('A`)ドクオが初めての夏を過ごすようです

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:05:28.93 ID:eaHy32leO
('A`)「おーっす」
( ^ω^)「遅いお!」

店には既に全員が揃っていた。

(`・ω・´)「いらっしゃい!おっ、ドクオ君も隅に置けないなー」

シャキンさんが何故かこっちを見てニヤニヤしている。

川 ゚ -゚)「こんばんわ」

ξ゚听)ξ「あれ?クー、なんでドクオと一緒なの?」
(´・ω・`)「まさか……二人は付き合ってるのかい?」

(*'A`)「ち、違う!さっきたまたま会ったから一緒に来ただけなんだ!」
川 ゚ -゚)「そ、そうなんだ!」

俺達は慌てて弁解する。



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:07:07.84 ID:eaHy32leO
ξ゚听)ξ「まっ、その話は後でじっくりと聞きましょうか」
( ^ω^)「まずは晩御飯だお!腹ペコだお!」

シャキンさんの作ったラーメンはやっぱり美味しかった。ブーンはまた何杯も食ってた。

川 ゚ -゚)「ご馳走様でした。美味しかったです」
ξ゚听)ξ「ホント美味しかったわ」
(`・ω・´)「ハッハッハ!ありがとう!」

シャキンさんが嬉しそうに笑う。

( ^ω^)「お腹いっぱいだお」
('A`)「ごちそーさまでした」
(´・ω・`)「じゃあ一休みしてから行こうか」

俺達は少し雑談してから店を出る。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:08:23.54 ID:eaHy32leO
( ^ω^)「あれ?ドクオ……その自転車」

('A`)「やっと念願の自転車を手に入れたぞ!」

(; ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「ブーンどうしたの?」

(; ^ω^)「……ドクオが昨日、言ってたお。彼女が出来たら自転車買うって……」
(;'A`)そ (そーいえば、そんなこと言ったかも)

( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「……」
(´・ω・`)「……」

('A`)「……」
川 ゚ -゚)「……」



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:10:16.10 ID:eaHy32leO
ξ゚听)ξ「なーんだ!それならそうと言えば良いじゃない!」
( ^ω^)「だお!」

何故、二人は嬉しそうなんだ!?

(´・ω・`)「いつから付き合ってるんだい?」

(*'A`)「だーかーらー誤解なんだよ!」
(´・ω・`)「何が誤解なんだい?」

ショボンが俺の首に腕を回す。

(´・ω・`)「僕らの間で内緒事は無しだろ?」
( ^ω^)「その通りだお」

今度はブーンが俺の首に腕を回す。必然的に俺はショボンとブーンに挟まれる。

(´・ω・`)「さあ、吐いちゃいなよ」
( ^ω^)「吐いて楽になるお」



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:11:14.38 ID:eaHy32leO
(*'A`)「本当に違うんだよう」

後ろではツンがクーに詰め寄っている。

ξ゚听)ξ「ねぇねぇ、本当に付き合ってるの?」
川 ゚ -゚)「だから誤解なんだよ。その自転車の件も知らなかったし」

(;'A`)「と、とにかく!花火でも買って早く行こうぜ!」
( ^ω^)「花火はブーンがもう買ってあるから心配ないお」
('A`)「……準備が良いこと」

俺とクーは、他の3人にからかわれながらもいつもの川に着く。



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:14:02.29 ID:eaHy32leO
さらさらと川の流れる音が聞こえてくる。
草木がザワつく。
水面に映った月が揺れている。
以前、来た時とは全くの別世界。

( ^ω^)「また今年も夏が来たんだお」

ブーンが静かに口を開く。

ξ゚听)ξ「そうね……」

二人は俺の知らない夏を思い出すかのような遠い目をしている。

川 ゚ -゚)「高校生最後の夏休みだ。楽しもう」
(´・ω・`)「今年はドクオもいるしね」
('A`)「……」

( ^ω^)「よし!やるお!」

ブーンの掛け声と共に、皆が袋を開けて花火を取り出す。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:15:47.60 ID:eaHy32leO
('A`)「だぁー待て待て!今、バケツに水くんで来るから待ってろ!」

俺はカゴからバケツを取りだし、川から水をくんでくる。


    /⌒ヽ
⊂二二二( ^ω^)二⊃


ブーンは既に花火を両手に持って"ブーン"していた。

( ^ω^)「おっ!ドクオも早くやるお!」
('A`)「なーんでお前は待ってられないんだー!」

俺達は笑いながら花火を手に持つ。
火を付けると火薬が踊るように燃えだす。

ξ゚听)ξ「綺麗……」



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:17:16.18 ID:eaHy32leO
    /⌒ヽ
⊂二二二( ^ω^)二⊃



ξ#゚听)ξ「なんでアンタはもっとロマンチックに行けないのよ!」

俺達は、花火で夏の夜を楽しんだ。
花火が消えたら新しい花火を持って、他の人の花火で火を付ける。そんなことを繰り返しているから、花火の消費量は凄まじかった。



12:ありがとうございます :2007/07/31(火) 19:19:16.77 ID:eaHy32leO
( ^ω^)「あー!もう花火が殆んど無いお」
ξ#゚听)ξ「アンタが両手に持って"ブーン"するからでしょ!」

ブーンは花火が無くなってしまったことに落胆している。

川 ゚ -゚)「ブーン、まだ残ってるぞ」

クーが右手に持っているのは線香花火だった。

(´・ω・`)「花火を絞めるには丁度良いね」

俺達5人は線香花火に一緒に火を付ける。
大事な物を持つかのように其々が先っぽを持ったり、両手で持ったりしている。

ポトリ

( ^ω^)「落ちちゃったお」
ξ゚听)ξ「ジッとしてないからでしょ」



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:21:20.17 ID:eaHy32leO
ポトリ

ξ゚听)ξ「あっ」

( ^ω^)「ツンも同じだお」
ξ#゚听)ξ「……」

ブーンが後ろで殴られている時。

ポトリ

(´・ω・`)「あー落ちちゃったよ」

残りは俺とクーの二人。

川 ゚ -゚)「……」

クーは真剣に、でも優しい顔で線香花火の火を見つめていた。
俺はそんな横顔を見つめている。
綺麗だ。

ポトリ

('A`)「あっ」

先に落ちたのは俺の火だった。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:22:41.92 ID:eaHy32leO
川 ゚ -゚)「私の勝ちだな」
('A`)「勝負してたのかよ」
(´・ω・`)「さぁ、残りの線香花火も使っちゃおうか」

俺達は、数本まとめて火を付けて男の線香花火を楽しんだ。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:25:29.86 ID:eaHy32leO
(´・ω・`)「今日は楽しかったね」
( ^ω^)「毎日、花火やるお!」
ξ゚听)ξ「毎日やってどーすんのよ」

片付けを終えた俺達は、ニュー速川を出る。
そして別れ道でクーに別れを告げる。

ξ゚听)ξ「じゃあ私達はコッチだから」
川 ゚ -゚)「じゃあ、またな」

ξ゚听)ξ「さぁードクオ。ちゃーんとクーを家まで送り届けるのよ」

('A`)「えっ?」

ツン、ブーン、ショボンの3人がニヤニヤしながらこっちを見ている。
そして案の定、ブーンとショボンに挟まれる。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:27:06.04 ID:eaHy32leO
( ^ω^)「ドクオ、頑張るお」
(´・ω・`)「報告を楽しみにしてるよ」
(*'A`)「報告もなんもねーよ」

俺達は笑い合う。
こんな楽しい夏休みはいつ振りだろうか。


(´・ω・`)「じゃあ花火のゴミは僕にまかせて」
('A`)「ショボン、スマンな」
ξ゚听)ξ「じゃあねー」
川 ゚ -゚)「バイバイ」
( ^ω^)「ばいばいだお!」

俺とクーは3人に別れを告げる。
そしてクーを自転車の後ろに乗せたまま、坂道に挑む。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:28:32.53 ID:eaHy32leO
最初の勢いは良かったのだが……。

(;'A`)「はぁ……はぁ」
川;゚ -゚)「ドクオ、降りようか?」

俺は坂道の半分にも満たない距離で、既に息が上がっていた。

(;'A`)「大丈夫……大丈夫」
川;゚ -゚)「そうか……」
(;'A`)「大丈夫……」


結局、クーに降りてもらった。
俺は、自転車を押しながら歩く。

('A`)「正直、スマンかった」
川 ゚ -゚)「良い、気にするな。それに謝ることじゃない」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:30:23.04 ID:eaHy32leO
自分が情けなくて自然と謝罪の言葉が出てくる。

('A`)「はぁ」

溜め息を付きながら空を見上げる。
星が夜空を照らしている。

('A`)「綺麗だなー」
川 ゚ -゚)「そうだな」

都会には無い、満点の星空。

そう言えば、死んだ人は星になるって小さい頃に聞いたことがあるな。


('A`)「……」
川 ゚ -゚)「どうしたんだ?」
('A`)「ん?いや、都会には無い景色だなって思って」

死んだ両親を思い出してたなんて言えない。



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:31:59.03 ID:eaHy32leO
川 ゚ -゚)「そうなのか?」
('A`)「あぁ、都会じゃこんな星空は拝めないよ」

川 ゚ -゚)「同じ星の下なのに……不思議だな」
('A`)「……」

不思議だ。
同じ星の下なのに。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:33:35.32 ID:eaHy32leO
気がつくと今日、クーと会った丘の道まで来ていた。
隣町が見える。いくつもの家の光が、星のように輝いてる。


川 ゚ -゚)「今日は楽しかったな」
('A`)「あぁ、また遊ぼうな」

('A`)「じゃあな」

俺は押していた自転車を帰り道の方に方向転換する。

川 ゚ -゚)「ドクオ!」
('A`)「んっ?」

俺はクーに呼び止められて振り向く。

川 ///)「送ってくれてありがとう。おやすみ!」

そう言い残してクーは走って家の中に入って行く。

('A`)「……」

(*'A`)「……」

……マジかよ。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:35:43.14 ID:eaHy32leO
(*'A`)「可愛いじゃねーかチクショー!」

俺は浮かれながら自転車を走らす。ブレーキをかけることも忘れて。

(*'A`)「じぃちゃんもぅ寝ちゃったかなー」

('A`)「あっ、まだ電気付いてる」

家の前に着くと、まだ居間に電気が付いていることに気付く。
俺は静かに戸を開ける。


('A`)「ただいまー……」

居間の方から声が聞こえてくる。

『そうか……出てきたのか……』

じぃちゃんの声だ。

『……まだ早い!なんのためにワシが!』

……電話?

『……あぁ』

なんの話してるんだ?



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:37:29.61 ID:eaHy32leO
『……わかった。じゃあな』

ガチャン。電話を切る音が聞こえた。


/ ,' 3「はぁ……」
('A`)「じぃちゃんただいま」

じぃちゃんがビックリしたかのような表情でこっちを振り向く。

/ ,' 3「ドクオ……帰ってたのか」
('A`)「じぃちゃん、今の電話……」
/ ,' 3「……聞いてたのか」

気まずい雰囲気になる。
そして沈黙を破るようにじぃちゃんが口を開く。

/ ,' 3「……弟者からの電話でな」

……弟者おじさん?

('A`)「……弟者おじさんがなんだって?」

/ ,' 3「あぁ……いや、なんでもないんだ」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:38:38.76 ID:eaHy32leO
じぃちゃんはもう寝ると言って寝室に行ってしまう。

('A`)「……」

俺は布団の上で横になりながら考える。
なんだったんだろう、さっきの電話は……。
なんでじぃちゃんはあんな態度を取ったんだ?
出てきた?まだ早い?

訳がわからない。



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:40:26.80 ID:eaHy32leO
('A`)「……あっ」

あのまま眠ってしまったらしい。気が付くと朝を迎えていた。
俺は起き上がって居間に向かう。

/ ,' 3「おはようドクオ」
('A`)「……おはよう」
/ ,' 3「さぁ、朝御飯が出来てるから早く顔洗ってきなさい」

じぃちゃんはいつも通りだった。俺は洗面台で顔を洗う。
テーブルの上には朝飯が用意されている。俺はそれをノドに掻き入れる。

昨日の電話の内容が気になる。
思いきって聞いてみようか。

('A`)「なぁ、じぃちy」

『ジリリリリン』



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:41:57.48 ID:eaHy32leO
……電話だ。

『ジリリリリン』

('A`)「……」

俺は電話の元へ駆け寄る。そして、手にかけた受話器を耳に当てる。

/ ,' 3「!?」

電話を取りに来たんだろう。じぃちゃんが受話器を耳に当てる俺を見てビックリしている。

('A`)「……もしもし」



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:43:45.72 ID:eaHy32leO
『……もしもしドクオかお!?』

……ブーン?

('A`)「あぁ、俺だ。どーした?」

『ビックニュースだお!今すぐ家に来るお!』

('A`)「今すぐ?」

時計を見るとまだ10時になったばかりだった。ブーンにしては早起きだ。

('A`)「わかった」

『じゃあ待ってるお!』

ガチャンと音を立てて、受話器を置く。するとスグにじぃちゃんが俺に詰め寄る。

/ ,' 3「ドクオ、誰からじゃ!?」
('A`)「……ブーンからで今すぐ来いって」

じぃちゃんがホッと胸を撫で下ろす。

じぃちゃん……何を隠してるんだ?



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:46:04.57 ID:eaHy32leO
('A`)「……行ってきます」

外は曇り空が広がっていた。俺の気持ちに反映するかのように。
俺はブーンの家まで自転車を走らす。


ピンポーン

『はーい』

ガチャっと音がして、戸が開く。

J( 'ー`)し「あらドクオ君、いらっしゃい」

彼女はブーンのお母さん。とても優しい人だ。

('A`)「こんにちわー」
J( 'ー`)し「こんにちわ。上がってちょーだい。ブーンは2階の自分の部屋にいるわ」
('A`)「お邪魔しまーす」

俺は玄関で靴を揃えてから階段を上がる。

( ^ω^)「ドクオ待ってたお!」

ブーンが待ちきれなかったと言わんばかりに、階段の手すりから身を乗り出す。

('A`)「おーす」
( ^ω^)「さぁ早く上がって来るお!」



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:47:36.10 ID:eaHy32leO
床には相変わらず、ゲーム、漫画、ジュースのペットボトルなどが散らばっていた。それらを適当に避けて、あぐらをかく。

('A`)「では早速」
( ^ω^)「おっ」
('A`)「ビックニュースとやらを聞かせてもらおうじゃないか」

( ^ω^)「実は……」
('A`)「実は……?」



( ^ω^)「ツンと付き合うことになったお」

('A`)「……」
( *^ω^)「ぽっ」

ブーン宅が歓喜で沸く。

(*'A`)「良かったじゃねーか!おい!」
( *^ω^)「ありがとうだお!」



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:49:50.22 ID:eaHy32leO
俺は転校当初、二人は付き合ってるものだと思っていた。
端から見れば完全にカップルのようなものだから、そう思うのも仕方がない。

( *^ω^)「昨日の帰り道、ツンと二人きりになった時に思いきって……」
(*'A`)「こーの野郎!」

小さい頃から仲良しだった二人は、友達のまま高校まで進学する。その間、なんのアクションも無く、付き合うまでに至らなかったらしい。
そんな二人が昨日、付き合った。

(*'A`)「いやーめでたい!めでたいのぅ!」
( *^ω^)「これでダブルデートが出来るお!」
('A`)「えっ?」

……えっ?



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:51:03.75 ID:eaHy32leO
( ^ω^)「ドクオ君、報告が遅れてるお?」
('A`)「いやーあのぅ」
( ^ω^)「昨日、あの後クーとはどーなったお?」

コイツまだ勘違いしてる。

('A`)「どーなったも何も……」

〜〜回想〜〜

川 ///)「送ってくれてありがとう。おやすみ!」

〜〜回想終了〜〜

(*'A`)「ぽっ」

( ^ω^)「ほーら、何かあったんだお!」
(*'A`)「ちょっと!ホント違うから!」



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:52:43.58 ID:eaHy32leO
俺はブーンにあらいざらい話せと言われたが、ただ一緒に帰っただけだと伝えた。

( ^ω^)「うーむ」

ブーンが眉を寄せて唸っている。

( ^ω^)「ドクオは奥手過ぎるんだお」
('A`)「はぁ」

俺は正座でブーンの話を聞いていた。

( ^ω^)「もっと積極的に行くお」

何年もツンを待たせたのは、どこのどいつだ。

( ^ω^)「クーもきっとドクオからのアプローチを待ってるお」
('A`)「いやーそれは無いと思いますよ?だって……」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:54:17.72 ID:eaHy32leO
俺がクーに惹かれてるのは確かだ。でもクーが俺みたいな……。

〜〜回想〜〜

川 ///)「送ってくれてありがとう。おやすみ!」

〜〜回想終了〜〜

……あれ?あの時、クーの表情は?

('A`)「……」
( ^ω^)「クーはきっと待ってるお」

……待ってるのか?

('A`)「待ってるんスか?」
( ^ω^)「だお!」

(*'A`)「待ってるんスか?」
( ^ω^)「だおだお!」

……俺、頑張ってみようかな!



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:55:55.85 ID:eaHy32leO
(*'A`)「ブーン、ありがとう!俺、頑張ってみるよ!」
( ^ω^)「そうだお!その意気だお!」

俺とブーンは固い握手をする。ダブルデートを約束するかのように……。
その後も俺達は、恋の話で大盛り上がりだった。

ある程度、時間が経った頃。

J( 'ー`)し「ブーン、ドクオ君、お昼御飯の用意が出来たわよー」

( ^ω^)「もうそんな時間かお」

俺達は階段を降りて行く。

('A`)「なんかスイマセン、俺まで」
J( 'ー`)し「良いのよ、さぁー食べちゃって」

( ^ω^)'A`)「いただきまーす!」



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:57:13.01 ID:eaHy32leO
ブーンが大食いに育ったのも頷ける程、おばさんの手料理は美味しかった。
昼食後、俺達はブーンの部屋でゲームを楽しんだ。時間も忘れて……。

('A`)「甘ーい!」



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 19:58:45.81 ID:eaHy32leO
俺達が今、やってるゲームはパワプロ14
阪神対巨人の一戦。
9回の裏
ワンアウト、ランナー2塁で
バッターは3番小笠原。
カウント1-1で迎えた3球目。
藤川の投じたインハイのストレート。
それを小笠原が強振で振り抜く。
ボールで描かれた放物線は、そのままライトスタンドへ。
逆転サヨナラツーランホームラン。

テレビからは女性の声が聞こえてくる。
『本日の阪神対巨人の試合は、2対3で巨人の勝ちです』

( ^ω^)「……」



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 20:01:29.79 ID:eaHy32leO
(*'A`)「良いストレートだったよ、藤川君」
( #^ω^)「小笠原ー!もう一回だお!」

窓の外を見ると今にも泣き出しそうな空。

('A`)「スマン、今日はもう帰るわ。雨も降りそうだし」
( ^ω^)「ホント、嫌な天気だお」

俺達は階段を降りる。

('A`)「お邪魔しましたー」
J( 'ー`)し「あら、もう帰っちゃうの?」
('A`)「はい、雨が降り出す前に」
J( 'ー`)し「また来てちょーだいね」
('A`)「はい」

('A`)「じゃあまたな」
( ^ω^)「ばいばいだお」

俺はブーンとおばさんに別れを告げて、家を出る。

('A`)「小雨か」

俺は本格的に降って来る前に帰ろうと、自転車を飛ばす。



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 20:03:00.80 ID:eaHy32leO
('A`)「ただいまー」

俺は玄関の戸を開ける。

('A`)「あれ?誰か来てるのかな」

玄関には見慣れない靴が2つ。
俺は居間の方へ様子を見に行く。

('A`)「ただいまー」
/ ,' 3「ドクオおかえりなさい」

(´<_` )「やぁドクオ君。お邪魔してるよ」

('A`)「弟者おじさん」

彼は弟者おじさん。両親が事故で死んでから、俺を引き取ってくれた人で親父の弟さんだ。

('A`)「どうもお久しぶりです」
(´<_` )「半年振りだね。元気そうで何よりだよ」

弟者おじさんは、優しい声で俺と話してくれる。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 20:04:51.04 ID:eaHy32leO
(´<_` )「親父から聞いてるよ。楽しくやってるそうだね」
('A`)「はい」

弟者おじさんの横でうつ向いて座っている男。

(,,゚Д゚)「……」

……この男。

/ ,' 3「……9年と6ヶ月だそうじゃ」

じぃちゃんがぽつりと口を開く。



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 20:06:54.18 ID:eaHy32leO
(´<_` )「まだドクオ君が小学校低学年の時だったね」

低学年……中学年の時だと思ってた。

/ ,' 3「つい先日、出てきてのぅ」

昔の記憶が薄れたとしても。

(,,゚Д゚)「……」

この男の顔だけは……。

(´<_` )「今日、ここに来たのには訳があってね」

……忘れない。



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 20:07:40.96 ID:eaHy32leO
/ ,' 3「この人の名前は……」

ギコ……。

親父とおふくろを……。

殺した男……。



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 20:09:50.54 ID:eaHy32leO
(,,゚Д゚)「……ドクオ君」

ギコはうつ向いたまま、かすれた声で俺の名前を呼ぶ。
その声で俺は、自然と拳に力が入る。

(,,゚Д゚)「私は……」
('A`)「うるせー」

ギコの声を遮る。

('A`)「うるせーんだよ……」

(#'A`)「うるせーんだよー!!」

拳は握ったまま……。

(#'A`)「今更、何しに来た……」
(,,゚Д゚)「私は……」
(#'A`)「ふざけんじゃねーぞ!!」



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 20:12:03.25 ID:eaHy32leO
(´<_`; )「ドクオ君……」
/ ,' 3「ドクオ、落ち着くんじゃ」

(#'A`)「俺が今まで、どんな気持ちだったかお前にわかるか!?」

(#'A`)「親父とおふくろを失った、俺の気持ちが!!」

(#'A`)「お前にわかるか!?」

(,,゚Д゚)「……」

ギコはただ、うつ向いたまま俺の声を聞いていた。

(#'A`)「誰に何を言われよーと俺はお前を許さない!!」

(#'A`)「絶対にだ!!」



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 20:13:39.04 ID:eaHy32leO
俺は、そのままの口調でギコに言葉を吐き捨てる。

(#'A`)「この……」

『人 殺 し ! ! !』



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 20:16:17.45 ID:eaHy32leO
/ ,' 3「ドクオ!!」

じぃちゃんの怒鳴り声が部屋中に響き渡る。

/ ,' 3「もうその辺にしとくのじゃ……」
(´<_` )「……」

/ ,' 3「お前の父ちゃんと母ちゃんを失った、辛い気持ちは……」

/ ,' 3「ワシらも同じじゃ……」

(#'A`)「……」

ギコの方に目を向ける。
ギコはただ……うつ向いたまま……肩を震わせていた。

泣いたって謝ったって許されるものか。
死んだ親父とおふくろは、もう……。
帰って来ない……。



56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/31(火) 20:17:35.85 ID:eaHy32leO
(#'A`)「……」

用意した拳をポケットにしまって、玄関に向かう。

/ ,' 3「ドクオ!何処に行くんじゃ!」
(´<_` )「ドクオ君!」

俺は玄関の戸を乱暴に開けて、外に飛び出す。
傘もささずに。
案の定、外は雨が降っていた。



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