( ^ω^)がマジ切れしたようです
- 403: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:59:11.90 ID:kvvVXkm+0
- ξ゚ -゚)ξ「紅茶をお持ちしました」
よく沈むクッションに体を沈め、互いに自己紹介をしていると先ほどの少女が台車を押して戻ってきた。
6人全員にソーサーとカップを並べ、ポットから紅茶を注いでいく。スコーンの載った皿と手受け皿。
ミルクや角砂糖のはいった小さな籠と一緒に中央に置いて軽く一礼し、台車を引いて無言でホールを出て行った。
从'ー'从「……あ、おいしい」
(炎^ω^)「(『Pure ca@rrot』のハインさんにはかなわないけど、十分おいしいお)」
('A`)「(これ、あの子が淹れたのかな……)」
川 ゚ -゚)「まずい、もう一杯!」
(咒)「あの子もなかなかうまく淹れられるようになりましたね」
空になったクーのカップにジャムが紅茶を注いでいく。
(咒)「さて、みなさん見当はついているでしょうが先に申し上げておきます。
ここはあなた達の世界ではありません」
スコーンの皿が半分になり、ティーポッドの中身が空になる。再び戻ってきたメイド少女がスコーンを継ぎ足し、
ポットを変えて持ち去ったところでジャムは唐突に切り出した。
- 406: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:01:51.06 ID:kvvVXkm+0
- 从'ー'从「…………」
('A`)「(世界、と来たか)」
川 ゚ -゚)「やはり、か。まさかnのフィールドに招待されると思ってみなかった。アリスゲームが始まるのか」
(炎^ω^)「俺のローゼンメイデンは誰だお?」
【同時刻? アキバハラ 『ふぃぎゅ@めいでん』店内】
(*´_ゝ`)「この流・翠星石様ですぅ!!!」
(´<_` )「藪から棒にどうした兄者。ついに狂ったか」
(*´_ゝ`)「いや、時空を超えて言わなきゃいけない気がしてな……」
(咒)「残念ながら違います。もちろん、閉鎖空間でも固有結界でも精神と時の部屋でもありません」
(炎;^ω^)「(先読みされたお……)」
(´・ω・`)「……世界の狭間」
(咒)「さすがはショボン様。確かにその言葉がしっくりときますね」
- 410: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:04:21.21 ID:kvvVXkm+0
(咒)「ドクオ様、渡辺様、ブーン様、クー様。あなたがたはたまたま同じ電車に乗り、たまたま駅で出会いましたね。
クー様とブーン様にはお互い、見識があったとお聞きします」
川 ゚ -゚)「……あぁ。だが、何故それを貴方が知っている」
(咒)「私がそうであるよう、細工をしたからです」
从'ー'从「細工?」
(咒)「はい。『『anim@te』に勤める内藤と、ネジのとれたクーは知り合いである』というように設定をいじらせていただきました。
さらにいうと、ドクオ様や渡辺様の帰省にいたった経緯。どの世界にも存在しない架空の『FUJIYAMA』駅に来るように
仕向けたのも、すべては私の差し金にございます」
从'ー'从「(やっぱり……)」
彼女の記憶に『FUJIYAMA』なんて地名は存在しない。今思い返してみれば、何故仕事を休んでまで
帰省しようとしたのかも吾事ながら朧だった。だからこの人智を越えた事象を目の前の老人の仕業と聞き、逆に渡辺は安心した。
(咒)「あなた方はそれぞれ、異世界の人間なのです。ドクオ様のヴィップ町もブーン様のアキバハラも、
今のあなた方の記憶には存在しても、あなた方本来の世界には存在しないのです」
- 413: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:06:19.77 ID:kvvVXkm+0
- ('A`)「ややこしくなってきたな……」
(咒)「気にしない事をお勧めします。世界の狭間、別世界の住人などとは言いますが、人種や文化にそう大きな違いはありません。
10日後にはみなさん、それぞれの世界に完全に帰還できるよう私のほうで手配させていただきます」
(炎^ω^)「10日間もかお?!」
从'ー'从「(会社どうしよう……)」
(咒)「10日後までの予定については気になさらないでください。みなさまの都合のいい時間軸に送るように致しますので。
私からの願いはこれからこの世界の時間間隔で10日間。ここ『鮫島ホテル』に滞在していただきたいということです」
川 ゚ -゚)「……『鮫島ホテル』だって!」
('A`)「まさか、あの鮫島事件と関係あるのか?!」
建物の名称に何人かが反応する。
(咒)「鮫島事件、ですか……噂には聞いたことがありますがそれとは関係ありません。
このホテルの名前は主の名前から来ております」
(´・ω・`)「ところでジャムさん。聞いてもいいだろうか」
从'ー'从 「ジャムのおじいさん、質問いいでしょうか?」
二人の声がかぶった。
- 416: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:08:50.42 ID:kvvVXkm+0
(´・ω・`)「渡辺さんだったね。お先にどうぞ」
从'ー'从「う、ううん。ショボン君から先に言ってよ。まだちょっと言葉がまとまってないし……」
(´・ω・`)「じゃあ僭越ながら」
(´・ω・`)「ジャムさん、あなたは何者だい?」
(咒)「見ての通り、鮫島家に仕える執事でございます。現在ではこの鮫島ホテルの使用人監督役ですね」
眉ひとつうごかさないジャム。その返答自体想定内だったのか、口調をかえずにショボンは続けた。
(´・ω・`)「あなたはボク達を──世界の異なるところからボク達を、さらに別の世界へと集めた。
ボクはともかく、渡辺さんやドクオ君たちにはある程度の因果まであたえている。
これだけでも十分、並の人間の仕業じゃないことは明らかだ」
川 ゚ -゚)「ヒソヒソ(設定をいじれば普通にできるよな、それくらい)」
(炎^ω^)「ヒソヒソ(それをできるのはクーくらいのもんだお)」
- 418: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:09:56.29 ID:kvvVXkm+0
(´・ω・`)「それこそ“設定いじり”や“DAT”、もしくは“虹”でもないとできる事じゃない」
(咒)「“DAT”を知っているのですか」
(´・ω・`)「これでも死ぬほど勉強しているんだよ。“虹”にたどり着くため、超常現象に関してはね。
そんなあなた──あなた達はここにボク達を呼び出して何をしたいのか、何故10日だけなのか。
そこの所はボク達に話してくれてもいいんじゃないだろうか」
口調こそ丁寧だが、そこには有無を言わせぬの迫力があった。
从'ー'从「うん。私もそれが聞きたかった。ジャムさん、何で私達を呼んだの?」
(咒)「そうですね、それは先にお話しておくべきでした」
カップを手に取り、半分ほど残っていた紅茶を飲み干すジャム。
新たに入れようとする渡辺を制し、再び口を開いた。
- 419: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:11:07.96 ID:kvvVXkm+0
(咒)「みなさんの住む世界というものは、もともと同一のものが発展してできあがったものです。パラレルワールド、というと
少々語弊が発生しますが、世界というのは無数に、『世界平面』といわれる時空軸上に平行して存在します。
もちろん、世界によっては平和なところもあれば情勢が不安なところもありますし、みなさんのように
『世界』にまつわる研究がされていない世界もあれば、私の世界のように『世界』にまつわる研究が進んでいる世界もあります」
(咒)「今回、原因はわかりませんが世界平面に異常が発生しいくつかの世界が突如混ざってしまいました」
さながらおもちゃ箱をひっくりかえしたようにね。
意味ありげにジャムがそんな事をつぶやいた。
(咒)「あなたたちが所属する5つの世界もまた、混合の危機に瀕していています。現在、私たちはこの『鮫島ホテル』と
『鮫島遊園地』を拠点に、世界の無秩序な混同を回避するため動いています。
あなたたちには、その楔となってほしいのです」
- 422: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:12:54.57 ID:kvvVXkm+0
- (咒)「ここからは見えませんが、ホテルの敷地内には十数個のアトラクションが備え付けられた
遊園地があるのです。といっても、普通の遊園地ではありません。それぞれの遊具が異世界へのワープ装置になっています」
(´・ω・`)「ワープですか」
(咒)「はい。その遊具に入ると、それぞれ決められた世界にワープすることができます。行き先の中にはもちろん、
あなた方のいた世界も存在します。もちろん、そこにあなた方は存在しませんが」
从'ー'从「自分の世界──自分の町には帰れるんですね」
(咒)「一定時間は、ですが。ワープ遊具を使う場合、最長でも3日たてばこちらに強制送還されるでしょう。
くわしい事はこれを見てください」
懐から5枚のパンフレットをとりだし、5人に手渡す。どこぞのネズミ園のパンフレットによく似ていた。
('A`)「本当に遊園地だ……」
(炎^ω^)「クオリティタカスww」
(咒)「ジェバンニが一晩でやってくれました」
(咒)「それで皆様、虫のいい話だとは十分理解しておりますが、どうか老人の戯れに付き合うと思って、
このホテルに滞在し、各世界独立の潤滑油としていくつかの世界を回っていただけないでしょうか?」
- 425: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:15:21.33 ID:kvvVXkm+0
(炎^ω^)「任せるお」
从'ー'从「オッケーです」
川 ゚ -゚)「もちろんだ」
(´・ω・`)「かまわないですよ」
('A`)「……わかりました」
ワンテンポ遅れて、ドクオも答えを出した。それを聞いて、ジャムが微笑む。
(咒)「本当にありがとうございます。主やここの使用人を代表し、お礼をいわせていただきます」
そう言って立ち上がり、深く、深く5人に頭を下げた。
- 426: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:16:17.51 ID:kvvVXkm+0
(´・ω・`)「いえ、気にしないでください。滅多にない経験ですしね」
从'ー'从「他のみんなの世界を観光する、というのも楽しそうだね」
川 ゚ -゚)「いっておくが、私の世界のカオスは108式まであるぞ」
(炎^ω^)「おっおっおっ、面白くなってきたお」
ξ゚ -゚)ξ「ジャム様、お客様の部屋の準備が整いました」
(咒)「ご苦労様です。それではみなさん、これからメイドのツンがみなさんをお部屋にご案内します」
(炎^ω^)「(ツンに似てるお……)」
从'ー'从「(この子、中学のときのツンちゃんに似てるなぁ……)」
('A`)「(なんかツンっぽいな、この子……)」
川 ゚ -゚)「(こっちも貧乳だな……)」
さわぎながらツンについていく5人を見届け、静かに微笑むとジャムは文字通り、そのロビーから姿を消した。
- 427: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:17:33.72 ID:kvvVXkm+0
ξ゚ -゚)ξ「こちらが最後、ドクオ様の部屋になります」
ドアを開き、ツンは中を確認させた。
ξ゚ -゚)ξ「3階の客室は奇数と偶数で内装は同じとなっています。服や必要と思われるものは全て準備させていただきましたが、
何か入り用なものがありましたら、私や他の使用人にお申し付けください」
从'ー'从「わかったわ。ありがとう、ツンちゃん」
川 ゚ ?゚)「ひとつ、質問があるんだが……」
そう言いながらクーは木製の扉が並ぶ廊下に不釣合いな、妙にメカメカしい扉を指差した。
川 ゚ ?゚)「あれは何だ?」
ξ゚ -゚)ξ「ゲストルームにございます」
('A`)「ボク達のほかにも、まだ誰かいるの?」
ξ゚ -゚)ξ「いえ……」
- 429: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:18:14.36 ID:kvvVXkm+0
ξ゚ -゚)ξ「ここはゲストを『呼び出す』部屋になります。皆様の世界などから人やモノを
このホテルに招き入れることができます」
川 ゚ ?゚)「なるほど……では『顔文字』のクーでも喚んでもらおうか」
(´・ω・`)「『ギアス』のショボンと会ってみたいな」
(炎^ω^)「『アイマス』のリョーコ・モモヤマに会いたいお」
从'ー'从「『ツン止め』のツンさんも呼べますか?」
('A`)「俺はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールちゃん!!」
ξ゚ -゚)ξ「……ある程度常識をわきまえてもらうとありがたいです。
夕食は7時からとなっております。その席で、またジャム様から話があるでしょう」
仕事があるから。
そう言ってメイド少女・ツンは静かに階段を下っていった。
- 430: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:19:35.74 ID:kvvVXkm+0
('A`)「まったく、大変なことになったもんだな」
案内された305号室。ダブルベッドが鎮座しているにもかかわらず空間を広く感じる・。高そうなだけでなく
品のありそうな調度品が一流の客室。ホテルらしくテレビや冷蔵庫もしっかり備えられている。
テレビをつけると、なぜかジョジョの5部が放映されていた。
机の上にノートパソコンがあったり、クローゼットには今自分がきているのと同じ服が5,6着、ぴしりとアイロンも
あてられてつるされている。おそらく、他の4人の部屋もそんな感じだろう。
この部屋に戻る前、302号室のショボンの部屋でこれからの事を少し話し合ってきた。一緒になったのも何かの縁、
という事で5人そろって、それぞれの世界を観光する手はずになっていた。
明日は渡辺さんの世界。順調に回れば、そのうちヴィップ町に戻ることになるのだろう。
('A`)「(ブーン、ショボン……)」
二人の友の姿が頭をよぎり、思わずダブルベッドに頭からダイブする。おもった以上に体が跳ねた。
- 437: 共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:30:53.21 ID:kvvVXkm+0
('A`)「(でけぇ……ダブルベッドなんてはじめてだよ……)」
('A`)「(女の子と来てみたいよな……)」
顔を毛布に埋めながら、改めて現状を振り返る。
清楚なOL、渡辺。
ただの不思議系におさまらない女子高生、クー。
物静かな美少女メイド、ツン。
ひとり旅のさなかに出会った、タイプの違う3人の美人。
('∀`)「これなんてエロゲ的展開」
ニヤケ顔で否定しつつも、ドクオは愉しそうだった。
【共通前編・おしまい】
- 443: 登場人物紹介 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:38:26.03 ID:kvvVXkm+0
- 川 ゚ -゚) クー 『川 ゚ -゚)クーのネジが一本抜けたようです』の主人公。女子高生。
元は真面目な才女だったが、ある出来事をきっかけに頭のネジが一本抜けてしまい、
これまでとは180°逆の突拍子もない行動を繰り返すようになる。
(彼女の世界の)ドクオとは恋人同士。
(炎^ω^) アニメ店長ブーン(本名:内藤ホライゾン) 『(炎^ω^)ブーンがアニメ店長になったようです』の主人公。元ニート。
ひょんな事からオタク都市アキバハラのアニメグッズショップ『anim@te』で働くようになった元ニート。
普段は倦怠感丸出しの根性ナシなのだが、前店長に譲り受けたサンバイザーをかぶると、同一人物とは
思えないほど熱血を前面に押し出した暑苦しいキャラクターに変身する。
(´・ω・`) ショボン 『( ´ω`)('A`)枯れて苦悩し密室で虹を探そうと生き抜くようです』の登場人物。
とある事情から『虹』を探している青年。
- 444: 登場人物紹介 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:38:58.04 ID:kvvVXkm+0
- 从'ー'从 渡辺さん 『渡辺さんのワンダーウォール』の主人公。
大学を出て一般企業に勤めるOLさん。音楽好き。
これまでの渡辺さんのイメージを払拭しかねないしっかりとした、それでいて遊び心のある女性、
('A`) ドクオ・モイタン 『( ^ω^)ブーンは綺麗な町に住んでいるようです』の登場人物。童貞。
やりたい事もない、力も夢も才能もない……と嘯きながら仲間と青春を謳歌する、いたって普通の男子高校生。
敵(?)組織から『スペシャル』と呼ばれる幹部候補生としての引き抜きをめぐり、仲間とは対立中。
“現行一ドクオらしいドクオ”の名は伊達ではなく、見事なダメっぷりを見せる一般人代表。
- 445: 登場人物紹介 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:40:22.33 ID:kvvVXkm+0
(咒) ジャム・メシア(JAM=MESIA)
今合作の影の主人公。『鮫島ホテル』の管理人を名のる謎の老執事。
ξ゚ -゚)ξ ツン(Tun)
中学生くらいのメイド少女。普通のツンと顔文字が微妙に違う。
無口な少女で、必要以上に他人と関わろうとしない。ただし、ジャムは特別な存在らしい。(性的な意味ではない)
アイマス◆YhrftnhMQI的には、『リトルバスターズ』の棗鈴(人見知りver.)のイメージが離れない。
ジェバンニ
何でも一晩で仕上げてしまうボーイさん。もちろん元ネタはあの人。
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