('A`)ドクオは惚れ薬を浴びてしまうようです
- 4: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 18:54:24.10 ID:Q8swVThz0
- ※
('A`)「おはようっす」
ξ゚听)ξ「おはよー」
通学路で若ハゲを討ち取り、俺達は教室に入る。
あの出来事で、ツンの機嫌はすっかり直ったようだ。
ありがとう、若ハゲ。
( ゚∀゚)「おう! おはよーっすお二人さん!」
('A`)「おいすー」
ジョルジュと挨拶を交わし、自分の席に座る。
ツンは自分の席に荷物を置くと、すぐにこちらへやってきた。
- 7: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 18:57:18.20 ID:Q8swVThz0
ξ゚听)ξ「昨日のドラマ面白かったよね〜」
('A`)「ああ。やっぱ脚本がいいと見入っちゃうね」
朝の雰囲気はどこへ行ったのやら。
俺とツンは、楽しげに雑談を交わす。
( ゚∀゚)「ブーン、お前昨日何してた?」
( ^ω^)「んー、帰ってからゲームしてドラマ見て、そんな感じだお」
( ゚∀゚)「テラ暇人だなwwww今度、一緒におっぱいでも見に行くか?」
( ^ω^)「ちょwww18禁wwww」
ふと、横目でブーンの席を見る。
ブーンは、ジョルジュ達と楽しそうに雑談をしている。
まるで、それが昔から普通であったかのように、俺達とは距離を置いていた。
- 9: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 19:00:23.79 ID:Q8swVThz0
('A`)「……」
ξ゚听)ξ「ドクオ?どうしたの?」
ツンに声を掛けられ、はっと我に返る。
('A`)「あ、いや。何でもない」
ξ゚听)ξ「あ、そうそう! この間、おいしいケーキ屋さん見つけたんだけど、一緒に行かない?」
('A`)「ケーキ?」
ツンは笑顔を浮かべながら言う。
ξ゚ー゚)ξ「うん。タイヤキは奢ってもらっちゃったから、今度は私が奢るよ」
- 12: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 19:04:27.25 ID:Q8swVThz0
('A`)「タイヤキの次にケーキとは……俺は構わないけど、太(ry」
ξ#゚听)ξ「私は太らない体質だから大丈夫ですー」
(;'A`)「失言でし――痛っ!」
ツンは「もうっ」と言いながら、俺のおでこにでこピンをする。
軽くやったつもりなのだろうが、ツンの軽く、というのはあまり当てにならない。
( ∵)「おはようございます」
「「おはようございまーす」」
('A`)「ぐぁぁぁ……でこが焼ける……」
俺がでこを抑えながら悶えていると、ビコーズ先生が教室に入ってきた。
- 16: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 19:09:21.52 ID:Q8swVThz0
( ∵)「さて、今日の欠席は……おい、若ハゲ君はどうした?」
ξ゚听)ξ「休みでーす」
( ∵)「そうか。それ以外は皆いるねー」
「「はーい」」
先生、せめて本名で呼んであげましょうよ……。
( ∵)「それじゃ、一時間目の準備を――――」
と、突然、廊下からドドドド、という物凄い足音が響いた。
(;∵)「な、なんだ?」
ビコーズ先生が言葉を止め、廊下へ視線を移す。
足音がうちの教室の前で止まり、皆の視線がドアに集中する。
- 18: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 19:12:11.58 ID:Q8swVThz0
(;゚∀゚)「一体……?」
(;^ω^)「怪物でもやってきたのかお?」
ドアに巨大な影が映る。
生徒の何人かが、悲鳴をあげた。
ξ゚听)ξ「ドクオ……」
ツンがぎゅ、と俺の腕を掴む。
その手は、震えていた。
('A`)「だ、だだだ大丈夫。俺にま、ままま任せろ」
それ以上に、俺は震えていたのだけれども。
だが、ここは踏ん張り、男としてツンを守らなければ。
- 22: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 19:15:21.27 ID:Q8swVThz0
「失礼するぜーぃ!!」
元気のいい声と共に、ドアが開かれ――――
从;゚∀从「おいっす! って、おい! 入れねーぞ!!」
(;'A`)ξ;゚听)ξ「は、ハイン!?」
姿を現したのは、昨日出会った天才少女ハインであった。
背中にはなにやら巨大な機械を背負っている。
- 30: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 19:20:27.39 ID:Q8swVThz0
从#゚∀从「おらぁぁぁどっせぇぇぇぇい!!」
ドアに機械が引っかかっている訳だが、ハインは力任せに教室へと入る。
从 ゚∀从「おっしゃ、抜け……たぁぁぁぁ――――!」
激しい音と共に背負っている機械がドアを突破し、そのまま勢いあまってハインは転んだ。
(;゚∀゚)「だ、誰?」
( ∵)「あぁぁぁぁぁ!! 私の携帯がぁぁぁぁ!!」
ハインは頭をかきながら起き上がり、着ている白衣をぱんぱんと叩いた。
从 ゚∀从「いやー、悪い悪い。何か潰しちゃった。ほらよ」
( ∵)「最新機種が……ああ……あああ……」
ビコーズ先生の携帯が天に召されたようだが、当の犯人はまるで気にしていないようだ。
- 35: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 19:24:00.29 ID:Q8swVThz0
(;'A`)「ハイン、ど、どうしてここに?」
从 ゚∀从「いやー悪い悪い。ちょっとお前さんに急な用事があってさ。
制服から学校を割り当てて、職員室でクラス名簿見て、ここにきたってわけさ」
('A`)「は、はぁ……」
ハインは背負っている機械を下ろし、「ふー」と一息ついた。
(;゚∀゚)「あの、さ。ドクオと……その、ハインさん?」
ジョルジュが恐る恐る声をかける。
从 ゚∀从「おう、なんだ?」
(;゚∀゚)「話が見えないんだけど……」
ξ゚听)ξ「私も」
(;^ω^)「僕もだお」
( ∵)「ああ……携帯……」
- 40: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 19:28:11.51 ID:Q8swVThz0
('A`)「ハイン、色々と説明してくれないか?
俺も現状がさっぱり分からないんだけど……」
从 -∀从「んー、まぁ俺っち説明ってのは苦手だから、少し長くなるかも。
それでもいいか?」
('A`)「う、うん。頼むよ」
ハインは教壇に立ち、皆の方へ向き直った。
从 ゚∀从「えーっと、何から話せばいいんだろうな……」
ハインは腕を組み、首を傾げる。
( ゚∀゚)ノ「はいはいはーい! 年齢とスリーサイズとその他自己紹介をお願いします!!」
从#゚∀从「スリーサイズは国家秘密だ――!! 名前はハイン! 年は16!
アメリカファーバード大学卒で今は研究者をやってます!!」
このタイミングで自己紹介はおかしいだろ、と突っ込もうと思ったが
律儀に応えるハインを見て、突っ込む気すらなくなってしまった。
- 51: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 19:34:49.28 ID:Q8swVThz0
从 ゚∀从「趣味は機械いじりで、特に最近気になってるのはバルキスの定理で――」
ξ゚听)ξ「……ねぇ、そろそろ本題に入ってくれない?」
ツンが痺れを切らして話を切る。
どうもツンはハインに対して穏やかでない感情を持っているようだ。
从 ゚∀从「ったく、これからがいい所だったのに……まぁいいや。
おい、そこのニコニコ君!!」
( ^ω^)「お? ブーンのことかお?」
ハインがブーンを指差す。
- 62: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 19:39:33.18 ID:Q8swVThz0
从 ゚∀从「そうそう、君だよ君。ニコニコ君は惚れ薬の話を聞いたことがあるかい?」
( ^ω^)「惚れ薬?」
惚れ薬……どこかで聞いたことのある単語だ。
('A`)「なんか聞いたことあるな……」
ξ゚听)ξ「何それ。聞いたことない」
( ゚∀゚)「うーん、それって都市伝説のあれじゃね?」
それぞれが思い思いの事を口にする。
ちなみに、一時間目はビコーズ先生の世界史なのだが……
( ∵)「携帯……小遣いためて買った……最新機種……」
- 74: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 19:44:53.16 ID:Q8swVThz0
( ^ω^)「思い出したお!」
ブーンがぽん、と手を叩く。
( ^ω^)「アフリカ像の骨から作られ、製品はあまりの効果の高さから廃棄。
けど、流失した試作品がどこかに存在するという噂の惚れ薬のことだお!?」
从 ゚∀从「そう、それだ」
ハインは頷き、説明を続ける。
从 ゚∀从「あれは倫理的にやべぇということで、研究は断念されたんだ。
だが、その惚れ薬の配合の一部が癌の治療に応用できるという研究結果が出たんだよ」
(;'A`)「え!? 惚れ薬ってただの噂じゃなかったのか?」
从 ゚∀从「ああ。アメリカで極秘に開発されていた薬品だよ」
( ゚∀゚)「まじかよ! よっしゃ、俺ちょっとアメリカいってくる」
ジョルジュが小躍りをしているが、誰も突っ込むことはなかった。
研究断念、という言葉を聴いていなかったのだろうか?
- 94: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 19:50:29.16 ID:Q8swVThz0
ξ゚听)ξ「……でさ、その惚れ薬がどうしたわけ?」
从 ゚∀从「うん。じゃあ結論から言おうか」
ハインがこほん、と咳払いする。
そして、ハインの視線が俺へと向けられた。
从 ゚∀从「ドクオ。君はその惚れ薬の試作品を浴びてしまったんだ」
(;'A`)「……え?」
まるで、教室中の時が一瞬止まったかのような沈黙が流れた。
- 105: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 19:54:20.77 ID:Q8swVThz0
(;'A`)「ちょ、ちょちょちょっとまってくれ! 意味が分かんないんだけど」
俺が惚れ薬を浴びた?
記憶を辿ってみたが、そんなとんでもない事をしでかした覚えは無い。
从 ゚∀从「本当だよ。現に惚れ薬センサーが、君に近づけると反応するんだ」
ハインがポケットから小型の機械を取り出す。
それは、俺に接近させると赤く光った。
('A`)「そんな……」
从 -∀从「……」
ハインの腕が、そのまま俺の背中へとまわされる。
- 119: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 19:58:19.37 ID:Q8swVThz0
(;'A`)「あの……な、ななな何ですか!?」
从 -∀从「ん……? 抱擁」
ハインがぎゅ、と俺の体を抱きしめる。
俺の頭の中は色々な情報で混乱し、ただハインの胸が柔らかいなぁ、ということを認識……
ξ#゚听)ξ(#^ω^)「何やってんのよ(だお)――――!!」
(;'A`)「うおっ!」
从 >∀从「うわっと!」
俺はブーンに、ハインはツンにより引っぺがされる。
- 152: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 20:15:24.71 ID:Q8swVThz0
ξ#゚听)ξ「私のドクオに何してんのよこのお色気科学者!」
从;゚∀从「あ、いやスマン! 俺っちの意思じゃなく、惚れ薬の効力が……」
(#^ω^)「ドクオ、二股なんて……さらに君を見損なったお!!」
(;'A`)「違う! 不可抗力だ! 信じてくれ!」
教室は一瞬にして修羅場と化す。
俺はブーンに、ハインはツンに対し必死に弁解する。
(;゚∀゚)ノ「あのー、そろそろ本題に戻ってもらいたいなー、なんて……」
(#^ω^)ξ#゚听)ξ「うるさい!!」
( ∀ ) スイマセンデシタ モウ ナニモ イイマセン
- 159: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 20:18:05.55 ID:Q8swVThz0
从;゚∀从「と、とりあえずお二人さん、俺っちの話を聞いてくれ!」
ハインが教壇に戻り、バンバンと机を叩く。
ξ゚听)ξ「聞こうか」
( ^ω^)「敵に塩を送るのも一興だお。聞いてあげるお」
この二人、妙にシンクロ始めやがったよ。
('A`)「で、何だっけ。俺が惚れ薬を浴びたって話だよな」
会話を元に戻す。
ハインはそうだ、と肯定し、説明を始める。
- 175: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 20:23:05.24 ID:Q8swVThz0
从 ゚∀从「実は、その試作品を日本の研究所に運送していたのが俺っちの親父なんだよね」
ξ゚听)ξ「お父さん?」
从 ゚∀从「ああ。そんで、親父は何を血迷ったのか、一本くらいいだろ的な事を言い始め
試作品をこっそり私用で残しておいたんだ」
(;^ω^)「それ、職権乱用とかにならないのかお?」
恐ろしい親父だ。
まぁ、男として気持ちはわからんでもないが……。
从 ゚∀从「で、俺っちとしてはそんな下らない事の為に親父を犯罪者にしたくなかった訳ですよ。
だから、その一本を俺っちが研究所に届けにいったんだけど……」
ハインは俯き、少し間を取る。
全員がごくり、と固唾を飲んで次の言葉を待つ。
- 181: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 20:28:02.16 ID:Q8swVThz0
从 >∀从「運ぶ途中、惚れ薬の入った試験管をカラスに、その、ハンティングされちゃった訳ですよ」
「「…………」」
(;'A`)ξ;゚听)ξ(;^ω^)「「な、なんだってー!?」」( ∵) 携帯…
- 190: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 20:32:30.99 ID:Q8swVThz0
(;^ω^)「え、ていうか、そんな大事な物を手で持って運んじゃったんですかお!?」
从;゚∀从「いやー。途中でタクシー拾っていくつもりだったからさ、つい」
('A`)「この国は大丈夫なのか本気で心配になってきた」
驚愕の事実に、俺達は唖然となる。
というか、呆れたといったほうが正確だ。
ξ#゚听)ξ「ちょっと、でたらめもいい加減にしてよ!!」
バン、と机を叩き、ツンが叫ぶ。
ξ#゚听)ξ「何? 惚れ薬? ファーバード大学? 夢みたいなこと言わないで!
そんなの現実にあるわけないじゃない!!」
(;^ω^)「つ、ツン」
ツンの激怒により、教室が少し揺れた。
- 195: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 20:36:51.20 ID:Q8swVThz0
从 ゚∀从「全部本当だよ。ほら、ファーバード大学の学生証」
ハインはポケットから学生証を取り出す。
そこには、しっかりとハインの顔写真が張ってあった。
('A`)「ハインの言ってることが本当だってのはわかった。
けど、俺はやっぱり惚れ薬なんてもんを浴びた覚えは無いぞ」
从 ゚∀从「んー、思い当たらないか? 俺っちの予測によると、試験管の重さに耐え切れなくなった
カラスが惚れ薬を空中から落とし、中身が下にいた人にかかった、という事だと思うんだが」
('A`)「空から……?」
ちょっと待った。
今、何か思い出したような気がする。
('A`)「……」
俺は自身の記憶を巡ってみる。
- 199: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 20:38:51.16 ID:Q8swVThz0
――――――
('A`)「今日はエロゲでもやるか」
('A`)「ぶぐぁっ!?」
('A`)「んだよ……雨か!?」
――……
- 205: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 20:42:00.28 ID:Q8swVThz0
('A`)「……あ」
思い出した。
あの時、俺は空から降ってきた何かの液体を、確かに浴びていた。
从 ゚∀从「思い当たったか?」
('A`)「ああ……。確かに、何か浴びた記憶がある」
教室中がどよめく。
女子に至ってはざざっと俺から距離を取ったようだ。
ひどい世の中だ、と俺はひそかに思った。
(;゚∀゚)「ちょ、ちょっと待てよ。仮にドクオが惚れ薬を浴びたとしよう。
けど、ドクオは別にモテモテになったわけじゃないぞ?
そりゃ、ツンとはラブラブになってけど――――あ」
- 211: 1 ◆tkiF6VoKRk :2007/10/08(月) 20:45:07.64 ID:Q8swVThz0
ジョルジュが早口で喋り、そこで何かに気付いたようだ。
从 ゚∀从「……ツン、っていったよな。あんた」
クラス中の視線が、ツンに集まる。
ξ;゚听)ξ「な、何よ」
从 ゚∀从「どうしてドクオは惚れ薬を浴びたのに、モテモテにならなかったか。
わかる? ニコニコ君」
ハインはその視線をブーンに向け、問う。
(;^ω^)「えっと……わかんないお」
ハインはにやり、と笑い問いの答えを言った。
从 ゚∀从「惚れ薬は飲む物だ。浴びる物じゃない」
('A`)「あっ!」
俺の中で、色々な疑問が解けていく。
あの日から起こった、数々の不自然な所が少しずつ鮮明になっていく。
从 ゚∀从「でも、惚れ薬の匂いにも微量だが効果はあるんだ。
その匂いの大部分を吸い込んだのが……ツン、あなただと俺っちは思う」
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