流石兄弟が再び殺人ゲームに参加するようです
- 54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:39:13.91 ID:yV8TszJ20
- 41.
∧_∧
弟(´<_` )「!!」
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「弟者!」
血飛沫が派手に舞い上がった。
足を切り落とされはしなかったもののチェーンはふくらはぎを大きくえぐる。
想像を絶する苦痛が電撃のように駆け抜けて弟者の脳味噌を麻痺させた。
∧_∧
弟(´<_` )「く、くそ…」
それでも何とかはしごにしがみついたことで九死に一生を得た。
次の攻撃が来る前に懸垂の要領で足を使わずに這い上がる。
すぐに身を乗り出した兄者が最上段のスペースに彼を引っ張り上げた。
∧_∧
弟(´<_` )「足を見てくれ、繋がってるか?」
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ああ。大丈夫だ」
- 55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:39:50.53 ID:yV8TszJ20
- 42.
ゴミ袋は追ってくる様子がない。
はしごの下で喚きながらチェーンソーを振り回しているだけだ。
時折回転するチェーンが鉄塔にぶつかって激しく火花が飛んだ。
鉄塔の最上段には2m四方ほどのスペースがあり屋根もついている。
雨露はしのげそうだ。
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「傷を見せてみろ。うわっ、こりゃひどいな」
とりあえずシャツを破いて傷に巻いておいたが血が止まらない。
弟者の顔色からたちまち血の気が引いて真っ白になってゆく。
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「まずいな、どうすればいい」
∧_∧
弟(´<_` )「何とかなる。気楽になれ」
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「なるわけないだろ…」
事態は四面楚歌になりつつあった。
- 56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:40:22.45 ID:yV8TszJ20
- 43.
ゲームの終了時間は無期限に延期になった。
村の出口は警察が封鎖している。
村を囲む森には地雷。
弟者の足は出血を続け治療のための薬は何もない。
食料もほんのわずかだ。
下にはゴミ袋がたむろしていて降りるのは不可能。
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「…」
∧_∧
弟(´<_` )「…」
ひしひしと絶望が二人の心に満ちてくる。
雨はいまだ止まず降り続けていた。
ぼんやりと滴る雨粒を眺めていた兄者の頭に不意に閃くものがあった。
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「雨…ショボンが確か…そうか、脱出できるぞ弟者!」
- 57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:40:52.93 ID:yV8TszJ20
- 44.
二人がベースキャンプにしていた湖から流れ出す川は浅い。
その為ボートの腹がつかえてしまい脱出するのは不可能だった。
だがこの雨が続けば…
∧_∧
弟(´<_` )「なるほどな…だが問題は別にあるだろ」
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「まず優先するのはお前の傷だ。これじゃ長くは持たん」
∧_∧
弟(´<_` )「どうするんだ?」
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「店にサバイバルキットっていうのがあっただろ」
∧_∧
弟(´<_` )「ああ」
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「多分薬や何かも含まれている筈だ。あれを取ってくる」
∧_∧
弟(´<_` )「確か死体二つだろ。聖水が足りないじゃないか、それに…」
弟者ははしごの下を見た。相変わらずゴミ袋が奇声を上げてうろうろしている。
兄者は鉄塔から伸びている電線に目をやった。
電線は電柱に繋がっている。
- 60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:41:32.97 ID:yV8TszJ20
- 45.
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「とにかく俺に任せろ。お前は動くなよ」
∧_∧
弟(´<_` )「わかった。気をつけろ、兄者」
ベルトで電線と体を結び付け、兄者は電線を伝って電柱へ向かった。
ゴミ袋は鉄塔に執着していて兄者に気付いていないようだ。
電柱から近くの木、木から地上へと降り立つと兄者はまず森へ走った。
しばらく歩くと長雨で泥が溶け出して地雷がいくつか露出しているのが見えた。
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「そーっと、そーっと…」
スティックに振れないようにいくつか掘り出す。
それを抱えて兄者は店に向かった。
地雷をシャツから作った紐でひとまとめにして石と土でロッカーの前に固定する。
紐の一端に輪を作り、地雷のスティックにそっとかける。
兄者は建物を出ると遠くから紐を引っ張って地雷を爆発させた。
- 61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:41:54.47 ID:yV8TszJ20
- 46.
乱暴な開き方だが奇跡的にロッカーの中身は無事だった。
予想通りサバイバルキットには救急箱が含まれている。
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「こいつで傷口を縫えば何とか持つだろう。待ってろ弟者…」
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ん?」
爆発の衝撃で別のロッカーの扉も破壊されている。
死体四つ分の『とてもいいもの』のロッカーだ。
壊れた扉をどかすと中に膨らんだボストンバッグが入っていた。
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「これは? …札束!?」
バッグの中には大量の札束が詰め込まれている。
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「確かにとてもいいものだが…まあいい、貰っておこう」
荷物を抱えて兄者は消防署へ戻った。
- 62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:42:26.90 ID:yV8TszJ20
- 47.
消防署近くで兄者は大声を上げた。
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「おーい、そこのゴミ袋」
( ゚ρ゚ )「ア゛ー!?」
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「こっちだ、こっち。バーカバーカ」
ゴミ袋は真っ直ぐに兄者の方へ走って来る。
兄者は動かない。
ゴミ袋の足が地面スレスレに這わせた紐に引っかかった。
紐の一端は地面に刺した棒、もう一端は埋めた地雷のスティックに結んである。
紐が引っ張られてスティックが倒れた。紐が切れて元に戻る。
爆音が夜の闇を揺るがした。
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「たーまやー」
兄者が鉄塔に向かおうとすると突然、舞い上がる土埃の中からゴミ袋が飛び出した。
- 64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:42:57.99 ID:yV8TszJ20
- 48.
右足が千切れていてもゴミ袋は獲物を逃がさなかった。
体当たりで地面に引き倒し、馬乗りになって右手で喉を掴む。
兄者はナタを取り出そうとしたがその腕をも捕まれてしまった。
( ゚ρ゚ )「ア゛ア゛ア゛ア゛―――――ッ」
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「グ…」
物凄い力だ。向こうは片腕なのに振り払うことができない。
聖水はあと一本あるがしかしゴミ袋の体に刺さるのか?
針が折れでもしたらおしまいだ。
右足の傷口に刺そうにも右手しか使えないこの状態では位置的に届かない。
気が遠くなる…
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ぐおお…!」
- 66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:43:31.31 ID:yV8TszJ20
- 49.
ゴミ袋はこちらの鼻に噛み付かんばかりに顔を近づけている。
爆発の衝撃でゴーグルの止め具が外れて取れかかっていた。
兄者は相手の顔面からそれを引き剥がした。
聖水を取り出し、眼球に針を突き立ててピストンを押し込む。
( ゚ρ゚ )「ウ…」
激しく痙攣してから動きを止め、ゴミ袋は崩れ落ちた。
兄者は死体をどけて空気を貪った。
呼吸が整ってから鉄塔を上ると弟者が弱々しい笑顔を見せた。
∧_∧
弟(´<_` )「やったみたいだな」
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ああ。サバイバルキットと『とてもいいもの』を持ってきたぞ」
キットにはポケットライトも含まれていた。
その明かりを頼りに兄者は弟者の傷に応急処置を施した。
- 67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/06(木) 20:43:56.82 ID:yV8TszJ20
- 50.
しかし弟者の傷は素人がふさぐには深すぎた。
血もかなり失っている。以前危機的状況であることには変わりない。
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「血は止まったが…こりゃ病院に行かないと。ボートへ行こう」
∧_∧
弟(´<_` )「もうすぐ夜明けだ。明日の夜にしろ」
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ダメだ。それでは手遅れになるかも知れん」
必要最低限のものだけ持って二人はボートへ向かった。
とはいえ弟者は一人では歩けないから大荷物であることに変わりはない。
∧_∧
弟(´<_` )「そうか、店にカネが…」
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兄( ´_ゝ`)「ああ。ショボンの方の報酬はもう見込みがなさそうだしな」
∧_∧
弟(´<_` )「…」
∧_∧
兄( ´_ゝ`)「どうした弟者」
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弟(´<_` )「何でもない」
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