( ^ω^)がマジ切れしたようです

67: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/25(火) 23:01:34.47 ID:6hYxW3MN0
ああ…その先は言わないでください。




('A`)「お前はお前の好きなように生きろ」



何度目だろう。

この発言の二日後に、マスターは死ぬ。
これは規定事項であり、決して変えられない定め。


何度体験しても慣れない


プログラムで認識されない『何か』が私の中を走っていく。




( ^ω^)ブーンがマジ切れするようです


in C group


プロローグ



72: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/25(火) 23:02:56.67 ID:6hYxW3MN0
・・・
・・



コロニー第15研究所


(´・ω・`)「……」



カチリ



─wwヘ√レvv〜─!



そう、私はいつもここから始まる。
すべては決まった事であり、変更は認められない。

私は、見慣れた天井を毎度の如く視界に捉え、


『ああ、始まったのか』


と一人納得するのだ。



77: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/25(火) 23:03:56.73 ID:6hYxW3MN0


ノル ゚ -゚ノ


ムクリと上半身を起こし、正常に稼働するかを確認する。


うむ、異常ない


毎度の事ではあるが、確認することは義務付けられている。


(´・ω・`)「……ツン?」


ノル ゚ -゚ノ 「残念ながらそのメモリーの元人格は破棄され、再構築されたのです」

(;´・ω・`)「そ、そうなんですか」

ノル ゚ -゚ノ 「ショボン様、再生して頂き誠にありがとうございます」

(´・ω・`)(なんだか、しおらしくなっちゃったなぁ)


少し寂しく思いつつも、実験が成功した事をショボン様は喜んでいたようだ。
だが、ここに長居はしていられない。



81: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/25(火) 23:04:58.16 ID:6hYxW3MN0

ノル ゚ -゚ノ 「私はマスターの元へ行くことが決定されています」

(;´・ω・`)「マスター?」



マスター、彼に会うことで私の目的は達成され、
一時の安著を得るのだ。


ノル ゚ -゚ノ 「それでは失礼します」

(;´・ω・`)ノ「え?あ…ちょ」


手を伸ばして固まってるショボン様を意に介さず、
私はさっそうと部屋を後にする。


(´・ω・`)ノ「………行っちゃった……」



85: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/25(火) 23:05:59.51 ID:6hYxW3MN0


この研究所から、マスターの家までの道のりも全て覚えている。
入り組んだコロニーの中でも間違う事無くたどり着ける。

私にとって、ほんの僅かなマスターとの生活。
それが私の存在する全ての意義。

これから始まる唯一の安らぎに、
その後始まる長い苦難を忘れ、自然と早足になっていた。


ノル ゚ -゚ノ (着いた)


扉の前、ブザーを鳴らすと出てくるマスターの顔が思い浮かぶ。
この瞬間も、何度経験しても慣れない。

恐らく、これは私にプログラムされている「喜」の感情なのだろう。



88: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/25(火) 23:06:53.17 ID:6hYxW3MN0


ビーッ





('A`)「はいはい?」


ノル ゚ -゚ノ 「……」

('A`)「ど、どなたさん?」


私はマスターのためにのみ存在する。

プログラムであろうが、規定事項であろうが、
それが私の使命であり、私自身も望んでいる事。



91: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/25(火) 23:07:56.72 ID:6hYxW3MN0
('A`)「??」

ノル ゚ -゚ノ 「マスター、今日からお世話になります」

(;'A`)「マ、マスター!?お世話?」

ノル ゚ -゚ノ 「はい、私はノルノと申します」

(;'A`)「えっと……どこかでお会いしましたっけ?」

ノル ゚ -゚ノ 「毎回、この時間・この場所で会っています」

(;'A`)(意味が分からん)


押しかけ女房の如く、マスターの家に上がり込み、
まずは掃除を始める。


(;'A`)「ちょちょちょ…何やってんの!?」

ノル ゚ -゚ノ 「マスターの部屋は散らかり過ぎなのです。
      まずは私の居場所も確保しなければならないので、清掃させていただきます」

(;'A`)「居場所って……ここに住む気?」

ノル ゚ -゚ノ 「Yes」

('A`)「あっ、そう」



94: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/25(火) 23:08:56.54 ID:6hYxW3MN0








(;゚A゚)「どどどどどど、同棲!!??」



ショートしたマスターを尻目に、部屋はすっかり綺麗になった。
まだオイルや金属の臭いはするが、それはマスターの臭い。

それはそれで心地良い。


ノル ゚ -゚ノ 「マスター、そろそろ空腹になる時間ですね。
      最近は宇宙食ばかりで栄養を取ってないと思われます」

(゚A゚)「どどどどどど、童貞ちゃうわ!」

ノル ゚ -゚ノ 「いいえ、童貞です」



102: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/25(火) 23:13:11.88 ID:6hYxW3MN0

何食わぬ顔で料理を始める。

鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をするマスター。
これが「愉快」という感情なのだろう。


(;'A`)「ななな、なんでうちの調味料の場所なんか知ってるんだ」

ノル ゚ -゚ノ 「規定事項です」


この後マスターは、
昔に培った、私の料理に舌鼓を打つことになる。

あの料理は私の中のプログラムの中でも、最も完成度の高い料理。
栄養・味・バランス、全てにおいて完璧な1品。



106: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/25(火) 23:13:53.77 ID:6hYxW3MN0





私は何を作った?

マスターの好物を作ったはずだ。

好物?

マスターの好物は…なんだった?



記録プログラム内検索開始


……… waiting ………


プログラム内該当メモリー無



110: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/25(火) 23:15:01.82 ID:6hYxW3MN0



─wwヘ√レvv〜─!





ノル;゚ -゚ノ 「はっ!」


私はスリープ状態から自己復帰し、毎度の動作確認をする。


ノル ゚ -゚ノ 「私は……」



今、私は禁忌を犯している。

許されざる反逆。

だが、私の行動によって悲しむ人々がいる。
迷惑を掛ける人々がいる。

そう考えるとプログラムに反してでも、踏みとどまってしまう。



113: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/25(火) 23:16:08.57 ID:6hYxW3MN0

ノル ゚ -゚ノ 「だが…しかし」


自分の記憶プログラムが所々消えてきている。

その事態に対応すべきプログラムが無い。


ノル ゚ -゚ノ 「マスター……」




-----------------------------


( A )「なぁ、一緒に行かねぇか?」


-----------------------------




ノル;゚ -゚ノ 「ッ!」


マスター………マスターの顔は?



117: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/25(火) 23:17:03.79 ID:6hYxW3MN0

記録プログラム内検索開始


……… waiting ………


プログラム内該当メモリー無



ノル;゚ -゚ノ 「あ…あぁ」


恐らく、禁忌が引き起こした歪みだろう。


すべてのものが、存在していられる訳。
偶然では無く、すべての情事が密接に重なり合って
在るべき今を形取っている。


だが、その根元にある物が狂ってしまえば、
その上に重なるはずだった物まで狂ってきてしまう。



123: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/25(火) 23:20:10.27 ID:6hYxW3MN0

だが、私はそれを望んでいたのではないか?

私が存在する事で悲劇に見舞われる者達。
その間接的な憎悪に耐え切れなくて、踏み止まっていたのではないか?


だが、そのすべての憎悪を足しても
マスター1人の記憶に遠く及ばない。


今、この瞬間認識した。


この世の全ての過ち、憎悪を背負っても私はマスターのために存在するのだと。


ノル ゚ -゚ノ 「……やはり……戻ろう」



125: ◆3m0SptlYn6 :2007/09/25(火) 23:22:20.14 ID:6hYxW3MN0


私の好きなように生きる。



マスターの言葉、実行できそうにありません。




いえ、もし私に「生きる」という概念が存在するならば、
これが私の生き方なのでしょう。



ノル ゚ -゚ノ 「また、元通りに……」








私はまた、時間の流れに身を投じた。



……続く



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