('A`)ドクオは淫靡に溺れてしまったようです
- 46: ◆KUIMWbIYTk :2007/06/24(日) 02:41:45.03 ID:lYP/PE5p0
- 3
――池袋。
('A`;)「やっぱ、人が多いな」
休日ということもあり、人が多かった。
JRの駅の東西には大きなデパートもある。
東が西部で西が東部。
未だに納得ができない。
まあ、そんなことはどうでもいい。
俺は喧騒とした街並みの中、独り立ち尽くしていた。
東口を出ると、直ぐに見えるガードレールの前で一服する。
周りでは、汚らしいギャルどもがキャアキャアと囃し立てていた。
('A`;)「ハア……結局来ちゃったよ」
今日は珍しく、やや細めのジーンズに白シャツという小奇麗な格好をしてきた。
どちらかと言えば服には無頓着なほうであるが、
わざわざ2ちゃんのファ板の脱オタスレで情報を得て買ってきたのだ。
これなら第一印象は悪くないだろう。
正直怖かったが、沸々と湧き上がる欲望には勝てなかった。
だが、準備は万端だ。
カードも免許書など、自分の身元が割れそうなものは全て家に置いてきた。
持ってきたのは必要最低限の金、数千円だけだ。
- 49: ◆KUIMWbIYTk :2007/06/24(日) 02:43:32.63 ID:lYP/PE5p0
- 結局あの後、俺は会う意思のある事をメールで『M』に送った。
彼は直ぐに返事を寄越してきた。
内容は、今週の土曜日の昼に池袋で会わないか、というものだった。
池袋なら家から電車で四十分位で行ける。
そういうわけで、俺は池袋にやってきたのだ。
('A`;)「……しっかし、なあ」
俺は呆然と携帯を握り締めていた。
『M』からの連絡を待っているのだ。
彼は、詳しいことは当日メールで指示する、と言ってきた。
唯一知らされているのは、午後一時に池袋駅東口で待っていてくれということだけだ。
三本目の煙草に差し掛かる。
いくら好きとは言っても、立て続けに吸うのは少々胸焼けしてきた。
連絡はまだ来ない。
やはり釣りか、と思い始めた――その時だ。
ブーッブーッブーッ
('A`;)「……あ」
来た。
俺は急いでポケットから携帯を取り出した。
そして、指で乱暴に画面を開く。
新着メール一件。
差出人『M』からのメールだ。
- 52: ◆KUIMWbIYTk :2007/06/24(日) 02:45:22.65 ID:lYP/PE5p0
- 『連絡遅れてすみません。
池袋東口に着きましたか?
着いているのなら申し訳ありませんが、サンシャインに向かって下さい。
東急ハンズ横のエスカレーターを降りて、道なりに進んで下さい。
到着したら連絡お願い致します。 』
('A`;)「……よし」
俺は、携帯灰皿に煙草を押し付けると、直ぐにサンシャイン通りの方向へと足を進めた。
本来なら、サンシャインは駅から五分くらい掛かって面倒臭い。
コンビ二に行くだけでも億劫な俺だったが、今日は違った。
平静を装っているが、様子がいつもと違うのは自分でよく解る。
心臓が高鳴っているのだ。
不安と欲望が折り重なった、変な感情だ。
だが、何故か足を止める事ができない。
雑談をしながら闊歩する若者たちをすり抜けて、俺は無心に歩いた。
('A`;)「着きました……よっと」
ハンズ脇のエスカレータ−を抜け、道なりに進むと、
女物の洋服店が建ち並ぶショッピングフロアに辿り着く。
そして、途中で設置されているベンチに腰を掛けると俺は返事を送った。
暑さのせいではない、違った汗が溢れてくる。
- 54: ◆KUIMWbIYTk :2007/06/24(日) 02:47:11.29 ID:lYP/PE5p0
- ('A`;)「おっ!?」
返信はすぐに来た。
俺は慌ててボタンを押した。
傍から見ても落ち着きが無い。
周りを行き交う者は、俺の様子が滑稽に見えるだろう。
『着きましたら、サンシャインシティプリンスホテルに入ってください。
私達は中の1602号室に居ます。部屋の前まで着いたら、呼び鈴を鳴らして下さい』
('A`;)「……ホテル、だと?」
俺は上を向いた。
頭上には案内板が備えられていた。
その中には、プリンスホテルへの方向も指し示してある。
距離は二百メートルほど先にあるらしい。
('A`;)「おいおい、どういうこった? 一体?」
とは言っても、解せなかった。
普通に顔を合わせるだけなら、その辺の喫茶店で事足りる。
しかし、ホテルとはどういうことだ?
何か裏があるのだろうか。
一気に緊張が高まった。
もしかしたら、中にコワーイ兄ちゃんが沢山待ち構えているのかもしれない。
そして、ボコボコにされてタコ部屋に入れられて、強制労働を強いられる……
- 56: ◆KUIMWbIYTk :2007/06/24(日) 02:48:55.92 ID:lYP/PE5p0
- ……だが、
('A`;)「……」
気が付けば、俺はホテルの十六階にいた。
目の前では、『1602』と書かれたドアが待ち構えている。
ホテルの中にはあっさりと入れた。
寧ろ従業員に、いらっしゃいませと言われた位だ。
思ったよりもセキュリティは緩かった。
その足で、俺はエレベーターに乗り、この部屋の前に辿り着いたというわけだ。
('A`;)「……やはり、なぁ」
しかし、呼び鈴を押すのは戸惑われた。
欲望に引きずられるままにここまでやってきたが、
やはり、怖い。
最悪のケースが頭を過る。
いや……大丈夫だ。
ここは、一般人も良く利用するホテルだ。
何か変わったことがあれば、誰かがすぐに通報してくれるはずだ。
もし、扉が開いてコワイ兄ちゃんが出てきたら、ダッシュして逃げればいい。
('A`;)「……よし」
俺は強引に呼び鈴を押した。
直ぐに、中から返事が聞こえてきた。
男の声だ。
そして、扉は開かれた――
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