流石兄弟が殺人ゲームに参加するようです
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:21:14.28 ID:4ZhGUL5L0
- 11.
左の通路はすぐに階段になっていた。
∧_∧
弟(´<_` )「うう、兄者のことがあるからこのまま逃げるわけには」
∧_∧
弟(´<_` )「通報するにしても、時計のことがあるから警察は避けたい…」
∧_∧
弟(´<_` )「そうだ、前に出入りしていた組の連中に話してみよう」
階段を駆け上がった弟者は地下街に出た。
すでにすべての店は営業を終えており、あたりはしんと静まり返っている。
立ち入り禁止の札が降りた鎖を飛び越えた弟者は人影を見つけた。
警官の制服を着ている。
∧_∧
弟(´<_` )「(くそ、よりによって!)」
警官「戻れ」
警官は弟者の姿を見つけるとあわてた様子もなく言った。
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:23:03.66 ID:4ZhGUL5L0
- 12.
パン!
銃声とともに弟者の足元で地面が弾けた。
∧_∧
弟(´<_` )「(撃ちやがった!?)」
警官「戻れっつってんだよ」
硝煙の立ち昇る銃口を突きつけられて弟者は転がるように階段を下りた。
途中、上で警官が無線を使っているらしい声が聞こえた。
警官「こちらCポイント。こっちに来たが追い払った」
∧_∧
弟(´<_` )「…俺は何か、とてつもなくヤバイことに巻き込まれてるんじゃあないか…」
分岐まで戻った弟者はめまいがした。
だが結局、自分にできるのは先に進むことだけだ。
- 16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:24:31.97 ID:4ZhGUL5L0
- 13.
分岐を右折するとやがて駅の構内に出た。
矢印は路線に下りて続いている。
線路沿いに進めということらしい。
∧_∧
弟(´<_` )「隣駅まで歩いていけと言うのか」
下に飛び降りようとした弟者はダンボール箱を見つけた。
まだ真新しく、わざわざ目立つ場所に置いてある。
恐る恐るふたを開くと中にはカフェイン錠剤とミネラルウォーターが入っていた。
∧_∧
弟(´<_` )「薬草ってわけか…」
二つを飲むと少し元気が出た。
弟者は路線に降りると、忍び足で先へ進んだ。
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:25:51.15 ID:4ZhGUL5L0
- 14.
地下鉄のトンネル内は音がよく響く。
弟者は線路の上を極力静かに進んだ。
∧_∧
弟(´<_` )「どうか鉢合わせしませんように。…トヘロス! トヘロス!」
トンネルは果てしなく続いている。
やがて誰かが壁にもたれかかっているのが見えた。
位置的に見つからずに先へ進むことはできそうにない。
∧_∧
弟(´<_` )「やるしかない。不意を突けば何とか…」
ケースを開いて注射器を握ると、弟者はモンスターと可能な限り距離を詰めた。
∧_∧
弟(´<_` )「(先輩のヤクザが言っていたな、ドスで刺すなら腹だと…)」
∧_∧
弟(´<_` )「(他の場所だと骨に阻まれて刺さらない事があるとか。よし!)」
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:26:51.19 ID:4ZhGUL5L0
- 15.
胃を決して弟者はモンスターに飛びかかった。
左手で相手の上着を掴み、右手に持った注射器をどてっ腹に向かって突き出す。
∧_∧
弟(´<_` )「食らえ!」
突然現れた弟者にぎょっとして動きを止めていたモンスターだが、
とっさに弟者の左手を振り払って逃げ、注射器をかわした。
∧_∧
弟(´<_` )「(何だ? 妙に力が弱いな)」
川゚ -゚)「待って、いきなり何するの!」
∧_∧
弟(´<_` )「(喋った!?)」
∧_∧
弟(´<_` )「お前、モンスターじゃないのか?」
川゚ -゚)「? モンスターって?
- 19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:27:33.35 ID:4ZhGUL5L0
- 16.
この女はどうやら頭はまともな様子だし、怪力でもない。
それでも一応注射器を握り締めたまま弟者は続けた。
∧_∧
弟(´<_` )「こんなところで何やってるんだ」
川゚ -゚)「…」
∧_∧
弟(´<_` )「周りは頭がおかしくなった奴ばっかりだ。お前は違うみたいだが」
川゚ -゚)「ええ。私もそういう人たちは見たわ」
∧_∧
弟(´<_` )「お前だけ何で違うんだ?」
川゚ -゚)「わからない…」
弟者は敵意がないことを示そうと注射器をケースにしまい、
これまで自分の身におきたことをかいつまんで話した。
∧_∧
弟(´<_` )「…というわけなんだ。で、お前はどうなんだ?」
- 23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:28:47.00 ID:4ZhGUL5L0
- 17.
川゚ -゚)「私は囚人で、刑務所にいたの」
∧_∧
弟(´<_` )「(兄貴と同じ…?) 無期刑か?」
川゚ -゚)「いいえ、20年とちょっとだけど」
川゚ -゚)「前の日、夜中に看守が来て言ったの。刑期をチャラにする仕事があるけどどうするって」
川゚ -゚)「引き受けたら変な薬を注射されて、それで気付いたらここに…」
∧_∧
弟(´<_` )「それがモンスターの正体か。でもお前の頭だけマトモなのは何でだ?」
川゚ -゚)「わからない…」
∧_∧
弟(´<_` )「まあいい。聖水を使わずに済んだ」
時計を見るとすでに一時間半が経過している。
∧_∧
弟(´<_` )「俺は行くがお前はどうする?」
川゚ -゚)「一緒に行くわ」
∧_∧
弟(´<_` )「そ、そうか…」
- 25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:29:34.23 ID:4ZhGUL5L0
- 18.
特に同行を拒否しなかったものの、内心弟者は不安がこみ上げてくるのを感じた。
∧_∧
弟(´<_` )「(懲役20年と言えば殺人罪クラスだな。何やったんだ、こいつ?)」
川゚ -゚)「私はクー。貴方は?」
∧_∧
弟(´<_` )「弟者だ」
川゚ -゚)「あなたは何をやってここにいるの?」
∧_∧
弟(´<_` )「俺は何もしてない。…いや、もしかして」
川゚ -゚)「?」
最初に見せられたルール説明。
弟者はあれに「君たち兄弟の免罪」という一文があったのを思い出した。
罪と言えば高級時計を盗み出したことしか思いつかない。
∧_∧
弟(´<_` )「(このゲームの黒幕は、あの百貨店とか…?)」
- 26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:30:38.04 ID:4ZhGUL5L0
- 19.
それから少し歩くとモンスターがたむろしていた。
弟者とクーがいる路線に三人、反対車線にもう数人が暗闇に見え隠れしている。
行く手を塞ぐ形だ。二人は物陰に隠れて様子をうかがった。
∧_∧
弟(´<_` )「畜生、多いな」
川゚ -゚)「かわすのは無理そうね。さっきの注射器は?」
∧_∧
弟(´<_` )「あれはあいつらを殺せる薬なんだが、あと二本しかないんだ」
川゚ -゚)「二人ばかし死なせても焼け石に水じゃない」
モンスターがバラけるのを待つという手もあるが時間は有限だ。
不確かな希望に賭けることはできない。
∧_∧
弟(´<_` )「突っ切るしかないな。なんだってこんな目に!」
川゚ -゚)「待って、服を脱いでおいた方がいいわ。掴まれにくいようにね」
- 28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/08/21(火) 20:31:48.39 ID:4ZhGUL5L0
- 20.
二人は必要最低限に薄着になるとモンスターの群れへ駆け出した。
ぼんやりと棒立ちになっていたモンスターは突然現れた弟者とクーの姿を不思議そうに
眺めていたが、それが獲物とわかるとすぐに唸り声を上げて飛びかかって来た。
∧_∧
弟(´<_` )「うおおおお!」
川゚ -゚)「くっ…」
そこらじゅうから二人に向かって腕が伸びて来る。
クーの忠告通り服を脱いで掴む所が減っていたために何とか突破できたものの、
モンスターたちはしつこく後を追って来た。
疲れも苦痛も感じないモンスターが相手では次第に差は縮まってゆく。
先頭を切るモンスターの手が二人の背に届こうという時、弟者は矢印の書かれた扉を見つけた。
∧_∧
弟(´<_` )「こっちだ、クー!」
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