( ^ω^)は思い出すようです

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:02:52.99 ID:N8UG7wse0
「君の顔面に一発だね」


メギッ


何かがめり込むような音がした。

ツンが目を開けると、なぜかショボンが立っていた。


(;@∀@)「お前…どっから…」

(´・ω・`)「心のずっと奥の方〜♪」


そう言ってショボンは走り出し、

殴る

蹴る

殴る

絞める



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:06:21.20 ID:N8UG7wse0
.
.
.
.




力の差は歴然だった。

DQN2人は立てないほどにボロボロになっていた。


(´・ω・`)「こんなもんでいいかな」

ξ;゚听)ξ「しょぼん…いつからいたの?」

(´・ω・`)「最初から近くにはいたよ?」

ξ;゚听)ξ「えっ!?周り見たけどいなかったような…」

(´・ω・`)「『漢』のヒミツさ♪」

ξ;゚听)ξ「…」



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:09:23.52 ID:N8UG7wse0
ツンは一応救急車を呼ぶことにした。

それを見たショボンはDQN2人に何かを言ったようだった。

ショボンの言葉に激しく頷く2人。





ξ゚听)ξ(え…)

ふと、ブーンの家を見ると、ドアが開くのが見えた。

そして、誰かが出てくるのも…



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:10:15.84 ID:N8UG7wse0
ドクオの目の前には最悪な光景が広がっていた。

凹んだ車

倒れている二人

呆然と見つめる子供

狂ったように泣く友人




('A`)『ぶーん…』

数秒経ってからやっと声が出た。

しかし、誰にも届かないぐらい小さな声だった。



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:11:31.05 ID:N8UG7wse0
そのとき突然車が動き出し、走り出そうとした。

('A`)『待てよ!!』


止めようと、窓ガラスを叩いたつもりだった。

しかし、手はガラスをすり抜け、触れなかった。


でも、犯人の顔は見れた。

('A`)『え…』


ドクオは止まった。

何かに気付いてしまった。



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:14:36.96 ID:N8UG7wse0
( ゚ω゚)『あ”あ”あ”あ”あ”ああああああ』

ブーンはひたすら両親を抱こうとしていた。

しかしその手はむなしくもすり抜け、触ることすらできない。


( ;ω;)『なんでだお!!なんでだお!!』

手を伸ばしてはすり抜け、伸ばしてはすり抜け。

( ;ω;)『なんで触れないお!!なんで助けられないお!!』

ブーンは小さな子供を見た。

( ;ω;)『なんでお前が助けないお!!なんでオイラが助けないお!!』

過去の自分へ当たる。しかし、その言葉は自分の跳ね返ってくる。

( ;ω;)『嫌だお…このままじゃ死んじゃうお…』



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:16:06.54 ID:N8UG7wse0
ブーンの悲痛な叫びが響き続けた。

ドクオにしか聞こえない悲しみの叫びが。



誰かが通報したのか、救急車の音が近づいてくる。

それと共にドクオの体は浮遊感に包まれていった。



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:19:03.18 ID:N8UG7wse0
ξ゚听)ξ「ドクオ!!」


ドアが開き、出てきたのはドクオだった。

ツンの声に反応したドクオの顔は暗い表情だった。


(´・ω・`)「どくお、大丈夫かい?」

('A`)「あぁ…だが、ぶーんは…」

ξ゚听)ξ「ぶーんは!?ぶーんはどこにいるの!?」


ドクオは唇をかみ締めた。

数秒間を置き、ドクオは話し始めた。



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:21:09.53 ID:N8UG7wse0
('A`)「恐らく、記憶の中に入り込んで出て来れない状態なんだ」

('A`)「ぶーんが消えた日が何の日かわかるか?」

ξ--)ξ「それは…」

(´・ω・`)「ぶーんの両親が轢き逃げにあった日だね」

('A`)「あぁ」


ドクオは少し考えた。


('A`)「俺の推測でしかないが」

(´・ω・`)「なんだい?」



49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:22:13.06 ID:N8UG7wse0
('A`)「子供だったから理解できなかった両親の死を
    その理由を思い出して、憎悪にまみれてしまってる」


ドクオは2人の目を見て言った。


('A`)「明日はおじさんたちの命日だ。このままだとぶーんは…」



ツンはショックで何も言えなくなっていた。

どうすれば、どうやったら、と考えるも何も思いつかない。

そんなツンの思考を中断させるようにショボンが口を開いた。



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:23:58.48 ID:N8UG7wse0
(´・ω・`)「どくおは、ぶーんの見てる記憶を見たんだね?」

('A`)「たぶん、そうだと思う」

(´・ω・`)「ぶーんは轢き逃げ犯の顔を見てしまったかい?」

('A`)「いや、まだ見てないはずだ」

('A`)「だが、車のことはしっかり見ていたから、犯人を追って知ってしまうだろう」

(´・ω・`)「君は犯人を見たんだね」

('A`)「…あぁ」


ドクオは顔を下に向けた。



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:25:36.87 ID:N8UG7wse0
そしてツンのほうを向き言った。


('A`)「ツン…君のお父さんだった」



はぐるまが

きしみながら

まわりはじめた



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:26:32.89 ID:N8UG7wse0
( ;ω;)『うううぅ・・・・・』


ブーンは救急車に乗った両親を見送っていた。

乗ろうとしても、足がすり抜けてしまい、乗れなかったのだ。

涙を流し、途方にくれていた。


( ;ω;)『なんでだお・・・』


涙も枯れてきたブーンに一つの感情が生まれてきた。



56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:28:11.78 ID:N8UG7wse0
(#^ω^)『全部あの車が悪いお』

(#^ω^)『犯人は絶対捕まえてやるお』


ブーンは犯人を見つけることを決意し、走り始めた。

今も脳内にはっきりと映し出される突っ込んできた車。


(#^ω^)『殺してやるお。殺してやるお』


もうすでにブーンの心は壊れ、そこには憎しみしか残っていなかった。


(#^ω^)『どこにいるお。裁いてやるお』


血眼になり車を探すブーン。

似たような車はあるが、凹んでいる車は見当たらない。



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:29:29.92 ID:N8UG7wse0
(#^ω^)『もしかして、アレかお・・・?』


とある大きな家に止まっていた車に目が行った。

近づいて見てみると、凹んでいる。

犯人の車だった。


(#^ω^)『犯人の面でもあがめるお』


何も触れない代わりに、鍵を閉めたドアもすり抜けられた。

大きな玄関を通り、リビングを見てみると、一人の男が頭を抱えていた。


(#^ω^)『こいつかお…』



60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:31:03.11 ID:N8UG7wse0
「あぁ…なんてことを…」

(#^ω^)『死ね!!死ね!!』


ブーンは男に向かって何度も殴った。

しかし、体をすり抜けてしまい、意味はなかった。

頭に血の上っているブーンはそれでも続けた。


(#^ω^)『お前なんか死んでしまうといいお』

「よりによって、彼らを…」

(#^ω^)『早く死ぬんだお!!』

「なぜ、内藤夫妻を轢いてしまったんだ…」

( ゚ω゚)『え…』


ブーンの思考は一時停止した。



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:32:29.01 ID:N8UG7wse0
なぜ両親のことを知ってる…

なんなんだコイツは…



「あぁ、ツン、お父さんは今忙しいから、あっちに行ってなさい」

( ゚ω゚)『つんっ!?』


ブーンが振り向くと、小さな女の子がこちらを見ていた。

よく見るとツンよく似ている。

そう、ツンの子供の頃の姿だった。



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:34:14.76 ID:N8UG7wse0
( ゚ω゚)『つん?なんでつんがいるお?』


ブーンは周りをよく見てみた。

そして、ここはツンの家だと理解した。


( ゚ω゚)『ツンのお父さんがママやパパを殺した…』


信じたくもない事実を知ってしまった。

憎しみや悲しみで自分を見失う。

この怒りはどこへぶつければいいんだろう。



目の前が真っ暗になった。



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:35:17.74 ID:N8UG7wse0
私の父はとある会社の社長だった。

部下のことを大切にする、と評判も良かった。

でも、ある日、父は自殺をした。

私が小さな頃の話だった。



ξ゚听)ξ「え・・・」

('A`)「俺の記憶違いだったらいいんだが、前につんの家の仏壇に飾ってあった人だった」

(´・ω・`)「・・・」


自殺した理由は知らなかった。

母親に聞いても教えてくれなかった。



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:36:41.60 ID:N8UG7wse0
('A`)「つん…君のお父さんが自殺したのは知ってる…」


まさか、父が人を轢き殺していたなんて…

自殺した理由はやっぱり…


('A`)「たぶん、この事を病んでだと俺は思うんだ…」


そうだったんだ…

私の父が…


(´・ω・`)「ぶーんの両親は、つんの親の会社で働いていたんだ」

ξ゚听)ξ「えっ?」


突然ショボンが言った言葉に思わず声が出た。



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:37:33.99 ID:N8UG7wse0
(´・ω・`)「普通、知らない人を轢き殺してしまったら、警察に行って誠心誠意償おうとするよね?」

(´・ω・`)「部下思いのつんのお父さんは、公的な償いだけでは足りないと思った」

(´・ω・`)「ぶーんの両親とは仲が良かったみたいだから、余計にね」

ξ゚听)ξ「しょぼん、なんでそんな事知ってるの?」

(´・ω・`)「すまない。勝手に調べさせてもらったよ」

('A`)「お前は何者なんだ一体…。まぁ今はいい」

('A`)「これから俺たちはどうするんだ?」



そう、これからどう動けばいいのか。

ブーンはこの世界を憎んでいるかもしれない。

ブーンはこの世界にあきれているかもしれない。

ブーンはこの世界に戻りたくないかもしれない。

そんなブーンをどうやって呼び戻せば?

ぶーんの両親を奪った犯人の娘がどうやって…。



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:38:45.66 ID:N8UG7wse0
(´・ω・`)「つん、ぶーんは君を恨むかもしれないよ?」

ξ--)ξ「・・・・・・・うん」

(´・ω・`)「それでも、助けたいかい?」

ξ゚听)ξ「もちろんじゃない!!」

(´・ω・`)「それじゃ、とりあえず、ブーンの家に入ろうか」

('A`)「そうだな。何か出来ることがあるかもしれない」

ξ゚听)ξ「うん・・・!」



私はブーンを助けたい。

私はブーンに謝りたい。

私はブーンと会いたい。

それならどんなことでも出来る気がする。

だって、私はブーンを…



72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:39:57.81 ID:N8UG7wse0
ブーンは暗い俺ともずっと付き合ってくれた大切な親友だ。

小さな頃から、ブーンとは仲が良かった。

ブーンの両親にはよくお世話になった。

だからこそ犯人を憎んでいた。

唯一心の底から殺したいと思っていた人間だ。

今は…わからない。

ただ、ツンに罪はないことだけは確かだ。



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:40:56.85 ID:N8UG7wse0
(´・ω・`)「それでも、ぶーんを助けたいかい?」

ξ゚听)ξ「もちろんじゃない!!」


正直、俺は驚いた。

一瞬の迷いもない即答だった。

そして、そんなツンに嫌悪感を抱いていた自分を罵倒した。


('A`)「何か出来ることがあるかもしれない」

ξ゚听)ξ「うん・・・!」


俺たちはブーンの家に入った。



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/06/10(日) 22:42:37.26 ID:N8UG7wse0
(´・ω・`)「どくお、君はなんでこの家から出てきたんだい?」

('A`)「俺がぶーんの記憶に行ったのは、ここからだったからな」

ξ;゚听)ξ「えっ?私が来たときは何も起こらなかったわよ」

('A`)「たぶん、幼い頃の記憶を共有してないからだと思う…」

ξ--)ξ「あっ…」

(´・ω・`)「ところで、きっかけはなんだったんだろう」

('A`)「あぁ…それなら、たぶんおもちゃ箱だと思う」

(´・ω・`)「おもちゃ箱?」

('A`)「ぶーんと昔よく使ってたおもちゃ箱が部屋の真ん中にあってな」

('A`)「それを覗き込んだ瞬間に…」

(´・ω・`)「やっぱり、この部屋のどこかにヒントはありそうだね」



戻る次のページ