DOKUO's A-LIVE STORY
- 36:169◆f4rw8oIHfU :08/31(木) 19:04 26hs6N5+O
5th〜A Tear〜
元の生活に戻ってから数週間が過ぎた
俺と素直は前以上に二人でいる時間を大切にしながら過ごしている
だけど相棒の修理が全然終らない
プロに頼もうと思ったが相棒は俺の宝だ
だからなるだけ自分で修理しようと思ってる
もちろん今も修理中だ
(+'A`)フロントの歪みは交換するしかないか
ガレージで一人淋しく相棒と向き合って作業を続けていく
(+'A`)でも素直が大切に保管しておいてくれて本当によかったな
相棒をいじりながら素直に感謝する
(+'A`)あとは拭いて終わりにしようかね
フロントはフレームを新しくしなくては直せない事を理解して仕上げにかかる
仕上げといっても但濡れたクロスで拭くだけだが
(+'A`)うっし大分綺麗になったぞ
相棒を丁寧に拭いていると携帯がなった
素直の大好きな「純恋歌」が
もちろん相手は素直だ
(+'A`)}どうした?
声が返ってこない
どうしたんだろう?
(+'A`)}お〜ぃ
暫くしてから小さなか細い声が返ってきた
―――}すまん……
(+'A`)}なにが?
―――}独雄から貰ったピアス…盗られてしまった……
―――}…あと……処女も…奪われてしまった……
小さなか細い震えた声で素直が語ったそれはあまりにも受け容れがたいモノだった
―――}独雄…ごめんね……ごめんね………
素直が泣いている……
口調がいつものように冷静じゃない
普段の素直からは想像も出来ないくらい弱く声が響く
(+'A`)}今何処に居る?
怒号にしか聞こえないくらい大きく険しい声だ
―――}私の…部屋……
(+'A`)}3分で行くから待ってろ!
言い切ると同時に携帯を閉じる
そしてガレージの奥にあるTXTPRO~ティーエックスティー~にまたがりささったままのキーを回す
TXTPROは俺の親父が趣味で使っていたトライアルバイクだ
もっとも親父はもう他界しているが
(+'A`)久ぶりだなTXTPRO……
懐かしい相棒に一声掛けて一気に奔りだす
(+'A`)行くぜ相棒
とにかく早く素直を抱き締めたい
その一心でアクセルを全開にして奔り抜ける
一つ目の交差点を抜ける
二つ目…
三つ目……
あとは直線だ
此処だ
全開で奔っていたから普通に止まれない
そこでフロントタイヤを軸にリアタイヤを回し横向きにして止まる
(+'A`)うっし
完全に停止する前にTXTPROから降りて玄関を叩く
反応は無い
ドアノブに手を掛けてみると開いた
それを確認し急いで二階にある素直の部屋に向う
(+'A`)素直っ!
乱暴にドアーを開けて素直を抱き締める
抱き締めた素直は小さく震えていた
(+'A`)素直……
俺の声に反応して顔を胸に埋めて抱き締めてくる
川;‐;)私…汚されちゃったよ……
声も体も弱く震えている
俺はさらに強く抱き締め声を掛ける
(+'A`)素直は素直だ
この程度しか言葉が見つからない
自分が情けなくてたまらない
素直を泣かせた奴は許せない
――殺してやる――
(+'A`)誰にやられた?
震える素直に答えを求める
川;‐;)ギコ…って言って……た
ギコ?
どこかで……
記憶の隅々まで探る
……………………
“義児組”
その単語が出てきた
俺が薬を射たれ拘束されていた場所だ
組と言うぐらいだから裏の組織だろうし人もいるだろう
だが関係ない
――殺してやる――
川;‐;)独雄……
(+'A`)ん?
川;‐;)助けてよ……
静かな声で弱々しく呟く
あいつらは素直を俺の大切なヒトを泣かせた
俺の気持ちは既に決っている
(+'A`)あたりまえだぁ!
腹の底から出せるだけの声で素直に応える
(+'A`)待ってろよ素直…奪われたモノを奪い戻してくる
素直にCBR1100XXのキーを預けTXTPROに向う
玄関に着いたとき後ろから素直が話掛けてきた
川;‐;)ありがとう…必ず戻ってきてね……
倒れたTXTPROをアクセルターンで引き起こしながら応える
(+'A`)必ず戻るさ
そして一気にアクセルを全開にして奔り始める
“怒り”という“狂気”を抱えて
5th End
戻る/次のページへ