流石兄弟が再び殺人ゲームに参加するようです

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:27:52.51 ID:yV8TszJ20
21.
二人は食料のカロリーメイトをかじりながら地図を眺めた。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「この漫画肉のマークは多分、食料がある場所だろう」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「じゃあこの『ショップ』ってのは?」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「うーん、店があるわけはないな…」


日中は船上で休み、暗くなってから二人は再び出かけた。

地図上にショップと書かれた場所にはコンクリート作りの建物があった。

元は何かの倉庫らしい。

天窓から差し込む月明かりが中を照らしている。

真新しいロッカーがいくつか、それに監視カメラがある。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「(ガチャガチャ)ロッカーは鍵がかかってるな」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「ん、モニタがあるぞ兄者」


部屋の真ん中にあるテレビモニタに何か表示されている。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:28:17.12 ID:yV8TszJ20
22.
『商品の値段

( ゚ρ゚ )×1 … 食料

( ゚ρ゚ )×2 … サバイバルキット

( ゚ρ゚ )×3 … ショットガン+弾丸

( ゚ρ゚ )×4 … とてもいいもの』

  ∧_∧
弟(´<_`  )「何だよ、とてもいいものって…」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「それよりこのモンスターの頭は何のことだ?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「死体を持ってきてあれに見せろって事じゃないか」


弟者は頭上からこちらを睨んでいる監視カメラを見た。

二人が試しに初日に倒したモンスターの死体を引っ張ってきてカメラの前に置いてみると、

ロッカーの一つが自動的に開いた。

中にはカンヅメとインスタント食品がいくらか入っている。



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:28:57.25 ID:yV8TszJ20
23.
食料を抱えて二人がボートに戻る途中のことだ。

二人は村の外へ繋がっているらしい街道に通りかかった。

はるか彼方で赤いランプが点滅しているのが見える。

道を封鎖しているらしい。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「弟者、あれはパトカーじゃないか?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「汚職警官がゲームに協力してるんだ。前もそうだった」


周囲は原生林に囲まれおまけに地雷が埋まっているという。

『逃亡』の選択肢はどこにもないらしい。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「それはそうと次は何を買うべきかな」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「やっぱり銃だろう。聖水は数が限られていることだしな」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「そうだな…ん? 弟者、何か聞こえないか?」


二人が話しながら歩いているとどこからともなく何かのモーター音が聞こえてきた。



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:29:26.31 ID:yV8TszJ20
24.
近付いて来るにつれてそれが何の音かわかった。

あれはチェーンソーの音だ。背後から猛烈な勢いで接近してくる。

振り向くとそれを頭上に掲げた人影が走ってくるのが見えた。

まだ夜は明けていないにも関わらず真っ直ぐこちらを目指している。


( ゚ρ゚ )「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛―――ッ!!!」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「なっ、何だありゃあ! こっちに来るぞ」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「俺らが見えるのか…?」


走り出した二人をそのモンスターは追ってきた。

重たいチェーンソーを持っているのに恐るべき俊敏さだ。とても逃げ切れない。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「森の中へ隠れよう!」


二人は道を外れて木々の合間へ飛び込んだ。



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:29:48.24 ID:yV8TszJ20
25.
樹木の影に隠れた二人を探してそのモンスターはしばらく低木の茂みを

切り刻んだりしていたが、すぐにどこかへ行ってしまった。

チェーンソーの音が聞こえなくなってようやく溜め息をつく。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「行ってしまったか」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「何か眼に付けていたようだが見えたか、兄者」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ああ。ゴーグルみたいなのを被っていた」


暗視装置を付けているらしい。

他にも理由は不明だが全身を黒いビニール袋のようなもので包んでいた。

あれは行動力を奪われた他のモンスターの代わりを務める夜の番人らしい。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「何てこった、夜は安全だと思ったんだが…」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「とりあえずあのモンスターは『ゴミ袋』と名付けよう」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「どうでもいいよ」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:30:14.38 ID:yV8TszJ20
26.
荷物を置いてから二人はモンスターを狩りに行った。銃を買うためだ。

なるべく棒立ちになっているのを狙い聖水で始末する。

二人狩った時点で夜が明けそうになったため、死体を店の外に置いてボートに戻った。

兄者と会話するふりをしてショボンと情報を交換する。

ショボンの話ではゲームの行われている場所はN県の山奥とのことだった。


( ´・ω・` )「近いうちに行動に出ます。貴方たちを救助に行くので待っていて下さい」
  ∧_∧
弟(´<_`  )(頼むぞ、ショボン…)


ここへ来てから三回目の夜。残り約40時間。

手に入れた食料はごくわずかですぐに尽きた。

どうやらゲームの主催者は二人を常に行動させておきたいらしい。

チェーンソーの音がしないか耳をすませながらモンスターを殺し、死体を引きずって

店へ向かう。

旧式の二銃身ショットガンと散弾が一箱手に入った。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:30:47.01 ID:yV8TszJ20
27.
協議の結果ショットガンを弟者、残り2本の聖水を兄者が持つことになった。

ちなみに弟者はバーチャコップをノーコンテニューでクリアできるという理由だ。

武装は完璧になったがこの日は食料が手に入らなかった。

店で買おうと思ってもこんな時に限って狩れそうなモンスターがいない。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「喉が乾いた…」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「山に行こう、兄者。何か果物でもあるかも知れん」


頭上を枝や葉に覆われた森の中は月明かりが届かない。

足元に注意しながら二人は目を凝らした。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「あっ、ヤマイモじゃないかこれ」


蔓状の植物が木にまとわりついている。

それを探って根を掘り出そうとした弟者はつま先に硬いものが触れるのを感じた。



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:31:20.78 ID:yV8TszJ20
28.
かすかな抵抗とスイッチが入るような感覚。

瞬間的に顔から血の気が失せた。凍り付いたように動きを止める。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「あ、兄者!」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「何だ、どうした弟者」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「俺の足元を見てくれ。何か踏んでいないか?」


兄者が木々のはざまから差し込む月明かりを頼りに見てみると、地面から

生えている金属の突起物を弟者のつま先が押し倒す形で止まっている。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「これ、もしかして地雷か!?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「何てこった…」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「と、とにかく動くな。動くなよ」


食料を求めて何時の間にか森の奥まで来てしまったらしい。

ここはすでにゲーム会場の境界線だ。



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:32:03.62 ID:yV8TszJ20
29.
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「対人地雷だな、映画で見たぞ。『エネミーライン』だったかな」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「どうやって解体してた?」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「どうって…そんなシーンなかった」


弟者が踏んでいる地雷はものすごく簡単に言えばヘアスプレー缶の上の部分に

ジョイスティックをくっつけたような形をしている。

つま先が触れてスティックを倒すとスイッチが入るがまだこの時点で爆発はしない。

一度倒したスティックが元の位置に戻るとドカンだ。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「何でそんなややこしい仕組みになっているんだ?」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「解体しようとした仲間を巻き込むためだろ。ちょっと待て」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「この棒みたいなのを動かさなければいいわけだから…」


兄者は上着を引き裂いて紐を作り、弟者の靴と地雷のスティックに巻き付けた。



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:32:40.37 ID:yV8TszJ20
30.
何重にも巻いてしっかり固定した後、弟者の靴を手で押さえる。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「よし、靴から足を抜け弟者。そっとだぞ」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「うっ…」


靴を動かさないようにゆっくり足を引き抜く。

  ∧_∧
弟(´<_`  )「脱げたぞ、兄者。助かった!」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ふう、寿命が縮んだ…」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「でも兄者はどうするんだ?」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「えっ?」


靴を手で押さえたまま兄者は聞き返した。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ど、どうすればいいんだこれ?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「えーとそうだ、靴に泥を詰めよう」



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