('A`)ドクオは故郷に帰るようです
- 22: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:25:19.96 ID:1Pp83ReT0
- 捜索はあっさりと済み、すぐに目的のDVD−Rを発見する。
4人が在籍していた頃と違い、きちんと年代ごとに仕分して本棚にしまってある上に
ご丁寧にタイトルの書かれたラベルまで貼ってあれば、猿でも見つけられるだろう。
目的の物を発見し、ディスクのコピーをドクオと内藤に任せるとクーとツンは「飲み物買ってくる」と言い残し部室を出て行った。
残された二人は窓を開けると、長机に放置されていた空き缶を灰皿代わりにタバコに火を点ける。
('A`)「なぁ、俺らこれにラベルなんか貼ったっけ?」
発見した『木漏れ日の詩』をビデオにダビングしながらドクオはケースを眺める。
ケースには女の子が書いたと思われる可愛らしい字で
【2007年・春製作『木漏れ日の詩』(VIP市主催・映像コンクール(高校生の部)優秀賞受賞作品)】
と書かれたラベルが貼ってある。
- 26: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:26:58.53 ID:1Pp83ReT0
- ( ^ω^)「それ、1っこ下のしぃちゃんがやったんだお」
('A`)「あのチビスケが?」
( ^ω^)「そうだお。ほら、あそこを見るお」
ブーンが指差した先には、日に焼けて少し茶色くなった紙が貼られていた。そこにはでかでかとこう書かれていた。
『整理整頓!出来ない子はお仕置きしちゃうぞ! 第14期部長 猫野 栞』
('A`)「ギコ先輩ならまだしも、あのチビスケがお仕置きねぇ。…怖くねぇなwww」
( ^ω^)「それが、そうでもないお」
('A`)「そりゃ、どういうことだ?」
( ^ω^)「ああみえて、しぃちゃんは掃除とか整理整頓の事になると人が変わるんだお」
听)ξ「なんで、そんな事をブーンが知ってるのかしら?」
Σ('A`;)「…?!」
- 29: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:29:30.58 ID:1Pp83ReT0
- ( ^ω^)「それは、僕は引退した後もちょくちょく部室に顔を出して、しぃちゃんの部室掃除を手伝ってたからだお」
-゚)「ほう、ツンはそれを知ってったか?」
听)ξ「いいえ、初耳ね」
(*^ω^)「そりゃ、当たり前だお。放課後の部室で二人っきりで掃除してたなんて、ツンにばれたら殺されるお」
('∀`)「あのチビスケ、確かギコ先輩と付き合ってたよな?」
ドクオはあることに気づきながらも、あえて話を続ける。
(*^ω^)「だから『ギコせんぱいに誤解されても困るし、ブーンせんぱいにも迷惑だからいいです』ってよく言ってたお」
('∀`)「それでも、お前は手伝ってたわけだ?」
(*^ω^)「そうだお。その時の申し訳なさそうな顔がか可愛かったから、全部終わるまで付き合ったお」
内藤は何も気づく事無く、自慢げに話を続ける。
('∀`)「確かにしぃは可愛かったな」
- 30: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:30:54.13 ID:1Pp83ReT0
- ー゚)ξ「まぁ、あの子は可愛いわよね?私達の自慢の妹分だもの」
-゚)「そうだな」
(*^ω^)「まったくだお!ツンもあの可愛さは見習うべきだ…ぉ……?」
('∀`)「…気がついたようだな?(ニヤニヤ)」
内藤が恐る恐る後ろを振り替えるとそこには…
Σ(゚ω゚ )「フォーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
ξ#゚ー゚)ξ「…」
ジュースを持った鬼が笑顔で仁王立ちしていた。
ξ#゚ー゚)ξ「…覚悟はできてるかしら?」
(((゚ω゚;)))「ツンさん、これには深いわけが…」
ξ#゚听)ξ「問答無用!!!色欲撃滅!!!」
(゚ω゚;)「おーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
- 31: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:33:15.01 ID:1Pp83ReT0
━━━━━m( __ __ )m【不適切なシーンの為、お見せできません。クーとドクオの会話からご想像ください】m( __ __ )m━━━━━
川 ゚ -゚)「休みの日って保健の先生いたか?」
('A`;)「まぁ、運動部は部活してるみたいだし、いると思うけど。保健室じゃ無理じゃないか?」
川 ゚ -゚)「安心しろ。まだ、日常の範囲内だ」
('A`)「馬乗りで右フックと裏拳の往復ビンタが?」
川 ゚ -゚)「レア物の部類だが月に一度くらいは見ることが出来る」
('A`)「そうか。なら俺は、モップと水入れたバケツ持ってくるわ」
川 ゚ -゚)「そうだな。部室に赤い水たまりがあったら後輩達は驚くしな」
('A`)「じゃあ、日常の範囲を超えそうだったら止めといてくれ」
川 ゚ -゚)「把握した」
- 35: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:35:29.83 ID:1Pp83ReT0
- ダビングと散らかした部室の掃除を終えた4人は、部室を出る。
そして『木漏れ日の詩』を試写するべく今度は視聴覚室へ向かう。
もっとも数年前に完成した作品に手直しする気などなく、試写なんてただの建前。
自分たちで残したものを、もう一度この4人で見たかっただけなのかもしれない。
視聴覚室は普段からあまり使用される機会の少ない教室なだけに、扉を開けると光が反射してキラキラ光る埃が舞っていた。
('A`)「うーん、やっぱりいいな。この匂い」
ドクオは視聴覚室の真ん中に立ち大きく伸びをする。
川 ゚ -゚)「…そうか?」
ξ゚听)ξ「あんた昔からそんな事、言ってなかった?」
('A`)「言ってたな。俺この匂い好きなんだよ。締め切ってほとんど人の出入りの無い部屋の匂いってなんか独特だろ?」
川 ゚ -゚)「言いたいことはなんとなく理解できるが、その嗜好は理解できん」
ξ゚听)ξ「理解出来ないし、したくも無い」
('∀`)「馬鹿だなー。この良さが分からないなんて、人生三分の一は損してるぞ?」
川 ゚ -゚)「そんな事で三分の一も埋められる人生ならいらないな」
ξ゚∀゚)ξ「まったくよ。そんな事で三分の一埋めるなら、ほかの事で埋めるわよ」
- 36: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:37:34.96 ID:1Pp83ReT0
- そんな話題で盛り上がっている三人の耳に、情け無い声が届く。
(;^ω^)「あのー、盛り上がってるとこ大変申し訳無いですが、誰か暗幕閉めるの手伝ってくれませんかお?
それくらいはしてくれても、罰は当たらないと思うお?」
ξ#゚ -゚)ξ「……そんな無駄口叩く暇あったら、早く上映準備したら?」
(;´ω`)「…把握しましたお。もう少々お待ちくださいお」
そこには関白宣言をした男の姿はなく、女房の尻に敷かれるパシリ亭主でもなく、ただの犬に成り下がった者の姿があった。
('A`)「こりゃ、カカァ天下決定だな」
ツンに聞こえないように、ドクオはクーに耳打ちする。
川*゚ -゚)「んっ…そうだな」
普段表情の変化の少ないクーの表情が少しだけ変わる。
('A`;)「ど、どうした?」
もちろん付き合いの長いドクオはすぐに気付く。
川 ゚ -゚)「いや、何でもない」
('∀`)「…もしかして耳弱い?」
川*゚ -゚)「いや、まぁ、その、なんだ」
('∀`)「動揺するクーってのも初めて見るな」
- 38: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:39:26.01 ID:1Pp83ReT0
- ξ゚ー゚)ξ「…」
そんな二人のやり取りをツンは満足そうに眺めていた。
('∀`)「大体、いつもはズバズバ物をいうクーが口ごもるの自体珍しいじゃねーか」
川 ゚ -゚)「そ、そんな事はない」
('∀`)「無理すんな。今もどもったし」
川 ゚ -゚)「む、だからそんなこt「みんなお待たせだお!準備できたおー!」(^ω^*)
その空気をぶち壊すように内藤は3人のところに戻ってきた。
('A`)「お?お疲れさん。早速見ようか?」
川 ゚ -゚)「そうだな。ブーン、照明落としてくれ」
( ^ω^)「把握したお!…お?ツン、どうかしたかお?」
ξ#゚ -゚)ξ「…別に、早く上映しなさいよ」
(;^ω^)「わかったお(…まだ、怒ってるのかお?)」
内藤は首をかしげながら入り口付近のスイッチで照明を落とすと、DVDを再生した。
ξ;‐凵])ξ(ホント空気が読めないんだから…)
ツンの小さなため息と共に、7年ぶりとなる『木漏れ日の詩』の上映が始まった。
- 39: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:41:24.72 ID:1Pp83ReT0
- ………
……………
丘の上に一本の大きな古木。
空は高く、どこまでも突き抜けるような水色。
不意に吹く春風に揺れる草原は、まるで狼が群れを為して疾走するかのごとく波を打つ。
丘の古木の木陰には、白いワンピースに麦わら帽子の女の子。
木漏れ日の中で空を見つめる少女の視界を横切る白い綿毛。
少女は、風に舞うたんぽぽの綿毛を追って視線を草原に向ける。
…そこには一人の青年が立っていた。
- 41: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:43:38.18 ID:1Pp83ReT0
- ('A`)『よう、日光浴かい?』
川 ゚ -゚)『木漏れ日の中にいるんだから、森林浴だと思う』
('A`)『木が一本じゃ森じゃないだろ。それでも森林浴って言うのか?』
川 ゚ -゚)『森林浴は木の息吹を感じ、木漏れ日のぬくもりを感じ、吹き抜ける風の清々しさを感じるもの』
('A`)『なるほどね。なら森林浴だな』
青年は無言のまま歩み寄り少女の正面に立つ。
二人の間に無言の時が流れ、一陣の風が吹き抜ける。
先に口を開いたのは少女だった。
川 ゚ -゚)『…いつ、帰ってきたんだ?』
('A`)『たった今だ。真っ先にここに来た』
川 ゚ -゚)『約束、覚えてたのか?』
('A`)『当たり前だ。誰よりもお前に会いたかった』
川 ゚ー゚)『…その言葉が聞きたくて私はここで待ってた』
- 44: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:44:43.39 ID:1Pp83ReT0
- そう微笑むと少女は青年に抱きつく。
川 ;ー;)『…おかえり』
微笑みながら涙を流す少女を青年は優しく抱きとめる。
('A`)『ただいま』
キラキラと輝く木漏れ日の中で二人はいつまでも抱き合っていた。
- 48: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:45:30.46 ID:1Pp83ReT0
- ―キャスト―
【砂尾 久琉美 -Kurumi Sunao-】
【弄内 毒雄 -Dokuo Moteuchi-】
【玲川 律子 -Rituko Reikawa-】
【猫野 栞 -Shiori Nekono-】
友情出演
【葉仁屋 擬古 -Giko Haniya-】
脚本【砂尾 久琉美 -Kurumi Sunao-】
音楽協力【頃淵 庶梵 -Syobon Korobuchi-】(吹奏楽部・部長)及び吹奏楽部一同
監督/演出【内藤 地平線 -Horaizon Naitou-】
製作・私立VIP高等学校映画研究部
…Fin
- 49: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:46:42.11 ID:1Pp83ReT0
- ξ;凵G)ξ「…やっぱりいいわね。これ」
スタッフロールを見ながらツンが呟く。
ξつ凵G)ξ「三年間で色々なの撮ったけど、これが一番好きだな」
( ^ω^)「僕もそう思うお」
ツンにハンカチを渡しながら内藤も同意する。
('A`)「…」
ドクオは何も映っていないスクリーンをぼんやりと眺めていた。
川 ゚ -゚)「…ドクオ?どうかしたか?」
('A`)「ん?…あー、なんでもねーよ」
クーに声を掛けられ曖昧な返事でお茶を濁したドクオは、立ち上がり大きく伸びをする。
('A`)「さて、目的も果たしたことだし、そろそろ行こうぜ。あんまり長居したら荒巻先生に悪いしな」
ξ゚听)ξ「そうね。ブーン、今何時?」
( ^ω^)「大体6時くらいだお」
- 53: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:48:37.89 ID:1Pp83ReT0
- 腕時計をみながら答える内藤の言葉に、ツンが慌てる。
ξ゚听)ξ「もうそんな時間なの?急がなきゃ」
('A`)「そんなに慌てる時間でもなくね?」
ξ゚听)ξ「そうもいかないのよ。これからパパ達と食事に行くの。一応、娘でいられる最後の日だからね」
('A`)「親にしてみりゃ、さっさと出て行って欲しいんじゃねーの?」
ξ#゚听)ξ「…ケンカ売ってる?」
ツンは右手を握り、拳を構える。
('A`)「猛獣相手に素手でケンカ売るほど腕に自信ねーよ」
ξ#゚听)ξ「なんですってー!」
川 ゚ -゚)「ドクオ、その辺にしておけ。ツンも急いでるんだろう?」
ドクオがちょっかいを出し、ツンがそれに反応して、内藤はオロオロしながら状況を見守り、ケンカになる前にクーが止める。
最早昔から決まった役割分担だった。
今回一つだけ違う点があるとするなら…
(;^ω^)「あのー、暗幕開けるのぐらいは手伝って欲しいお」
内藤は一人で後片付けをいていた。
- 57: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:50:30.18 ID:1Pp83ReT0
- その後、ツンに急かされるように母校を後にして、ツンとクーを家まで送ると、車内には内藤とドクオだけが残された。
既に日は沈み、時刻は7時半を回り8時になろうかという時間になっていた。
田舎町だけに国道を走っている車も少なく、辺りは都会の同時刻よりも暗くなっていた。
( ^ω^)「ドクオはこの後どうするお?」
内藤はドクオの家に向けて車を走らせながら話しかける。
('A`)「別に予定なんかねーよ。家に帰って久しぶりにカーチャンの飯食うくれーだな」
( ^ω^)「なら少し、付き合うお」
('A`)「ああ、かまわねーよ」
( ^ω^)「フヒヒヒwwww今夜は帰さないおwww」
そういうとわき道に入り、目的地に向かって車を飛ばす。
('A`)「それはお前が困るだけだろ?明日遅刻なんてしようものなら嫁に何されっかわからねーぞ?」
( ^ω^)「ドックンはノリが悪いお。それに明日のパーティは午後からだから多少遅くても平気だお」
('A`)「ドックンゆーな。あまり悪乗りするなよ」
( ^ω^)「わかってるお。ただ、最後のシングルナイトくらい楽しんでも罰はあたらんお」
('A`)「仕方のねーヤツだな」
ドクオはあきれながら苦笑した。
- 59: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:51:50.97 ID:1Pp83ReT0
- ('A`)「コンビニで酒買うなんて言うから、どこ行くのかと思えば…」
( ^ω^)「こういうのも悪く無いと思うお」
('A`)「まっ、確かにこの夜景を肴に一杯やるのも悪くない」
二人が向かった場所は【VIP市民文化会館】の駐車場。
山の上に作られた文化会館の駐車場には簡単な展望台があり、憩いの場となっている。
その展望台はVIP市を一望でき、地元民の間ではちょっとしたデートスポットになっている。
( ^ω^)「しかし珍しいお。いつもなら車の一台や二台停まって、ギシアンしてそうなもんだお」
('A`)「そんな場所に野郎二人でいるのも、いかがなものかと思うがな」
(;^ω^)「別にそんなつもりで連れて来たわけじゃないお」
内藤は即座に否定する。
('A`)「わかってるよ。この場所の意味くらい」
( ^ω^)「さすがは唯一無二の大親友だお」
- 62: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:53:34.61 ID:1Pp83ReT0
- ('A`)「大親友とか関係ないと思うぞ。少なくとも俺らの2コ下までの映研部なら誰でも知ってるだろ?」
(;^ω^)「それもそうだお。若気の至りとはいえとんでもない事をしたもんだお」
('A`)「『ツーン!お願いだから僕の彼女になってくれおーーーー!!』だったか?」
(;^ω^)「改めて言われると照れるお」
('A`)「爆笑もんだったな。コンクール終わった直後に展望台で絶叫。しかも内容は愛の告白。
『お願いだから』ってどこまで必死なんだよwww」
ドクオはくっくっくと堪えた笑いを漏らしながら缶チューハイを開ける。
(;^ω^)「それがまさか、結婚まで来るなんて思いもしなかったお」
内藤もドクオに倣い缶チューハイのプルトップに指を掛ける。
ちょっと力を込めるとプシュと小気味のいい音が響く。
('A`)「じゃ、末代まで語られる恥ずかしい愛の告白をした英雄と」
( ^ω^)「その標的にされた哀れなお姫様に…」
( ^ω^)/「乾杯」\('A`)
乾杯を交わした二人はそのままチューハイをあおる。
- 65: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:55:09.25 ID:1Pp83ReT0
- 春とは言え夜の風は少し肌寒く二人の間を吹き抜ける。
内藤は風にあおられ乱れた前髪をかき上げると、展望台の手すりに寄りかかる。
( ^ω^)「さて、次はドクオの番だお」
('A`)「…相手もいないのにか?」
ドクオは馬鹿馬鹿しいといわんばかりにハンッと鼻で笑う。
( ^ω^)「…ホントにいないのかお?」
('A`)「いねーよ。期待に添えなくて悪かったな」
ドクオはきっぱり言い捨てると、内藤の隣に並び手すりに肘を付くと夜景を見下ろした。
マンハッタンだの香港だの函館だの、そんな有名な夜景と比べれば豆電球みたいなものだったが、それでも綺麗だった。
ドクオと同じように内藤も黙って夜景を眺めていた。
二人の間にわずかな沈黙が流れる。
その沈黙を破り内藤が真面目な声でドクオに語りかける。
- 68: ◆DyhKUHe1jM :2007/06/17(日) 03:56:38.72 ID:1Pp83ReT0
- ( ^ω^)「僕がその程度の嘘を見抜けないとでも思っているのかお?」
感情の波の無い真っ直ぐな言葉が、ドクオの心に切り込む。
('A`)「…」
( ^ω^)「二十年来の親友の嘘くらい見抜けるお」
昔からそうだ。コイツは普段抜けているくせに変なところで鋭い。
それを知ってるドクオは舌打ちをする。
('A`)「ったく、てめーには敵わねーな。物心付いた頃からの付き合いってのも考え物だぜ」
( ^ω^)「高校生の頃、ツンの事好きだって見抜いたドクオに僕が同じ事を言った時、ドクオはなんて言ったか覚えてるかお?」
('A`)「『気心知れた友人がいることを感謝しな』…だったか?」
( ^ω^)「その言葉たった今、熨しつけて返してやるお」
内藤はドクオを出し抜いてやったとばかりに得意そうな笑みを浮かべる。
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