(´・ω・`) ショボンは風の料理人のようです
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/14(火) 20:12:19.57 ID:zBBNL6LBO
- 二話
この身、焼かれて
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/14(火) 20:16:51.08 ID:zBBNL6LBO
- ※
僕は気分よく、パスタを茹でていた。
( ^ω^) 「得意料理はパスタだお♪」
パスタを茹でるお湯には塩を入れる。
パスタを茹でる時間は、パッケージに書いてある時間より一分少なくする。
これで、あの悪名高い『アルデンテ』に仕上がる。
( ^ω^) 「完璧だお♪」
- 19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/14(火) 20:18:44.38 ID:zBBNL6LBO
- 僕は茹で上げたパスタをフライパンに移した。
そして、フライパンに特製カルボナーラソースを流し込んで、火をつけた。
(;^ω^) 「そんなバカな」
僕の完璧なはずのカルボナーラはもろくも崩れ去った。
いや、崩れ去ったのではない。固まったのだ。
- 20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/14(火) 20:22:18.51 ID:zBBNL6LBO
- (;^ω^) 「こんなもんカルボナーラじゃないお。
炒り玉子パスタだお」
食べなくてもわかる。ボソボソで美味いわけがない。
(´・ω・`) 「パスタを茹で上げた余熱を生かせ」
その男は突然、僕の目の前に現れた。
(;^ω^) 「どちらさんですか?」
いつの間に家に入ったのだろう。
一人暮らしは用心に欠ける。強盗なら洒落にならない。
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/14(火) 20:24:41.22 ID:zBBNL6LBO
- (´・ω・`) 「パスタを茹で上げたら、ボウルに移せ。
そして、ソースと手早く和えろ」
どうやら強盗ではないらしい。
(´・ω・`) 「ソースに卵白は使うな。
カルボナーラに重要なのは、圧倒的な『コク』だ。
卵黄とパルメザンチーズ。これだけで十分だ」
いつしか僕は、男の話に引き込まれていた。
続きが、早く続きが聞きたい。
美味いカルボナーラが食べたい。
- 23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/14(火) 20:26:12.10 ID:zBBNL6LBO
- (´・ω・`) 「あらかじめ、厚切りのベーコンをオリーブオイルで焼いておけ。
それをソースで和えたパスタにトッピングしろ。
オリーブオイル特有の香りが、ベーコンの燻香とよく合う」
家にオリーブオイルがない。僕は自分を呪った。
(´・ω・`) 「そして、最後に黒胡椒をこれでもかと振れ。
もちろん挽きたてだ。これは絶対だ。
既に挽いてあるものと挽きたてでは、香りがまったく違うからな。
この香りがカルボナーラ全体をスッキリとしたものに仕上げる」
- 27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/14(火) 20:27:52.51 ID:zBBNL6LBO
- (´・ω・`) 「カルボナーラとは元来、『炭焼き職人』を意味する。
黒胡椒は、職人自身にふりかかった『炭』だと思え」
男の語るうんちくに、僕は間抜けに「へぇ」と言った。
無意識とはいえ、恥ずかしい。
- 28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/14(火) 20:29:34.40 ID:zBBNL6LBO
- 僕はどうしても、男に聞いてみたくなった。
( ^ω^) 「あの、あなたのお名前は?」
(´・ω・`) 「風の料理人、ショボンだ」
男は静かに消えていった。
僕は急いでオリーブオイルを買いに行った。
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