('A`)ドクオが宇宙を駆け抜けるようです

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/30(土) 21:12:04.19 ID:IR8Bb/F10
  
第01話 フレンドリー

ここは、連邦宇宙軍の代表的な基地『ルナ・ツー』
ドクオは入隊してすぐにこの基地に配属され、人型のロボット『モビルスーツ』のパイロットになった。
地上のジオン部隊が宇宙に上がってきてからは、ドクオの出撃も頻繁になり、それに比例して戦果を得た。
今では、エースと言っても過言ではないほど、ドクオは撃墜数を上げている。

メカニック「あぁ〜ぁ〜……いよいよソロモン戦か……憂鬱ですねぇ」

搭乗機であるジム・コマンドを整備しているメカニックマンが、コックピットに座るドクオに声をかけた。

('A`)「仕事だ」

メカニック「ふぅ〜ん。まぁ、大尉だったら生き残れると思いますけどね」

メカニックマンは冗談混じりにケラケラ笑いながら言うが、ドクオにとっては嫌味に聞こえる。

('A`)「この艦は第一戦線に出るぞ。お前達も死なないことだな」

メカニック「そんなぁ……聞いてないですよ!?」

('A`)「今日、艦長から説明があるだろうさ。ブリーフィングがあるからな」

メカニック「メカマンは出ませんよ!」

('A`)「そうかい」

馬鹿にするような口調で言うと、ドクオはコックピットを出て、ヒョイと飛び降りた。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/30(土) 21:13:30.78 ID:IR8Bb/F10
  
メカニック「ホントに無愛想だなぁ……ったく!」

メカニックマンの小さな愚痴は聞こえていたが、
ドクオは何の反応も見せずに地面を蹴ってモビルスーツデッキを出る。
これも無重力のなせる技だ。

彼が乗艦している戦艦の名前はフレンドリー。
ペガサス級揚陸艦、つまり『あのホワイトベース』と同型艦になる。

ウェイブ「大尉、1時間後にブリーフィングがあります。寝ないでくださいよ」

リフト・グリップを使って通路を流れていると、ウェイブ(女性仕官)がにこやかに声をかけてくる。

('A`)「部屋には戻らん」

わざわざ気を使ってくれたウェイブに対しても冷たい言いぐさで、ドクオはそのまま流れていき、休憩室にたどり着いた。

正面にある大きな窓からは、ルナ・ツーの戦艦ドックの様子しか見えない。
航行中ならば宇宙が眺められるから、ドクオはこの場所が好きだ。

('A`)「…………」

部屋の隅の方のイスに座る。
無重力で座るも何も無いのだが、座ったほうが落ち着けるものだ。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/30(土) 21:17:50.25 ID:IR8Bb/F10
  
その時だった。

(´・ω・`)「失礼します」

('A`)「ん?」

入り口から、男の声がして、ドクオは視線を向けた。

(´・ω・`)「本日配属されました。ショボン少尉です」

ビシッと敬礼を送るショボンだが、のほほんとした顔つきで緊張感は感じ取れない。

('A`)「あぁ……そういえば、シャキン艦長が言っていたな。
   俺の部隊はお前一人か?」

(´・ω・`)「はい。ジム・キャノンに搭乗します」

('A`)「残りはジョルジュの部隊か……」

本人も緊張をしていないようだ。
ドクオは下手に気を使わなくて楽だ(元から使うつもりなど無いが)と思いつつ、腰を上げた。

('A`)「ブリーフィング前にモビルスーツデッキへ寄っておけ。
   自分のモビルスーツとメカマンの顔ぐらい覚えておくんだ」

(´・ω・`)「うぃうぃ」

('A`)「…………」

別に言葉遣いがどうこう言うつもりも無いし、面倒くさいので、ドクオはまた席に着いてドック内を眺める。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/30(土) 21:19:22.88 ID:IR8Bb/F10
  
その間にショボンの気配は消えた。
モビルスーツデッキに向かったのだろう。

('A`)「新人かよ。どうせまた死ぬんだろうな……」

ドクオ自身はエースパイロットとして有名だ。
しかし、部隊に配属された部下達は次々に死んでいった。
ドクオの指示が悪いわけではない。どちらかと言えば隊長として優秀である。
だが、過酷な戦闘についていけず、部下達は撃破されてしまった。

大して気にはしていない。
自分が生き残れればそれでいい。
他人が……例えそれが自分の部下でも、生き残れなかったヤツはグズだったのである。
今では、死に対して何の感情も抱かない自分と直面しても、何とも思わない。
それが非情だとも、最低だとも考えなかった。

第01話 フレンドリー 終



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