( ^ω^)ブーンは砂漠に生きるようです

2: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:01:26.40 ID:L3LZJxY60

第三話「流石兄弟を追え 後編」


雲ひとつ見当たらない空の下。
燃えるような太陽がVIPに容赦無く照りつけ、上昇した気温が蜃気楼を引き起こしていた。

しかし、ブーンの視界が歪んでいるのは蜃気楼のせいでは無い。


(;^ω^)「げほっ! く、苦し……」

(;´_ゝ`)「おお、流石はナチュラリスト!
      俺の『ボンバーサイクロンナックル』を受けても立ち上がるとは……」

(;^ω^)「それ……絶対、今考えたおね……クッ」


おどける兄者に突っ込みを入れつつ、脇腹を押さえながら立ち上がるブーン。
兄者はそんなブーンの様子を、腕を組みながら見下す。



4: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:04:14.59 ID:L3LZJxY60

( ´_ゝ`)「エクシード状態で身体能力が上がっているとはいえ、
       骨格もまだ出来上がっていない少年の体には、きつ過ぎたかな? かな?」

(;^ω^)「……なめるなお!」


馬鹿にした様に、説明口調で喋る兄者。
ブーンは脇腹の痛みを堪え、風を腕全体に纏わせる。


(#^ω^)「もう容赦しないお! 仕返しだお――――!」

( ´_ゝ`)「……!」


踏み込みと同時に、強風が兄者の髪を揺らした。

繰り出されたブーンの突きは、風力を味方につけ
通常の突きとは比べ物にならないほどの速度で標的を狙う。



7: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:06:08.71 ID:L3LZJxY60

(;^ω^)「っ!?」

( ´_ゝ`)「……」


強烈な拳が目前に迫っているというのに、兄者は防御するどころか避けようともしていなかった。
ただ、しっかりと大地を踏みしめ、すべてを見切っているかのよう仁王立ちをしている。

その目の奥にある得体の知れない余裕に、ブーンは恐怖を感じ咄嗟に体を捻って攻撃を中断する。


(;^ω^)「くっ!」

( ´_ゝ`)「……」



8: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:10:27.24 ID:L3LZJxY60

兄者の顔のすぐ横で拳が空を切り、頬を掠める。
そのまま兄者から逃げるように距離を置くブーン。


(;^ω^)「な、なんで避けないんだお!」

( ´_ゝ`)「ふ……」


兄者は目を細め、ゆっくりと視線をブーンへ移した。
一息つき、切り傷から流れる血を手で拭い、改めて兄者は思った。


(;´_ゝ`)(まじ危ねぇぇぇぇぇぇ――――!!!)



9: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:12:19.72 ID:L3LZJxY60

その威力に身震いする兄者。
そう、兄者は決して意図的に避けなかった訳ではない。

単にブーンの攻撃が速過ぎて、反応できなかっただけなのである。

しかし、そんなことも知らず、攻撃に動じていないと受け取ったブーンは
兄者に対し言い知れない脅威を感じていた。


(;^ω^)(全然動じないなんて……。普通ならガードしたり目を瞑ったり何か反応するはずだお。
      怖いお。絶対勝てないような気がしてならないお……)

(;´_ゝ`)(ちょ、まじ冗談にならんって! あんなもん喰らったら空の彼方にフライングじゃん!
      あああ……助けてくれ弟者ぁ……)



11: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:14:29.85 ID:L3LZJxY60

互いに牽制する様ににらみ合い、相手の様子を伺う。

しかし、ブーンは『ボンバーサイクロンナックル』を受けた時の痛みが恐怖へと変わり、
相手の強さを過剰に想像してしまう。


(;^ω^)「うう……」

( ´_ゝ`)(あれ? なんで少年の方がビビってんの?)


怖い。
今すぐに背を向けて逃げ出したい。

浮かび上がる感情を必死で振り払うも、ブーンの震えは止まらなかった。
そして、それは兄者に考える余地を与えてしまう。



14: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:16:52.53 ID:L3LZJxY60

( ´_ゝ`)(はっはーん。さては俺のワイルドな睨みにビビったな。
      よし、ここは一気に潰させてもらうかー)

(;^ω^)「逃げちゃダメだお。逃げちゃダメだお。
       ……よし、次は寸止めじゃないお! 覚悟するお!」

( ´_ゝ`)「クックック……クックックックック……」

(;^ω^)「お?」

( ´_ゝ`)「少年……俺の中に眠る悪魔を起こしてしまったようだな……。
       グッ! 右手よ……収まれ……! ククク」


不審者のような笑みを浮かべ、右手を振り回す兄者。
暴れる右手を左手で押さえると、背を丸め、睨み上げるような視線をブーンへ向ける。



16: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:20:58.95 ID:L3LZJxY60

(;^ω^)「な、何をする気だお!?」

( ´_ゝ`)「ククク……魅せてやろう。俺の『本当』の『力』を――――!」


叫び、震える右手を高々と上げる。
その手が伸びきった瞬間、ブーンの耳に絶望とも言える言葉が突きつけられた。


( ´_ゝ`)「エクシ――――ドッ!!!!」


その言葉は、不思議な力を引き出す言葉。
その言葉は、生まれ持った能力を持つ者が唱える言葉。



18: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:22:49.63 ID:L3LZJxY60

(;゚ω゚)「……え!?」


驚きと戸惑いの余り、言葉が出ないブーン。

嘘だろう?
通常の状態で、あの威力の攻撃を放つのだ。

それが、エクシード状態になるということ。
ブーンの脳裏に浮かび上がるのは、完全な敗北という結末だけ。

――――勝てるわけが無い。

そう考えると同時に、再びブーンの体全体が恐怖で震え始めた。


( ´_ゝ`)「驚いたかい? 実は俺もナチュラリストなんだ。
      ククク、その能力の強力さ故に、封印していたのだがな」

(;゚ω゚)「ふ、封印!?」

( ´_ゝ`)「そうだ。俺の能力が一度発動すれば、街一つ……いや国一つ落とせるだろう。
      つまり、ナチュラリスト一人を倒すことなど、赤子の手を握るような物……」



24: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:29:17.22 ID:L3LZJxY60

兄者が一歩前へと進んだ。
警戒し、震える手を顔の前にあげ身構えるブーン。


( ´_ゝ`)「メイドの土産に教えてやろう。俺の能力は戦闘力の増大。
      今は以前の53万倍といった所か。さらに俺は変身を後二回残しているぞ?」

(;^ω^)「なっ!?」

( ´_ゝ`)「つまり、君に勝ち目は無い」

(;^ω^)「う、うわあああ!!」


耐え切れずに叫びを上げ、敵に背を向け一目散に逃げるブーン。
しかし、足が震え思うように走れない。

背後から、だらりと腕を下ろしたまま兄者が瞬時に接近してくる。

その動きは決して速い物ではなかった。
というより、エクシード状態になる前と何も変わっていない。

ブーンは大きなことを一つ見落としていたのだ。
兄者がエクシードを発動した際、兄者の体は輝かなかった。

それは、兄者がナチュラリストで無い事のなによりの証拠だった。

しかし、心が折れたブーンには、そんなことを考える冷静さは残っていなかった。



25: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:31:47.34 ID:L3LZJxY60

( ´_ゝ`)「ヘイヘイ、追いついたぞ」

(;^ω^)「ひっ!?」

( ´_ゝ`)「悪いが、しばらく眠ってて貰おう。恨むなよー」


膝を曲げ低く構える兄者。
腰を思い切り捻り、腹部の一点に狙いを定める。


( ´_ゝ`)『ボンバーサイクロンナ―――ッコウ!』


辺り一面に衝撃音が響き渡る。
低い姿勢から放たれたのは、全身を使ったアッパーカット。

その威力に、少年の体がふわりと宙に舞った。



28: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:32:54.42 ID:L3LZJxY60


(;゚ω゚)「がっ……!」


時間が止まったような感覚。

腹部から背中に突き抜ける痛み。

その痛みを知覚した瞬間、時は動き出す。
ブーンは受け身も取れぬまま地面に叩きつけられた。



30: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:37:22.04 ID:L3LZJxY60

(;^ω^)「あっ……ぐっ……」


息も満足に出来ず、動こうとすると激痛が走る。
その痛みに耐え切れず、ブーンの口から苦痛の声が自然と漏れた。

今まで戦闘を経験したことが無かったブーンにとって、その痛みは戦意を奪い取られるのに十分な威力であった。


( ´_ゝ`)「さて、少年もしばらく動けそうに無いし、弟者を探しに行くか」

(;^ω^)「ま、待つお……」 

( ´_ゝ`)「あー、無理するな少年。素直に敗北を認め寝てなさい」

(;^ω^)「……」

( ´_ゝ`)「よし、いい子いい子。
      安心しなさい、盗賊はなるべく殺しをやらないのがポリシーだ」


ブーンの頭を撫でると、背を向けて歩き出す兄者。
その背中を、痛みで朦朧とする視線で追いかける。



34: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:41:54.16 ID:L3LZJxY60


(  ω )「……う」


負けた。
この痛みでは、しばらく立ち上がれそうに無い。
まぁいいや。このまま寝ていれば、もう痛い目にあうことは無いんだ。

徐々に離れていく兄者を見てブーンは思う。
しかし、同時に心の奥でもう一つの意思がうっすらと浮かんでいた。


やられっぱなしで、本当にいいのか?

そんな簡単に負けを認めてしまうのか?


(  ω )「無理だお……勝てないし、怖いお」


心の問いに対し、目を閉じながら答える。



35: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:43:48.81 ID:L3LZJxY60

「キャ――――!!」


意識が消えようとした時、耳に聞こえてきたのは悲鳴。
その聞き覚えのある声に、閉じていた瞼を反射的に開くブーン。


(;^ω^)「今の悲鳴……ツン!?」

( ´_ゝ`)「んぬぅ!? この悲鳴。まさか、弟者の奴(ry」


頭の中で色々な想像が広がる。
交戦するツンと弟者。あの悲鳴から考えて、ツンが不利な状況なのは明らかだ。



36: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:49:18.25 ID:L3LZJxY60



(; ω )「ツン……!」


助けに行かなければ。
今、彼女を助けられるのは自分しかいない。

ブーンは力を振り絞り、痛む体に鞭を打つ。


(  ω )(僕は何を考えていたんだお。諦める? 相手が強すぎる?
       そんなの、言い訳だお。臆病な自分を隠すための言い訳なんだお)


ここで引いたら、一生前には進めない。


( ´_ゝ`)「弟者に限って間違いは犯さないだろうが……しかし、弟者も一人の男。
      いやいや、しかし……」


自分で限界を決めてしまったら、そこが本当に限界になってしまう。



37: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:52:27.20 ID:L3LZJxY60

(#^ω^)(僕に足りないのは力じゃない。覚悟だお!
       こんな盗賊なんかに負けていたら、誰かを守る事も、一生アイツを倒すことなんてできないんだお!)


体の中にある何かが熱く燃え滾った。
超えたい。自分を、そして、目の前に立ちはだかる敵を。


(;´_ゝ`)「いや、弟者は真面目だ。そりゃもうクソ真面目で仕事一筋だ。
      だから兄として信じるべきか、いやしかし――――ん?」


(#^ω^)「――――おおおおお!!!」


湧き上がる闘志が、ブーンの体を動かす。
歯を食いしばり、足に、手に、全てに力を込める。



38: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:53:54.75 ID:L3LZJxY60

独り言を中断し、背後の気配に気付いた兄者は後ろへ振り返る。
強い風が通り抜け、それは立ち上がった少年を中心に渦を巻き始めた。


(;´_ゝ`)「え? ちょ、少年。無理せず寝てなさい。うん」

(#^ω^)「うああああああぁぁぁぁ――――!!」

(;´_ゝ`)「クソッ! まて、落ち着くんだ。こういう時は素数を数えておちつ……」


残された力を振り絞り、追い風と共に突進する。
一瞬で接近し、拳を思い切り振りかぶるブーン。

握られた拳に風が集まる。



41: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 14:58:24.64 ID:L3LZJxY60

(#^ω^)「くらえお――――!!!」

(;´_ゝ`)「まてまてまて! 俺の戦闘力は53万……っ!」


風の音が止んだ。
ひと時の静寂が訪れ、そして


(;´_ゝ`)「どうわああああああ――!!!!」


激しい風音と兄者の悲鳴が、辺りに響き渡った。

風の補助を受けた突きは兄者の顔を捉え
さらに、それをねじ込むように拳を半回転させるブーン。

回転と速度が加わり、伝わる衝撃の勢いは止まらず兄者の足が地面から離れる。


(  _ゝ )「弟者……兄ちゃん、とうとう鳥になっ――――」


そのまま兄者の体は吹き飛び、堅いレンガの壁に背中をぶつけてようやく止まった。



42: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 15:01:37.10 ID:L3LZJxY60

(  _ゝ )「……」

(;^ω^)「はぁ……はぁ……やったかお……?」


肩で息をしながら、倒れこんでいる兄者を見る。
ぴくぴくと痙攣しているので、一応は生きているようだ。


(;^ω^)「よし。ツン、今助けに行くお!」


聞こえてきた悲鳴を思い出す。

ぼうっとしている時間は無い。
声からして、この近くにいるはずだ、とブーンは予測し風を足に纏わせる



43: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 15:04:42.29 ID:L3LZJxY60

(;^ω^)「あ、あれ……?」


しかし、纏う風はブーンの意思とは反対に弱まっていく。
やがて風は完全に消え、同時に腹部の痛みが再発した。


(;^ω^)「どうしてだお!? エクシード状態が切れちゃったお……」


全身に虚脱感を感じ、ふらふらとよろめくブーン。
倒れまいと、必死に自身の体を奮い立たせる。


(;^ω^)「ツン……無事でいてくれお……今、助けにいくお……」


危なげな足取りで、ブーンは悲鳴の聞こえた方角と勘を頼りに歩き始めた。



46: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 15:07:13.51 ID:L3LZJxY60

              ※


ξ;゚听)ξ「……」

( <_  )「……」


倒れている弟者の隣で、それを怯えるように見つめるツン。
しばらくその様子を見つめ、恐る恐る近づいて顔を覗き込んだ。


ξ;゚听)ξ「まさか死んじゃいないよね……?
      でも、思いっきりやっちゃったし……」

改めて、自分の放った攻撃がいかに強力だったかをツンは思い知る。
首を掴まれそのまま地面に押し倒された時、ツンは弟者の股間目掛けて思い切り膝蹴りを入れたのだ。

ペニサスから教えられた技だが、決して全力ではやるな、という言葉の意味がわかった気がする。



47: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 15:08:15.40 ID:L3LZJxY60

ξ;゚听)ξ「もしもーし、生きてますかー?」

( <_  )「……が」

ξ;゚听)ξ「生きてる……。よかった」


僅かに声を漏らす弟者を見て、安堵のため息をついた。


ξ゚听)ξ「ブーンの方はどうなったんだろう……。
     もう一人の方には逃げられちゃったかなぁ」



50: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 15:10:27.27 ID:L3LZJxY60

( ^ω^)「ツ――ン!」


噂をすれば、聞きなれた声が聞こえた。
その声のほうへ振り返り、ツンもまた叫び返す。


ξ゚听)ξ「ブーン!」

(;^ω^)「大丈夫かお!? 怪我はないかお!?」


ツンを見るなり、一目散に彼女の方へ走ってくるブーン。
心配そうな顔つきでツンを見やる。



51: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 15:13:55.54 ID:L3LZJxY60

ξ゚ー゚)ξ「私は大丈夫よ。あんな奴に負けるほどヤワじゃないわ」

(;^ω^)「流石ツンだお。痛……安心したらまたお腹が……」


緊張が解けたせいか、兄者から受けたボンバー(ry の傷が再び痛み始める。
笑顔を苦痛の表情に変え、脇腹を抱えるブーン。


ξ;゚听)ξ「え、ちょっと大丈夫!? あんたボロボロじゃない!」

(;^ω^)b「心配無用だお。兄者はちゃんと倒してきたお」

ξ゚听)ξ「そっちじゃなくて、あんたの体よ!
     そんな状態で歩き回るなんて……エクシード状態も解けてるのに」



53: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 15:15:25.94 ID:L3LZJxY60

おぼつかない足取りのブーンに肩を貸すツン。
日陰に移動させ、ゆっくりと座らせる。


ξ゚听)ξ「もう、どうして痛むのに動き回ったりしたのよ」

(;^ω^)「ツンが……」

ξ゚听)ξ「え?」

(;^ω^)「悲鳴を聞いて、ツンが危ないと思ったからだお。
       ……それに、助けに行かなかったらご飯抜きになっちゃうからだお」

ξ゚听)ξ「……」


恥ずかしそうに顔をそらすブーン。
その横顔を見つめ、ツンは微笑んだ。


ξ゚ー゚)ξ「ブーン。心配してくれて……ありがとう」


消え入るような声で、ツンは呟く。

ブーンは素直にお礼を言われたことが恥ずかしいのか、
目を瞑って頬を撫でる風を感じていた。



54: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 15:17:34.26 ID:L3LZJxY60

――――……

――…


('、`*川「ブーン、ツン!」

(´・ω・`)「二人とも無事か!?」


それからすぐに、ロマネスク保安官とペニサス、それにショボンがやってきた。
ロマネスク保安官は倒れている弟者を見て、驚きながらも縄で縛り「確保!」と叫んだ。

ブーンは自分達が流石兄弟を倒した事を伝えると、ペニサスは嬉しそうに二人の頭を撫でた。



55: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 15:19:00.65 ID:L3LZJxY60

('、`*川「凄い凄い! 頑張ったんだね、二人とも!」

( ^ω^)「お……」

ξ゚听)ξ「大げさだよ、ペニサス姉さん」

('、`*川「そんなことないわよ! 二人とも大手柄だって!
     よし、今日はパーティーね!」


嬉しそうにはしゃぐペニサス。
しかし、その隣でショボンは無表情のまま、疲れきった様子の二人を見つめる。


(´・ω・`)「ペニサス、二人とも疲れてるだろうし話は家に帰ってからにしよう。
      ロマネスク保安官、後は頼みます」

( ФωФ)「お任せください! ブーン君、ツンちゃん、ご協力ありがとうございました!」


ロマネスク保安官は頭を深々と下げ、気を失った弟者を引きずりながら去っていった。



57: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 15:20:31.75 ID:L3LZJxY60

(´・ω・`)「よいしょっと」

( ^ω^)「お……」


ブーンを背負い、立ち上がるショボン。


(´・ω・`)「ペニサス、ツンを背負ってあげなさい」

ξ゚听)ξ「私は大丈夫……痛っ」

('、`*川「ほら、無理しないの」

ξ゚听)ξ「……うん」


やがて伝わってくる僅かな振動。
ブーンは大きな背中に安心感を覚えながら、目を瞑った。



58: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 15:22:35.19 ID:L3LZJxY60

(´・ω・`)「あんまり無茶な事するなよ。二人ともまだ子供なんだから」

( -ω―)「お……」

(´・ω・`)「ペニサスも、正義感が強いのはいいが、あまり危険な事に首を突っ込まないでくれ。
      お前に武術を教えたのは、自分で自分を守れるようにする為だ。
      悪党を捕まえたり、とっちめたりする為じゃない」

('、`*川「うう……ごめんなさい」

ξ--)ξ「すぅ……すぅ……」

(´・ω・`)「まぁ、これ以上は言わないよ。結果としていいことをした訳だからね」


戦いを終え、背中で寝息を立てる少年と少女。
その幼い寝顔を見て、改めて安心するショボン。



59: ◆ExcednhXC2 :2007/10/14(日) 15:24:11.81 ID:L3LZJxY60

(´・ω・`)(もう二度と、ブーン達に家族を失う悲しみを味わせたくないからな)


そう考えるが、小さく首を横に振る。


(´・ω・`)(そんな事、僕が言える立場じゃないな。本当に僕は……)


(´・ω・`)「……最低だ」


小さく呟かれたショボンの声は、誰にも聞かれること無く風音にかき消された。


第三話 終わり



戻る第四話