( ^ω^)がマジ切れしたようです
- 360: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:23:35.04 ID:kvvVXkm+0
円卓に男たちが座っていた。全員黒の礼服を一分の隙もみせずに着こなし、目深に帽子をかぶっている。
おかげで顔を伺い見ることはできない。だが、その声の調子からして、彼らが話している内容が
ただ事ではない、ということだけは見て取れた。
???「くっ、なんてこった」
???「それが世界の選択か……」
???「畜生、俺達は何もできないのか? この事態をただ静観するしかないのか?!!」
(咒)「いえ、はたしてそうでしょうか」
???「!!」
???「……何かあるのですか、メシア翁」
メシアと呼ばれた老翁に皆の視線が集まる。参加している男達のなかで唯一帽子をかぶらず、たくわえた髭を
揺らして柔和な笑みを携えたまま、老人は口を開いた。
- 364: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:26:17.64 ID:kvvVXkm+0
(咒)「以前のDAT騒動と違って、今回のケースでは世界の基盤はしっかりしています。
おそらく自浄作用が働くでしょう。ならば私たちはその手助けをすればいいのです」
???「な、なるほど……」
???「しかし『手助け』といっても、具体的に我々は何をすればいいのでしょう?」
(咒)「実は今回の件に関しまして、ひとつ解決策らしきものを思いつきました。よければこの件、
私に一任していただけないでしょうか? 二週間で世界を戻してみせましょう」
???「二週間で?!」
(咒)「ええ。あなた方からしたら、私のような引退したはずの老人に仕事を奪われるというのは心苦しいこととはおもいますが、
この老いぼれとて、世界の安定を望む気持ちはみなさんとかわらないつもりです」
???「……わかりました。ではジャム・メシア。あなたに今回の一件、一任させていただきます」
(咒)「感謝しますよ」
- 368: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:29:05.47 ID:kvvVXkm+0
見た目は同じだが、その男が会議の中心だったのだろう。彼の言葉を合図に男たちは席を立ち、部屋を出て行く。
やがて、円卓に残されたジャムと呼ばれた老人一人だけになった。
(咒)「さて、それでははじめますか……」
そう言うと老人は音もなく、電気の落ちた会議場の闇の中へと姿を消していった……
・
・
・
- 370: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:30:54.35 ID:kvvVXkm+0
- 代わり映えしない風景が右から左へ流れていく。一定のリズムで電車は揺れ、小さな軋んだ音をたてている。
特に外を見たいわけではなかったが窓際に肘を置き、ドクオはひとり窓から見える景色を眺めていた。
('A`)「わたくし、生まれも育ちもヴィップ町、帝釈天で産湯に浸かり、性はモイタン名はドクオ。
人よんで「スペシャルのドクオ」と申します……」
なんとなく某国民的流浪人の口上を真似てみる。「フーテン」の代わりに「スペシャル」という単語を使ったのはなぜだろう。
CP幹部候補生。普通の高校生だった自分を変えてくれるかもしれない光。それに対する、仲間との対立。
だが、とりあえず今はそんな事は関係ない。少なくとも明日までは喧嘩別れした友人達のことを考えずにすむ。
実家に荷物を取りに行くという、普段なら断る母親の頼みをあっさり受けたのは、そういう打算もあった。
('A`)「そうだよな。何はともあれ今はひとり旅。ロマンでも求めてのんびり行くとするか」
のどかな田園風景に少々飽きがはいり、ほどよく眠気が回る。ちょうどトンネルに入ったところで、
少年──ドクオ・モイタンは静かに目を閉じた。
- 372: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:33:39.90 ID:kvvVXkm+0
ドクオ「……ん」
川 ゚ -゚)「お、ようやく起きたか。おはよう」
从'ー'从「おはよう」
ドクオ「……おはようござい、ま、し、た」
目の前に座る、見知らぬ美女二人。寝起き一番の光景としては至福なのだろうが、ねぼけた頭では
イマイチその幸福を解せない。それよりも、ドクオにはこの状況の不自然さのほうが気になった。
ドクオ「えと、どちらさん?」
川 ゚ -゚)「私はクー。女子高生だ。レアだ」
从'ー'从「あたしは渡辺、OLです。そんなにレアじゃないです」
ドクオ「……ドクオです。男子高校生、普通です」
川 ゚ -゚)「何をいう、高校生にもなって童貞というのはかなりレアだ。自分を偽るのはいけないぞ」
ドクオ「どどど童貞ちゃうわ!」
川 ゚ -゚)「まぁ、魔法使いまではあと十数年か、精進しろよ、ドクオ」
从'ー'从「クーちゃん、何言ってるの……」
- 375: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:35:32.44 ID:kvvVXkm+0
ドクオ「魔法使いはともかく……なんで俺の席の前に座ってるんですか?」
川 ゚ -゚)「嫌なのか? こんな美人二人が前にいるというのに我侭なヤツだ」
ドクオ「いえ、そうじゃなくて……」
平日昼間。ド田舎の沿線。
古びた扇風機が耳障りな音をたてて回っているのがよく似合う、現代社会から隔離されたような車両空間。
首をのばして見回してみても、自分と目の前の二人以外に乗客の姿は見受けられない。
从'ー'从「ごめんね。いきなり目の前に知らない人がいたらやっぱりびっくりするよね」
ドクオ「い、いえ。クーの言ったようにラッキーですよ。はははは」
从'ー'从「そういってもらえたらうれしいな、ありがと」
ドクオ「(おいおいおい、これはもしかして本当に俺の時代が来たのか?)」
ちょっと不思議な言動をするクーも、しっかりとした感じの渡辺さんも確かにかなり美人の部類に入る。
そんな二人が初対面のフツメン高校生である自分と仲良く向かい合って話しているのだ。
これではドクオがフラグでも立ったのかと期待するのも当然である。
- 379: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:38:33.56 ID:kvvVXkm+0
- 从'ー'从「でね、ドクオ君。あたしたち、君に言わなきゃいけないことがあるの。実は……」
川 ゚ -゚)「君のかわいい寝顔に私たちは心を奪われてしまった。これはもしかしてLOVEの予感というヤツなのかもしれない」
ドクオ「(フラグ飛び越えて告白キター!!)」
从;'ー'从「ちょ、ちょっとクーちゃん」
川 ゚ -゚)「すまない渡辺。思わず先走ってしまった。二番煎じかもしれないが、はやく告白するんだ」
从'ー'从「ちーがーうーの。えっと、ドクオ君……はい」
ドクオ「ん?」
渡辺が差し出した鏡を手に取る。そこに写っていたのは……
川 ゚ -゚)「すまない。君があまりにもバカ面で眠りこけていたからつい……」
(肉'A`)「……」
ドクオの 肉質が 3ポイント あがった!
- 383: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:41:01.40 ID:kvvVXkm+0
('A`)「実家に里帰りですか。俺と一緒ですね」
从'ー'从「えっ、ドクオ君もなの?」
('A`)「ちょっとお袋に頼まれて、じーさんの所に物借りにいくんです。今日は創立記念日なんで
たまにはひとり旅もいいかな、なんつって」
川 ゚ -゚)「お使いか、まったくこれだからいい子は困る。」
('A`)「そういうクーは平日の昼間っからなんでこんなところにいるんだ? 学校はどうした」
川 ゚ -゚)「あぁ。私は修行中だ」
('A`)「へ?」
从'ー'从「ふふふ、クーちゃんは好きな男の子を驚かせるため、全国をまわって見識を広めているそうです」
川 ゚ -゚)「授業に関しては大丈夫。なんたって私は元・天才少女だからな……」
『次は終点〜『FUJIYAMA』〜『FUJIYAMA』〜』
- 384: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:42:48.94 ID:kvvVXkm+0
- 川 ゚ -゚)「むっ、終点か。それでは降りることにしよう。旅は道連れ世は情け。
ドクオも途中まで一緒に行かないか」
('A`)「ああ。じゃあご一緒させてもらいますか、っと。渡辺さんもいいですよね?」
从'ー'从「う、うん。よろしくね」
川 ゚ -゚)「(さて、アイツは間に合うかな……)」
('A`)「(アバンチュールの可能性、まだ死んでないぞ)」
从'ー'从「(おばあちゃんの家までで『FUJIYAMA』なんて駅、それも終点になるようなところあったっけ……)」
三者三様の思いを胸に、電車は駅へと到着した。
('A`)「こーゆう寂れた駅もいいなぁ。俺の町はちょっと味気ないし」
昭和の香りが色濃く残る改札口。駅員に切符を切ってもらい、ドクオは外に出た。
川 ゚ -゚)「悪い、ちょっと待ってくれ」
- 385: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:44:21.12 ID:kvvVXkm+0
('A`)「どうしたんだ?」
从'ー'从「まさか、切符を落としたとか…」
川 ゚ -゚)「いや。ところでこの切符を見てくれ。これをどう思う」
('A`)「すごく……入場券です」
記載された駅名は青森。どうやってここまで乗り継いでこれたかのほうが不思議だった。
('A`)「うわ……これは精算に時間かかりそう」
从'ー'从「駅員さん、乗り越しでいくらくらいですか?」
青森駅の入場券を見て駅員がギョッとする。奥にひっこみ、やがて時刻表と運賃リストを手に戻ってくる。
駅員「えっと……37564円だね」
('A`)「(なんで端数があるんだ……)」
川 ゚ -゚)「ふむ」
- 389: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:46:23.92 ID:kvvVXkm+0
- ザックからかわいらしいキャラクターものの財布を取り出し、クーは口をあけてひっくりかえす。
チャリーンチャリーンチャリーン
川 ゚ -゚)つIII@@@@@@@@
川 ゚ -゚)「さんじゅうはちえん」
3人「「「 こ れ は ひ ど い 」」」
川 ゚ -゚)「案ずるな。すでに手は打ってある」
そう言うと、クーは右手を天に掲げた。
川ドモン ゚ -゚)「出ろぉぉぉっ、ガンダァァァァム!!」
川ドモン ゚ -゚) パチンッ
♪チャチャーチャチャーチャチャーチャチャーチャッチャッ
♪チャチャーチャチャーチャチャーチャチャーチャッチャッ
- 391: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:48:05.59 ID:kvvVXkm+0
从'ー'从「このBGMは……って、アレは何?!!」
('A`)「鳥か」
駅員「飛行機か」
川 ゚ -゚)「いや、違う……アレは」
(炎^ω^)「♪赤く煌くサンバイザー あいつがウワサの店長だ
怒涛に迫る客を振り分け 限定グッズを売りさばく 回りで助ける天使たち
限定グッズは売り切れだ すまんこの次またどうぞぉぉぉ♪」
(挿入歌:アニメ店長 歌・内藤ホライゾン 参照:http://www.youtube.com/watch?v=CPVxAHHUfZ8)
無駄に暑苦しい男が原付きで現れた。ドリフトを試み、見事失敗。
傷だらけになりながらも即座に立ち上がり、額のサンバイザーを煌かせて名乗りをあげた。
(炎^ω^)「俺の名前はブーン、アニメ店長ブーンだお!」
川 ゚ -゚)「よく来てくれたな、アッシー・ミツグ君」
(炎;^ω^)「ちょwwヒドスwwww」
- 393: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:50:07.61 ID:kvvVXkm+0
(炎^ω^)「まったく、クーもクー店長も人使いが荒いお」
川 ゚ -゚)「いや、本当に助かったよ。駅弁の買いすぎでお金がなくなってしまったから親戚の素直姉さんに
頼んだんだが、まさかこんなに早く助けをよこしてくれるとはな」
('A`)「あのアキバハラからここまでスクーターで来たのか……すげぇ」
(炎^ω^)「おっおっおっ、熱血に不可能はないんだお」
从'ー'从「えっと、はじめまして。渡辺です」
(炎^ω^)「内藤ホライゾン、ブーンでいいですお」
(炎^ω^)「(『G@mers』の渡辺さんにそっくりだお……)」
川 ゚ -゚)「私の名はクー、住職と呼んでくれ」
('A`)「……ねぇ。おかしくない?」
川 ゚ -゚)「ひどいぞドクオ。人の名前を笑うなんて……」
('A`)「違う、そんなことじゃなくて」
いつの間にか、霧がでていた。
- 395: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:51:42.28 ID:kvvVXkm+0
(;'A`)「おいおい、やっぱりおかしいぜ」
十数メートル後ろにあるはずの駅もみえない。互い3人の姿を確認するのが精一杯なほど
その霧は濃く、早く広がっていく。
从'ー'从「山の中だからといって……こんなに早くなるものなの?」
川 ゚ -゚)「違う、これは天候の変化じゃない……スタンドだ!」
('A`)「『正義<ジャスティス>』ッ?!」
(炎^ω^)「体に穴が開いちゃうお!」
从'ー'从「(それはないと思うけど……)」
???「残念ですが、ここはJOJOの世界ではありません」
カツーン カツーン カツーン
- 397: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:54:10.34 ID:kvvVXkm+0
はたして、霧の中を歩いてきたのは白い髭を蓄えた老人だった。皺ひとつない黒の燕尾服。
年ゆえか背丈は短いものの、ピシリと背筋をのばし、靴音をひびかせて4人へ向かってくる。
(炎^ω^)「この土の上で靴音がするなんて……新手のスタンド使いかッ」
从'ー'从「ブーン君、失礼だよ! 申し訳ありません、おじいさん」
(咒)「気にしないでください渡辺様。それに内藤様、残念ですが私はスタンド使いではありません」
('A`)「……二人とも、知り合い?」
(咒)「いえ、初対面ですよドクオ様。私の名前はジャム・メシア。しがない管理人です」
ジャムの足が止まる。途端、霧は幻のように消えていく。
霧があけたそこは、どう見ても寂れた駅前ロータリーではなかった。
- 400: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:55:59.62 ID:kvvVXkm+0
天井にシャンデリアがつらされている。赤の絨毯が部屋いっぱいに広がり、古めかしくも手入れのいきとどいた
時計がコチコチと振り子を揺らしている。汚れひとつない壁掛かった、どこかで見たような油絵。
サロンのような腰の低いテーブルとクッション椅子。大理石でできたカウンターに白のレースカーペットに乗った
花瓶がひっそりと、白い空間の中で自らの青をアピールしている。
从'ー'从「ホテルみたい……」
(咒)「そのとおりでございます。渡辺様」
('A`)「……まるで夢だな」
(咒)「驚かれるのも無理はありませんが、とりあえずそちらにお掛けになりませんか。
まもなくもうひとりの客人がおいでになります」
ξ゚ -゚)ξ「ジャム様、ショボン様がおいでになりました」
ちょうどそのとき、無人のホールにジャムと4人以外の人間が姿を現した。
いたって普通に奥の廊下からやってきたのは、まだほんの中学生ほどにしかみえないメイド服の少女。
そして土で汚れた服をきたひとりの男だった。眉ひとつ動かさないメイド少女と対照的に、ものめずらしげに
ホールを見渡す男。それだけで、自分たちと同じ来客者だとわかった。
(咒)「はじめまして、ショボン様。今回はこのように手前どもの都合でお呼びさせてしまい、申し訳ありませんでした。」
(´・ω・`)「……まったく、強引ですね」
- 401: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:57:40.38 ID:kvvVXkm+0
(咒)「返す言葉もございません。あなたの世界は少々特殊でして、こうしてこちらから強制的に
お呼びさせてもらいました。もちろん、今回の埋め合わせは後ほどきちんとさせていただきます」
(´・ω・`)「気になさらずに。案外、これも『虹』に到達するプロセスかもしれないし……おっと。君たちもボクと同じかい?」
('A`)「はい。俺たちも気づいたらここにいたんです」
(´・ω・`)「僕の名前はショボン、『虹』を探している男さ」
川 ゚ -゚)「二次を探しているのか?」
(炎^ω^)「是非アキバハラに来るお!」
(´・ω・`)「……おそらく、僕のいう『虹』と、君たちのいう“ニジ”は別のものだね」
(咒)「立ち話も何ですし、みなさんお座りになりませんか」
- 403: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:59:11.90 ID:kvvVXkm+0
- ξ゚ -゚)ξ「紅茶をお持ちしました」
よく沈むクッションに体を沈め、互いに自己紹介をしていると先ほどの少女が台車を押して戻ってきた。
6人全員にソーサーとカップを並べ、ポットから紅茶を注いでいく。スコーンの載った皿と手受け皿。
ミルクや角砂糖のはいった小さな籠と一緒に中央に置いて軽く一礼し、台車を引いて無言でホールを出て行った。
从'ー'从「……あ、おいしい」
(炎^ω^)「(『Pure ca@rrot』のハインさんにはかなわないけど、十分おいしいお)」
('A`)「(これ、あの子が淹れたのかな……)」
川 ゚ -゚)「まずい、もう一杯!」
(咒)「あの子もなかなかうまく淹れられるようになりましたね」
空になったクーのカップにジャムが紅茶を注いでいく。
(咒)「さて、みなさん見当はついているでしょうが先に申し上げておきます。
ここはあなた達の世界ではありません」
スコーンの皿が半分になり、ティーポッドの中身が空になる。再び戻ってきたメイド少女がスコーンを継ぎ足し、
ポットを変えて持ち去ったところでジャムは唐突に切り出した。
- 406: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:01:51.06 ID:kvvVXkm+0
- 从'ー'从「…………」
('A`)「(世界、と来たか)」
川 ゚ -゚)「やはり、か。まさかnのフィールドに招待されると思ってみなかった。アリスゲームが始まるのか」
(炎^ω^)「俺のローゼンメイデンは誰だお?」
【同時刻? アキバハラ 『ふぃぎゅ@めいでん』店内】
(*´_ゝ`)「この流・翠星石様ですぅ!!!」
(´<_` )「藪から棒にどうした兄者。ついに狂ったか」
(*´_ゝ`)「いや、時空を超えて言わなきゃいけない気がしてな……」
(咒)「残念ながら違います。もちろん、閉鎖空間でも固有結界でも精神と時の部屋でもありません」
(炎;^ω^)「(先読みされたお……)」
(´・ω・`)「……世界の狭間」
(咒)「さすがはショボン様。確かにその言葉がしっくりときますね」
- 410: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:04:21.21 ID:kvvVXkm+0
(咒)「ドクオ様、渡辺様、ブーン様、クー様。あなたがたはたまたま同じ電車に乗り、たまたま駅で出会いましたね。
クー様とブーン様にはお互い、見識があったとお聞きします」
川 ゚ -゚)「……あぁ。だが、何故それを貴方が知っている」
(咒)「私がそうであるよう、細工をしたからです」
从'ー'从「細工?」
(咒)「はい。『『anim@te』に勤める内藤と、ネジのとれたクーは知り合いである』というように設定をいじらせていただきました。
さらにいうと、ドクオ様や渡辺様の帰省にいたった経緯。どの世界にも存在しない架空の『FUJIYAMA』駅に来るように
仕向けたのも、すべては私の差し金にございます」
从'ー'从「(やっぱり……)」
彼女の記憶に『FUJIYAMA』なんて地名は存在しない。今思い返してみれば、何故仕事を休んでまで
帰省しようとしたのかも吾事ながら朧だった。だからこの人智を越えた事象を目の前の老人の仕業と聞き、逆に渡辺は安心した。
(咒)「あなた方はそれぞれ、異世界の人間なのです。ドクオ様のヴィップ町もブーン様のアキバハラも、
今のあなた方の記憶には存在しても、あなた方本来の世界には存在しないのです」
- 413: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:06:19.77 ID:kvvVXkm+0
- ('A`)「ややこしくなってきたな……」
(咒)「気にしない事をお勧めします。世界の狭間、別世界の住人などとは言いますが、人種や文化にそう大きな違いはありません。
10日後にはみなさん、それぞれの世界に完全に帰還できるよう私のほうで手配させていただきます」
(炎^ω^)「10日間もかお?!」
从'ー'从「(会社どうしよう……)」
(咒)「10日後までの予定については気になさらないでください。みなさまの都合のいい時間軸に送るように致しますので。
私からの願いはこれからこの世界の時間間隔で10日間。ここ『鮫島ホテル』に滞在していただきたいということです」
川 ゚ -゚)「……『鮫島ホテル』だって!」
('A`)「まさか、あの鮫島事件と関係あるのか?!」
建物の名称に何人かが反応する。
(咒)「鮫島事件、ですか……噂には聞いたことがありますがそれとは関係ありません。
このホテルの名前は主の名前から来ております」
(´・ω・`)「ところでジャムさん。聞いてもいいだろうか」
从'ー'从 「ジャムのおじいさん、質問いいでしょうか?」
二人の声がかぶった。
- 416: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:08:50.42 ID:kvvVXkm+0
(´・ω・`)「渡辺さんだったね。お先にどうぞ」
从'ー'从「う、ううん。ショボン君から先に言ってよ。まだちょっと言葉がまとまってないし……」
(´・ω・`)「じゃあ僭越ながら」
(´・ω・`)「ジャムさん、あなたは何者だい?」
(咒)「見ての通り、鮫島家に仕える執事でございます。現在ではこの鮫島ホテルの使用人監督役ですね」
眉ひとつうごかさないジャム。その返答自体想定内だったのか、口調をかえずにショボンは続けた。
(´・ω・`)「あなたはボク達を──世界の異なるところからボク達を、さらに別の世界へと集めた。
ボクはともかく、渡辺さんやドクオ君たちにはある程度の因果まであたえている。
これだけでも十分、並の人間の仕業じゃないことは明らかだ」
川 ゚ -゚)「ヒソヒソ(設定をいじれば普通にできるよな、それくらい)」
(炎^ω^)「ヒソヒソ(それをできるのはクーくらいのもんだお)」
- 418: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:09:56.29 ID:kvvVXkm+0
(´・ω・`)「それこそ“設定いじり”や“DAT”、もしくは“虹”でもないとできる事じゃない」
(咒)「“DAT”を知っているのですか」
(´・ω・`)「これでも死ぬほど勉強しているんだよ。“虹”にたどり着くため、超常現象に関してはね。
そんなあなた──あなた達はここにボク達を呼び出して何をしたいのか、何故10日だけなのか。
そこの所はボク達に話してくれてもいいんじゃないだろうか」
口調こそ丁寧だが、そこには有無を言わせぬの迫力があった。
从'ー'从「うん。私もそれが聞きたかった。ジャムさん、何で私達を呼んだの?」
(咒)「そうですね、それは先にお話しておくべきでした」
カップを手に取り、半分ほど残っていた紅茶を飲み干すジャム。
新たに入れようとする渡辺を制し、再び口を開いた。
- 419: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:11:07.96 ID:kvvVXkm+0
(咒)「みなさんの住む世界というものは、もともと同一のものが発展してできあがったものです。パラレルワールド、というと
少々語弊が発生しますが、世界というのは無数に、『世界平面』といわれる時空軸上に平行して存在します。
もちろん、世界によっては平和なところもあれば情勢が不安なところもありますし、みなさんのように
『世界』にまつわる研究がされていない世界もあれば、私の世界のように『世界』にまつわる研究が進んでいる世界もあります」
(咒)「今回、原因はわかりませんが世界平面に異常が発生しいくつかの世界が突如混ざってしまいました」
さながらおもちゃ箱をひっくりかえしたようにね。
意味ありげにジャムがそんな事をつぶやいた。
(咒)「あなたたちが所属する5つの世界もまた、混合の危機に瀕していています。現在、私たちはこの『鮫島ホテル』と
『鮫島遊園地』を拠点に、世界の無秩序な混同を回避するため動いています。
あなたたちには、その楔となってほしいのです」
- 422: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:12:54.57 ID:kvvVXkm+0
- (咒)「ここからは見えませんが、ホテルの敷地内には十数個のアトラクションが備え付けられた
遊園地があるのです。といっても、普通の遊園地ではありません。それぞれの遊具が異世界へのワープ装置になっています」
(´・ω・`)「ワープですか」
(咒)「はい。その遊具に入ると、それぞれ決められた世界にワープすることができます。行き先の中にはもちろん、
あなた方のいた世界も存在します。もちろん、そこにあなた方は存在しませんが」
从'ー'从「自分の世界──自分の町には帰れるんですね」
(咒)「一定時間は、ですが。ワープ遊具を使う場合、最長でも3日たてばこちらに強制送還されるでしょう。
くわしい事はこれを見てください」
懐から5枚のパンフレットをとりだし、5人に手渡す。どこぞのネズミ園のパンフレットによく似ていた。
('A`)「本当に遊園地だ……」
(炎^ω^)「クオリティタカスww」
(咒)「ジェバンニが一晩でやってくれました」
(咒)「それで皆様、虫のいい話だとは十分理解しておりますが、どうか老人の戯れに付き合うと思って、
このホテルに滞在し、各世界独立の潤滑油としていくつかの世界を回っていただけないでしょうか?」
- 425: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:15:21.33 ID:kvvVXkm+0
(炎^ω^)「任せるお」
从'ー'从「オッケーです」
川 ゚ -゚)「もちろんだ」
(´・ω・`)「かまわないですよ」
('A`)「……わかりました」
ワンテンポ遅れて、ドクオも答えを出した。それを聞いて、ジャムが微笑む。
(咒)「本当にありがとうございます。主やここの使用人を代表し、お礼をいわせていただきます」
そう言って立ち上がり、深く、深く5人に頭を下げた。
- 426: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:16:17.51 ID:kvvVXkm+0
(´・ω・`)「いえ、気にしないでください。滅多にない経験ですしね」
从'ー'从「他のみんなの世界を観光する、というのも楽しそうだね」
川 ゚ -゚)「いっておくが、私の世界のカオスは108式まであるぞ」
(炎^ω^)「おっおっおっ、面白くなってきたお」
ξ゚ -゚)ξ「ジャム様、お客様の部屋の準備が整いました」
(咒)「ご苦労様です。それではみなさん、これからメイドのツンがみなさんをお部屋にご案内します」
(炎^ω^)「(ツンに似てるお……)」
从'ー'从「(この子、中学のときのツンちゃんに似てるなぁ……)」
('A`)「(なんかツンっぽいな、この子……)」
川 ゚ -゚)「(こっちも貧乳だな……)」
さわぎながらツンについていく5人を見届け、静かに微笑むとジャムは文字通り、そのロビーから姿を消した。
- 427: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:17:33.72 ID:kvvVXkm+0
ξ゚ -゚)ξ「こちらが最後、ドクオ様の部屋になります」
ドアを開き、ツンは中を確認させた。
ξ゚ -゚)ξ「3階の客室は奇数と偶数で内装は同じとなっています。服や必要と思われるものは全て準備させていただきましたが、
何か入り用なものがありましたら、私や他の使用人にお申し付けください」
从'ー'从「わかったわ。ありがとう、ツンちゃん」
川 ゚ ?゚)「ひとつ、質問があるんだが……」
そう言いながらクーは木製の扉が並ぶ廊下に不釣合いな、妙にメカメカしい扉を指差した。
川 ゚ ?゚)「あれは何だ?」
ξ゚ -゚)ξ「ゲストルームにございます」
('A`)「ボク達のほかにも、まだ誰かいるの?」
ξ゚ -゚)ξ「いえ……」
- 429: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:18:14.36 ID:kvvVXkm+0
ξ゚ -゚)ξ「ここはゲストを『呼び出す』部屋になります。皆様の世界などから人やモノを
このホテルに招き入れることができます」
川 ゚ ?゚)「なるほど……では『顔文字』のクーでも喚んでもらおうか」
(´・ω・`)「『ギアス』のショボンと会ってみたいな」
(炎^ω^)「『アイマス』のリョーコ・モモヤマに会いたいお」
从'ー'从「『ツン止め』のツンさんも呼べますか?」
('A`)「俺はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールちゃん!!」
ξ゚ -゚)ξ「……ある程度常識をわきまえてもらうとありがたいです。
夕食は7時からとなっております。その席で、またジャム様から話があるでしょう」
仕事があるから。
そう言ってメイド少女・ツンは静かに階段を下っていった。
- 430: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:19:35.74 ID:kvvVXkm+0
('A`)「まったく、大変なことになったもんだな」
案内された305号室。ダブルベッドが鎮座しているにもかかわらず空間を広く感じる・。高そうなだけでなく
品のありそうな調度品が一流の客室。ホテルらしくテレビや冷蔵庫もしっかり備えられている。
テレビをつけると、なぜかジョジョの5部が放映されていた。
机の上にノートパソコンがあったり、クローゼットには今自分がきているのと同じ服が5,6着、ぴしりとアイロンも
あてられてつるされている。おそらく、他の4人の部屋もそんな感じだろう。
この部屋に戻る前、302号室のショボンの部屋でこれからの事を少し話し合ってきた。一緒になったのも何かの縁、
という事で5人そろって、それぞれの世界を観光する手はずになっていた。
明日は渡辺さんの世界。順調に回れば、そのうちヴィップ町に戻ることになるのだろう。
('A`)「(ブーン、ショボン……)」
二人の友の姿が頭をよぎり、思わずダブルベッドに頭からダイブする。おもった以上に体が跳ねた。
- 437: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:30:53.21 ID:kvvVXkm+0
('A`)「(でけぇ……ダブルベッドなんてはじめてだよ……)」
('A`)「(女の子と来てみたいよな……)」
顔を毛布に埋めながら、改めて現状を振り返る。
清楚なOL、渡辺。
ただの不思議系におさまらない女子高生、クー。
物静かな美少女メイド、ツン。
ひとり旅のさなかに出会った、タイプの違う3人の美人。
('∀`)「これなんてエロゲ的展開」
ニヤケ顔で否定しつつも、ドクオは愉しそうだった。
【共通前編・おしまい】
- 443: 登場人物紹介 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:38:26.03 ID:kvvVXkm+0
- 川 ゚ -゚) クー 『川 ゚ -゚)クーのネジが一本抜けたようです』の主人公。女子高生。
元は真面目な才女だったが、ある出来事をきっかけに頭のネジが一本抜けてしまい、
これまでとは180°逆の突拍子もない行動を繰り返すようになる。
(彼女の世界の)ドクオとは恋人同士。
(炎^ω^) アニメ店長ブーン(本名:内藤ホライゾン) 『(炎^ω^)ブーンがアニメ店長になったようです』の主人公。元ニート。
ひょんな事からオタク都市アキバハラのアニメグッズショップ『anim@te』で働くようになった元ニート。
普段は倦怠感丸出しの根性ナシなのだが、前店長に譲り受けたサンバイザーをかぶると、同一人物とは
思えないほど熱血を前面に押し出した暑苦しいキャラクターに変身する。
(´・ω・`) ショボン 『( ´ω`)('A`)枯れて苦悩し密室で虹を探そうと生き抜くようです』の登場人物。
とある事情から『虹』を探している青年。
- 444: 登場人物紹介 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:38:58.04 ID:kvvVXkm+0
- 从'ー'从 渡辺さん 『渡辺さんのワンダーウォール』の主人公。
大学を出て一般企業に勤めるOLさん。音楽好き。
これまでの渡辺さんのイメージを払拭しかねないしっかりとした、それでいて遊び心のある女性、
('A`) ドクオ・モイタン 『( ^ω^)ブーンは綺麗な町に住んでいるようです』の登場人物。童貞。
やりたい事もない、力も夢も才能もない……と嘯きながら仲間と青春を謳歌する、いたって普通の男子高校生。
敵(?)組織から『スペシャル』と呼ばれる幹部候補生としての引き抜きをめぐり、仲間とは対立中。
“現行一ドクオらしいドクオ”の名は伊達ではなく、見事なダメっぷりを見せる一般人代表。
- 445: 登場人物紹介 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:40:22.33 ID:kvvVXkm+0
(咒) ジャム・メシア(JAM=MESIA)
今合作の影の主人公。『鮫島ホテル』の管理人を名のる謎の老執事。
ξ゚ -゚)ξ ツン(Tun)
中学生くらいのメイド少女。普通のツンと顔文字が微妙に違う。
無口な少女で、必要以上に他人と関わろうとしない。ただし、ジャムは特別な存在らしい。(性的な意味ではない)
アイマス◆YhrftnhMQI的には、『リトルバスターズ』の棗鈴(人見知りver.)のイメージが離れない。
ジェバンニ
何でも一晩で仕上げてしまうボーイさん。もちろん元ネタはあの人。
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