戦え!アルバイター達!!   のようです、お客様。

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 00:08:13.88 ID:+r0KERe9O





第1シフト
動き出す空、立ち込めた雲を切り裂いて






10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 00:09:41.99 ID:+r0KERe9O
アルバイトバトルの応募者は凡そ500万人に及んだ。
アルバイトに関する筆記試験、実技試験等が行われ、8人にまで振るい落とされた。
ブーンは長年培ってきた経験を遺憾なく発揮し、見事に試験を通過する事が出来たのだ。

本戦の対戦相手は機械によるランダム抽選により選出される。
8人による合計7戦のアルバイトバトルが行われるのだ。
そして最後に残った者が賞金を、アルバイターとしての名誉を手に入れる事が出来るのである。

( ^ω^)「僕の最初の対戦相手はヒートって子かお」



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 00:12:05.73 ID:+r0KERe9O
ブーンは事前に相手の情報を調べ控えておいたノートを開き、情報を反芻する。

朱名ヒート(24)
和食レストラン『花椿』勤務。
原付で片道3分通勤。
彼氏無し。
スクリューパイルドライバーコマンドが入力出来ない。

( ^ω^)「なるほど……原付で近場通勤かお」

(’e’)「ブーン選手、時間です」

( ^ω^)「……分かりましたお」

ブーンは控え室から闘技場に向かい歩き始めた。
今まさに、ブーンにとって初めてのアルバイトバトルが始まる。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 00:15:08.77 ID:+r0KERe9O
ブーンとヒートは闘技場の真ん中で向かい合い立っている。
ブーンは作業着姿でニコニコしている。
ヒートは着物の上に割烹着姿でブーンを凄まじい形相で睨み付けている。

ノパ听)「これから命を賭けた勝負が始まるんだぞ!」

ノハ#゚听)「なのに何だ!お前は!ニコニコしやがってええぇ!」

(;^ω^)(いや、ぶっちゃけ緊張してるんですがお)

ノパ听)「……とんだ優男だな!この勝負貰った!」

ヒートが台拭き用の布巾を右手に、バケツを左手に持つ。
布巾をバケツに入れ水を絞り、台を拭くかのような仕草をしている。

(;^ω^)「一体何を……」

ブーンは未知の緊迫感に捕われ身構える。

ノパ听)「先手必勝―――店長!そろそろ店じまいの準備しても良いですかー!?」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 00:18:15.14 ID:+r0KERe9O
ヒートはわざとらしくあさっての方向に叫ぶ。

そう、ヒートが放った攻撃は精神破壊の類の技だ。
食べてる最中に店じまいの準備を始められたらたまった物では無い。
早く食べなくちゃ!早く店を出なくちゃ!
店員が冷たい視線を注ぐのが目に浮かぶ。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…。
もう帰ります……。

観客が圧力に飲まれ、シンとなる。
嫌らしく粘ついたプレッシャーがブーンを飲み込む。

(;^ω^)「ぐぅっ!!」

ヒートの精神破壊攻撃を受け、怯むブーン。
膝が地面に着きそうになったが、足に力を入れグッと堪えた。

(;^ω^)「これがアルバイト力を使った攻撃……」



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 00:21:49.99 ID:+r0KERe9O
ノパ听)「なんだ!アルバイトバトルは初めてか!」

(;^ω^)「そうだお…でも」

( ^ω^)「お陰様でアルバイトバトルの要領を掴んだお!」

ノパ听)「ふん!強がるな!一気に畳みかけ」

( ^ω^)「意思表示―――申し訳ございません、お客様」

ブーンは一呼吸置いて言葉を放つ。

( ^ω^)「100ペリカ未満の給油はお断りさせて頂いておりますお」

ノハ;゚听)「なっ!?」

ヒートの言葉を遮りブーンが技を放つ。
ブーンの技が牙を剥いた。
不意を打たれ牙にえぐられたヒートの顔は、みるみる内に青冷めて行く。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 00:25:05.74 ID:+r0KERe9O
ヒートは原付で職場まで通勤をしている。
一回通勤するごとに給油する悪癖がヒートにはあるのだ。
それ故、代金が100ペリカ未満の時がほとんどだ。
筆者の親がガソスタ経営してるので言わせて貰うが、とてもウザい。
何故ほぼ満タンなのに入れに来るのか、クレジットカード払いの時もあるし……。

ノハ;゚听)「違う!違うんだ!少しでも減ってたら気持ち悪くて…!!」

( ^ω^)「お客様、申し訳ございませんお」

錯乱しているヒートに向かい、強く言い放つブーン。
その技が止めとなるべくヒートに襲いかかる。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 00:28:03.51 ID:+r0KERe9O
ノハ;凵G)「そ…ん……な」

持っていたバケツを手から落とし水が地面に染みる。
そしてヒートは泣き崩れながら地面に倒れた。
倒れながらもわなわなと肩を震わせ涙を流している。
観客もその悲惨な光景に恐怖を感じていた。

ノハ;凵G)「ほぼ満タンでも……良いじゃ…ん……」

ノハ;凵G)「入れて…よ……ね?」

涙を流し、顔だけをブーンに向け懇願するその姿は艶っぽく映った。
しかしブーンは深く頭を下げ断る。

( ^ω^)「またのお越しをお待ちしておりますお」


第1シフト『またのお越しをお待ちしております』



戻る第2シフト