( ^ω^)ブーンは砂漠に生きるようです

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 13:21:01.75 ID:rGFhxCn10

第十九話「砂漠に生きた男」


(´<_`;)「はぁ、はぁ……」


神の剣を受け、その場に倒れるフサギコ。
生身の体で、強烈な一撃を見舞った弟者もまた、疲労困憊しその場に座り込む。


(;^ω^)「す、すごいお……。今のは一体なんなんだお!?」

驚くブーンを他所に、ギコが弟者に目を向けた。


( ,,゚Д゚)「弟者」

(´<_` )「親分、申し訳ない。横槍を入れてしまって……」

その目に映るのは、怒りではない。
柔らかなその瞳には、感謝の念が込められている。



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 13:23:30.25 ID:rGFhxCn10

( ,,゚Д゚)「ありがとな」

(´<_` )「やめて下さいよ親分。俺は、ただ今までの借りを返しただけです」

照れたように笑う弟者。

「お、おい。大丈夫なのか?」
「なんて事だ! 傷が全部治ってる!!」


二階から、ばたばたと足音がする。
階段を転がるように降りてきたのは、さっきの衰弱が嘘のように、元気になった兄者だ。

(*´_ゝ`)「弟者! 見てくれ、何故か知らんが怪我がなおってるぞぉい!!」

(;^Д^)「さっきの不思議な光は一体……あれは、弟者さんが?」

兄者の後ろから、プギャーも不思議そうな面持ちでやってくる。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 13:29:57.99 ID:rGFhxCn10

(´<_` )「親分に貰ったこの木刀が、力になってくれたんだ」

弟者は、手に持った木刀を眺めながら言う。
力を出し尽くした木刀は、その役目を果たしたのか元の状態に戻っていた。

(;^ω^)「……それにしても、このフサギコとか言う人、いきなり来てびっくりしたお」

ブーンが、倒れているフサギコを見ながら言う。

ξ゚听)ξ「どうやら、私たちは月光狂団に目をつけられているみたいね」

( ,,゚Д゚)「……」

ギコは、何も言わずにフサギコへと近づく。

( ,,゚Д゚)「……?」

違和感が、あった。
さっきから、どうも様子がおかしい。

辺りに、僅かだが炎の粒子が漂っているのがちらほらと目に入る。

フサギコは、炎を操るナチュラリストだ。

ふと、一つの考えが頭をよぎる。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 13:36:23.75 ID:rGFhxCn10


――――こいつは、まだくたばってないんじゃないか……!?



ミ,,゚Д゚彡「お、おおお……おおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」


直後。
突如として、炎の渦がフサギコの体を包み込んだ。

( ,,゚Д゚)「うおっ!!!」

(;^ω^)「うわぁぁぁ!!」

室内の熱気が、一瞬で上昇する。
その炎の渦から飛び火し、バーボンハウス全体が火に包まれる。

ミ,,゚Д゚彡「バーストアンリミッター……俺に、この技まで使わせるとはな」

(´<_`;)「い、生きてやがったのか!?」

ξ゚听)ξ「く、熱い……! ごほっごほっ!」



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 13:41:49.25 ID:rGFhxCn10

(;´・ω・`)「な、なんだこれは!? 火事か!?」

('、`*川「け、煙い」

(;^ω^)「まずいお、このままじゃ皆丸こげだお! 一旦、外に逃げるお!」

ブーンは、咄嗟に壁をぶち破り、外への脱出口を開く。

ミ,,゚Д゚彡「フレイムウォール―アンリミット―」

( ^ω^)「!!」

その脱出口を、炎の壁が塞ぐ。
否、四方八方全てを、炎の壁が囲っているのだ。

逃げ場は、無い。

ミ,,゚Д゚彡「皆殺しだ」

(;^ω^)「く……」

ブーンは考える。
オーバーエクシードを使うべきか、否か。


しかし、オーバーエクシードを使うには、多大なリスクが必須……。
まだ完全に回復していない体で使えば……否、使えるかどうかも、怪しい。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 13:44:43.64 ID:rGFhxCn10

(;^Д^) 「皆さん、なるべく煙を吸わないように……くっ!」

(;´・ω・`)「く、苦しい……」

煙が、容赦なく襲い掛かる。
酸素が危うい。
どうすればいい。どうすれば……。


( ,,゚Д゚)「ブーン」

(;^ω^)「お?」

ギコが、ブーンに背を向けたまま、口を開いた。

( ,,゚Д゚)「お前、エクシードくらいなら、できるだろう?」

( ^ω^)「それなら大丈夫ですお」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 13:49:44.94 ID:rGFhxCn10

( ,,゚Д゚)「……」

ギコは、しばし考えた後、答えを口に出す。

( ,,゚Д゚)「俺が奴を止める。その間に、皆をつれて外へ脱出しろ」

(;^ω^)「え……でも」

( ,,゚Д゚)「誰か一人が止めとかねぇと、妨害されて終わりだ。
     奴だって無傷じゃねえ、手負いだ。俺一人でも何とかなる、いや、してみせる」

ギコは、拳を握り締める。
彼から発せられる闘志が、ひしひしとブーンに伝わっていった。

( ,,゚Д゚)「お前ならやれる。いや、神速のお前にしかできねぇ。
     ……わかったか?」

( ^ω^)「わかりましたお。……ギコさん」

( ,,゚Д゚)「何だ」

ブーンは思う。
この人の背中は、こんなに大きかっただろうか?

いや、恐らく、今この瞬間ほどこの背中が頼もしく思えたことは、無いだろう。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 13:53:56.83 ID:rGFhxCn10

( ^ω^)「僕が言う立場じゃないでしょうけど……男のけじめ、つけてきてくださいお」

ギコは、何も言わずに、しかしその背中は肯定しているように見えた。

( ^ω^)「行くお……エクシ――――ドッ!!!」

ブーンの体が、輝いた。
同時に、風がブーンを纏っていく。

それは、守るための力。

ブーンは、今すべき事。
逃げると言う選択を選んだのだ。

決断……たとえ、それが背を向けるという屈辱であったとしても、


(#^ω^)「皆、一旦外に逃げるお!!」


一度、決断したならば、迷うことなく突き進む!!!!



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 13:58:21.98 ID:rGFhxCn10

ブーンが放った風の拳は、炎の壁に僅かな穴を作り出した。
ショボンとぺニサスを背負い、ブーンはその穴から外へと脱出する。

ミ,,゚Д゚彡「逃がすと思うか?」

炎の弾が、放たれた。
しかし、それを打ち消すのは、岩の拳。

( ,,゚Д゚)「悪いな、フサギコ。お前の相手は俺だ」

ミ,,゚Д゚彡「……結果は変わらん。遅いか、早いかだ」

(´<_` )「親分、俺も……!」
( ´_ゝ`)「親分!!」


流石兄弟が、後ろで叫んでいる。

馬鹿共が……!
ナチュラリストでもないのに、勝機も無いのに、こんな時まで……。

( ,,゚Д゚)「バカヤロウ!! 俺を信じてさっさと逃げやがれ!!」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 14:03:19.32 ID:rGFhxCn10

ミ,,゚Д゚彡「茶番だな」

( ,,゚Д゚)「……」

二人だけになった、炎の渦の中。
改めて、対峙するは実の兄。

否、宿敵であるフサギコ。

ミ,,゚Д゚彡「お前には何も守れん。あの時と同じだ」

( ,,゚Д゚)「黙れ。もう、貴様のエゴで仲間を死なせない」

フサギコは、不気味に笑う。

ミ,,゚Д゚彡『ヴォルケーノ―リミット―』

( ,,゚Д゚)「!!!」

その呟きの直後。
地面から熱を感じ、咄嗟に体を横へ転がす。

ギコが立っていた場所に、炎の柱が噴出した。



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 14:08:36.16 ID:rGFhxCn10

( ,,゚Д゚)「ッおおおおおお!!!!」

地を這うように低い姿勢で、突進。
腕を引き、炎で纏われたフサギコの顔面目掛けて、拳を打ち込む。

ミ,,゚Д゚彡「まだ俺に抗うか!! ギコォォォォ!!」

( ,,゚Д゚)「抗う? 違うな!! 俺はお前を 打 ち 砕 く ! !」

炎の拳と岩の拳が激突する。
先に砕けるは、岩の拳。

否、メルト――――溶けているだと……!?

ミ,,゚Д゚彡「はははははははは!!!」

( ,,゚Д゚)「ぐああああああああ!!!! ぬおおおおおおおおおお!!!!」

だから、どうした……!!
こんなもん、たかが炎じゃねぇか……!!

( ,,゚Д゚)「おおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」

拳が溶けようと。
この体に炎が移ろうと関係ねぇ!!

俺はこいつを、ぶん殴らなきゃ気がすまねえんだ!!!!



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 14:12:40.72 ID:rGFhxCn10

ミ,,゚Д゚彡「な! 何故引かない!」

( ,,゚Д゚)「おおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

教えてやる、フサギコ。
お前に足りない物。そして、俺が持っている……否、皆に教えてもらった物。

それは、守る為の覚悟。
大切な何かを守る、それは、ナチュラリストの力を最大限に引き出す。

お前には、その覚悟があるかっ!?
無いだろう? 己の強さのみを追及した、てめえにはよ!!

ミ,,゚Д゚彡「ぐ、お、おああああああ!!!!!!!!」

拳が、炎の拳を越えてフサギコの頬へと届く。
俺の拳は、もう骨が何本も折れてるかもしれねえ。

それでも、ぶち込んでやったぞ……!

ミ,,゚Д゚彡「ぐ、あ、……く、くくく。馬鹿が。たかがパンチ一発打つのが精一杯か?
      この程度で、俺が倒せるか!!」



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 14:18:02.77 ID:rGFhxCn10

( ,,゚Д゚)「……はっ」

ミ,,゚Д゚彡「誰かを守る! 根性! 正義! そんな綺麗事で強さが手に入るとでも!?
      違うな! 強さとは勝利! そして、勝利の元になるのは自分の強さだ!!」

フサギコの体に纏われた炎が、再び激しく燃え上がる。

ミ,,゚Д゚彡「ぜあああああああ!!!!」

フサギコが地を蹴る。
高速で回転し、まるで瞬間移動したかの如く、ギコの寸前まで移動した。

( ,,゚Д゚)「なっ!?」

ミ,,゚Д゚彡「くたばれ!!!!!!」

炎の拳が、ギコを吹き飛ばした。

ジュゥゥ、という嫌な音が、ギコの耳に響く。



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 14:22:01.11 ID:rGFhxCn10

( ,,゚Д゚)「ぎああああああ!!!!!!!!!」

頬がこげる。
全身の神経が、悲鳴をあげた。

ミ,,゚Д゚彡「骨も残さんぞ!! くたばれ、ギコ!!!!!」

フサギコが宙に浮いた。
体中を炎に包み、その炎が巨大化していく。

ミ,,゚Д゚彡「メルトダウン……!!」

その姿は、不死鳥。
フェニックスと呼ばれる、煉獄の鳥。

あんなものを受ければ、俺は死ぬだろう。

( ,,゚Д゚)「……」

体は、言う事を聞かない。
痛みだけが、妙にリアルを感じさせる。



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 14:24:48.99 ID:rGFhxCn10

ダメだ、まだ、倒れては駄目だ。
今、あいつらを助けられるのは俺しかいないんだ。

ミ,,゚Д゚彡「さらばだ、我が弟よ」

不死鳥が、迫る。

もう、どうする事も出来ないのか。
けじめをつけると約束したのに。

自分の過去に、けじめをつけないまま俺は死ぬのか?

( ,,゚Д゚)「……」


        ( ^ω^)
        ( ´_ゝ`)
        (´<_` )


俺を信じた、馬鹿共に、会わせる顔がねぇな……



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 14:29:55.61 ID:rGFhxCn10

『違う』

誰だ?

『お前は、まだ逃げているんだろう?』

何から?

お前は、誰なんだ?

( ,,゚Д゚)「……俺?」

( ,, Д )『そうだ。お前は……自分を越えていない』

自分を、越える?



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/30(日) 14:42:54.36 ID:rGFhxCn10

そうだ。
あいつらには、俺の命をかける価値がある。

俺を、命がけで守ると言ってくれた。
ならば、俺もそれに答えるべきなんだ。

もう、惜しくは無い。
もう、雑念は無い。

全てを力に。
全てを拳に。


超越を越える為の誓いを、ここに!!!!!!!!



( ,,゚Д゚)『オーバーエクシ――――ド!!!!!!!!!』



命を懸けた戦い。
炎の中で、不死鳥と騎士がぶつかり合う。



第十九話 おしまい



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