( ^ω^)ブーン達は絡まり合うようです

25: ◆qvQN8eIyTE :2007/06/20(水) 22:06:34.44 ID:20qfLbkt0
第二話 【集う者達】




( ^ω^)「拝啓父上様、母上様。今僕は色々とあって駅にいますお」

ブーンの現在地、VIP駅。
ここから彼の小旅行は始まる。

( ^ω^)「さて、僕の冒険はまだ始まったばかりだお! って……」

(;^ω^)「切符が……無い……?」

朝は確かにポケットに入れたはずの切符。
それが今は存在していない。

(;^ω^)「やばい、非常にやばいお」

切符の紛失――つまり、彼は指定された場所に辿り着くことすらできないのだ。
そのような事態になっては一攫千金どころではない。



26: ◆qvQN8eIyTE :2007/06/20(水) 22:09:18.81 ID:20qfLbkt0
暑い日差しの元、決して暑さだけが原因なわけではない汗を多量にかきながら、彼は右往左往していた。
彼が来ている薄手のシャツも、既に彼自身の汗で濡れており身体に張り付いている。

(;^ω^)「あぁ、こんな暑さの中で僕はどうすればいいんだお」

遂に周りの迷惑も顧みずに駅の構内で絶望のあまりしゃがみ込むブーン。
そんな彼に突然後ろから強烈な衝撃が襲いかかる。

(;゚ω゚)「ぶべっ!? なんだお?」

しゃがんだ状態で後ろから押された彼は無様に床に倒れ込む。
いくら温厚なブーンでも流石にこれは怒りを抑えきれなかった。

(#^ω^)「いきなり人を蹴飛ばして、謝りの言葉もないのかお!」

('A`)「お前、切符落としてたぞ」

ブーンの激昂に対し、極めて冷静に言葉を紡ぐ人物。
それは、

(;^ω^)「ドクオ……?」

彼の友人、その人であった。



27: ◆qvQN8eIyTE :2007/06/20(水) 22:12:09.19 ID:20qfLbkt0
( ^ω^)「ドクオが切符見つけてくれたのかお! これは極上のありがとうを送るべきだお」

('A`)「というかお前が俺の目の前で落としてただけなんだけどな。お前も点字区に行くのか」

( ^ω^)「お? 何でドクオがそんなこと知ってるんだお?」

('A`)「切符見た」

( ^ω^)「鬼才現る」

('A`)「ちなみに俺も行き先は同じだ」

( ^ω^)「なんでだお?」

('A`)「部屋に切符が置いてあった」

( ^ω^)「なるほど」



29: ◆qvQN8eIyTE :2007/06/20(水) 22:15:01.44 ID:20qfLbkt0
改札口に切符を食わせて間を通る。
穴が開いた状態となって出てきた切符を再び手に取り、二人はホームへと向かった。

('A`)「電車が来るまでまだしばらくあるな」

( ^ω^)「なかなか暇だお」

二人はとりあえず目に付いたベンチに腰を下ろし、一息つく。
空は変わらず青く、たまに吹く風が夏の暑さで火照った身体には気持ちが良い。

('A`)「夏ってさ……」

二人の間を心地よい静寂が征服しようとした頃、ドクオが言葉を紡ぎ出す。

('A`)「夏って生物に生きてることを実感させてくれる季節だよな。確かに暑いのは辛いけどさ」

( ^ω^)「お?」

('A`)「太陽は冬なんかよりも数倍強く俺らを照らしてくれててさ、この暑さに負けて堪るか! とか思ったりして奮起したりしちゃうんだよな」

( ^ω^)「そういや部屋に切符が置いてあったって事は、一緒に変な人形と手紙が置いてあったりしなかったかお?」

('A`)「素晴らしいスルーになんか凄い切ない気分になった」



32: ◆qvQN8eIyTE :2007/06/20(水) 22:17:40.35 ID:20qfLbkt0
('A`)「でもまぁ、確かにあったよ。俺にそっくりな人形と孫悟空からの手紙が」

( ^ω^)「やっぱりドクオも僕と同じ経緯で呼び出されたのかお」

('A`)「ドクオも、ってことはお前もなのか。一体孫悟空ってなんなんだろうな? っと、そろそろ電車が来るぞ」

電光掲示板に電車の訪れを示す文字が点滅しながら浮かび上がる。
それほど待たないうちに、彼らを運ぶための電車が一陣の風と共に到着した。

( ^ω^)「よし、じゃあ一攫千金に向けてレッツゴーだお!」

二人を乗せた電車は風を裂き、音を奏でながら点字区へと向かう。
窓からは右から左へと凄い勢いで家や木が走っていくのが見える。
車内は冷房が効いており、涼しい空気が彼らを包み込んだ。



34: ◆qvQN8eIyTE :2007/06/20(水) 22:19:32.35 ID:20qfLbkt0
('A`)「ところでよ……、ブーン」

空いていた座席に身体を沈めていたドクオが消えそうな声で呟く。

( ^ω^)「お? 何だお?」

('A`)「お前の所に届いたって言う人形も毛がモジャモジャだったのか」

( ^ω^)「そうだお! 毛だけはリアルでやたら気持ち悪かったんだお」

('∀`)「そうか、お前もか。俺だけ毛が生えてるのかと思って焦ったぜ。手紙に人形持ってこいなんて書いてあるんだもんな」

一瞬にして明るい笑顔に染められたドクオの表情。
先程の鬱陶しそうで気怠そうな表情は見る影もなくなっていた。



35: ◆qvQN8eIyTE :2007/06/20(水) 22:22:02.80 ID:20qfLbkt0
('∀`)「でも焦るよなwww 自分の部屋にあった人形のチン毛がモッサモサだなんてwwww」

(;^ω^)「え? チン毛?」

('∀`) ……

(;'∀`)「何惚けてるんだよ。お前のだってチン毛モッサモサだったんだろwww」

(;^ω^)「いや、僕のはスネ毛がモッサモサだったお」

(;'∀`) ……

('A`)「死にたい」



36: ◆qvQN8eIyTE :2007/06/20(水) 22:24:54.42 ID:20qfLbkt0
またもや一瞬にして笑顔から鬱へと表情を転換させたドクオ。
その場を支配した重い空気の中でブツブツと俯き加減に呟き始める。

('A`)「何で俺だけチン毛なんだよ……。何で俺はチン毛人形を持ってきちまったんだよ……。
   できることならば過去に戻って一攫千金に目がくらんだ俺を殴り殺したい……。つーか今死にたい……」

(;^ω^)(何だおこの展開は。点字区までまだ長いし、寝て避難でもしておくかお)

そうしてブーンはドクオの呟きを子守歌に、深い眠りの海へと沈んでいってしまう。
隣ではひたすら呪いの言葉を呟いていることも知らずに。

( A )「もうなんか俺以外みんな死ね。消えて無くなってしまえ」

(;-ω-)「zzzz……」



38: ◆qvQN8eIyTE :2007/06/20(水) 22:27:10.15 ID:20qfLbkt0
『次はー点字区ー点字区ー。お出口は左側の扉でございますー』

( -ω-)「zzzz……、ん……」

妙に間延びした車掌の声がブーンの耳元に届く。
どうやら長い時間眠っていたらしい。

( ^ω^)「もう着くのかお」

電車は既にホームへ頭を突っ込んでいる。
そしてブーンはきっと自分と同じく寝ていたであろうドクオを起こすために視線を隣へと向ける。

( ^ω^)「ドクオ、そろそろ起きr( A )「ミンナシネシネシネシネキエロチンゲニマミレロ」

(;゚ω゚)「ぎゃあああぁあああぁぁああぁあああ!!!!!」

VIP町から点字区まで、大体電車でも数時間はかかる。
その間絶えず呟き続けたドクオの威圧感に、思わずブーンは悲鳴を上げてしまった。



40: ◆qvQN8eIyTE :2007/06/20(水) 22:29:21.83 ID:20qfLbkt0
※※※※※※※※






(´・ω・`)「どうやらこれで最後の二人が来たようだな」

巨大なモニターのある、閉鎖的な一室に男が一人。
口角を上げて嫌らしい笑みを浮かべる。
手に持った煙草は、煙を絶えず上げて短く縮んでいく。

彼が見つめるモニターには、様々な男女の顔と名前が表示されていた。



41: ◆qvQN8eIyTE :2007/06/20(水) 22:31:15.40 ID:20qfLbkt0
( ^ω^)内藤ホライゾン

('A`)ドクオ
  _
( ゚∀゚)ジョルジュ長岡

ξ゚听)ξツン

川 ゚ -゚)クー

( ´_ゝ`)流石 兄者

(´<_` )流石 弟者

( `ハ´)シナー

( ^^ω)マルタスニムは瀬川

(-_-)ヒッキー



42: ◆qvQN8eIyTE :2007/06/20(水) 22:32:48.70 ID:20qfLbkt0
ν(・ω・ν)ほわっちょ相田

,(・)(・),シャーミン松中

|;;;;| ,'っノVi ,ココつ榊原マリントン

  |  ..|
 ノ つДノつゾーンプレス斉藤

(´・_ゝ・`)盛岡デミタス

(゜3゜)田中ポセイドン

⊂⌒(  ・ω・)佐々木カラマロス大

(∴゚ з゚ )ソニー高田

⌒*(・∀・)*⌒ツイン照美



43: ◆qvQN8eIyTE :2007/06/20(水) 22:34:33.27 ID:20qfLbkt0
(´・ω・`)「なかなかな顔ぶれだね」

手に持つ煙草を数回軽く振り、灰皿に灰を落とす。
その煙草を口元に持って行き、煙を肺に流し込む。
口から灰色の煙を吐き出すと彼はまた一人で呟き始める。

(´・ω・`)「さて、この中で誰が勝ち残るのかな」

彼が呟いた言葉は一人だけの部屋に虚しく響く。


それはまるで彼自身の孤独な心を指し示すかのように。



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