('A`)ドクオは惚れ薬を浴びてしまうようです

3: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/07(日) 15:39:52.49 ID:S7XN9J2R0


ξ゚听)ξ「もう大丈夫?」

('A`)「ああ、つき合わせちゃってごめん……」

俺は涙で濡れた目を洗い、中庭のベンチに腰掛ける。

時計を見ると、9時20分。

とうに一時間目の始業時間を過ぎていた。

('A`)「こりゃ大目玉だな。うん」

ξ゚听)ξ「平気だよ。一時間目はビコーズ先生の授業だし、何とかなるって」

('A`)「うん……」

今にも消えそうな声で返事をする。

目を閉じると、無意識にさっき起こったブーンのとのやり取りが頭に浮かんでくる。



5: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/07(日) 15:42:21.66 ID:S7XN9J2R0


    (#^ω^)「あれは嘘だったのかお!? ずるいお! 僕だってツンのことが好きだお!
           ドクオよりも、ずっとずっと前からツンのことが好きだったんだお!」


あれは、きっとブーンの本当の気持ちなんだろう。

いつだって周りに気を使っていた、お人よしなブーンの、本当の気持ち。

……ブーンが鈍感?

違う。ブーンはきっと気付いてたんだ。

三人という輪は、二人がくっついてしまえば壊れるものだと。



7: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/07(日) 15:49:03.06 ID:S7XN9J2R0

('A`)「……」

俺はツンのことが、好きだ。

でも、ブーンも同じくらい、俺にとっては大切な友達なんだ。

どちらか一つを選ぶなんて……俺には出来ない。

ξ゚听)ξ「ドクオ?」

('A`)「ん、ああ、ごめん。ぼうっとしてた……」

ξ゚听)ξ「ねえ、何かあったの?」

ツンが俺の顔を覗き込む。



9: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/07(日) 15:50:56.83 ID:S7XN9J2R0

('A`)「いや……大したことじゃないよ」

ξ゚听)ξ「でも、泣いてたじゃない」

('A`)「それは……」

ξ゚听)ξ「ドクオ、泣いてたもん」

ツンはまっすぐに俺を見つめ、続ける。

ξ゚听)ξ「辛いことがあるなら、私にも相談して欲しいな……。
     私なんかじゃ、頼りないし、何も出来ないかもしれないけど」

(;'A`)「そ、そんなことない……。俺の方が、ツンよりももっと頼りないよ。
     貧弱だし、運動音痴だし、根暗だし」

ツンは、俺の言葉を聞いて静かに微笑み

ξ゚ー゚)ξ「でも、私は、そんなドクオ君が好きなのです」

(;'A`)「あ……」

そう、言った。



11: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/07(日) 15:54:20.43 ID:S7XN9J2R0

サァァ、と心地よい風が俺たちの間を通り抜ける。

ツンの頬は赤く染まり、しかし、俺の目をしっかりと見つめている。

(;'A`)「あ、お、俺も……」

言葉が詰まる。

心臓の鼓動が、おかしいんじゃにかというくらい速い。

('A`)「俺も、ツンのことが好きです」

ξ゚ー゚)ξ「……」

('A`)「……」

ξ゚听)ξ「……」

やばい。

口に出したら、すごく恥ずかしくなってきた。



13: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/07(日) 15:55:13.43 ID:S7XN9J2R0

(;'A`)「あ、あの、ツン」

ξ///)ξ「……うん」

ツンはもう真っ赤にできあがっていた。

そして、俯きつつも、何か期待するまなざしをこちらに向けている。

('A`)「た、タイヤキ食べに行こうぜ」


ξ゚听)ξ「……へ?」



17: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/07(日) 15:59:51.04 ID:S7XN9J2R0

('A`)「その、うまいタイヤキ屋があるんだ」

ξ゚听)ξ「……?」

(;'A`)「だ、だから学校さぼっていっちゃおうぜ、みたいな……」

ツンはぽかん、と口を開けている。

気まずい空気を一新しようと思ったのが……

(;'A`)(もしかして、空気読めてなかったか俺!?)

ξ )ξ「……」

ツンの体がぷるぷると震えている。

やばい。

ツンが暴力のスペシャリストだということを、すっかり忘れていた。



24: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/07(日) 16:06:15.81 ID:S7XN9J2R0

ξ )ξ「クッ――――」

(;'A`)「ひぃ、ご、ごごごごめんなさい!!」

俺は謝りつつ、頭を鞄でガードして攻撃に備える。

ξ゚ー゚)ξ「ぷはっ! あははははっ! だめ、お腹痛いっ!」

(;'A`)「え?」

ツンはお腹に手を当てながら、苦しそうに笑っていた。

俺は状況が理解できず、ただ呆然と立ち尽くす。



31: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/07(日) 16:14:43.13 ID:S7XN9J2R0

ξ゚ー゚)ξ「ごめんごめん。ドクオの反応が面白くて……。
     うん、タイヤキ屋いこっ!」

ツンは、呆然としている俺の手を掴む。

('A`)「えっと、何かよくわかんないけど……まぁいっか」

ξ゚听)ξ「ほら、はやくはやくっ!」

(;'A`)「うおっ。わかったから引っ張るなって! 制服が破ける! ってアーッ!」

俺の学ランからボタンが飛ぶ。

それを見て、またツンは笑った。

俺はため息を吐きつつ、ツンの手を握り返し、歩き始める。

('A`)(幸せって、こういうもんなのかな)

ふと、そう思う。

こんなやり取りが、いつまでも続けばいいのに、と。

ツンの横顔を見ながら、俺の気持ちはより一層ツンへと近づいていった。



34: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/07(日) 16:19:32.43 ID:S7XN9J2R0


( ∵)「で、あるからして、世界は大変なことになってですねー」

( ^ω^)「……」

ポキッ

( ∵)「で、そういうわけで、あーなんだっけ?」

ガリッガリッ

(;゚∀゚)「お、おいブーン」

( ^ω^)「何だお?」

(;゚∀゚)「鉛筆の芯、折れてるぞ」

ガリッ

( ^ω^)「あ……」



36: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/07(日) 16:24:47.84 ID:S7XN9J2R0

( ^ω^)「……気付かなかったお」

(;゚∀゚)「そ、そうか」


「ヒソヒソ……ブーン、何か今日おかしくね?」
「絶対、ドクオ達と修羅場ったんだって……今日二人ともきてないし」

「君達!! 例えブーン君が修羅場にあったとしても友人としてそこは触れるべきじゃな――ぐふっ!」

(#゚∀゚)「声がでけえよ若ハゲ!!」


( ^ω^)(……僕は、どうしてあんなこといっちゃったんだお)

( ^ω^)(おかしいお。僕は、二人のこと祝福してあげるべきなのに……)

( ^ω^)(……自分で、自分が嫌になってくるお)



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/07(日) 16:34:14.95 ID:S7XN9J2R0


('A`)「やっぱ平日だから人少ないな」

ξ゚听)ξ「だね。そういえば、私達制服だからサボりだってバレバレかも……」

('A`)「学校の創立記念日とか言っときゃいいんじゃない?」

ξ゚听)ξ「この制服じゃ、学校名もばれちゃうんじゃない?」

('A`)「むぅ……ま、タイヤキ食べてから考えよう」

ξ゚听)ξ「さんせーい! たまにはいい事言うじゃない、ドクオ」

ツンが背中をばしばしと叩いてくる。

正直、これ結構痛い。

(;'A`)「おk。とりあえず落ち着こうぜ」



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/07(日) 16:38:46.39 ID:S7XN9J2R0

そんなやり取りをしながら、俺達はタイヤキ屋へ向かう。

角を曲がり、商店街に入ると、うまいタイヤキ屋が見えてくる。

「だーかーら、100円セールは昨日終わったんです!!」

「その理屈はおかし――い!!」

('A`)「ん? 何だろう」

ξ゚听)ξ「喧嘩かしら?」

タイヤキ屋の前で、店員のおばちゃんと白衣を着た少女が何やら口論をしているようだ。



46: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/07(日) 16:44:59.64 ID:S7XN9J2R0

从#゚∀从「だから、俺っちはこの広告を見てタイヤキを買いにきたんだよ!」

「だから、百円セールは昨日までって書いてあるでしょうがっ!」

白衣を着た少女は、チラシをどん、とカウンターに置いて叫んでいる。

('A`)「あのぉ……」

ξ゚听)ξ「すいませーん……」

从#゚∀从「がうがうがうっ! 俺っちは100円しかもってきてねーんだ!
     手ぶらで帰れって言われても納得できねぇ!」

「こちとら商売でやってんじゃぁ! うちのタイヤキが喰いたいなら対価を払うのが道理ってもんでしょ!」

从#゚∀从「確かにここのタイヤキはうまいよ! 感動した!!」

「うん、ありがとう!! でもセールは昨日で終わりだから!」

从#゚∀从「ムキ――!!」



48: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/07(日) 16:50:41.76 ID:S7XN9J2R0

('A`)「あの……足りないなら、お金貸しましょうか?」

从 ゚∀从「へ?」

白衣を着た少女が、俺の言葉に振り返る。

気が強そうな目つきに、俺は思わずびくっとしてしまった。

('A`)「いや、だって20円でしょ。このままじゃ俺達の順番、回ってきそうにないし
    貸してあげますよ」

俺は財布から10円硬貨を二つ取り出し、少女の手に乗せた。

从 ゚∀从「いいのか!? おい、20円ももらっちゃって!」

('A`)「いや、貸し……何でもないっす。20円だし」

从 ゚∀从「まじかよ! ありがとう、恩に着る!!」

少女が俺の手を両手で握り締め、礼を言う。

('A`)「あ、え、えっと、どうも」

至近距離にまで接近され、俺はどぎまぎしてしまった。

良く見ると、かなりの美少女だ。



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/10/07(日) 16:55:08.09 ID:S7XN9J2R0

ξ#゚听)ξ「……」

(;'A`)「痛っ! ちょ、まじで痛いですごめんなさいっ!!」

デレデレしていたら、尻を思いっきり抓られた。

ξ゚听)ξ「もうっ! 知らない!」

ツンはぷいっと顔を背ける。

どうやら、ご機嫌を損ねてしまったようだ。

(;'A`)「お、おい。ツンってば、ごめんって」

ξ゚听)ξ「何がごめんなの?」

('A`)「え、いや、その……」

そう言われると、中々困る。

なんつーか、うん。

こういう時の対応なんて、エロゲじゃ無いわけで……。



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