( ^ω^)はヌクモリティを取り戻すようです
- 261:◆uAn5dIn1Sw:06/20(水) 23:14 p82/2ExSO
第六話
ぎっしり心理学
俺は……なんてことしちまったんだ。
(#゚∀゚)「ドクオ!てめえ!」
ジョルジュが俺の胸ぐらを掴み上げる。
鼻と鼻とがぶつかり合いそうな距離で俺に叫ぶ。
(#゚∀゚)「クーちゃんはよう、てめえを頼りにしていたはずだぞ!」
わかっている。
わかっているんだ。
ついさっき、俺のよく回らない頭は体を動かした。
クーの台詞を聞いた瞬間に。
あいつの頬を
ひっぱたいた。
(;'A`)「………」
自分でしておきながら、
実感がない。
いや、ある。
でも、俺の脳は自分でしたことを拒絶する。
でも
はたいた瞬間の頬を叩く感触が、
俺を正気に戻す。
(;'A`)「畜生!俺のド畜生野郎!」
ジョルジュを突き飛ばして、
他の野次馬どもをかわして俺はクーの家へと走った。
- 264:◆uAn5dIn1Sw:06/21(木) 23:11 8SeINUKKO
夢中で。
深くは考えずに。
右足を前に。
左足を前に。
何故に今日に限ってチャリじゃないんだ。
景色なんか見ない。
ただ、記憶にしっかり残っているクーの家に向けて。
(;'A`)「クー!俺だ!開けてくれ!」
クーの家のドアを叩く。両の手で、全力で。
へこむかもしれないが、構わない。
弁償する覚悟はできてる。
(;'A`)「クーぅ!」
返事はいつまで待っても返ってこなかった。
俺は握り拳を手のひらに爪が食い込むほど握り締めた。
- 265:◆uAn5dIn1Sw:06/21(木) 23:27 8SeINUKKO
何がガラスの棘を抜いてやるだ。
何が俺の役目だ。
俺はクーの冷たい棘にさらに冷たいささくれた心で応えちまった。
彼氏失格じゃんかよ。
彼女が苦しんでる時にさらに苦しめる。
(;A;)「畜生!」
ドアを強く殴りつけてから俺はまた走った。
クーを傷つけて、あまつさえ逃げ出す俺をダチに殴って欲しくて、学校に戻った。
時間はもう放課後。
夕日に染まりきった教室には、
ジョルジュ長岡が突っ立ったいた。
さあ、この最低な俺をぶん殴ってくれ。
俺の口は『殴って』
まででジョルジュの叫びにかき消された。
- 266:◆uAn5dIn1Sw:06/21(木) 23:44 8SeINUKKO
西日が机を椅子を照らし、空中のホコリを目立たせる。
(# ゚∀゚)「うるせえよ!」
俺のセリフは遮られた。
(# ゚∀゚)「俺が最低な彼氏なお前をぶん殴ってそれで済むよな!」
(;'A`)「……ッ」
いつもとてんで違う本気のブチ切れ。
昼の比じゃない怒りかただ……
(#゚∀゚)「お 前 だ け は な !」
再びジョルジュが俺の胸ぐらを掴み上げる。
昼よりも近い距離で、目と目を合わせて
(#゚∀゚)「クーはどうなるんだよ!てめえ自分が殴られてそれで自己満足するんじゃねえよな!」
自己満足。
んなワケ……
(;'A`)「…………」
反論出来ねぇ。
俺ってこんなにガキだったのかよ……
俺の……俺のしてきたことは……自己満足だったのか?
- 268:◆uAn5dIn1Sw:06/21(木) 23:56 8SeINUKKO
そうだ。自己満足だ。
あの日、あの春の日の夜。
俺はクーに告白した。
決意もあった。でも、心のどこかに
『可哀想な女の子に優しくしてる俺かっこいい』
的な陶酔もあった。
つまり……俺はクーの為なんかじゃなくて
自分の為にクーに優しくしていたんだ。
(;A;)「畜生!畜生!ぢぐじょう……」
足が震えて、へたり込む俺。
ジョルジュはただジッと俺を見下ろしていた……
- 270:◆uAn5dIn1Sw:06/22(金) 22:18 l1QUNuQbO
( ∀ )「なあ。てめえよ……いつまでそうやってメソメソしてんだ」
顔を見られない。
見たくない。
一方的にまくし立てるジョルジュ。
( ゚∀゚)「俺はさ。
実はクーのこと好きだったんだ
嘘じゃない」
え?
(つA`)「は……はあ?」
間抜けな声しか出ない。
ジョルジュの野郎が、クーのことが好き?
(;'A`)「んな……冗談は……」
( ゚∀゚)「えらく本気だ」
嘘だろ……
( ゚∀゚)「でもな……俺が好きなのは……
ドクオと一緒に笑ってるクーなんだ」
驚愕に口開きっぱなしの俺を見下ろしながら続ける。
( ゚∀゚)「最初は冷やかしのつもりでデートを覗いてたさ」
( ゚∀゚)「最初はな。
でもさ。クーちゃんはよ……
お前といる時だけは輝いていたんだ」
何……言ってんだ…
( ゚∀゚)「わかってはいるさ。実らない恋だってことは」
近くの椅子を引っ張ってきて座るジョルジュ
( ゚∀゚)「それでもよ……
クーには笑っていて欲しいんだよ」
- 271:◆uAn5dIn1Sw:06/22(金) 22:38 l1QUNuQbO
( ∀ )「へへ……へへへへ………やっと……言えたぜ……」
ジョルジュは俺に背を向ける。
必死で嗚咽を隠していて……
でも、隠そうとすればするほどに、
嗚咽は大きくなって
嗚咽は…自嘲的な笑みに変わって
( つ∀ )「はははははははっ!俺は……俺の!片思いは終わったんだ!
はははははははっ!はははははははっ!」
ヤケになって笑いに笑って自虐的に叫び続けるジョルジュ。
その頬には夕日に光る水滴が一滴。
ジョルジュの脂っぽい肌を流れて床に落下した。
……決まった。
('A`)「ジョルジュ。俺、行ってくる。
自分の為の偽善じゃなくて…
クーの為に。
俺はクーをまた笑顔にしてやる」
( う∀゚) 「……頑張れよ!彼氏さんよ!
はははははははっ!」
天井を見上げて笑い続ける最高のダチに今日の別れを告げて、
俺は再び足を進めた。
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