( ^ω^)ブーンが大切なモノを失くしてしまうようです。
- 1: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/20(金) 22:54:49.71 ID:MspDe9670
- (´・ω・`)「やぁ、ようこそバーボンハウスへ
ん?あぁ、今日は仕事じゃなかったんだ。
すまない。
今日は僕の友達の話を聞いてもらおうと思ったんだ。」
(´・ω・`)「さて、昨日の続きだったね。
ブーンは本当に仕事を辞めてしまった。」
(´・ω・`)「彼がお客さん達との連絡をどんどん切っていってることは
薄々気づいてはいたんだ。
普段からあまり時間を気にしなくなったし、あまり外出していないようだったからね。」
(´・ω・`)「そして彼は仕事を辞めることによって、毎月100万を越える収入の変わりに
莫大な時間と自由を得た。正直…羨ましいと感じないと言えば嘘になるかもしれない。」
- 3: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/20(金) 22:56:47.74 ID:MspDe9670
- 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
( ^ω^)「もしもし、ツンかお。」
ξ゚听)ξ「あら、ブーン。ごめんね、今友達と一緒にいるから切るわね。また電話するわ。」
(;^ω^)「それはすまなかったお。じゃあ、また連絡待っt」
???「おい、ツン。電話なんかほっといてこっちに来いって。」
ξ゚听)ξ「ちょっと待ってよ。 じゃあ、またねブーン。」
ガチャ。
- 4: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/20(金) 23:00:29.57 ID:MspDe9670
- ( ^ω^)「…男の声だったお。」
その事実が何を意味するのか。
ブーンはそれがわからないほど馬鹿じゃない。
今までそれなりの人数と付き合ってきてるし、
一夜限りの関係も経験してきてるはずだ。
理解っているはずだ。
- 5: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/20(金) 23:04:36.38 ID:MspDe9670
- 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
( ^ω^)「これってどういうことなんだお?」
(´・ω・`)「ブーン…。」
( ゚∀゚)「どういうって…。」
('A`)「そんなもん考える必要もねぇだろ。他に男ができたんだよ。」
( ^ω^)「ありえないお。ブーンとツンは距離をおいてるだけで、
まだ別れたわけじゃないお。」
- 6: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/20(金) 23:09:43.45 ID:MspDe9670
- (#'A`)「まだそんな事言ってんのか!!現実見ろよ!!」
( ゚∀゚)「落ち着けよドクオ。それじゃこの間の繰り返しだろ。」
(#'A`)「…っ!!! おいブーン!もうツンとはきっぱり別れろ!」
( ^ω^)「ドクオ。心配してくれるのはありがたいけどそれはできないお。」
(#'A`)「なんでだ!?ホストやってんだから女なんて腐るほどいるだろうが!!」
( ゚∀゚)「そうだぜブーン。ツンが好きなのはわかるが、もうツンには他の男がいるんだろ?」
( ^ω^)「ツンは友達って言ってたお。彼氏とは言わなかったお。」
(#'A`)「でも寝てんだろうが!!!お前はそれで平気なのか!?」
(#^ω^)「平気なわけがないお! でも、ブーンにはツンしかいないんだお。」
- 7: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/20(金) 23:14:12.96 ID:MspDe9670
- (´・ω・`)「ブーン…。」
('A`)「…すまん。言い過ぎた。でも、ホストなんだからいくらでも他に女はいるんじゃねぇのか?」
(´・ω・`)「…ブーンはホストを辞めたんだ。」
(;゚∀゚)「おいおい!マジなのか!!?」
( ^ω^)「本当だお。」
('A`)「…。」
(´・ω・`)「ブーン。理由を教えてもらえないかな?
いろいろ聞かれてうっとうしいかもしれないけど、僕はどうしても納得できないんだ。」
( ^ω^)「…いいんだおショボン。その話もするつもりだったんだお。」
- 9: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/20(金) 23:20:19.44 ID:MspDe9670
- ( ^ω^)「ブーンが仕事を辞めたのはツンのためだお。そして、ツンと会いたいからだお。」
(#'A`)「意味がわかんねぇよ!!!」
( ゚∀゚)「ドクオ! …最後まで聞こうぜ。」
(#'A`)「くっ…。」
( ^ω^)「続けるお。 ブーンはホストをやりながらずっと疑問に思ってたお。
ツンの事が大好きなのに、なんでこんなツンを心配させるような仕事をしてるのか。」
( ^ω^)「ツンも不安だったと思うんだお。
ブーンがホストをしてることがずっとずっと不安だったと思うんだお。」
(´・ω・`)「…。」
- 12: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/20(金) 23:27:56.71 ID:MspDe9670
- ('A`)「…続けろよ。」
( ^ω^)「ツンのためっていうのはそういうことだお。
そしてツンに会いたいっていうのは、
この仕事をしてるとどうしても時間に自由がきかないんだお。」
( ^ω^)「みんなには話したけど、ブーンは今ツンと距離をおいてるお。
だからツンの予定がよくわからないし、いつもいきなり電話がかかってきて
『今から会おう』って言われるんだお。」
( ^ω^)「ブーンはお客さんといても適当に理由をつけて帰ってたお。
ツンの誘いを断ると、もう次は誘われない気がしてどうしても断る事はできなかったお。」
( ^ω^)「当然そんな事を繰り返せばお客さんはブーンに愛想をつかして離れていくお。
仕事中にツンに呼ばれて早退したこともあったお。
でも早退や当欠は罰金がかかるんだお…。」
- 15: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/20(金) 23:33:59.24 ID:MspDe9670
- (´・ω・`)「お客さんに指名されなければ、完全売上制のうちの店では給料がゼロ。
その上罰金があるからマイナス…か。」
( ^ω^)「それにツンとの食事代やデート代は全部ブーンが支払ってるんだお…。
罰金を払うくらいなら、いっそ辞めてしまったほうがマシだったんだお。」
( A )「おい、ブーン。」
( ^ω^)「なんd」
バキッ!!!!!!!
振り向こうとしたブーンの顔面をドクオが殴りつけた。
僕はその光景を止める事もできずただ立ち尽くしていた。
(#^ω^)「何するんだお!!!」
- 19: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/20(金) 23:41:17.03 ID:MspDe9670
- (#'A`)「甘ったれんのもいい加減にしろや。」
(#^ω^)「余計なお世話だお!!ドクオには迷惑かけてないお!!!」
(#'A`)「てめぇは俺が月に10万稼ぐのにどんだけ必死で働いてんのかわかってんのか!?」
(;^ω^)「そ、それは…。」
(#'A`)「毎日バイトして、学校行って、家に帰ったら勉強しなきゃいけない。
週に一度趣味のバンドやってたら、もう他は休めない。
風邪でもひいてバイト休んだら食費を削るしかない、
チキンラーメンひとつで一週間生活するひもじさがわかんのか!?」
(;^ω^)「…。」
(;´・ω・`)「…。」
(;゚∀゚)「…。」
- 21: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/20(金) 23:44:14.81 ID:MspDe9670
- (#'A`)「うちは貧乏だから、学費出してくれてる親にこれいじょう頼るわけにはいかない。
だから毎日必死で働いて勉強して生きてるんだ!
それなのにてめぇは女一人のワガママに付き合う為に仕事辞めるだと!?
早退?罰金?ふざけんのもいい加減にしろ!!!」
( ^ω^)「…それはブーンが今まで頑張ったからだお。」
(#'A`)「あぁ!??」
( ^ω^)「ホストってぼは決して楽な仕事じゃないお。」
(´・ω・`)「…。」
( ^ω^)「入店最初の月のブーンの給料は3200円だったお。」
(;゚∀゚)「一ヶ月でかよ!?」
( ^ω^)「そうだお。週6日勤務で夜の10時から朝店閉めるまで働いて、
一ヶ月で給料が3200円だったお。」
('A`)「…。」
- 25: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/20(金) 23:53:45.90 ID:MspDe9670
- ( ^ω^)「入店初日の最初の仕事はパシリだったお。
弁当やタバコを買って店に戻ると、次はキャッチだったお。
いきなり外につれていかれてそのへんの女の子に声かけろって言われたお。」
( ^ω^)「ブーンはナンパなんかしたことなかったお。
キョドってるうちにもういいから店に戻れといわれて、今度はヘルプだお。」
( ^ω^)「お客さんにお酒をつぐのはひどく緊張したお。
みんながコールしててもブーンは一人何していいかわからなくてお客さんにも馬鹿にされたお。」
( ゚∀゚)「…。」
( ^ω^)「ひっこめって言われて裏でグラス洗ったり、お酒つくったりしてたお。
裏はクーラーなんてないから暑くて大変なんだお。
席にヘルプで呼ばれては馬鹿にされてひっこめって言われたお。」
- 28: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/20(金) 23:58:05.04 ID:MspDe9670
- ( ^ω^)「一ヶ月かけてなんとか女の子を二人お店に呼んだお。
それでも一回目は店に呼んでもフリードリンクだし、たいした料金にはならないんだお。」
( ^ω^)「あとはずっと無理やり飲まされたり、裏で皿洗いとお酒つくったりしてるだけだったお。
給料日にもらった封筒の中には千円札3枚と百円玉2枚だけだったお…。」
( ゚∀゚)「…その月はどうやって生活したんだよ。」
( ^ω^)「貯金を使ったお。でも貯金なんて20万もなかったお。
家賃や光熱費と携帯代払っただけで13万かかったお。
お客さんに営業電話しすぎて携帯代が5万越えてたお。」
('A`)「…。」
( ^ω^)「それでも頑張って頑張って今の給料をもらえるようになったんだお。
その2年半ですっごく体力がなくなったお。
何度も病院へいったお。検査の度に仕事辞めないと死ぬって言われたお。
ずっと4時間も寝れなかったお。それでも、頑張ったんだお。」
- 31: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/21(土) 00:01:24.19 ID:qAoC8hFe0
- (#'A`)「じゃあ、なんでその努力を全部水の泡にするようなことをするんだ!?」
(#^ω^)「ツンが好きだからだお!!!!!!!」
(´・ω・`)「ブーン…。」
(#^ω^)「他の何にも変えられないんだお!
お金にもバンドにも、何よりツンに一緒にいてほしいんだお!!」
('A`)「ブーン…。」
- 32: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/21(土) 00:01:59.55 ID:qAoC8hFe0
- ( ゚∀゚)「…俺たちよりもか?」
( ^ω^)「…。」
( ゚∀゚)「俺たちがどんなに心配しても、その女のほうが大切なのか?」
( ^ω^)「…。」
('A`)「ブーン…。俺たちはブーンが好きなんだ。お前が壊れて堕ちていくのをこれ以上みたくないんだ。」
( ^ω^)「…すまないお。それでもブーンは、ツンが好きなんだお。」
- 33: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/21(土) 00:03:35.55 ID:qAoC8hFe0
- ( ゚∀゚)「…。わかった。」
( ∀ )「もう、何も言わないよ。」
そのままジョルジュはドアを開けてどこかへ消えていった。
その表情は怒りに満ちていたのか、哀しみに溢れていたのか、僕には見えなかった。
( A )「…ばかやろう。」
ドクオはそれだけ言い残し、ジョルジュと同じように部屋からいなくなる。
やはりそのかおは落胆しているのか、憤怒をおさえるのに必死なのかよくわからなかった。
- 37: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/21(土) 00:09:59.87 ID:qAoC8hFe0
- (´・ω・`)「ブーンにとってツンは本当に大事な人なんだね。」
( ^ω^)「…そうだお。」
(´・ω・`)「じゃあ僕ももう何もいわない。言えない。
僕にも人を愛する気持ちなんてわからないから。」
( ^ω^)「…。」
(´・ω・`)「ただね、ブーン。」
( ^ω^)「…なんだお?」
(´・ω・`)「本当は自分が一番理解ってるんだろう?」
( ^ω^)「何のことだお。」
(´・ω・`)「…それじゃ。」
そう言い残し僕もまた部屋から出て行く。
ヒビ割れた心で、いろいろなモノを失くすことにおびえて、
すがるように僕たちの元へ来たブーンの事を一人残して。
- 38: ◆2tIpUAdHJU :2007/07/21(土) 00:12:22.24 ID:qAoC8hFe0
- ( ^ω^)「ショボン…。理解ってるお。全部。」
( ^ω^)「ツンがブーンの事を愛してない事も、他の男と何してるのかも。
ブーンが間違ってる事も、今この時大事な友達に言ってはいけない事を言ってしまったことも。」
( ^ω^)「全部理解ってるんだお。」
〜消えてしまった絆・完〜
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