ξ゚听)ξは夏服翻すようです

1: ◆uAn5dIn1Sw :07/04(水) 00:28 +BbOGsegO


ぷろろーぐ

夏。蒸し暑い季節。
ツンが夏服翻す、ちょっとストレンジでホットなおはなし。



2: ◆uAn5dIn1Sw :07/04(水) 00:38 +BbOGsegO


目覚めのシャワーはかなり爽快だ。

ξ*゚听)ξ「ふぅ……」

寝汗を流してすっきりした。
ああ、気持ちいい。

シャワーの蛇口をひねって止め、バスタオルで体を拭く。

私はもう高二なのだが、体の成長は中二からさっぱり成長していない。
他人から見たら成長しているのかもしれないが、自分から見ると全然だ。

ぺたぺた

ξ゚听)ξ「大きくならないかな……」

まだ希望はあると自分に言い聞かせて下着を着て、制服を着る。

半袖のシャツは夏服だ。



3: ◆uAn5dIn1Sw :07/04(水) 00:55 +BbOGsegO


制服を着たら、急いで自室に駆け戻る。

昨日の夜中に顔を真っ赤にしながら書いた、
古典的に表現したら恋文、今の言葉で

ラブレター。

ξ;゚听)ξ「勇気を出すのよ!今日こそ手渡しするんだからね!」

ひたすら自分に言い聞かせる。

朝ご飯を口につめこんで、しっかり歯磨き。
海苔ついてない。よし。
髪型、ツインテールよし。
シャツ、スカート、ネクタイ、ソックス、全部よし。


そろそろ買い換え時かもしれない踵の薄くなってきたローファーを履いて、

玄関を開いた。

夏の日差しはアスファルトを熱してもわっとした暑さを作る。
そんな夏らしい朝の道を、私は駆け出した。

夏服のスカートを翻して。



7: ◆uAn5dIn1Sw :07/04(水) 21:52 +BbOGsegO



それにしても今年の夏は暑い。
通学するだけで汗だくになってしまった。

高校の玄関をくぐってげた箱に。
私の身長は百五十あるかないかなのに、
名簿の都合でげた箱ロッカーは一番上だ。
去年もそうだった。

ξ;゚听)ξ「この、えい!」

必死で上履きの踵に指を引っ掛けて引きずり出し、コンクリート打ちっぱなしの床に叩き落とす。
続いてローファーを半ば投げ込むようにロッカーに入れる。

毎朝これを繰り返すのだから大変だ。

冬場にくるぶしまで高さのあるブーツを履いてきた日には十分ぐらいロッカーと格闘した。


ξ;゚听)ξ「よし、いくぞ!」

『あいつ』もうきてるかな……?



9: ◆uAn5dIn1Sw :07/04(水) 22:23 +BbOGsegO


まだ早朝だからだろうか。
部活の朝練をしている奴らの鞄が教室にあるだけで、
教室には私一人だった。

『あいつ』はいつも遅刻ギリギリに来るからなあ。
今の内に汗の始末をしておこう。
スカートのポケットからハンカチを取り出して額の汗を拭った。

ついでに鞄から臭いをごまかすスプレーを取り出してシャツの胸元にシュー。

ξ*゚听)ξ「あはぁん」

さて、ちょっと時間潰そうかな。
ラブレターをポケットにしまってから、
私は中庭をぶらつくことにした。



10: ◆uAn5dIn1Sw :07/04(水) 23:14 +BbOGsegO


中庭の日陰にあるベンチに腰掛けて空を見上げる。

夏の入道雲の白と深く、鮮やかな青が素敵なバランスで広がっている。

……もう一度ラブレターの内容を確認しよう。

『ブーン、私達幼稚園の頃から友達だよね。
でも、高校生になってから私の中で、ブーンがただの男友達じゃなくなったの。


私は、ブーンが好き。

付き合ってほしいの』

ξ ///)ξ「は、恥ずかしい……」

とてもじゃないけど口には出せない……
それに私、いつもブーンにはきつくあたっているから勘違いされるかも……

本当は照れ隠しなのに……



11: ◆uAn5dIn1Sw :07/04(水) 23:31 +BbOGsegO


ちなみにラブレターはこれで十枚目。
書いては破って書いては破ってしていたから……

ξ゚听)ξ「勇気出せ!」

自分の頬を軽く両手で叩いて気合いを入れる。
よし、大丈夫。大丈夫。


ラブレターをポケットにしまおうとした矢先のことだった。

ちょうど私のいたベンチは校舎の壁に隣接していて。


隣接している校舎のほうからガラスの砕ける軽い音がして。

見上げたら

鋭利なガラス片が

降ってきて


視界の半分が

真っ赤に染まって

シャツにもぽつぽつと赤が広がって


ラブレターも

真っ赤に

染まって







ドサッ



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