったのか、な?」
- (*‘ω‘ *)「ぽー」
- (*゚∀゚)「ちょっくら様子を見てくるよ。じっとしててね」
- ξ゚听)ξ「うん、気を付けてね……」
- (*‘ω‘ *)「ぽっぽ、ぽっぽ」
- つーがゆっくりと腰を上げ、離れていく。
- 彼女が居なくなった分、空気がひんやりとする。
- 残った温もりが、思っていたより長く付き添ってくれていた事を物語っていた。
- 私は他の母親猫たちとは離れた場所で休ませてもらっている。今のところ体調は安定しているが、いつ何がどうなるか分からない。
- 何しろ初めての事なのだから。
- (*‘ω‘ *)「ぽー! ちんぽっぽー!」
- ξ゚听)ξ「しっ、じっとしててね」
- (*‘ω‘ *)「ぽー! ぽー!!」
- ((*‘ω‘ *))゚听;ξ))「わっと、こら、じっとしてって……いたっ、いたたた、おいコラ」
- やけにちんぽっぽが暴れ始める。押さえ込むものの、顔を思い切り押し返された。
- やたらに力強い。こんな事は初めてだ。
- 143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:43:17.03 ID:UqhUpDOsO
- (*‘ω‘ *)「ぽおおおおおお!!」
- ξ;゚听)ξ「ちょ、おま」
- しばらくじたばたした挙げ句、ちんぽっぽはこちらの腕を抜け出してしまった。
- つーと同じく境内の方へと駆け出していく。
- ξ゚听)ξ「待ってって、ば……!」
- ぎくしゃくと腰を上げ、後を追う。
- 一体全体どうしたというのか。
- ξ;゚听)ξ「こら、危ないって!」
- 砂利を踏みしめながら、神社の正面まで進んだ。階段の辺りにつーの背中が見える。
- 彼女以外には誰もいなかった。辺りはしんと静まり返っている。
- ( )「…………」
- ちんぽっぽは彼女のすぐ近くまで走り寄り、そのまま背中に飛び付く──かに思えた。不意に立ち止まる。
- 彼女の隣できょろきょろと周囲を見回して、そのまま階段下へと降りていってしまう。
- ξ゚听)ξ「つーさん、ちんぽっぽが!」
- 全く止める素振りを見せないつーを訝しみつつも、急いで階段の場所まで向かう。
- 145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:45:00.53 ID:UqhUpDOsO
- (*゚∀゚)「……」
- つーは呆けたように階下を眺めていた。
- えもいわれぬ顔つきだった。ナベちゃんが縁側ですっ転んで、痛みに泣き出す直前のきょとんとした顔にも似ていた。
- 彼女は泣き出したりはしなかったが。
- (* ∀ )「ごめんね」
- 呟きにつられて、視線を滑らせる。
- はるか下、階段の入り口付近。二つの影が見える。一方は大きく、一方は小さい。
- ▼・ェ・▼「何で出て来た」
- 大きい方はちらりとこちらを見上げ、ぼそりと呟いた。小さな声だったが不思議と聞こえた。
- ( A )
- 小さい方は、全く動かない。
- 黒い体を横たわらせた姿は、まるで影そのもののようだった。
- ξ゚听)ξ「ドクオ?」
- 148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:46:35.41 ID:UqhUpDOsO
- 返事は無い。
- 首の後ろがざわつくのを嫌でも自覚した。
- ξ゚听)ξ「え、ちょっと。ビーグル、これ」
- ▼・ェ・▼「黙ってろよ。見て分かるだろうが」
- ビーグルの声からは静かな苛立ちが感じられた。
- いつものような開けっぴろげな怒りではない事が、逆にこちらを動揺させた。
- 弾かれたように、叫ぶ。
- ξ゚听)ξ「見て……分かるって、どういう事よ! 何で、っし……」
- 口から零れ落ちそうになった言葉を押しとどめる。
- 言ってしまえば、真実になってしまう気がした。認めたくない。認めてはならない。
- 頭痛と共に視界が歪んでいく。
- ξ# )ξ「約束したじゃない、ドクオ! まだあれからちょっとしか経ってないのに、まさか忘れて──」
- ▼・ェ・▼「いい加減にしてくれ。何でも糞もねェ、こいつは死んだんだ」
- もはや怒りすら無い、か細い囁き。
- しかし彼から発せられたそれは、どんな罵声よりも強く胸を揺さぶった。体が震える。
- ξ )ξ「……」
- ξ;凵G)ξ「やだ、よ。そんなの」
- 151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:47:47.55 ID:UqhUpDOsO
- ▼・ェ・▼「やだやだでどうにかなるか。お前も世話になったんなら、別れの挨拶の一つも言ってやれ」
- 力無くその場にへたり込む。足を進めるどころか、立ち上がるだけの力も出せない。
- ξ;凵G)ξ「……」
- みっともなく泣き叫びたかった。恥も外聞もなく。
- 少なくとも、以前の自分ならそうした。そうしなかったのが成長と言えるのかは分からないが。
- ビーグルの言うとおりだろう。彼を送り出してやらねばならない。
- 小さく、口を開きかけた。
- (*‘ω‘ *)「ぽー、ぽー!」
- ξ;凵G)ξ「……ちーちゃん?」
- ふと、顔を上げる。
- 私がうなだれている間に、ちんぽっぽは階段の一番下まで降りきっていた。
- 一番懐いていたビーグルに飛び付くものと思っていたが、彼すらも素通りする。
- ▼・ェ・▼「あん?」
- 不審げな視線をよそに、ちんぽっぽは立ち止まった──
- ドクオの目の前で。
- 155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:49:14.46 ID:UqhUpDOsO
- (*‘ω‘ *)「ぽー?」
- ちんぽっぽは小さく首を傾げて、ドクオの周りをぐるぐると回る。臭いも嗅いでいる。
- 彼女の幼さでは、まだ理解できるはずもない。彼が、自分の親と同じ場所に旅立ったという事は。
- 誰も動けなかった。ちんぽっぽを除いて。
- 彼女は立ち止まり、小さく鳴いた。
- (*‘ω‘ *)「起きて」
- 顔を近付ける。
- 赤子が母親に甘えるように。
- 猫が猫を愛でるように。
- 毛繕い。彼女にとっては何の意図も無い、ただそれだけの事だったのだろうが──
- 157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:51:00.77 ID:UqhUpDOsO
- 風が吹いた。
- 風に押されるように、黒い体がごろりと転がる。
- 転がっただけ、ちんぽっぽの鼻先から遠ざかる。
- (*‘ω‘ *)「ぽ?」
- 160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:52:49.15 ID:UqhUpDOsO
- きょとんと、数回まばたきをする。
- ちんぽっぽだけではない。私含む、全員の顔に疑問符が浮かぶ。
- 風は吹いた。吹いたが、猫の体を転がすほどの勢いは当然なかった。
- ちんぽっぽは更に踏み込む。今度こそ彼女の鼻が触れるかと思った瞬間、やはり黒猫の体はごろんと転がった。
- この距離では自信が無いが、彼女が押しているのではない。
- 直前に動いている。
- (*‘ω‘ *)「…………」
- (*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ?」
- ( A )
- ( A )
- 164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:54:10.92 ID:UqhUpDOsO
- ( A )「な」
- ▼・ェ・▼
- ( A )「め」
- (*゚∀゚)
- ( A )「ん」
- ξ゚听)ξ
- (#'A`)「なああああああああああああああああ!!!!」
- (;‘ω‘ *)「ぽーっ!?」
- 更に数回転がそうとしたちんぽっぽを弾き返すように、ドクオがガバッと立ち上がる。
- ビーグルの背後に回り込んだちんぽっぽは、怯えた視線を彼へと向ける。
- 構わずに彼はまくし立てた。
- (#'A`)「あったぜ、遺言!!」
- (#'A`)「俺の! 死体は! 猫が! 触んな!!」
- ('A`)「っぷ、ぅおェ、ガハ、っか、ゲホゲホ、うぉおえええれれれれろろろろ」
- ▼;・ェ・▼「きたね!」
- 叫んだと思ったらいきなり吐き出した。
- 168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:55:28.19 ID:UqhUpDOsO
- ('A`)「うぷ、ぷは、ぜぇ、っはぁ……ッ、あああ゛あ゛くっそ、ペッ」
- ('A`)「──ふう…………」
- ((‘▼・ェ・▼
- ξ゚听)ξ
- (;゚∀゚)
- ('A`)「死ぬかと思った」
- ▼・ェ・▼「いや死んでただろ」
- ('A`)「死んでないっすよ。俺死なせたら大したもんっすよ」
- (*‘ω‘ *)「ぽっ! ぽっ!」
- ('A`)「ごめんって。でも無理なんだって。てかお前に助けられるとか夢にも思わなかったんだが」
- (*;∀;)「うわあああああああああんドグオ゛ぉおおおおおお良がっだよぉおおおおおお」
- (;'A`)「うお、あんたらそんなトコから見てたのかよ」
- ξ゚听)ξ「……お……」
- ('A`)「お?」
- ξ#;凵G)ξ「驚かせないでよね! ばか! もう!!」
- ('A`)「正直すまんかった」
- 175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:57:08.38 ID:UqhUpDOsO
- ▼・ェ・▼「っつうかマジでどういうことなの説明しろ」
- ('A`)「や、子供に感染させたらまずいわーと思ってたらパキッと力が入った拍子にぐわーっと」
- ▼・ェ・▼「本気でデタラメな野郎だな。感染ってなんだよ」
- ('A`)「俺ネコ白血病なんで。割とガチで軽くヤバい感染症なんで」
- ▼・ェ・▼「おま、それ俺は大丈夫なのか」
- ('A`)「病名に猫とか入ってるんで大丈夫なんじゃないかなぁ?」
- ▼・ェ・▼「疑問系止めろ」
- ('A`)「良いじゃん別に死にたいんしょ」
- ▼・ェ・▼「病気は嫌だ」
- ('A`)「何この犬わがまま」
- lw´‐ _‐ノv『病気で死ぬのに病気に救われたアイロニー!! 癌と共に生きる!!』
- ('A`)「うわーまた知らんうちに階段のど真ん中で仁王立ち」
- 178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/01(水) 23:59:14.62 ID:UqhUpDOsO
- ▼・ェ・▼「そんな事より何だその袖は。一体何を入れてんだよ」
- lw´‐ _‐ノv『ふっふっふ。ジャストアモーメントカミーング!』
- (;^Д^)「せっめマジせっめ」
- (;;><)「うっぷ、何か気持ち悪くなって」
- ( ´_ゝ`メ)「なんなのこの雑多な扱い。兄者さんのめくるめく檜舞台はもう無いの?」
- (メ<_`;)「よく分からんがアバラは大丈夫なのか兄者。あとウザいから尻尾で鼻いじんのやめてくんない」
- (メ,,#゚Дナ)「おい小僧! てめぇコラ足を乗せんじゃねえ離れろ!」
- (;^ω^)「いやいや、こんなミカン袋みたいな状態で無茶言うなお。むしろあんた場所取り過ぎだお」
- ('A`)「うわぁ何じゃこりゃきめえ」
- (;^ω^)「あっドクオ! 無事だったかお! っていうか死ぬ気かお前馬鹿か!」
- ('A`)「サーセンけど何とかなったんで許して下さいよ旦那」
- (メ,,メ゚Дナ)「……終わったのか?」
- ('A`)「ん、多分ね。シュー、どうなんだ、捕まえたのか」
- 185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/02(木) 00:03:19.19 ID:FcJ1CZT3O
- lw´‐ _‐ノv『ぶっちゃけマジビビりされてちょっと凹んでる乙女なアタシ☆』
- lw´‐ _‐ノv『でも実際のとこ都合の良い天罰なんかあったりして逆に救われてんじゃね?
- 現実はそれが拭われる機会すらなく背中に積もってすすけてくんじゃね?』
- ('A`)「だそうだ」
- (メ,,メ゚Дナ)「さっぱり意味が分かんねーよそもそも何で人間がいんだ」
- ξ゚听)ξ「ブーン! あんたも来てたの?」
- ( ^ω^)「おっお。ツンも大丈夫そうで良かった」
- ( ^Д^)「誰この可愛い子、ブーンのアレか? マジで? 何かショックなんだけど」
- (#´_ゝ`メ)「あああ!? どういうこっちゃ!? くそっ何て時代だ!!」
- (メ<_` )「いつの時代でも関係ないような気がするが」
- (*゚∀゚)「いやー何だか賑やかになってきたねー」
- 189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/02(木) 00:04:54.07 ID:FcJ1CZT3O
- ( ><)「ビーグルさん、ひょっとしてドクオさんを助けてくれたんですか」
- ▼・ェ・▼「え? ああ、まあついでに。ところでお前誰だったっけ」
- ( ><)「えっ」
- ▼・ェ・▼「えっ」
- (*‘ω‘ *)「ちんぽっぽー!」
- (;'A`)「おい多すぎて収拾つかねーよ! みんなちょっと静かにしてくれ!」
- ヾlw´‐ _‐ノvノ『ダイコンラーンダイコンラーン』
- 193: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/02(木) 00:07:31.28 ID:FcJ1CZT3O
- ('A`)「──……って訳だ。これ以上あいつらが何かやって来たりとかは、多分無いと思うよ」
- ( ´_ゝ`メ)「本当かよ、お前マジすげーな」
- (メ,,メ゚Дナ)「ってー事は、避難も終了か。また忙しくなるな」
- ('A`)「ああ、忙しいついでに頼んでおきたいんだが」
- (メ,,メ゚Дナ)「?」
- ('A`)「日だまり広場、お前の縄張りに入れてやってくんねえか。プギャー、良いよな?」
- ( ^Д^)「何で俺に聞くよ。もう俺の土地じゃねえんだ、自由にしてくれ」
- ('A`)「ありがと」
- (メ,,メ゚Дナ)「どういう風の吹き回しだ?」
- ('A`)「どうもこうも、最初からそのつもりだったよ。今度の入院生活は長くなりそうな気がするんで一応ね」
- ( ><)「ドクオさん……」
- ('A`)「いやいや、念の為だって念の為。そんな深刻な顔すんなよ」
- ( ^ω^)「……」
- (メ,,メ゚Дナ)「分かった。責任持って預からせてもらう。安心しろ」
- ('A`)「おう」
- 196: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/02(木) 00:09:21.04 ID:FcJ1CZT3O
- ('A`)「さて。まあ、念の為ついでに。これも言っとくかな」
- ( ><)
- ( ^ω^)
- ( ^Д^)
- ('A`)「俺はお前達に何かしら押し付けたりはしない。ただ、俺の知ってるできる限りの事を、お前達に伝えてきたつもりだ」
- ('A`)「それを聞いてどうするかは、自分で考えてくれ。考えるんだ。この言葉をどう受け取るかも、お前達の自由だ」
- ( ^ω^)「……自由」
- ('A`)「ああ。ヒッキーにも、そう伝えてくれ」
- (*゚∀゚)「辛気くさいねー、最後の別れにするつもり?」
- ('A`)「ははは、まったくだ。でも、遺書ってのは元気な内にしたためとかないと、いざって時には気が回らないもんだから」
- (*゚∀゚)「ま、らしいっちゃらしいね。ちゃんと養生しなさいよ」
- ▼ーェー▼「俺帰っていい?」
- ('A`)「言いたい事全部言ったでしょうし良いっすよ。本当に感謝してます」
- ▼・ェ・▼ノシ「おう、達者でな」
- ('A`)「あ、そうだ。飼い猫が死に様を見せないって話ですけど」
- ▼・ェ・▼「ん?」
- ('A`)「クソ食らえだね、そんなん」
- ▼・ェ・▼「そうか。ふふ、そりゃあ何よりだよ」
- 201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/12/02(木) 00:11:46.30 ID:FcJ1CZT3O
- (*‘ω‘ *)「ぽー」
- ('A`)「いやだからごめんって。でも仕方ないんだって」
- ξ゚听)ξ「……」
- ('A`)「今後の目標は、お前のガキの顔を見に来る事だ。頑張るよ」
- ξ゚听)ξ「うん。待ってる」
- ('A`)「あとは……」
- lw´‐ _‐ノv『wktk』
- ('A`)「お前には本当に色々と突っ込みたい事があるんだが、まあ、良いだろ」
- lw´‐ _‐ノv『やだわ皆見てる前で……恥ずかしい』
- ('A`)「こんな俺らに協力してくれてありがとよ。あと病院に送ってってくんない? ぶっちゃけ死にそうなんだわ」
- lw´‐ _‐ノv『大丈夫大丈夫、メインカメラくらいなら大丈夫』
- ('A`)「出来れば足じゃなくて首を掴んで欲しいんだがっていててて痛いって」
- lw´‐ _‐ノv『それじゃあな、お前ら!! 宇宙のどこかでまた逢おうぜ!!』
- (;'A`)「あ、え、お前が言うのってちょ、ま、おわああああぁぁぁぁ ぁ ぁ ぁ…………」
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