('A`)ドクオは惚れ薬を浴びてしまうようです

8: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/09/17(月) 23:36:57.72 ID:FXSDsh6P0


朝の通学路を、ツンと二人きりで歩く。

ξ゚听)ξ「〜♪」

(;'A`)「お、おい。ツン」

ξ゚听)ξ「なに?」

('A`)「なんつーか、その……腕を組みながら登校するのは
    非常に恥ずかしいんだが……」

ξ゚听)ξ「いいじゃない。だって、私達付き合ってるんだし」

(;'A`)「だから、その……まだ付き合うって言ったわけ――」

ξ゚听)ξ「……え?」

ツンの笑顔が消えた。

俺は言いかけた言葉を飲み込む。



12: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/09/17(月) 23:40:19.96 ID:FXSDsh6P0

(;'A`)「いや、なんでもないっす」

ξ゚听)ξ「うん? 変なの。まぁいいや、行こっ!」

('A`)「おわっ! 引っ張るなって!」

ツンが俺の手を引き、走り出す。

その手の温もりが、今の俺には何より心地よかった。

……でも、やっぱり心に引っかかる物がある。

三人で歩いていた通学路。

今は、二人。



15: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/09/17(月) 23:47:04.56 ID:FXSDsh6P0

ξ゚听)ξ「どうしたの?」

('A`)「いや、なんでもないよ」

ブーンのこと、ツンはどう思ってるんだろう?

聞きたいけど、この間の事を考えたら……うん、気まずい。

ξ゚听)ξ「うりゃっ」

(;'A`)「うわっひゃ!」

不意に、ツンが俺の脇をくすぐる。

ξ゚听)ξ「元気の出るおまじない♪」

('A`)「単なるくすぐりだろっ!」

ξ゚ー゚)ξ「ほら、元気出たでしょ?」

(;'A`)「……」



18: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/09/17(月) 23:55:30.43 ID:FXSDsh6P0

胸の鼓動が、大きくなる。

ツンの笑顔や、しぐさの一つ一つが、俺の心を揺さぶる。

やっぱり俺はツンのことを……好

ξ゚听)ξ「よし、それじゃ校門まで競争!」

('A`)「え?」

ξ゚听)ξ「よーい、ドン!」

ツンが地面を蹴り、走り出す。

(;'A`)「おま、フライングだろ!」

ξ゚听)ξ「勝者が正義! あ、負けた方がジュースおごりね!」

('A`)「勝手に決めんな――!! くそ、こういう所は変わってねえ!」



21: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/09/18(火) 00:01:59.20 ID:NVSa8sa70


(;'A`)「ぜぇ……ぜぇ……俺の、勝ちだな……」

ξ;゚听)ξ「や、やるじゃない……げほっ」

下駄箱で息を整える。

俺はなんとか数歩の差でツンに勝つことができた。

('A`)「じゃ、ジュースよろしくな。もちリンゴ100%で」

ξ゚听)ξ「ちぇっ。もう少しだったのに」

('A`)「勝者は正義」

ξ゚听)ξ「はいはい、わかってまーす」

ツンは俺に微笑み、自販機へと向かう。

俺はその場に腰掛け、一息つく。

('A`)「ふー、久々に走ったぜ……」



23: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/09/18(火) 00:07:20.24 ID:NVSa8sa70

ふと、辺りを見回すとほとんど生徒がいないことに気づく。

('A`)「こんなギリギリで登校するのは俺らくらいか」

登校中のクラスメイトにからかわれることもないので、この時間はベストだろう。

特に、ブーンには見られたくない。

('A`)「……」

ブーンには悪いと思ってる。

でも、ツンの気持ちが本当なら、俺も真剣に答えなきゃいけない。

('A`)「ブーン……」



24: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/09/18(火) 00:11:31.54 ID:NVSa8sa70

「ドクオ?」

('A`)「え?」

誰かが俺の名を呼んだ。

( ^ω^)「あ……」

('A`)「ブーン……」

そこには、ブーンが立っていた。

(;^ω^)「ドクオ、ず、ずいぶん遅いおね」

(;'A`)「あ、ああ。お前こそギリギリとは珍しいな」

( ^ω^)「……」

('A`)「……」

自然なやり取り。

いや、違う。

お互いに言いたいことは、こんなことじゃない。



26: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/09/18(火) 00:15:40.21 ID:NVSa8sa70

言わなきゃ、駄目だ。

ちゃんと向き合わないと、俺達はいつまでもギクシャクしたままだ。

('A`)「ブーン、ちょっと話があるんだけど」

(;^ω^)「お……。でも、遅刻しちゃうお」

('A`)「頼む」

俺はブーンの目をみつめる。

ここは茶化す場面じゃないんだ。

……それじゃ、何も変わらないから。

( ^ω^)「わかったお」

数秒の沈黙の後、ブーンはそう言い、俺の横に腰掛けた。



34: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/09/18(火) 00:19:57.30 ID:NVSa8sa70

('A`)「ブーン、正直に答えてくれ」

( ^ω^)「何だお?」

('A`)「お前、ツンのこと好きなんだろ?」

( ^ω^)「……」

回りくどい言い方はしない。

親友だからこそ、言い訳もオブラートに包む必要もない。

('A`)「俺は、ツンが好きになりかけてる。いや、好きだ」

( ^ω^)「っ!」



44: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/09/18(火) 00:27:14.62 ID:NVSa8sa70

(;^ω^)「ドクオ、それ、冗談かお?」

('A`)「本気だよ。俺はツンに惚れてる」

(#^ω^)「だって……ドクオ言ったお。ブーンのこと応援するって言ったお!」

ブーンが俺の肩を掴む。

(#^ω^)「あれは嘘だったのかお!? ずるいお! 僕だってツンのことが好きだお!
       ドクオよりも、ずっとずっと前からツンのことが好きだったんだお!」

肩を掴む力が、強くなる。

それでも俺はブーンから目を離さない。

('A`)「……すまん」

(#^ω^)「!!」



54: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/09/18(火) 00:36:34.36 ID:NVSa8sa70

ブーンが拳を振り上げる。

俺は目を瞑り、歯を食いしばった。

( ^ω^)「……」

('A`)「……ブーン?」

だが、拳が振るわれることは無く、ブーンは鞄を持つ。

( ;ω;)「もう、いいお……」

そう言い残し、ブーンは走っていってしまった。

('A`)「……なんだよ」

仲直りなんて、できるわけないよな。

当然の結果だ。

俺は、ブーンを裏切ったんだ。



55: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/09/18(火) 00:37:22.74 ID:NVSa8sa70

ξ゚听)ξ「お待たせー! ……? ドクオ、どうしたの?」

('A`)「ごめん」

ξ゚听)ξ「え?」

(;A;)「ごめん、ごめん……」

自分の目から、自然と涙が溢れ出た。

ブーンとは、何年も一緒に過ごしてきた。

それが、こんなにも容易く壊れてしまうなんて。

何度謝っても、俺の目から涙が止まることは無かった。



戻る次のページ