( ^ω^)はヌクモリティを取り戻すようです

254:◆uAn5dIn1Sw:06/19(火) 19:55 3hhnBXTKO
  


第五話

電子メール恐怖症


瞼が重い。
右目をなんとか見開き、左目を半開きにして
なかなか脳の指令を率直に受け入れない体を動かした。


学校にたどり着くと、
自分の机に座り
糸の切れた人形のように突っ伏す。

……でも、寝ちゃいけない。


あからさまに異常だな…
だが、心配して声をかける人はこのクラスにはいない。

私には……ドクオ達しか友達がいなかったんだ……

自分の友達の少なさに辟易して、
自己嫌悪。

みっともない。


早く午前中の授業が終わらないものかな。

睡魔に打ち勝つ為には体を刺激する他ない。

手首を、シャープペンシルで突く。
効きが弱くなったら
さらに強く。

川; ‐ )「痛っ……」

強過ぎたか。
私の不健康な白い肌に一滴の真っ赤な血が流れた。

まだだ……

まだこの程度では眠気は覚めない。
私の視線は金属製のペンケースの中のカッターナイフに向かった。



257:◆uAn5dIn1Sw:06/19(火) 22:57 3hhnBXTKO
  



カッターナイフのプラスチックの本体からは薄い金属片、つまり刃が不敵に輝いている。

チキチキチキ
軽い音を立てながら剥き出しの金属片が長くなっていく。

これでしばらくは眠くなくなる……
ただ、自然に刃を手のひらに……


(;*゚ー゚)「素直さん!何してるの!」

しぃにカッターを取り上げられた……?

川 ‐ )「返してくれ。それが無いと私は……」

それが無いと眠気に負けてしまう。

教室が騒がしいな……
私はそんなに変なのか?



258:◆uAn5dIn1Sw:06/19(火) 23:18 3hhnBXTKO
  


川 ‐ )「ドクオ、弁当を食べよう。今日は私が作ってきた」

騒がしかったが、四限は終わった。
早くドクオに会いたい。

(;'A`)

なんで?なんでそんな顔するの?

また悪夢なの?

(;'A`)「クー、カッターの件、本当か?」

どうでもいいじゃないか。

川 ‐ )「ああ、本当だ。早く弁当を食べようよ?」

そして早くお話しようよ。

(#'A`)「馬鹿野郎!自分の体傷つけたりすんな!」


お話……しようよ。

川 ‐ )「何故?私の体だぞ?」

(#'A`)「自分だけの体じゃないだろ!」

自分の体なんだ。
好きにしていいじゃないか。
それとも

川 ‐ )「ドクオは……私の体だけが大事なのか?」

体目当てなのか?

(# A )「……ッ!馬鹿野郎!」

頬に伝わり、頭を揺らす痛み。
ドクオだけしか見ていなかった視線が、
冷たい教室の床に逸れる。



259:◆uAn5dIn1Sw:06/19(火) 23:43 3hhnBXTKO
  


ガシャン

川 ‐#)「………」

弁当箱を落としてしまった。
頬がジンジン痛む。

…これは悪夢の続きなんだ…

川; ‐#)「く、来るな!」

わき目も振らずに走り抜ける。
ドクオの偽物の言葉など信じない!


川; ‐#)「ハア……ハア……」

何ももたずにひたすら走った。
靴も上履きのままに。

逃げ切れた……

川 ‐#)「ただいま」

気づけば私は自宅に帰っていた。
寝たい。でも寝ちゃいけない。

……メールだ。

『あの日』のツンのメールの悪夢かもしれない。
開きなくない!

また着信。

開かないからな!

また着信。

また

また

川 ‐#)「ああああああっ」

私は布団を頭に深くかぶってベッドで震えあがることしかできなかった。



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