('、`*川新聞部が嘘吐きを探すようです

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:09:33.69 ID:MrtLJyS1i
春になって、桜が咲いた。

学校前の並木通りは、弾けるようなピンクが眩しく、通学する生徒の気持ちを高ぶらす。
暖かくなった気温についつい、うとうとと授業を受ける生徒も多い。

校内にも春が来ている。

前年度の終わりには学年が一つ減り、引っ越しでバタバタとしていてどこか閑散としていたものだったのに、
今じゃ何が何処かも分からない、新生活にwktkする若人で溢れかえっている。

桜の香のする暖かな春風は、みんなの学校をゆっくりと循っていた。






 エピローグ 「プロローグ」



114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:11:32.87 ID:MrtLJyS1i
バタバタと騒がしく廊下を走る少女。
金髪のツインテールを揺らし、胸にある脂肪分もブルンブルンとさせ。

ぴゅーと彼女が通り過ぎると、甘い薫りに思わず振り向いた童顔の男子学生が居た。
入学早々の彼は、明日から早速彼女の学年や所属を探すかもしれない。

そんな彼の気などは露も知らずに、彼女は一心に階隅の部屋を目指す。
そして着くや否やに、ノックも無しに扉を開けた。

ζ(゚ー゚*ζ「ハインちゃんッ!」

从 ゚∀从「ん……なんだまたお前かよ……」

興味なさそうな顔で、どうでもいいわなトーンで洩らす。
ツ、と視線だけ移してたのを戻し、白衣の少女は卓上の袋をガサゴソ漁る。

戻ってきた白い手には、黒くて四角の一口チョコ。
手慣れた仕草で包装を向くと、欠伸交じりにホイッと口へと投げ入れた。

ζ(゚ー゚*ζ「聞いて聞いてッ!」

从 ゚∀从「聞かなくても言うんだろうよ……」

聞かなくても聞こえる少女は呟いて、落ちかける日の光で溶けた、やらかいチョコを一人味わう。



116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:13:05.94 ID:MrtLJyS1i
ζ(゚ー゚*ζ「……ちょうだい」

从 ゚∀从「駄目」

ムスッと頬を膨らませ、彼女は白衣の少女の真ん前の椅子に、自慢じゃない大きなお尻を落とした。

ζ(゚ー゚*ζ「あのね! 部員が入ったの!」

从 ゚∀从「へぇ〜〜〜〜……」

長い溜息のような返事の後に、何人と聞かれた。
自信でもあるのか彼女は、笑い顔で天井を差して、綺麗な指を片目の少女に見せびらかした。

すると白衣は残念と言い、1本に対して3本を彼女に返す。

ζ(゚ー゚;ζ「うぇッ!? まだ3週間だよッ!?」

从 ゚∀从「オバケ部舐めんな」

全然嬉しそうではないのだけれど、金髪の子は視線を落とし、両肩を自慢じゃない胸まで下げた。

从 ゚∀从「まぁ現状……一人としてやって来ないけどなぁ……」

袋の中に突っ込んだ手が握り拳で返ってくる。



118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:15:06.44 ID:MrtLJyS1i
从 ゚∀从「俺だって科学が好きな人間で此処が溢れれば、そりゃ嬉しいんだけどなぁ……」

薄らに閉じた目、右へと逃げる視線。

ζ(゚ー゚*ζ「……!」

ゆっくりと彼女は手を伸ばす。バレないように、蛇みたいに袋の中へと忍ばせた。
しかし数秒。静かに、静かに漁ったけれど、目的の固まりは見当たらない。

从 ゚∀从「もうねぇよ。コレが最後」

左手からコロンと落とされた4つのチョコを見て、また肩を落とす。

从 ゚∀从「まぁそっちは良かったな。でも四人で足りるか?
     即戦力とは言わないまでも、あと一人は欲しいよなァ」

ζ(゚ー゚*ζ「うーん……でぃちゃんはそう言うんだけど……」

しかし諦めてはなかったらしく、今度は白服を背景に据えるチョコへと手を伸ばす。

从 ゚∀从「お前らはもういいのかよ」

寸手という所で、蝿を相手にするようなビンタが飛ぶ。
パチンという音が理科室に響くと、あうッという悲鳴。



121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:17:03.81 ID:MrtLJyS1i
赤くなった右手は直ぐに引かれて、赤子を愛でるように優しく撫でられた。

ζ(゚ー゚;ζ「……暴力反対」

从 ゚∀从「盗みはいいのかよ」

ヘッと捻ねた笑い方を見て、彼女も小さく笑みを溢した。

ζ(゚ー゚*ζ「……私が入った時も、四人だったんだ」

暫らく間を取って、彼女は言う。

昔と今を、重ねて示した。

ζ(゚ー゚*ζ「去年も、四人だったし」

从 ゚∀从「……ま、いいんじゃねぇの? お前が決める事だしさ」

嬉しそうに目をヘの字にすると、首を縦に一度振った。



122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:18:51.65 ID:MrtLJyS1i
从 ゚∀从「……なんか、部長っぽいぜ? 今のデレ」

ζ( ー *ζ「え……そんなぁ……照れるなぁ……」

放課後のお遊びと捉える人も居るけれど、彼女達にとっては生き方の一つ。

時にそれは誰かの運命を変える力も持っている。
同時に、誰かを傷つけたりもする。

そんな恐さを知らないから、今少女は頑張れる。
短い青春の中で輝く彼女に、エールを送る人は決して多くないけれど、

ζ(゚ー゚*ζ「私、頑張るね!」

从 ゚∀从「まぁ、適当にな」

今彼女は、紛れもなく幸せだった。



124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/01(火) 00:19:50.72 ID:MrtLJyS1i

SOS団が宇宙人を探すようです




           じゃなくて




 ('、`*川新聞部が嘘吐きを探すようです

         おわり



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