(´・ω・`) ショボンは地獄の料理人のようです

91: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:14:43.11 ID:ZcbY48nWO

3話

先、閲覧注意



94: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:16:29.35 ID:ZcbY48nWO


ふと、私は思い出した。

(*゚ー゚) 「師匠が死んで、もう一週間か」

あの男は死んだ。
すごく、すごく悲しい。
だが、今はそんなことどうだっていい。
なぜなら、夫と息子に出て行かれたからだ。

(*゚ー゚) 「あははは!!人生オワタ\(^o^)/」

既に、気は狂っていた。

(#゚ー゚) 「ちくしょう…浮気ぐらい許せよ…
尻の穴のちいせぇ男だな…クソが!!」

私は、一人さびしく悪態をついていた。



96: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:19:11.81 ID:ZcbY48nWO
(*゚ー゚) 「腹減ったし、何か食べるか…」

何を作ろうか。
そんなことを考えていると、ふと、息子の顔を思い出した。

(*゚ー゚) 「そういえば、ギコちゃんはオムライスが好きだったなぁ…」

(;゚ー゚) 「私、オムライス作るの下手だったけど」

ちょっと、涙が出た。

(*;ー;) 「ごめんね…ギコちゃん…」

瞬間、頭に電撃が走った。



97: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:21:08.40 ID:ZcbY48nWO
(*゚ー゚) 「そうだ!美味しいオムライスを作ったら2人とも帰ってくるかも!」

要は、美味い食べ物で釣ろうというわけだ。
男なんてバカばっかり。

(* ー ) 「ふふ」

私は妖しく笑った。



100: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:26:20.13 ID:ZcbY48nWO
その時だ。

(´・ω・`) 「帰って来たぜ!地獄の料理人、ショボンだ」

なんだこいつは?

(*゚ー゚) 「どちらさま?」

(´・ω・`) 「あの日の夜を忘れたか!?」

私はあっさり思い出した。

(#゚ー゚) 「あなたのせいで家庭が目茶苦茶よ!責任取ってよ!」

(´・ω・`) 「うっせーメス豚だな!死ね!死に曝せ!」

(*;ー;) 「バカ!!!!」

私は、遂にキレた。



107: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:30:24.13 ID:ZcbY48nWO
(*゚ー゚) 「そんなことより、美味いオムライスの作り方教えて」

(´・ω・`) 「オムライスは鬼門だなー」

(´・ω・`) 「僕、オムレツ作るの苦手なんだよね」

(*゚ー゚)mg 「不能プギャーwwwwwwwwwwww」

(´・ω・`) 「代わりにチキンライスで許して」

(*゚ー゚) 「じゃあそれで」

(´・ω・`) 「オムライスさん、すまない!」

(´・ω・`) 「よし、はじめるぞ」



108: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:31:26.78 ID:ZcbY48nWO
(´・ω・`) 「まず、野菜をみじん切りする。
米粒サイズのみじん切りだ。
そのサイズにすることで、食べた時に一体感があって美味い」

(´・ω・`) 「使う野菜は、ニンジン、タマネギ、ニンニク、マッシュルームだ」

(´・ω・`) 「おっと!マッシュルームはみじん切りじゃなかった!
半分に切って、横からスライスだ。
缶のマッシュルームなら切らなくていい。
汁はきっておけよ」



110: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:32:40.84 ID:ZcbY48nWO
(´・ω・`) 「次に、鶏肉を切る。
鶏モモ肉がいいな。もちろん皮付き。存在感があるからな。
大き過ぎず、小さ過ぎずの、1cm角ぐらいに切れ」

(´・ω・`) 「次に、材料をバターで炒める。
ニンジン、タマネギ、鶏肉を、全部同時にフライパンに投入して構わない。
弱火だと鶏肉に火が通らない。
強火だと野菜が焦げる。
だから、中火で炒めろ」



111: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:33:43.40 ID:ZcbY48nWO
(´・ω・`) 「ある程度炒まったら、ここでニンニクを投入しろ」

(´・ω・`) 「もしあったら、ニンニクと一緒にローリエも入れろ。
ローリエの、澄んだ、甘い香りが全体を引き立てる」

ここで、男はまさかの奇行をとった。



113: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:34:50.73 ID:ZcbY48nWO
(´・ω・`) 「水を入れろ」

コップ1杯の水だと?
やばい、男はスープを作る気だ。

(#゚ー゚) 「今は、チキンライス作ってんだろうがああああああ!!!!
スープ作ってんじゃねええええええ!!!!」

私は必死に男を止めた。これでは、夫と息子は帰って来ない。

(´・ω・`) 「邪魔すんな!!」

私は包丁で刺された。
洒落にならない昼下がりの情事。
血塗れで横たわる私を尻目に、男は淡々とチキンライス作りを再開した。



122: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:39:24.49 ID:ZcbY48nWO
(´・ω・`) 「水を入れたら、火力を全開にして煮詰めろ」

(´・ω・`) 「この時、固形ブイヨンは入れるな。
『余計な味』を追加すると、全体のバランスが悪くなるからだ」

(´・ω・`) 「水が煮詰まって来て、フライパンから、『ザワザワ、パチパチ』と音が聞こえて来たら、マッシュルームと、ウスターソースを少し入れろ」

(´・ω・`) 「スパイシーなウスターソースは、いいアクセントになる」

(´・ω・`) 「そして、さらに煮詰めろ。
マッシュルームが水分を吸って、焦げそうになったら、水を適当に追加しろ。



125: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:40:31.95 ID:ZcbY48nWO
(´・ω・`) 「水分が大体飛んで、ネットリして来たら、フライパンを火から外せ。
これで、野菜と鶏肉の『煮物』は、完成だ」

(´・ω・`) 「そこに、ご飯を乗せる。
ご飯の上に、たっぷりとケチャップを絞り出す。
ご飯からはみ出すと、ケチャップが焦げるから注意しろ。
軽く塩胡椒も振っておけ」

(´・ω・`) 「これをまた、中火にかけろ。
ご飯に、『煮物』とケチャップが、からまる様、全体を合わせろ」



126: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:42:13.87 ID:ZcbY48nWO
(´・ω・`) 「次第に、珊瑚色のご飯の表面の水分が飛んで、パリッとしてくる。
そしたら、グリーンピースをばらまいて、完成だ」

(´・ω・`) 「ご飯に、野菜と鶏肉の煮物の美味いスープを吸わせた、極上のチキンライスだ。
ふんわり、しっとりして美味い」



130: たろお ◆Q2s0JfcmvM :2007/09/02(日) 19:43:35.54 ID:ZcbY48nWO
息も絶え絶えに、私は叫んだ。

(; ー ) 「それは…ケチャップじゃなくて…
私の…血です…!!」

男は一言残して消えた。

(´・ω・`) 「お食事中の皆様、申し訳ありませんでした」



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