('A`)ドクオが現実をスクゥようです

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/22(金) 19:58:20.84 ID:UusoYdpuO

 俺は、少し思い上がっていたようだ。
 ついつい、色々、求めすぎた。
 だから、もう、終わりにしよう。
 そういえば――「こいつ」はフィクションだ。
 種も仕掛けも、夢も希望も、嘘も偽りもある、フィクションだ。
 だからこそ、こいつは呆気なく、劇的に「終わる」。
 エンディングは、いつだって、運命のままに。
 綺麗に無礼に、残酷に深刻に、呆気なく味気なく、勇敢に――ただ、勇敢に。

「運命って、誰だ?」

 ――スタート。
 このボタンから始めます。

「――『お前』だ」

10th_#NULL!



68: ◆9M2jQ1rhT. :2007/06/22(金) 20:02:40.30 ID:UusoYdpuO

>>100

 これが、本作最後の「安価」となります。

end menu_5 word.

1.happy.
2.bad.
3.real.
4.dream.
5.loop.

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/22(金) 20:13:45.60 ID:UusoYdpuO


102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/22(金) 20:14:56.85 ID:0vS3IQyI0
>>100
GJ



108: ◆9M2jQ1rhT. :2007/06/22(金) 20:22:15.53 ID:UusoYdpuO

「ほらな、やっぱハッピーエンドじゃねぇか」

「読者ガン無視で何やってんだよ……」

「でも、『安価』ですから……チャンスは平等ですよ?」

「ま、私は何でも良かったんだけどね」

「適当だな。まぁ、でも『終わり』か」

「呆気ねぇな」

「しゃんとして下さい! ちゃんと『ハッピー』にして下さいよ?」

「それまで適当なら……わかってるわよね?」

「わかってるだろうよ――嫌ってくらい……なぁ?」

「……任せとけ」

10th_#NULL!..step.



145: ◆9M2jQ1rhT. :2007/06/22(金) 22:32:50.87 ID:UusoYdpuO

10th_#NULL!..start.

 人。
 人、人、人。
 全員が全員、不審な目で俺を見る。

 ――何も聞こえない。

 何も感じない。驚く程に静かだ。
 桜の木を、睨むパンジーを、灰色の壁を、目に映る全てを潜り抜ける。

「ちょっと! 何してるのっ!?」

 驚く程に静かだった。
 視界の隅に、いつか見た女が映る。

ξ゚听)ξ「君は……またなの? 用があるなら職員室を――」

('A`)「今――忙しいんです」

 暗く重い自分の声が、ようやく世界に音を塗る。
 それでも――それでも、静かだ。



146: ◆9M2jQ1rhT. :2007/06/22(金) 22:34:33.69 ID:UusoYdpuO

 流れるように、足が進む。
 体育館を通り過ぎ、裏手。陳腐な梯子。

ξ;゚听)ξ「ち、ちょっと……っ!」

 ここを登るのは二度目の事だ。
 女――教師は、何かを叫び続けている。
 そんな事が、いかにも些細に思えた。
 まるで――霧が晴れたように、風が弾けるように、音が揺れるように――
 何もかもが、クリアだった。

('A`)「行かなきゃ、ならないんです」

 それは、あり触れた、聞き飽きた台詞――現実味のまるでない台詞。



151: ◆9M2jQ1rhT. :2007/06/22(金) 22:39:36.50 ID:UusoYdpuO

 今、それは確かな現実味を持って、そして現実に響いた。

ξ;゚听)ξ「もう……何なのっ?」

 冷たい鉄の感触。
 それを繰り返して――屋上。
 下を見遣ると、誰もいない。教師は既に去ったのだろう。

「ごめんなさい……」

 そして、前方。

('A`)「……」

 彼女はいた。
 ちっぽけな景色の中、それ以上にちっぽけに、そこに、いた。
 うずくまるように、拒絶するように、そこにいた。

(* ― )「ごめんなさい、ごめんなさい……」

 俺は――何もしない。
 出来る気が、全くしない。



152: ◆9M2jQ1rhT. :2007/06/22(金) 22:42:00.25 ID:UusoYdpuO

(* ― )「ごめん……なさい……」

 彼女の声が、呪うように繰り返される。

( A )「……」

 俺は何もしない。
 それは可笑しかった。こんな筈はなかった。
 何か――何かが、出来る筈だった。

(* ― )「ごめ、なさ……怖、て……」

 今にも消えてしまいそうな声が、呪うように、ただ俺に向けられていた。

 それで――お前、どうするんだ?
 最高にドラマチックじゃねぇか。
 もう一回、聞いてやるよ。
 お前は、誰だ?
 執拗に、ハッピーエンドを望んだのは――誰だ?



154: ◆9M2jQ1rhT. :2007/06/22(金) 22:43:59.92 ID:UusoYdpuO

 ――誰かの声が聞こえた。

 俺はその声を知っていた。
 嫌と言う程、知っていた。
 誰よりも、尚知っていた。

( A )「俺もさ……この間、来たんだ。ここに」

 その声は震えていて、いかにも頼りない。
 無様だ、と思った。

( A )「でも、怖くて……止めた」

 その声に重なるように、彼女の呪文も続く。
 ここだけ、世界中から隔離されたみたいだ。
 そして、その惨めな声は、どうやら俺のものらしかった。
 それでは、駄目だ。
 全く、全然、駄目だ。



157: ◆9M2jQ1rhT. :2007/06/22(金) 22:49:27.96 ID:UusoYdpuO

 ――ハッピーエンドは、こんなもんじゃない。

 俺はそれを、嫌という程、フィクションの世界の誰よりも、何よりも、知って――望んでいた。
 怖くない。全く、全然、怖くはない。

('A`)「世界は……静寂に包まれた」

(* ― )「ごめん、さぃ……」

 もう、大丈夫だよ。
 なぁ――

('A`)「彼は……彼女は、怯えていた。目に見えない『何か』が……
   確かに二人を狙っていた」

 倒す術も、逃げる術も、世界のどこにも存在しない。



159: ◆9M2jQ1rhT. :2007/06/22(金) 22:52:20.62 ID:UusoYdpuO

('A`)「世界は彼を、彼女を、執拗に迫害した。特別過ぎる二人は……邪魔だった」

 だから、二人は……、

('A`)「だから……、」

 二人は……、

 ――どうしようもねぇな。

 彼女が、嗚咽混じりにこちらを見る。
 その表情は、悲痛で、悲壮で、不幸で――やはり、どうしようもなかった。

「本っ当にどうしようもないわね」

 声がした。
 なんていう事はない、それは――「勇者」の声だった。

ξ゚听)ξ「あの校長と言い……あーあっ! 嫌になる」

 教師は気だるそうに屋上に上がり、やはり気だるそうに立ち上がった。



160: ◆9M2jQ1rhT. :2007/06/22(金) 22:54:26.30 ID:UusoYdpuO

('A`)「世界は彼を、彼女を、執拗に迫害した。特別過ぎる二人は……邪魔だった」

 だから、二人は……、

('A`)「だから……、」

 二人は……、

 ――どうしようもねぇな。

 彼女が、嗚咽混じりにこちらを見る。
 その表情は、悲痛で、悲壮で、不幸で――やはり、どうしようもなかった。

「本っ当にどうしようもないわね」

 声がした。
 なんていう事はない、それは――「勇者」の声だった。

ξ゚听)ξ「あの校長と言い……あーあっ! 嫌になる」

 教師は気だるそうに屋上に上がり、やはり気だるそうに立ち上がった。



163: ◆9M2jQ1rhT. :2007/06/22(金) 22:56:14.88 ID:UusoYdpuO

ξ゚听)ξ「何よ? 何? 『特別過ぎる二人』? ふざけないで」

 その言葉に、俺は、彼女は、ただ、ただ黙る。

ξ゚听)ξ「何? 自殺でもするつもり? 何で――」

 ――私の仕事を増やすの?

 教師は何の気負いもなく、そう言った。
 勇者でもなんでもない、酷く現実的な意見だった。

 ――しかし、それは素敵だった。

 まるで、フィクションだった。

(* ― )「私は……もう嫌なのっ!!」

ξ゚听)ξ「……」



164: ◆9M2jQ1rhT. :2007/06/22(金) 22:57:53.65 ID:UusoYdpuO

(* ― )「生きていたくないの! 一つでも悲しい事があるなら、
    何もいらないのっ!!」

 その言葉に、俺は、教師は、ただ、ただ黙る。

(* ― )「可笑しいのも、間違ってるのも知ってるよ……でも……嫌なの!!」

 ――あぁ、知ってるさ。
 でも、どうしようもない。

ξ゚听)ξ「……それで?」

 教師は何の気負いもなく、そう言った。

ξ゚听)ξ「全っ然、全く、可笑しくも、間違ってもない……
   ありきたり過ぎてリアクションに困るくらいよ」

 俺は完全な第三者として、立ち尽くしていた。
 この人は――どこまでも清々しい。



166: ◆9M2jQ1rhT. :2007/06/22(金) 22:59:39.63 ID:UusoYdpuO

(* ― )「生きていたくないの! 一つでも悲しい事があるなら、
    何もいらないのっ!!」

 その言葉に、俺は、教師は、ただ、ただ黙る。

(* ― )「可笑しいのも、間違ってるのも知ってるよ……でも……嫌なの!!」

 ――あぁ、知ってるさ。
 でも、どうしようもない。

ξ゚听)ξ「……それで?」

 教師は何の気負いもなく、そう言った。

ξ゚听)ξ「全っ然、全く、可笑しくも、間違ってもない……
   ありきたり過ぎてリアクションに困るくらいよ」

 俺は完全な第三者として、立ち尽くしていた。
 この人は――どこまでも清々しい。



169: ◆9M2jQ1rhT. :2007/06/22(金) 23:01:25.33 ID:UusoYdpuO

ξ゚听)ξ「何よ? アンタもボサッとしてないで早く」

('A`)「……早く?」

ξ゚听)ξ「職員室、強制連行。任意とか知った事じゃない」

 らしかった。
 そして、泣き止まない彼女を引き摺るように、教師は屋上を後にした。

 俺は――残された。

 どこまでも、現実的な現実に。

「まぁ……悪くはなかったんじゃね?」

 ポケットの中で控えめな声。

('A`)「……何点よ?」

「五十点くらい」

('A`)「へぇ――」

 目線の高さに夕陽が燃える。
 下からの怒鳴り声に、俺も屋上を後にした。

('A`)「――赤点は免れた訳だ」



170: ◆9M2jQ1rhT. :2007/06/22(金) 23:02:42.63 ID:UusoYdpuO

 こっそりと呟く。
 変わらずにクリアな世界の前、少しだけ「何か」を見付けた気がした。

10th_#NULL!..end?



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