( ^ω^)が家庭を売るようです
- 5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 19:44:34.70 ID:yVfKkUwb0
第0話 「過程」
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 19:46:17.18 ID:yVfKkUwb0
- 人生とはつくづく何が起こるか分からない、自分の岐路は昨年の秋にまで遡る。
(´・ω・`)「お前、クビな」
(;^ω^)「ちょwwwwwおまwwwwwねーよwwww」
勤めていた会社から受けた突然の解雇宣言、寝耳に水にも程がある。
納得などいくわけが無い。
(´・ω・`)「安心してくれ、腹筋する必要など皆無だ、なぜならこれはバーボンではないのだよ残念ながら。
正直今まで君をこの会社に置いておいた事を大いに後悔している。
猫の手に給料を払うほどうちの会社には余裕が無いんだ」
(;^ω^)「そんな……僕ももう30後半、今更再就職なんてどう考えても無茶だお!
絶対無理無理無理、そんな無謀な挑戦伊東万寿男でも成就不可能だろ常識的に考えて……。
可能性の限界に挑戦する事が格好いいとか思ってんの、ヤダーキモーイ中二病が許されるのは30までだよねー」
(´・ω・`)「ぶち殺すぞこの社会不適合者が、結婚したから渋々切らずに置いておいたら図に乗りやがって。
てめぇのその眉間のホクロを見る度に言葉に出来ない黒い感情が俺を支配するんだよ、今の様な感情が!
お前が会社に何を貢献した、つか会社のPCでウィニーやるなよ常考……」
(#^ω^)「ウィニーじゃないお、WinMXだお知ったかぶり乙。
こんな糞会社こっちから止めてやるお、お前覚悟しとけお!
明日絶対2chで祭り上げてやる、突撃してHP落としてやるおwww田代砲うめぇww」
(´・ω・`)「あばよ、二度と会うことは無いだろう」
(#^ω^)「二度と会いたくもねーよ、次会った時があんたの人生の終着駅だ」
そうして僕は5人の子供を持っているにも拘らず、職を失った。
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 19:48:03.32 ID:yVfKkUwb0
- もとより上司とは反りが合わなかったのだからこのすれ違いは必然ともいえた。
しかし子を養う身、そう簡単な問題ではない。
家に帰れば妻が鬼のような形相で叫んだ。
ξ#゚听)ξ「はぁ? アンタ何考えてんのバカじゃない?」
(*^ω^)「ハァハァ……もっと……!!」
ξ#--)ξ「いいからさっさと新しい職を探してきなさいよ!」
促されるままハローワークを転々とした。
そして言われることはどこでも決まっていた。
「うーん、30後半でか……20代ならなんとでもなるんだけど……」
(;^ω^)「犯る気と行動力は人一倍ありますお、お願いします!」
「すまないが他の地域あたってくれないか?
君の望む職ではちょっと無理だ」
三流大学を卒業してから一年の就職浪人を得て、ようやく職に就いたのが14年も前の話。
それからずっと事務業をだらだらと行い続けてきた自分には、資格もキャリアもなかった。
日雇いや警備員のような仕事しかなく、ほとんどの所では冷やかし同然に扱われた。
( ^ω^)「これはもうダメかもわからんね」
- 9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 19:50:03.97 ID:yVfKkUwb0
- ことごとく門前払いを受けた自分は、最終的には知り合いのツテを当るしかなかった。
小学中学高校大学、プライドなど捨て、地べたに這いつくばって懇願した。
職を、くれと。
そして季節は春一番が吹いたか、年が明けてから数カ月した時のこと。
('A`)「で、結局職は見つかったのか?」
( ^ω^)「ダメダメだお……結局人間なんて上辺だけ仲間面して、心では他人なんてどうでもいいと思っているんだお」
('A`)「おお、良く俺の心読んだな」
(#^ω^)「死ね、氏ねじゃなくて死ね」
ちょうど中学時代からの旧友であり、唯一の親友ともいえるドクオと話をしていた時だ。
(#^ω^)「なんだお、ツテの一つも持たないエリートちゃんが調子のんなお」
('A`)「ツテないのは事実だが、俺は俺なりに頑張ってVIP放送局に入ったんだ。
今も上から新しい企画立てろだなんて言われて、気の休まる暇もなく苦労している。
お前は次にはサボることしか考えていないだろ、そりゃ無理ってもんだ」
(#^ω^)「エリートちゃんは言うことが違うお」
('A`)「ツテがなくても俺は全国一番のテレビ局に入れたんだ、お前とスタート地点は一緒だ。
ただ、お前は走らずにゴールする方法を考え、俺は一歩一歩前へと進んだ、それだけだ」
( ^ω^)「格好いい比喩ですこと、はいはいわろすわろす」
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 19:51:46.28 ID:yVfKkUwb0
- ('A`)「つーか、子供5人目生まれたんだって?
仕事もせずに別方面へ精ばっか出して、本当甲斐性なしだわ。
お前、それでよく職を選ぶだなんて悠長なこと言ってられるよな」
( ^ω^)「誰にでも媚びてプライドを捨てられるエリートちゃんとは違うんだお。
やりたくない事はやらない、自分の意志だけは絶対曲げないのがポリシー」
('A`)「お前のそれはポリシーじゃねーよ、欲求に身を任せ自分を制御出来ていない、動物的思考だ。
我慢もできない、楽したい、当然の考えだがそれに身を任せるあたり人間的じゃない。
とりあえず社会の一員としては失格だ、お前を10年以上も雇った会社を尊敬するよ」
( ^ω^)「10年も働かせておいて簡単に切るあたり、心無い会社だお。
利益ばっかり意識して感謝の気持も持たない糞上司。
人間腐ってもああはなりたくないお」
('A`)「感謝しなきゃいけないのはどっちやら……」
やれやれと言いた気だったが、突然何を閃いたか。
ドクオは今までと違い興味ある顔を向けた。
('A`)「内藤、今思ったんだがお前の家庭って非現実的だよな。
父親が職なしの7人一家なんて聞いたことないぞ」
( ^ω^)「自分事だとあまり実感ないけど、聞いたことはないかもね」
('A`)「なあ、家庭を俺に預けてみる気はないか?」
- 11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 19:53:35.24 ID:yVfKkUwb0
- ( ^ω^)「家庭を預ける? 子供の世話してくれるのかお、やっぱり持つべきものは友達だお!」
('A`)「ちげーって、逆だ、お前は仕事せずに世話するだけでいいんだ」
( ^ω^)「マジかお、仕事しなくてもいいのかお!?
でも、家庭を預けるって……?」
('A`)「聞けって、さっきも言ったけど、俺は今ようやく一つ大きな番組任されてな。
そのコーナーが一つ埋まらなくて四苦八苦していたんだ。
『密着・職無し父親の7人家族生活』……どうだ、興味惹かれないか?」
( ^ω^)「最高だおドクオ格好良すぎるお持つべきものは友達だお!
当然ギャラも出るんだお?」
('A`)「ああ、出してやるよ。早速草案を作ってみるが、やってくれるんだな?」
( ^ω^)「喜んでやってやるお、ビバ親友!」
そしてそれから一週間ほど経ったか、30枚にも及ぶ資料が家へ送られてきた。
初めの方はよく分からないテレビについてや今回の契約云々について。
大まかに自分の家庭に設けられた条件は以下の通りだ。
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 19:55:29.49 ID:yVfKkUwb0
- 1.室内には常に監視カメラを設ける。
会社側に許可なく外してはいけない、および増設設置もありうる。
映像データはすべて弊社へ帰属する。
3.父親は常に、仕事を探すこと。
これについては「ふり」に留めなければならない、決して職に就かないこと。
4.お金は支給するが、暮らしぶりはあくまで質素に行うこと。
変化によっては支給額を変動させることもあり得る。
8.仕事先、出かけ先、学校など、外出時にもカメラが従うことがある。
また、外出するときは常に弊社へ連絡すること。
13.毎日何らかの変化、出来事を作ること。
何も起こらない日は作ってはならない。
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以上を遵守せぬ場合、許可無く支給及び報酬を控える事もあり得る。
また、放送についての規則は別紙を参照すること。
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 19:57:15.55 ID:yVfKkUwb0
認め印を押すと、数日後にはドクオから上司の許可が降りたと連絡が来た。
3月末、家中の到る所にカメラが設置された。
家族ですら把握できていない、数は合計30台にも上った。
そして来る4月。
とうとう番組作りが開始した。
新しい、監視された家庭がいよいよ始まったのだ。
- 20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 19:59:00.17 ID:yVfKkUwb0
( ^ω^)「ただいまー」
ξ ゚听)ξ「おかえりなさい、あなた」
( ^ω^)「飯できてるかお?」
ξ ゚听)ξ「はいはい、みんな待ってるわよ」
( ^Д^)「おせーよとーちゃん」
( ^ω^)「悪い悪い」
(,,゚Д゚)「それじゃ、食べるか」
ξ ゚听)ξ( ^ω^)( ^Д^)(,,゚Д゚)川 ゚ -゚)( ^Д^)「いただきまーす!」
川 ゚ -゚)「……」
( ^Д^)「……ぷっ!」
( ^ω^)「なんだこれ、おままごとみたいだお!」
(,,゚Д゚)「緊張するんだよ」
( ´∀`)「ははー」
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:00:44.41 ID:yVfKkUwb0
( ^ω^)「それじゃ、行ってくるお」
ξ ゚听)ξ「はいはい、行ってらっしゃい」
(,,゚Д゚)「おい、早くしろよ!」
川 ゚ -゚)「行ってきます」
ξ ゚听)ξ「はい、行ってらっしゃい」
(,,゚Д゚)「おい、早くしろって」
( ´∀`)「もうちょっとモナ……」
ξ ゚听)ξ「ほらほら、モナー急ぎなさい、お兄ちゃんが待っているわよ!」
( ´∀`)「わかってるモナ、行ってくるモナ!」
(,,゚Д゚)「行ってるわ」
( ´∀`)「いってきまーす!」
ξ ゚听)ξ「はいはい。行ってらっしゃい」
- 23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:02:33.43 ID:yVfKkUwb0
( ^Д^)「友達の家行ってきまーす!」
ξ ゚听)ξ「ほら、ちゃんと報告していきなさい!」
( ^Д^)「あ、うん」
(,,゚Д゚)「俺も行ってくるわ」
ξ ゚听)ξ「待ちなさい、宿題はどうしたの!」
(,,゚Д゚)「帰ってきたらやるよ、絶対だって!」
ξ ゚听)ξ「いけません! やってから行きなさい!」
(,,゚Д゚)「でも、やってたら遊ぶ時間がない……」
ξ ゚听)ξ「集中してやれば大丈夫よ。
宿題を終わらせないと外出は認めませんから。わかった!?」
(,,゚Д゚)「……」
ξ ゚听)ξ「返事は!?」
(,,゚Д゚)「……はい」
ξ ゚听)ξ「まったく、遊ぶ事しか考えない……クーを見習いなさい。
遊びたい気持ちを抑えて毎日アプーの面倒見てくれているのに。
そもそもアンタはいつも……」
- 25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/09/25(火) 20:04:50.25 ID:yVfKkUwb0
( ´∀`)「ただいまー」
ξ#゚听)ξ「こら、ちゃんと靴は揃えて脱ぎなさいって何度言えばわかるの!?
そういえばこの前も洗濯物、ポケットにティッシュ入っていたわよ?
何度言っても分からないわね」
( ´∀`)「……」
ξ#゚听)ξ「それくらい当たり前なんだから、それともお母さんが洗濯してくれて当然なんて思ってないでしょうね?
次あったらあんたに洗濯物させますから、わかった?」
( ´∀`)「……はい、ごめんなさい」
ξ#゚听)ξ「ほら、モナだけじゃないわよあんた達もよ!
わかった!?」
(,,゚Д゚)「……はい」
( ^Д^)「……はい」
ξ#゚听)ξ「まったく、いっつも返事はいいんだけど明日には忘れているからねこの子たちは本当にもう!」
(*ノωノ)「あぷ」
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