ξ゚听)ξは夏服翻すようです
- 118: ◆uAn5dIn1Sw :07/25(水) 23:04 O+36qcKLO
第八話 校長室と蝋燭とドクオ
川つ‐;; ; 「ドクオ……」
('A`)「暖かみのない体で悪いね」
川;‐;; ; 「ドクオ……また……」
('A`)「また……逢いたいな。生きているうちに」
川;‐;; ; 「もう時間みたいだ……」
蝋燭のような儚い光は
ドクオさんの胸の前で
暖かい風に吹き消された。
('A`)「先に待ってろよ……俺もすぐに楽になれそうだ」
ξ )ξ「ドクオさん……」
('A`)「みての通りだ。俺も体が軽い」
ドクオさんの体は蜃気楼みたいに霞んで見える。
('A`)「でも、俺には最期にやらなきゃならないことがある」
- 121: >>120 多分問題ないです◆uAn5dIn1Sw :07/26(木) 22:58 cq42GiihO
ドクオさんは輪郭のあやふやな姿のまま階段を下る。
ξ;゚听)ξ「どうしたんですか」
後を追って走る私。
彼は最期に何をするつもりだろう。
階段を飛ぶように下って向かった先は試聴覚室。
……彼はビデオを燃やして心残りをなくすつもりなんだ。
('A`; ;「俺さ。ここに来てからずっとクーのこと見てた」
二つのビデオテープに同時に火をつけ、長机の上に投げたドクオさん。
('A`; ; 「だから俺、ずっとクーが成仏する時を待ってた」
『ドクオ』『クー』二つのビデオテープがゆっくりと、溶け、歪み、小さくなる。
ドクオさんの輪郭も溶け、歪み、小さくなる。
('A`; ; 「ツンちゃん。いいこと教えてやるよ……」
- 125: ◆uAn5dIn1Sw :07/27(金) 15:30 AyWD+g/bO
('A`;; 「校長室の扉はな、生きている人間の世界につながっているんだ」
私は彼の紡ぐ言葉を待った。
私はブーンに会えるの?
('A`; ; 「チャンスは一回限り、リミットは五分。
時間が切れたら、ここに帰ってくる。
頑張って想いをブーン君に伝えろよ」
ξ;゚听)ξ「なんで知っているの……?」
('A;; ; 「ラブレター。ビデオの後ろのほうに映ってたよ」
(';; ; 「時間みたいだ。
俺、次はクーと一緒になれっかな?」
水にインクを一滴たらし、溶け、広がるように
ドクオさんは消えた。
二つのビデオテープは燃え尽き、机に焦げだけが残った。
- 126: ◆uAn5dIn1Sw :07/27(金) 15:39 AyWD+g/bO
私は誰もいない試聴覚室に向かって深く頭を下げた。
最期に言うべきだったかもしれない。
ドクオさん。きっと『次』は幸せになれますよ。
クーさんと一緒に。
頭を上げた私は、机に置きっぱなしの『ツン』のビデオテープを、
窓から遠くに投げ捨てた。
テープはグラウンドのトラックに叩きつけられ粉々に砕け、破片を撒き散らした。
これでいいんですよね?ドクオ先輩。
戻る/最終話