('A`)ドクオが宇宙を駆け抜けるようです

73: ◆A57zIoS2yk :2006/10/08(日) 01:25:19.68 ID:c95FO1Uv0
  
第12話 閃光の戦士達

(;'A`)「クソッ! いつまで続くんだ!」


ドクオはビームガンを撃ち続けながら、
敵モビルスーツの数が減っていないように思えて、舌打ちをした。


(;^ω^)「おぉ……大尉、僕はもう無理だお」

('A`)「諦めるな! フレンドリーに帰還するまでは!」


ドクオとショボンの機体はまだ原型を留めていたが、
ブーンの機体は満身創痍で、右腕、左脚を失っていた。


(;´・ω・`)「できれば、コッチに移してあげたいですが……」

(;'A`)「止まったらやられる!」


ショボンがブーン機の手を引くように敵を避けて、ドクオが迎撃をしている。
味方機の動きも散漫としていて、統率が取れていない。



74: ◆A57zIoS2yk :2006/10/08(日) 01:27:21.88 ID:c95FO1Uv0
  
( ^ω^)「いいお。少尉、手を離してほしいお」

(´・ω・`)「それはできない! むざむざ見殺しなんて!」

( ^ω^)「このままだと、2人ともやられるんだお」

('A`)「黙ってろ! ブーン!!」

( ^ω^)「た、大尉……」


ドクオはショボンとブーンの盾になるように、前に出る。
今まで、こんな事しようとも思っていなかった。


('A`)「お前らは俺が護ってやる!」


こんな言葉も不思議に自然と出てきた。

ドクオは、ただがむしゃらに体を動かした。



76: ◆A57zIoS2yk :2006/10/08(日) 01:30:56.35 ID:c95FO1Uv0
  
だが、護りきることは難しかった。

マシンガンの弾をシールドで防ぐショボンだったが、
すべては防御できずにブーンにも当たる。


(´・ω・`)「グウゥウウ!!」


その弾丸の一発が、繋いでいた手にぶつかり、2人を引き離した。


('A`)「ブ―――ン!」

(´・ω・`)「軍曹ぉ―――!!」


何の抵抗もできず、ブーン機は宇宙に流されていく。
ドクオが反応する前に敵が追いかけて、ブーンに止めを刺した。



77: ◆A57zIoS2yk :2006/10/08(日) 01:32:43.10 ID:c95FO1Uv0
  
(´・ω・`)「このぉ!」

('A`)「ショボン!」


ショボンはブーンを殺した敵目掛けて、猛突進をした。
敵はブーン機の爆発の光りに照らされて、姿がハッキリ見える。

ショボンには、ブーンが誘導してくれていると思えた。


(´・ω・`)「軍曹は、まだ十分に生きちゃいないんだ……」


キャノン砲を構えながら、勢いを緩めないショボン。


(´・ω・`)「ぶっころす!!」


そのままの勢いで、ショボンは敵の両肩を掴むと、キャノンを胸に直撃させた。
敵は先程のブーンのように流れていくと、閃光を発した。


(´・ω・`)「敵討ちです……軍曹」


ショボンは涙が溢れそうになるのを我慢した。



79: ◆A57zIoS2yk :2006/10/08(日) 01:36:18.22 ID:c95FO1Uv0
  
(;'A`)「クソ……クソッタレェ!」


ドクオもビームガンを連射して、敵を迎撃するが、遂にエネルギー切れを起こした。


('A`)「クッ……しまった!」


ドクオ機が弾切れを起こしたことに気づいたゲルググが、今だ! と、言っているように迫る。


(;'A`)「チィ!」


ドクオはゲルググをバルカンで牽制するが、ゲルググはシールドで防御しながらビームナギナタを抜いた。

後ろ走りをするようなドクオ機とゲルググの速さは、一目瞭然だった。
ゲルググは一瞬で距離を詰めると、ナギナタを振り下ろす。


('A`)「グゥ……え?」


ドクオはやられたと思って、死んだ気分になった。
だが、体はまだ動く。生きているのだ。



80: ◆A57zIoS2yk :2006/10/08(日) 01:38:05.03 ID:c95FO1Uv0
  
(´・ω・`)「フフフ……らしくないですね大尉……これで、助けたのは二度目ですよ……」


目を向けると、ショボンがドクオを庇って、左肩から腰まで切り裂かれている。


(;'A`)「ショ、ショボン……お前は……!」

(´・ω・`)「まだ、気を抜かないで!」


ショボンはドクオのランドセルに手を回すと、サーベルを抜いて、目の前のゲルググに突き刺した。
コックピットを貫かれたゲルググは、モノアイの光りを失って、動かなくなる。


(´・ω・`)「ハァハァハァ……」

(;'A`)「おい! どうしたんだ!?」

(´・ω・`)「いえ……」


ドクオはショボン機の上半身を抱えて逃げた。
その内、丁度いいデブリを見つけて、そこに逃げ込んだ。



81: ◆A57zIoS2yk :2006/10/08(日) 01:39:46.71 ID:c95FO1Uv0
  
('A`)「ショボン! 聞こえるか!?」

(´・ω・`)「大尉……無事ですね」

(;'A`)「なんで庇った!!」

(´・ω・`)「ブーン軍曹も……きっとこうしますよ」


小さい……もう瀕死の声のショボンに、ドクオは青ざめた。


('A`)「待ってろ! 今、コッチに移してやる! ブーンも死んで、お前まで……」

(´・ω・`)「来ないで!」

('A`)「え……?」


シートベルトを外してコックピットから出ようとしたドクオを、
精一杯のショボンの声が引きとめた。



82: ◆A57zIoS2yk :2006/10/08(日) 01:41:46.74 ID:c95FO1Uv0
  
(´・ω・`)「……僕の体は、もうダメです……こうやって話せてるのが、不思議です……」

(;'A`)「お、お前……まさか……」

(´・ω・`)「大尉……足手まといで、すいません……」

('A`)「そんな事を言うな! フレンドリーまで行ければなんとか!」

(´・ω・`)「無理です……もう」

('A`)「ショボン!!」


少しずつ生気が無くなっていくショボンの声が、ドクオの体を震わせた。


(;'A`)「死なせるわけにはいかないだろう! 目は瞑るなよ!」

(´・ω・`)「アァ……大尉……本当に、何か最初に会った頃とは違いますね」

('A`)「あ……何言ってるんだ。お前……」

(´・ω・`)「今の方が、良いですよ……大尉、死なないで……」

('A`)「お、おい……ショボン? ショボン!」


通信機から、彼の呼吸も聞こえてこない。



83: ◆A57zIoS2yk :2006/10/08(日) 01:44:18.70 ID:c95FO1Uv0
  
('A`)「クッソォオオオ!!!」


ドクオは正面モニターを殴りつけた。


('A`)「ショボン、後で必ず迎えに来る」


ドクオはショボンのジム・キャノンをデブリに固定させると、
また戦場に飛び出して、フレンドリーの方向へ向かった。


('A`)「心配するな。お前も迎えに来るよ」


ブーン機の残骸を見つめながら、ドクオは呟いた。



86: ◆A57zIoS2yk :2006/10/08(日) 01:47:42.26 ID:c95FO1Uv0
  
一方、フレンドリーは……。


(*゚ー゚)「キャアアアアア!」

(`・ω・´)「グァアアアア!」


また衝撃が艦を揺さぶった。


川 ゚ -゚)「クッ……メインスラスター、推力40%まで低下!
     活きている銃座は左舷メガ粒子砲台と機銃数台!」

(*゚ー゚)「味方モビルスーツ部隊……全滅です……」

(`・ω・´)「援軍は!?」

(*゚ー゚)「後方からの接近を確認! しかし……後5分掛かります!」


満身創痍のフレンドリーを囲む敵モビルスーツ。
味方の艦もモビルスーツの姿も無い。

フレンドリーたった1隻で、この前線に取り残されている。



87: ◆A57zIoS2yk :2006/10/08(日) 01:49:04.41 ID:c95FO1Uv0
  
敵兵「仲間の恨みぃ!!」

敵兵「落ちろぉ―――!!」


敵も友を、恋人を、仲間を殺され、形相が険しくなっている。

正義も無い戦争。

上から大儀をかざされ、それに付き合わされている者達の悲鳴が、
クライマックスへ向かうこの状況で強くなっている。


(`・ω・´)「チィ! クルーはランチ(脱出艇)へ急げ!」

(*゚ー゚)「か、艦長!」

(`・ω・´)「もう艦は持たん……すまなかったな……。
      私のワガママに付き合わせてしまって」

川 ゚ -゚)「艦長は!?」

(`・ω・´)「私は残る。帰ってくる者たちがまだいる筈だ」


銃座の砲撃の音が響く中で、シャキンの声がシッカリと行き届いた。



88: ◆A57zIoS2yk :2006/10/08(日) 01:51:09.46 ID:c95FO1Uv0
  
(*゚ー゚)「……私も残ります」

川 ゚ -゚)「私も」

(`・ω・´)「軍曹!? 中尉……」

クルー「俺達も! 中佐にいい顔させませんよ!!」

(`・ω・´)「皆……」

(*゚ー゚)「まだ……大尉がいるはずです!」

(`・ω・´)「……よぉし分かったぁ! メガ粒子砲、広域放射!」


放たれたビーム砲が敵機を撃ち抜き、爆発する。
敵の攻撃を機銃座で応戦し、受け切れない弾が艦を直撃していく。

フレンドリーのクルー達は、
生きるのを諦めたわけでも、かっこ良く死のうとも思っていない。

ただ、がむしゃらに生きたい! 皆と!



89: ◆A57zIoS2yk :2006/10/08(日) 01:53:15.44 ID:c95FO1Uv0
  
『ピー! ピー! ピー!』

(*゚ー゚)「え!? 前方から接近する機影!」


その時、小さな光りが敵モビルスーツの背後から来る。


川 ゚ -゚)「敵の増援……」


例え1機でも、増援と呼べる。
その言葉が味方を指せば勇気が、敵を指すのなら絶望が押し寄せる。



90: ◆A57zIoS2yk :2006/10/08(日) 01:55:05.34 ID:c95FO1Uv0
  
(*゚ー゚)「ちっ、違います!」

川 ゚ -゚)「え?」


しぃが見つめるレーダーには、味方の識別反応があった。

次第に見えてくるシルエット。
漆黒の体と輝く瞳。


(*゚ー゚)「た、大尉です! ドクオ大尉!」


両手に拾ったマシンガンを持って、ドクオが帰ってきた。


('A`)「ショボン、ブーン。待ってろよ……フレンドリーは護ってみせる!!」


ドクオが宇宙を駆け抜けた。

第12話 閃光の戦士達 終



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