('A`)ドクオは再び銃を手にするようです
- 155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:20:08.10 ID:m+C4YUrd0
- ('A`)「ジョルジュ……」
(´・ω・`)「……仕方なかったんだよ」
('A`)(あんた達も間に合わなかったのか)
(´・ω・`)「バーから通報があってね。どうもジョルジュが発狂して、
店内で拳銃を乱射したらしいんだ。あわてて駆けつけたんだけどね」
え、奴らにやられたんじゃないのか?
ドクオは振り返り、ショボンを見つめる。
(´・ω・`)「説得しようとはしたんだけどね。錯乱しちゃっててね……
結局、射殺するはめになっちゃったよ」
('A`)「……」
(#´・ω・`)「あのさあ、もしかして射殺したくてしたとでも思ってる?
いくらなんでもバーの客と店員を見殺しにはできないよね!?」
しょぼくれた顔のまま声を荒げるショボン。
- 159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:22:43.67 ID:m+C4YUrd0
- ('A`)「そんなことは誰も言ってませんよ」
(´・ω・`)「そう?そりゃ失礼したね。そういえばジョルジュの携帯見たんだけどさ、
最後の発信履歴がドクオ宛だったんだよ。署まで来てもらえるかい?」
('A`)「はあ?」
(´・ω・`)「一応重要参考人ってことになるよね?まあ任意だけどさ。
コーヒーぐらいは奢るから、ちょっと寄ってってよ」
('A`)「……仕方ないですね。おとなしく連行されましょうかね」
(´・ω・`)「だから任意だって。亡くなった彼の思い出話とかしようよ」
('A`)「何が目的だが知りませんが、さっさと済ませましょう。
そっちの車に同乗しますんで、俺の車を署に回しておいてください」
ショボンはドクオからキーを受け取り、どことなく緊張気味の新人に手渡す。
(´・ω・`)「あ、そうそう。『左利きのドク』は今じゃ”伝説の英雄”だからさ。
新入りの小僧たちがサインくれって言ってくるかもしれないね」
軽口を叩きながらパトカーに乗り込むショボン。
ドクオは無言でその車に同乗する。
- 162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:24:48.15 ID:m+C4YUrd0
- ※
どこか懐かしささえ感じる取調室。
しかし以前とは反対側の椅子に座っていることに多少の違和感を感じる。
(´・ω・`)「はい、コーヒー」
('A`)「……」
コーヒーの入った紙コップを受け取り、口に含む。
5年前と変わらぬ味。
不味い。ものすごく不味い。
('A`)「相変わらずこんな泥水みたいなものを飲んでんすか」
(´・ω・`)「ひどいね、相変わらず」
ドクオに酷評されたコーヒーを美味そうに味わうショボン。
- 167: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:27:12.37 ID:m+C4YUrd0
- (´・ω・`)「ガーデンは僕たちにひどい事をしたよね。
目が覚めたら全部夢だったんならいいよね」
('A`)「俺はそんなこと5年前から毎日思ってますよ。
しかも今日、会いたくても会えない人間が一人増えました」
(´・ω・`)「さっき説明したよね?仕方なかったんだよ」
('A`)「5年前に俺を取り押さえたのは誰だったか覚えてます?」
(´・ω・`)「……」
('A`)「もしあのときジョルジュ以外の人間が俺を逮捕してたら、
殺して逃亡してただろうと思いますよ……たとえ貴方でも」
(´・ω・`)「おお怖い怖い」
煙草に火をつけるショボン。
くわえたまま大きく息を吸い込む。
不満げな顔。
(´・ω・`)「いいこと思いついた。これ5本くらいまとめて吸ったら
ちょっとは吸いごたえあるかな?」
('A`)「……素直にハイライトに戻した方がいいんじゃないすかね」
横を向いて肩をすくめるドクオ。
うつむくショボン。
- 170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:29:20.15 ID:m+C4YUrd0
- (´・ω・`)「それはそれで結構あれなんだよね」
('A`)「どれなんすか」
(´・ω・`)「だからあれだってば……無限ループは怖いよね」
('A`)「まあね……それより本題に入りましょうよ。
俺にいったい何の用があるんです?」
(´・ω・`)「んじゃ結論から。また、うちに戻ってくる気ない?」
('A`)「はあ?」
(´・ω・`)「いや実際さ、ガーデンはヤバいよ。もう放置できないよね。
だいたいさ、ドクオがリーダーやってたプロジェクトって
ガーデンの脅威の根絶が目的だったよね?」
('A`)「そうでしたかねえ……もう昔の事は覚えてませんよ」
思わず嘘をつく。
覚えてないわけがない。
あの時に全てを失ったんだってのに、いったいどう忘れろって言うんだ?
煙草に火をつけ、愛用のライターを握り締めるドクオ。
手になじんだ革の感触が、高ぶったドクオの心を和らげる。
- 171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:31:15.98 ID:m+C4YUrd0
- ('A`)「この前は、俺がガーデンに関るのを嫌がってたじゃないですか」
(´・ω・`)「僕が嫌がってるのは元部下と現役の部下たちの殺し合いだよ。
あとは『触らぬ神に〜』って奴?ガーデンもスルーできるものなら
スルーしたかったんだけどね」
元部下と現役の部下たちの殺し合いが嫌だ?
したんだろ?ジョルジュと。
ドクオは横を向き、煙を吐き出す。
(´・ω・`)「でももう無理でしょ?スルーは。どうせドクオは関る気なんだし
奴らは奴らで、お外で思いっきり”おいた”する気満々じゃない。
それならいっそ、もう一度うちで働きなよ」
ノックの音。
(´・ω・`)「はいはい、どうぞ」
見覚えのない若手警官が入ってくる。
頭の方はともかく、なんとなく腕は立ちそうにない感じがする。
- 175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:33:34.17 ID:m+C4YUrd0
- (;-@∀@)「署長、大変です」
(´・ω・`)「何がさ」
(;-@∀@)「屋上のヘリポートなんですが、その……」
(´・ω・`)「その、何?結論から言ってよ結論から」
(;-@∀@)「先程ヘリが帰投したんですけど…・・・とにかく大騒ぎなんです!」
上から突然の爆音。建物全体が揺れるほどの衝撃。
(;´・ω・`)「何が起こった!?」
(;-@∀@)「ですから、その、あのですね……」
('A`)(ダメだこりゃ)
ドクオはどうしてもコーヒーだとは認めたくない液体を
そっとショボンの方に押しやり、呆れ気味に口を開く。
('A`)「何が起きたか知りませんが、ここで訊いてるより
とりあえず見に行った方がいいんじゃないすかね?」
(´・ω・`)「そうだね。じゃあドクオも一緒に来てよ」
- 177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:36:33.87 ID:m+C4YUrd0
- ('A`)「は?何で一介のタクシードライバーが……」
(´・ω・`)「提案責任って奴さ。ちなみにアサピー君、彼が
例の『左利きのドク』だからドンパチなら安心だよ」
(*-@∀@)「えっ、あの有名な?」
('A`)「いや人違いです。ただの善良な一市民ですよ」
(´・ω・`)「……」
無言でドクオを見つめるショボン。
ドクオは諦めたようにため息をつく。
('A`)「……はいはい、わかりましたよ。とりあえず行くだけ行きますよ」
ドクオは重い腰を上げ、ショボン達と共に屋上へ向かう。
- 180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:39:11.50 ID:m+C4YUrd0
※
屋上に到着すると、そこは惨状だった。
数台のヘリが破壊され、炎上していた。
全身に火傷を負い、うめく警官。
かつては警官だった消し炭がその辺に転がっている。
あわただしく働く消火班を尻目に拳銃を構える警官達。
その中心に、場違いな女性が立っていた。
辺り一面の炎に照らされた、氷の容貌を持つドレスの女。
両腕で炎と戯れ、舞うように銃弾を避ける。
腕から熱風を放って警官隊を圧倒する。
火球を放ち、辺りを炎に包む。
- 185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:42:08.66 ID:m+C4YUrd0
- ショボンが近くにいた若い警官を捕まえる。
(;´・ω・`)「何があった?現状を報告してよ」
(;^Д^)「帰還したヘリからあの女が降りてきまして……」
(;´・ω・`)「で?ヘリの乗組員は?」
(;^Д^)「降りてこないままヘリが炎上しました……
消火班や応戦した警官も数名が熱風や炎で……」
(;´・ω・`)「……」
何人かの警官がショボンの後ろに立つドクオに気がつく。
屋上に集まった警官たちの視線がドクオに集まる。
彼を知る者の期待に満ちた視線、知らぬ者の当惑に満ちた視線。
- 188: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:44:11.56 ID:m+C4YUrd0
- 从ヽ`∀从「アボジ(お父さん)、あのブラックジーンズ履いたもやし男は誰ニカ?
バンド青年のなれの果てなんか弾除けにもならんニダ」
<ヽ`∀´>「……あれが前に話した『左利きのドク』ニダ」
从ヽ`∀从「あの冴えないニート崩れがアポジの上司だったニカ?
それは正直がっかりニダ」
<ヽ`∀´>「見かけで判断するのは愚か者のすることニダ。
とりあえずドクオに任せてウリ達は避難するニダ」
从ヽ`∀从「それがいいニダ」
<ヽ`∀´>「少し袖でも焦がしてそれらしく見せると一層効果的ニダ」
从ヽ`∀从「アボジはやっぱり賢いニダ」
こそこそと隠れる刑事の親子。
- 189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:46:24.01 ID:m+C4YUrd0
- ドクオはドレスの女を見つめる。
美しく風になびく長い黒髪。
白く滑らかな肌を炎が照らす。
あの夜に着ていた、菫色のドレスが月光を浴びて輝く。
('A`)「……クー」
逢いたかった。
でも逢う資格なんて俺にはないと思ってた。
そっちから来てくれたってことは、もう許してくれるってことかい?
早く俺もそっちに連れてってくれよ。
ドクオは立ち尽くす。
取り囲む警官隊の視線に導かれたのか、ドレスの女がドクオの方に歩き出す。
クーはその右手をドクオの方にかざす。
氷の容貌を持つ女から放たれた火球が、ドクオに襲い掛かる。
- 194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:49:07.78 ID:m+C4YUrd0
※
(*゚ー゚)「……はあ」
自宅に到着し、ため息をつくしい。
リビングにたどりついた瞬間、体中の力が抜けたかのようにふらふらになる。
やっとの思いでテーブルまで辿りつき、何とか椅子に座る。
テーブルに両肘をつき、両手で頭を抑える。
(*;ー;)「あなた……逢いたいよ……」
涙がしいの頬をつたう。
(*;ー;)「早く……いつもみたいにだっこしてよ……もう私壊れちゃうよお……」
しぃの親指がピアスに触れる。
――このピアスのために、穴を開けた耳朶。
耳朶を貫くピアス、左手の薬指にはまった指輪。
しぃの所有権を主張するかのように訴えかける、その感触がしぃを安堵させる。
- 199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:52:36.03 ID:m+C4YUrd0
- でも、もうそれだけじゃ我慢できない。
早く、帰ってきて。
早く、その笑顔を見せて。
早く、私を抱きしめて。
早く、その暖かい声で囁いて。
早く、また体で実感させてよ。私が誰のものかって――
あたしが生まれてきたのは、あなたのため。
あなたのものになるため。
しぃの涙がテーブルにこぼれ落ちる。
ふと、テーブルの隅に花を見つける。
(*;ー;)「……え?」
シィ・ハニウス。
彼が見つけた喋る花
- 202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:54:48.01 ID:m+C4YUrd0
- 以前見たときと同じように、シィ・ハニウスが震え始めた。
花の囁きを聞き逃さぬよう、耳をすますしぃ。
――シィ、ギコニ逢イタイカ?――
(*;ー;)「ええ、もちろんよ。彼は今どこに?」
――ギコニ逢イタイナラ、案内シヨウ――
あの人に逢うためなんでしょ?
どこだって行くわ。
何だってできるわ。
あの日からずっと、そうやって生きてきたんだから。
しぃは花を持ち、家を飛び出す。
- 206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:57:14.56 ID:m+C4YUrd0
※
とっさに横に飛びのき、腕で顔をカバーするドクオ。
('A`)(……何やってんだよ)
せっかくクーが迎えに来てくれたってのに、
何で自分の命なんか大事にしてんだよ。
('A`)(……ごめん、クー。悪いけどもう一度頼むわ)
5年ぶりの再会に、ふらふらとクーに近寄る。
('A`)(手間かけさせてすまないな。さあ、連れてってくれよ)
ドクオはまっすぐクーを見つめる。
- 210: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 01:59:13.72 ID:m+C4YUrd0
- 川 ‐ )「……」
('A`)(……え?)
意思のない瞳。
しかし死んだ魚のような目ではなく、むしろ作り物のような瞳。
あたかも目のような形をしてはいるが、妙に違和感がある。
実は目の形をしているだけの擬態なのかもしれない。
前日に殺し合いをした、メイドインVIPガーデンの木偶人形の目を思い出す。
飛びのくドクオを見もせずにナイフを繰り出した”もどき”。
('A`)(……そういうことかよ)
目の前に立っている”アレ”もまた、ガーデンの悪意ってことか。
よりによってその姿を取って。
ドクオを嬲るに最もふさわしいその姿。
(#'A`)(……その貌だけはやめろ)
クーを冒涜するな。
俺に何の悪ふざけをしようと構わない。
だが、それだけはやめろ。
お前達の相手は俺じゃなかったのか?
おまけにジョルジュまで……
- 214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 02:01:24.43 ID:m+C4YUrd0
- (#'A`)「……さねえ」
ドクオは右手で”豆鉄砲”を抜き、構える。
(#'A`)「許さねえって言ってんだよ!」
ドクオの放つ銃弾がクー”もどき”の貌をかすめる。
さらに足元にも威嚇の一発。
クーに擬態した植物は臆することなくドクオに近づく。
('A`)(……だからあれはクーじゃないんだよ。何で撃てないんだよ……)
偽者の木偶人形であるとわかっていながら、
それでも撃つことができないドクオ。
何度狙いを定めても、クーの顔が視界に入るたびについ狙いをずらしてしまう。
擬態した悪意はドクオを嘲笑うかのように、ゆっくりと近づいてくる。
- 219: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 02:04:05.22 ID:m+C4YUrd0
- (#'A`)「てめえええええ!!!!!!」
ドクオは”豆鉄砲”を木偶人形に向けて放り投げる。
投げられた護身用の銃が”もどき”の擬態した顔に当る寸前、
ドクオは左手でデザートイーグルを抜き、”豆鉄砲”を撃つ。
クーに似せた造り物の顔、その前で爆発が起こる。
顔の見えないただの木偶人形に躊躇する必要はない。
ドクオはガーデン生まれの呪い人形に次々と銃弾を叩き込む。
無くした頭から胸、腹へと正中線をなぞるように。
左手に伝わる5年ぶりの衝撃。
首なしの惨殺死体が血も流さず、その場に崩れ落ちる。
- 223: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 02:06:10.26 ID:m+C4YUrd0
- 安堵の息をもらす警官達。
ふと、二人連れの警官がドクオに近づいて来る。
<ヽ`∀´>「ウェー、ハッハッハ!さすがは『左利きのドク』ニダ」
从ヽ`∀从「アサピー、何してるニカ?
さっさとドクオニム(ドクオ様)にお飲み物をお持ちするニダ!」
(;-@∀@)「は、はい!」
ドクオはパシりに行こうとする気の毒そうな新人の肩に手をかけ、止める。
('A`)「いや、気にしないでくれ
……久しぶりだな、ニダー。出世したらしいじゃないか」
<ヽ`∀´>「ドクオ、よかったら警察に戻ってこないニカ?
何ならウリが部下になってやってもいいニダ」
(;'A`)(;-@∀@)(;´・ω・`)「ええええええええええええええ」
ニダーが他人を褒める?しかも部下になるだって?
みんなが自分の耳を疑う。
- 227: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 02:08:20.63 ID:m+C4YUrd0
- <ヽ`∀´>「何を驚いてるニカ?ドクオはミンジョク(民族)の英雄ニダ。
ウリもミンジョクの誇りにかけてドクオを支援するニダ」
(;'A`)(え?おれコリア系だったの?初耳なんだけど)
(;´・ω・`)(何という捏造、これは間違いなく『良いものは全て半島起源』説)
从ヽ;∀从「ドクオニムの強さとアボジの器の大きさに
ウリも感動の涙が出たニダ」
(*-@∀@)「コリア民族の団結力は全くもって素晴らしいですね」
(;´・ω・`)(……騙されてる、騙されてるよアサピー)
('A`)(……何かよくわからんが褒め言葉として受け取っておくよ)
……そうか。
ニダーはクーの事を知ってたんだよな。
相変わらず気の回し方が下手なんだな。
でもありがとう、ニダー。
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