('A`)ドクオが現実をスクゥようです

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/07(木) 21:35:43.68 ID:DqXwakWhO

2nd_tomorrow come.

 結局、人はどうやって見ても時の流れには抗えない。
 今、こうしている間にも時計はチクタク時を刻んで、
ニートな俺も「あの頃は若かったな。おい、新入り! コレ、行こうぜ!」なんて台詞を、
恥ずかし気もなく吐く日が来る筈だ。勿論、「一杯やる」ジェスチャー付きで。



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/07(木) 21:36:45.94 ID:DqXwakWhO

('A`)「お? なぁ、おい。これ、ちょっとポジティブじゃね?」

「来ねーよ。働け。今すぐ働け。嫌なら喰うな、何も」

 働きもしない電子機器に諭される俺。
 反論なんて出来る筈もなく、俺は精神安定の為のBGMを口ずさむ。

( A )「あーいまーい、三センチ。そりゃ、プニッてことかい?」

「ちょ」

('A`)「……はぁ」

 結局、逃避は失敗に終わり、俺はベッドに潜り込んだ。
 不毛だ。実に不毛だ。
 何もかも不毛だ。そうだ、消えてしまえ!



49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/07(木) 21:37:36.45 ID:DqXwakWhO

「……と、『不毛』の意味すら知らないニートが申しております」

(;'A`)「ちょ……」

 あぁ、このまま目を閉じてしまえば、あっという間に明日のお出ましだ。
 「今日の劣化コピー」、「同じ事の繰り返し」。

「あのな、お前は暗い。実に不健康だ。死ね。そして、聞け」

(;'A`)「順序、可笑しくね?」

 フカフカと俺を包み込む毛布から顔を出し、耳を傾ける。

「『変えよう! その手で!』」

('A`)「はいはい、受け売り、受け売り」

 そして、また沈む。



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/07(木) 21:39:00.32 ID:DqXwakWhO

 ――「繰り返し」、だ。
 「変えよう!」だの何だの、その手の文句は俺だって知っていた。嫌と言う程、知っていた。
 そして、世の中には、知っていてもどうにもならない事が、多々存在した。
 例えば、俺は、もう少し明るくあるべきだ。
 適当に、チャラチャラヘラヘラあるべきだ。
 そうしたら、恐らく友達が出来て、何もかもが上手くいく。
 ――でも、それは同時に不可能だった。
 世界は「友達の定義」を決め忘れていたからだ。
 幼い日の俺は言った。ただ純粋に、「嘘つきは泥棒の始まり」と言う言葉を信じて。



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/07(木) 21:39:46.96 ID:DqXwakWhO

「私たち、ずっと友達だよね?」

('A`)「『友達』? さぁ……『ずっと』って、いつまで?
   俺が今、死んだら終わる程度の『ずっと』なんかいらねぇよ」

 本当は知ってるよ。時には嘘も必要だって事。
 でも、俺まで嘘吐きになってしまったら、俺は何を信じて生きて行けば良い?

「お前は、どうでも良い事にこだわり過ぎなんだ。
そんなにまで『個性』が欲しいか?」

( A )「うるせぇ……失敗作……」

 それきり、この部屋から音が消えた。



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/07(木) 21:50:32.41 ID:DqXwakWhO

「眠ってしまえば、また『明日』が来るよ……」

 夢の中でそんな声が聞こえた気がした。俺は答えずに、灰色の空を見た。

「お兄ちゃん! あーさーだーよっ!」

 ――そして、また、

(;'A`)「ぱ、ぱぱパ、パソコオオオォォォォォ!!」

 繰り返さなかった。
 俺の手に、間違いなくパソコが握られていた。
 しかし、そのスピーカーから聞こえて来る――正確には、
「そのスピーカーから聞こえてくると言う設定の下、それを厳守する俺の脳内の」――声は、明らかにパソコのそれとは違った。



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/07(木) 21:51:39.66 ID:DqXwakWhO

「どしたの……?」

(; A )「ちょ……おま……」

 俺は震える手でパソコを抱きしめ、ベッドを出る。
 そして、状況把握を試みた。

(;'A`)「そうか! 脳内麻薬か!」

「うっせ。でも、どうよ? 昨日とは違うだろ?」

('A`)「ですよねー」

 あっさりといつもの声で言い放つパソコ。
 ほら、昨日通りの朝が来た。

「お前、今、自分で言ったろ? 『脳内麻薬』な、そんなもんさ」

(;'A`)「そんな簡単には行かねぇよ……って言うか、
   お前そんな事、出来たのか……」



60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/07(木) 21:52:34.68 ID:DqXwakWhO

「いや、お前がやったんだ。わかる? そんなもんなんだよ」

(*'A`)「じゃあ、次は『長門』で『インターフェース』がどうとか、
   って台詞言って?」

「うるせぇ」

(*'A`)「……」

 俺は興奮を静めるべく、歯を磨いて、顔を洗った。
 鏡の中では、ニヤニヤと顔を歪める男が俺を見つめている。

('A`)「こっち見んな!」

 少し爽やかな朝。
 そして、俺の嫁『長門』。
 軽やかに階段を登ると、パソコが待つ俺の部屋。
 意味もなくノックしてみる。



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/07(木) 21:54:13.04 ID:DqXwakWhO

(*'A`)「朝比奈さんの着替えにでも遭遇したら、大変だからな……いや、しかし――」

「キメェ」

 ドア越しに聞こえる声。

――ほら、昨日通りの朝が来た。

2nd_tomorrow come...end.



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