( 'A`)はアルバムを捲るようです

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/12(水) 17:18:22.57 ID:mn7ybCjEO


『Page:9 崩壊する物、支えたモノ』

SIDES BY ('A`)&(*゚∀゚)




時計を見るともう午前四時を回っていた。


もうかれこれ八時間以上飲んでいる。

俺は煙草を吸うためにショボンから灰皿を受け取った。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/12(水) 17:22:59.99 ID:mn7ybCjEO


(´・ω・`)「君も早く禁煙しないと肺癌になるよ」

('A`)「あー、まぁ気を付けるさ、それに二十年は大丈夫って聞いたことある」

俺が煙草を吸い始めたのは高一から。
三十になったらやめようと思ってる。

(´・ω・`)「仕事柄煙草を吸う人はよく見るけど、君は何の銘柄を吸ってるんだい?」


('A`)「……あぁ?」


俺が吸ってる銘柄はKOOL、高校から変えたことはない。


('A`)「この葉っぱ臭さにも慣れちまったよ」


向こうでは、まだあの子をツンと渡辺が慰めてる。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/12(水) 17:26:30.15 ID:mn7ybCjEO


ξ゚听)ξ「落ち着いた?」

o川*゚ー゚)o「……はい。すいません、なんか感情移入しちゃって……」

从'ー'从「いい子だね、そういえば名前聞いてなかったけど、なんて名前なの?」

o川*゚ー゚)o「……」

あの子は、首を振るだけで名前を言おうとはしない。

すかさずショボンが助け船を入れる。


(´・ω・`)「言いたくなければ、聞かないよ。すまないね」

o川*゚ー゚)o「いえ、アタシこそ……」


(;^ω^)「……」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/12(水) 17:30:53.61 ID:mn7ybCjEO

アルバムの裏表紙を何気なく見る。


  ―――◆―――


世界が暗転した。もう一度腕時計を見るが、さっきの衝撃で壊れたようだ。

辺りには、ソファーやらデスクやら様々な物が転げている。

さっきの凄まじい衝撃を物語っていた。

(*゚∀゚)「さっきのは……」

私は確かに見た。

飛行機がこのビルに突っ込んでくるのを。

余りに有り得ぬ光景に狼狽したが、それは事実のようだ。

散乱した部屋と立ち込める煙がそれを裏付けていた。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/12(水) 17:32:39.15 ID:mn7ybCjEO


(*゚∀゚)「こりゃヤバいかもね……」

取り敢えずここに居ては不味い。

階段へと急ぐ。

幸い此処はそんなに高くはない。

自分の生に縋る欲求に任せ、階段を掛け下りた。

エレベーターに乗っている時は感じなかったが、今は思う。


――高い


前言を撤回する訳ではないが、二十階に降りてもなお先は見えない。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/12(水) 17:35:33.49 ID:mn7ybCjEO


何故?どうして?


そんな事は二の次。今はただ、下を、生を目指し駆け降りる。


父は大丈夫だろうか?


(*゚∀゚)「……大丈夫だ」

自分に言い聞かす。


もう八階まで降りた。

もうすぐだ!!アイツらに逢わぬまま、こんなところで死ぬのは真っ平御免だ。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/12(水) 17:40:27.49 ID:mn7ybCjEO


(* ∀ )「……ハァッ、ハァッ、もう少し、もう少しで」


あの町から突然引っ越すと言われたときも思った。









現実とは無情だと……



アタシの足は、六階で……止まった……



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/12(水) 17:44:17.83 ID:mn7ybCjEO



(* ∀ )「なんだい、これは……」


階段は、無かった。


いや、無くなってた。


(* ∀ )「塞がってる?」

階段には、恐らくそばに積み上げられたのであろう用紙の束やコピー機。


余りにも、現実は厳しかった……


(*゚∀゚)「鬱陶しい!!!」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/12(水) 17:48:27.03 ID:mn7ybCjEO


生に繋がるこの階段、諦め切れず、必死で取り除こうとする。

用紙の束は、動かせる。

一つ、二つ、いくら退かしても道の先は見えない……

いくら退けても、いくら退けても、いくら退けても、いくら退けても、いくら退けても、退けても、退けても、退けても、退けても、退けても、退けても、退けても、退けても、退けても、退けても、退けても、退けても、退けても、退けても、退けても、退けても



そこにあるのは‘絶望’


潰える‘希望’


(* ∀ )「……どけろょぉ…ばかやろぅ……」

(*;∀;)「邪魔すんなよおおぉぉぉ!!アタシは生きたいんだよおおぉっ!!!」



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/12(水) 17:54:20.57 ID:mn7ybCjEO

こんな壁が……こんなちゃちな壁が……


アタシの、アタシの希望を……


(*;∀;)「ちくしょう……」

諦めない、絶対にまだ別の道がある……諦めてなるものか。


部屋を必死で見回す、しかし全く方法が見つからない……


(*;∀;)「どうして誰もこないんだよぉ」

理由はわかる。

もう皆、避難したんだ。

だから誰も居ない。



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/12(水) 17:57:39.32 ID:mn7ybCjEO



不意に焦げ臭い匂いが、鼻を刺激した。


――あぁ、もう終わりなんだ


一酸化炭素が私の脳にまで侵入してくる。

私は、抗らう事を止めた。

そして、意識を手放した。


  ―――◆―――


('A`)y-~~「ふぅ」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/12(水) 18:02:04.86 ID:mn7ybCjEO


肺から煙りを吐き出す。

もう慣れてしまった行為。

吸い始めた頃は、ずっとむせていたのに。


時の流れを感じた。


今、こうして俺達はここにいる。

ツーがいない、その事実を受けとめるために俺は帰ってきた。

何度も電話を掛けた。何度も連絡を取ろうと試みた。

しかし返ってきたのは絶望的な知らせだけ。


ツーの父が、あのビルの中で見つかった。



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/12(水) 18:04:57.26 ID:mn7ybCjEO

安らかとは程遠い、苦痛に満ちた、というより悔しそうな死顔だったそうだ。


('A`)(分かるよ、親父さん、アンタは探してたんだろ?ツーを)


悔しいだろうな、見つからなかったんだな。


……俺も苦しかった、アンタも苦しかったんだろうな。



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/12(水) 18:09:26.49 ID:mn7ybCjEO



俺は、皆に何も言わず外に出た。



  ―――◆―――



三度目の覚醒、アタシを起こしたのは皮肉にも迫りくる炎だった。


もう一度目を瞑ろう。

そう思った。

走馬灯でも見れるかもしれない。

もう一度、アイツ等の笑顔と逢えるかもしれないから……



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/12(水) 18:16:14.23 ID:mn7ybCjEO



ふと、自分の財布にあの頃の写真を持ち歩いてたことを思い出した。


(* ∀ )「どうせ死ぬなら……」


――コイツ等を見ながら死のう、そう思った



('A`)がアルバムを捲るようです 


『Page:9 崩壊する物、支えたモノ』

SIDES BY ('A`)&(*゚∀゚)

END



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