流石兄弟が再び殺人ゲームに参加するようです

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:21:00.48 ID:yV8TszJ20
11.
クーを助けた罪だと言うからてっきり弟者だけが参加者と思いきや…

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「俺もやるのか!?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「…」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「そんな顔するな。やるよ、やるって」


どうやら前回とは違ってここは屋外らしい。

夕暮れ近くらしく、穴の空いた天井からオレンジ色の陽光が差し込んでいた。

部屋に置かれたテレビには文字が表示されている。


『このゲームのルール

クリア条件…腕時計の残り時間がゼロになるまで生存すること

クリア報酬…前回犯したルール違反の免除』

・注意事項 ステージから出ないように。地雷が埋まってるぞ』


二人の手首には見なれない腕時計が付けられていた。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:21:47.15 ID:yV8TszJ20
12.
腕時計はほぼ普通のものと同じだが12の時間とは別に100の数字が

書き込まれている。

秒針と分針は普通に動いているから時針だけがこの100の数字に

従って動くもののようだった。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「つまり制限時間は100時間ってことか。丸四日とちょっとだな」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「それより兄者、ポケットを見てみろ」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ん? これは何だ」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「聖水だ」


プラチックのケースに入った注射器が三つ出てきた。

モンスターを殺せる唯一の武器だ。二人合わせて六つ。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「…ってことは当然モンスターがいるってことか」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「とにかく外へ出てみよう」



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:22:17.57 ID:yV8TszJ20
13.
廃屋は無人の村の片隅に建てられていた。

家屋や田んぼらしきものもあるが荒れ果ててもはや見る影もない。

周囲は山に囲まれて外界からは隔絶されている。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ゴーストタウンのようだが…」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「とにかく暗くなる前に休める場所を探そう。と、その前に」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「何だ?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「ウンコしたい」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「そんなもん後に…(あ、通信機を出すのか)」


どこに監視カメラやマイクがあるかわからないから慎重だ。

適当な廃屋のトイレを借りてカプセルを取り出し、通信機を取り出して

耳の穴に突っ込む。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「いいぞ兄者。行こう」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:22:48.74 ID:yV8TszJ20
14.
( ´・ω・` )「ザーッ…無事潜入できたようですね。聞こえていたら咳払いを」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「ゴホン」

( ´・ω・` )「電池を節約する為、一日に10分程度しか通信できません」

( ´・ω・` )「まずはお二人がいる場所を探知します。何とか生き延びて下さい」

  ∧_∧
弟(´<_`  )「あー、兄者。どのくらいの時間がかかるかな?」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「何がだ?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「いやだからホラ」


( ´・ω・` )「その通信機の電波は微弱ですので二日くらいかかります」

( ´・ω・` )「そろそろ時間です。どうかご無事で」

  ∧_∧
弟(´<_`  )「このゲームが終わるまでの時間だよ」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「100時間ってさっき行っただろう。お前はアホか?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )(くそ、兄者には聞こえていないからやりづらいな)



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:23:17.60 ID:yV8TszJ20
15.
道なりに歩いて行くと湖に出た。

貸しボート屋の残骸があり、かつてはボートだったらしいものが散乱している。

とりあえず二人はボート屋に入ってみた。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ボロボロすぎる。雨漏りするぞこりゃ」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「モンスターの襲撃に耐えられそうにないな…」


ベースキャンプにするのは無理そうだ。

何か使えそうなものが残されていないか調べていると突然、兄者が

背にしていた壁を突き破って血塗れの手が伸びてきた。

そのまま兄者の首に巻き付く。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「うぐっ!?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「兄者!」


引き剥がそうと手をかけるがビクともしない。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:23:53.36 ID:yV8TszJ20
16.
やがて壁の板を破って兄者は外へ引き出された。

その背後では目の焦点が合っていない男が唸り声を上げて首を絞めている。

弟者は注射器を取り出して男の腕に突き立てた。

ピストンを押し込むと男の体から力が抜けて崩れ落ち、激しく痙攣する。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「兄者!」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ゲホッゲホッ…大丈夫だ、生きてる。何て力だ」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「うっ…ヤバイ、兄者」


騒ぎを聞き付けたらしいモンスターが森の中からぞろぞろと姿を現した。

年齢も性別もバラバラの人間たちだが、眼は明後日の方を向いている。


( ゚ρ゚ )「アー、アー」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「どっ、どうする兄者!?」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ボートに乗れ、湖上に逃げるんだ!」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:24:43.13 ID:yV8TszJ20
17.
はしけにあった穴の空いていないボートを湖に浮かべ、折れたオールで漕ぎ出す。

水の中に飛び込んで追ってきたモンスターもいたがすぐに沈んでしまった。

怪力であるということと運動神経が高いということは違うらしい。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「おい、変じゃないか?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「何がだ兄者」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「弟者の話じゃモンスター同士でも殺し合う筈だろ」


確かにそうだった。

しかし残ったモンスターは湖畔でぼんやりとこちらを眺めているだけだ。

仲間同士で争っている様子はない。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「個体にもよると思うんだが…改良されたのかも」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「人間をまるでオモチャ扱いだな」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:25:18.02 ID:yV8TszJ20
18.
その日はアンカーを打ってボート上で眠ることにした。

夏と言っても田舎の夜は気温が下がる。増してや湖上は霧が出た。

流石兄弟は明るくなる前にあまりの寒さで目が覚めた。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「畜生、田舎は嫌いだ!」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「殺したモンスターの服を剥いでくれば良かったな」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「このままじゃ風邪を引くぞ。取りに行こう」


二人は音を立てないようにそっとオールを漕いでボート屋に近付いた。

しかしここでドジを踏んだ。

暗闇で折れた木かと思っていたものが棒立ちのモンスターだったのだ。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)(うわっ、しまった!)

( ゚ρ゚ )「…」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「…?」



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:25:50.42 ID:yV8TszJ20
19.
向こうはこちらに気付いている様子がない。眼が合っているのにだ。

試しに兄者は石ころをモンスターの顔面にぶつけてみた。


( ゚ρ゚ )「ウー…?」


ひとしきりあたりをキョロキョロしただけでモンスターは動かない。

見えていない…?

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「暗闇だと目が見えないのか…」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「夜の方が逆に安全みたいだな。村に行こう」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「夜明けまであとどのくらいある?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「三時間くらいじゃないか」


幸い月明かりが足元を照らしてくれる。

二人はボートをはしけに止め、夕方殺したモンスターの服を剥ぎ取った。

それを羽織ると少し暖かくなった。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:26:44.44 ID:yV8TszJ20
20.
月明かりにおぼろに浮かび上がる建物の影を人のようで人でないものが駆け回っている。

端から端まで歩いても二時間くらいの小さな村はモンスターで溢れていた。

時々夜空に悲鳴のような叫びや唸り声が響く。

流石兄弟は手近な家から一件ずつ調べて行った。

ある家の納屋を調べていた兄者はボロボロに錆びたナタを見付けた。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「お、砥石もある。これは使えそうだな」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「来てくれ兄者。押し入れに何かあるぞ」


家の中を調べていた弟者の言う通り、真新しいダンボール箱が一つ入っていた。

中には色々入っているようだが月明かりでは暗くてよくわからない。

とにかく箱ごと拾って二人はボートへ戻ることにした。そろそろ夜明けだ。

明るくなってから湖上で箱を開くと中にはわずかな食料と村の地図が入っていた。

地図には何か色々後から書き加えた後がある。



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