( ^ω^)ブーンが丸痣の謎を追うようです。

114: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 19:16:30.10 ID:vpjj6J9N0
ブーンは慌てて電話を掛けるが、ジュルジュは一向に出る気配が無い。

(;^ω^)「やばい、やばいお!」

ブーンは呼び止める電子レンジの音にも構わず、そのまま家を飛び出した。

(;^ω^)「ジョルジュ…いくらなんでも早すぎるお」

メールの履歴と、この前の話から考えるにショボンの手にアザが出たのは、ショボンが消えた2日前。

それなのにアザが出て半日程度しか経っていないジョルジュがなぜ。

ブーンは混乱しながらもジョルジュのもとへと急いだ。



115: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 19:26:39.31 ID:vpjj6J9N0
(;^ω^)(でもこの様子じゃもう手遅れかもしれないお…)

今は朝の7時頃で、もう既に6時間程度経っている。

ショボンのときは電話を受けてすぐ駆けつけても間に合わなかったのだ。

ブーンの心を映すかのように曇ったままの空。

あの時崩れて消えたショボンが、ジョルジュとダブる。

そんな嫌な想像を振り払うように、ブーンは走った。

(;^ω^)(ジョルジュ……)

そして、ジョルジュの家に着いた。



116: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 19:33:42.27 ID:vpjj6J9N0
(;^ω^)「ジョルジュ!ジョルジュ!大丈夫かお!」

人目を気にせずドアをドンドンと叩くブーン。

すると予想に反して、すぐにドアが開いた。

(;^ω^)(ま、まさか、アイツが…)

全身の鳥肌が一気に立つ

( ゚∀゚)「おぉ、ブーンか。どうした?」

( ゚ω゚)「…………」

あまりの出来事に放心状態になるブーンであった。



117: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 19:40:35.00 ID:vpjj6J9N0
( ゚∀゚)「ぶは!俺になんかあったんじゃないかと思って駆けつけたって!?」

(;^ω^)「笑い事じゃないお…」

ブーンは夜中に何度も電話がきてたから、心配になって駆けつけた、とジョルジュに言った。

( ^ω^)「なんであんなに電話掛けてきたんだお?」

( ゚∀゚)「あぁアレはな、深夜番組見てたら、いきなりすごいおっぱいが出てきてさ。おっぱいが」

(;^ω^)「………」

( ゚∀゚)「お、思い出しただけでも…おっぱい!おっぱい!」



119: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 19:46:28.46 ID:vpjj6J9N0
ぐうぅぅ〜……

拍子抜けしたやら、安心したやらで、ブーンはお腹が鳴ってしまった。

(*^ω^)「ちょ、恥ずかしいお」

( ゚∀゚)「腹減ってんならウチでなんか食ってけよ」

ジョルジュはそう言って立ち上がった。

( ^ω^)「い、いいお、家にご飯あるお」

( ゚∀゚)「そんなもん昼に食えばいいだろ。心配かけたのは俺なんだから飯くらい出させてくれよ」

( ^ω^)「……わかったお」

ブーンはジョルジュの言葉に甘えることにした。



121: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 19:54:01.15 ID:vpjj6J9N0
ジョルジュの出してきたご飯はどれも暖かくておいしそうな中華料理だった。

(*^ω^)「す、すっごいおいしそうだお!」

( ゚∀゚)「俺中華料理屋でバイトしててさ。料理には自信あるんだ」

ジョルジュが得意げに胸をそらせた。

( ^ω^)「いただきますお!」

ブーンは手を合わせるとものすごい速さで料理にがっつき始めた。

( ゚∀゚)「…うまいか?」

( ^.ω^)「最高だお!」

ブーンは口の端に色々なソースをつけたままジョルジュに答えた。



122: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 19:59:12.56 ID:vpjj6J9N0
( ^ω^)「ごちそうさまでしたお」

ブーンは箸をおいて、食べ始めたときと同じように手を合わせた。

そして、食器をまとめて両手に持ち台所に向かった。

( ゚∀゚)「ん?あぁいいよ、いいよ、そこら辺でくつろいでてくれ」

( ^ω^)「そうかお?」

ブーンは大人しく従って、手に持っていた食器をジョルジュに渡した。

その時ちらりと見えた左手のアザにブーンは何か違和感を覚えた。



123: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 20:06:26.27 ID:vpjj6J9N0
( ゚∀゚)「じゃあ俺はこれ洗ってくるわ」

( ^ω^)「ジョルジュ」

ブーンはジョルジュの肩を掴んだ。

(;゚∀゚)「おい、なんだよ、食器が落ちちまうよ」

( ^ω^)「ちょっと食器を置いて左手を見せてくれお」

ブーンは引かなかった。

( ゚∀゚)「と、とりあえず手を離してくれ」

ブーンはジョルジュを見たままゆっくりと肩から手を離した。



124: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 20:15:54.32 ID:vpjj6J9N0
ジョルジュは言われたとおりに食器を台所に置いてきてから、ブーンの目の前に左手をさし出した。

ジョルジュが差し出した左手のアザは、、、、、、、真っ赤に変色していた。

(;^ω^)「…………」

黙ったままジョルジュの手を見つめるブーン。

何かがブーンの中で一繋がりになろうとしていた。

( ゚∀゚)「おい、ブーン何なんだよ」

ブーンは悩んでいた。

果たしてこの事を話すのは、ジョルジュにとって良いことなのだろうか。

(;^ω^)(でも、何もわからず死ぬなんて僕なら嫌だお)

そしてブーンは決心した。

( ^ω^)「ジョルジュ、落ち着いて聞いて欲しいお」

今まであったこと、勿論ショボンの事を含めブーンはすべてをジョルジュに話した。



125: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 20:21:23.35 ID:vpjj6J9N0
( ゚∀゚)「………」

(;^ω^)「嘘吐いてゴメンお」

ジョルジュは話が終わった後もしばらく何も喋らなかった。

それでもブーンは話さなければならない。

( ^ω^)「それで、…多分そのアザの色の変化は消える兆候みたいなものだと思うんだお」

ショボンの手に出た黒いアザ。

そして消えたショボンの右手の赤いアザ。

よく考えればわかることだったはずなのに、何故気付かなかったのか。



128: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 20:27:46.80 ID:vpjj6J9N0
( ゚∀゚)「…じゃあ俺はもうすぐ消えるのか?」

(;^ω^)「そ、それは…わからないお…」

これだけはブーンにもわからなかった。

アザが赤くなってからどれくらいで消えるのか。

今わかっているのはショボンがアザの出現から2日で消えたということだけで

いつ赤くなったのかはわかっていないのだ。

(;゚∀゚)「で、でもその話だと、とりあえず後1日はあるってことだ。まだ何とかなるよな?」

(;^ω^)「……ぅ……あ…頑張るお!」

ブーンは肯定できなかった。



129: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 20:34:36.88 ID:vpjj6J9N0
自分が明日死ぬかもしれない。

そんな状況にあってもジョルジュは皿を洗っていた。

別にどうということでもなく、他にすることが無いから洗っているだけだ。

それでもブーンにはジョルジュの背中越しに悲痛な面持ちが見えるような気がした。

( ^ω^)「………」

ジョルジュを助ける方法は無いのだろうか。

目の前でいきなり消えてしまう現象。

果たしてその引き金は何なのだろうか。



130: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 20:44:17.81 ID:vpjj6J9N0
( ゚∀゚)「…片付け終わり、と」

ジョルジュが呟いて、こっちにやってきた。

ブーンはどうして良いかわからずただテレビを見ていた。

そんなブーンの隣にジョルジュはゆっくりと腰を下ろす。

沈黙が辛い。

ブーンはこの場を離れたかったが、こんな状態のジョルジュをおいて

帰ってしまうわけにもいかなかった。

( ^ω^)「…ちょっとコンビニに買い物行って来るお」

立ち上がるブーンの足をジョルジュが掴んだ。

( ゚∀゚)「………行くなよ、ブーン」



131: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 20:53:04.84 ID:vpjj6J9N0
ブーンはしばらく考えて、また座りなおした。

そんなブーンにジョルジュは擦り寄ってくる。

( ^ω^)「ジョルジュ…?」

そしてジョルジュはブーンの胸にゆっくりとうずくまるように体重を預けた。

(;^ω^)「ちょ、ジョルジュ!ブーンにはおっぱいは無いお!」

ジョルジュの奇行に慌てふためくブーンだったが、ジョルジュは微動だにしない。

(;^ω^)(まずいお…まさかジョルジュ、ヤケになって…)

( ゚∀゚)「淋しいんだ…」

( ^ω^)「え…?」

(;゚∀゚)「なんかわかんないけどすっげぇ淋しいんだ!どうしよう!ブーン!」

尋常じゃないジョルジュの震えにブーンはただならぬものを感じた。



132: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 21:02:11.88 ID:vpjj6J9N0
(;^ω^)「ちょ、ジョルジュ落ち着くお!」

両肩を掴んで話しかけるもジョルジュは一向に落ち着かない。

(;゚∀゚)「どうしよう…あぁ…あぁ…」

最早ジョルジュはブーンのほうをしっかりとは見ていなかった。

(;^ω^)「ジョルジュ!ジョルジュ!」

ガクガクと揺らしてみてもジョルジュは強張ったまま返事をしない。

そしてブーンは気付いてしまう。

ジョルジュのズボンの裾から足が出ていないことを。

(;^ω^)「ッ!……ジョルジュ!僕はここにいるお!」

(;゚∀゚)「あぁぁぁぁ…俺は…俺は…」

無我夢中でジョルジュに呼びかけるブーン。

しかし、ブーンの目にももう結末ははっきりと見えていた。



133: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 21:11:53.22 ID:vpjj6J9N0
それでもブーンは諦める事無くジョルジュに呼びかける。

( ;ω;)「ジョルジュ!ダメだお!ジョルジュまでいなくなったら僕は…」

ブーンはいつの間にか泣き出していた。

(;゚∀゚)「ダメだ…ブーン…俺、消えちまうみたいだ…」

やっとジョルジュからまともな返事が返ってきた。

ここぞとばかりにブーンは話しかける。

(#;ω;)「ダメだお!ジョルジュ!そんなの僕は許さないお!」

顔をぐちゃぐちゃにして半ば叱責するかのようにジョルジュに訴えかけるブーン。

( ゚∀゚)「………」

けれども、ジョルジュの顔にはもう強い意志が感じられなかった。



134: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 21:15:13.13 ID:vpjj6J9N0
( ;ω;)「ジョルジュ?シカトはよくないお…なんか言うお」

( ゚∀゚)「……ブーン」

( ;ω;)「なんだお?」

ジョルジュの下半身は最早無いに等しく、ブーンはその両手でジョルジュを持ち上げることさえ出来そうだった。

( ゚∀゚)「…俺さ、夢があるんだ」

( ;ω;)「聞くお」

ジョルジュの左手が、ごとり、と音を立てて床に落ちた。



137: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 21:25:56.07 ID:vpjj6J9N0
( ゚∀゚)「いつか俺にも…カミさんが出来てさ…息子が…生まれてさ」

右手もいつの間にか消えてなくなっていた。

( ゚∀゚)「…それで、一緒にテレビなんか…見てて…すっげぇおっぱいが出て…」

ぶらりと垂れ下がる袖、スカスカの胴体、ブーンは何も言わずジョルジュの顔を抱いた。

( ゚∀゚: 「息子と…一緒に…おっぱい!…って騒いで…カミさんに…二人して怒られて」

( ゚∀;:. 「そんな…馬鹿…みたいな…幸…せ……」

( ゚;:',.  「……」

( ;ω;)「ジョルジュ?」

ジョルジュはブーンの指の間をすり抜けるように、消えて、無くなった。

( ;ω;)「………うぅぅぅ……ウソだお」

確かに今そこに居たはずのジョルジュは、服だけをおいてどこかへ居なくなっていた。

( ;ω;)「うわ……う…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

ブーンはだらしなく鼻水を垂らしながら、わけもわからず叫んだ。



140: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 21:34:56.84 ID:vpjj6J9N0
( ;ω;)「ひぉっ……ひっ…ひぉっ…」

しばらく叫んだ後、左手を手に取りながら嗚咽するブーン。

( ;ω;)(…ジョルジュは絶対あいつに渡さないお)

ブーンはジョルジュの左手と手を繋ぎ、部屋を見回した。

まだあいつは出てこない。

( ^ω⊂)「今のうちに逃げるお…」

ブーンはジョルジュの服を綺麗にたたみ、一度黙祷した後

慎重に外の様子を伺いながらジョルジュの部屋を後にした。

外はまだ真昼、こんな時間に手首から先のものと手を繋いでる男が歩くのは非常に奇妙である。

しかしブーンはそんなことよりも、道の途中でアイツに出くわさないか、それだけが気がかりだった。



141: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 21:40:19.78 ID:vpjj6J9N0
そんな心配をよそにブーンは無事に自宅にたどり着いた。

( ^ω^)「…とりあえず一安心だお」

自宅に来たからといってあいつが来ない保障は無かったが、自宅以外に来るところが無かった。

ブーンはドアを開け中に入り、部屋の鍵を閉めた。

そしてベッドに腰掛けてため息を吐くと、これからのことについて考え始めた。

( ^ω^)「これからどうすればいいんだお…」

繋いだジョルジュの左手を見てブーンは先ほどの光景を思い出した。



143: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 21:45:40.10 ID:vpjj6J9N0
ジョルジュは淋しいといっていた。

そして、左手を残して跡形も無く消えた。

その間にアイツは現れなかった。

( ^ω^)「一度アザが出たら逃げられないって事かお…」

それにしてもジョルジュは余りにも早すぎた。

ショボンのケースからみれば半分位の時間しか経ってない。

( ^ω^)「どうして…お?」

気が付くとブーンの右手が浮いていた。

ジョルジュの左手が浮き上がろうとしていたのである。



144: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 21:51:19.52 ID:vpjj6J9N0
(;^ω^)「や、やばいお!」

ショボンの時はこの現象が起こってからすぐにあいつが現れた。

今度はどこから来るのか。

ブーンの頬を冷や汗が伝う。

(;^ω^)「――――ブッ!」

一瞬何が起きたのかわからなかった。

何かに頭を殴られた、そして右手が痛い。

(;^ω^)「ジョ、ジョルジュ…」

ブーンの意識は闇の底へと沈んでいった。



145: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 21:55:50.40 ID:vpjj6J9N0
ブーンは一人暗闇の中にいた。

( ^ω^)「ここは…どこだお?」

辺りを見回してみても、誰も居ない。

( ^ω^)「………おーい」

誰に呼び掛けるでも無く出した声も、返ってくること無くどこかへ消えてしまう。

(;^ω^)「何でこんなところに居るんだお…」

状況が飲み込めないブーンは、とりあえず歩き出した。



147: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 22:02:52.66 ID:vpjj6J9N0
しばらく歩き出すとどこかから声が聞こえてきた。

( ^ω^)「誰か居るのかお?」

しかし、そんな人影はどこにも見当たらない。

( ^ω^)「………」

ブーンはまた歩き出した。




しばらく歩くとまたどこからか声が聞こえてきた。

今度はさっきよりも少し近い。

( ^ω^)「誰だお?いるなら返事して欲しいお」

(    )「……ン…」

返事が帰ってきたような気がした。

( ^ω^)「どこだお?どこにいるんだお?」

この広い暗闇で一人は余りに淋しい。

誰かが居るのなら、どれだけ救われるだろう。



148: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 22:11:17.16 ID:vpjj6J9N0
(    )「ここだよ……」

( ^ω^)「……お?」

はっきりと聞こえた声にブーンの頭を何かがよぎる。

(;^ω^)「………」

この声は聞いたことがある。

ここ何日もずっとこの人のことを考えていた。

ブーンはゆっくりと声のする方向、自分の右手に目をやった。

(´・ω・`)「やぁ」

右手の甲には懐かしい友人の顔があった。

(;^ω^)「ショ、ショボン……」

ブーンは意味の無い後ずさりをした。



149: ◆HGGslycgr6 :2006/02/17(金) 22:19:34.37 ID:vpjj6J9N0
(´・ω・`)「久しぶりだね、ブーン」

右手のショボンはパクパクと口を動かしながらブーンに語りかける。

(;^ω^)「………」

ブーンは何を言っていいのかわからず、ただ黙ったままでいた。

(´・ω・`)「君は僕にひどいことをしたよね」

(;^ω^)「ぼ、僕はショボンには何も…」

ショボンは無表情のまま話し続ける。

(´・ω・`)「君がうな丼なんかに気を取られないで、すぐ来てくれれば僕は助かったかもしれないのに」

(;^ω^)「ち、ちがうお!アレは!」

(´・ω・`)「ジョルジュの時は気付いたらすぐに行ったのにね。どうしてだろうね」

(;^ω^)「ショ、ショボン…」

痛い事を立て続けに言われて、ブーンは言葉も無く佇む。



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